「利息制限法」とは、お金を借りた人を守るために、国が利息や遅延損害金の上限を決めた法律です。
利息制限法を超える金利を設定していた場合、お金を貸した側に行政罰や刑事罰が与えられるだけでなく、その超える部分については過払い金として返還を請求することができます。
この記事では、次のことについて弁護士がわかりやすく解説します。
- 利息制限法の適用対象や上限
- 利息制限法を超えた場合
- 利息が膨らみ返済できない場合の対処法
「利息が苦しい」「利息払いすぎているのでは」という方は、ぜひ参考にしてください。
ここを押さえればOK!
利息制限法は、お金を借りる人が高い利率の利息を押し付けられることを防ぐために存在します。 利息制限法の上限は借りたお金の金額によって異なり、個人の貸し借りでも適用されます。利息制限法を超えた利息は無効になり、払う必要はありません。
また、利息制限法を超えた場合には行政罰や刑事罰が科されることもあります。
もし利息が膨らんで返済できない場合には、債務整理をすることをおすすめします。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があり、弁護士の相談・依頼をすることで適切な手続きを行うことができます。
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早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
利息制限法とは
利息制限法とは、お金を借りる人を守るために借金の利息や遅延損害金の上限を決めた法律です。
借金をすると、どうしてもお金を貸す人の立場が強くなり、お金を借りた人の立場が弱くなってしまいます。
そのため、お金を借りた人は、お金を貸す人から高い利率の利息を押し付けられてしまうことがあるのです。そして、お金を借りた人はどれだけお金を返しても、利息を払い続けるだけで元本が全く返せないという困った状況になってしまうのです。
そこで、国は利息制限法を定め、高い利率の利息が設定されないように、お金を借りた人を守っています。
(1)利息制限法の上限は何パーセント?年利20パーセントは違法?
利息制限法が定める利息の上限は、借りたお金(元本)の金額がいくらかによって変わります。
例えば、お金を6万円借りた場合には、利息は年20パーセント以下の利率にしなければなりませんし、50万円借りた場合には、利息は年18パーセント以下の利率にする必要があります。
(2)利息制限法の対象は?個人の貸し借りでも適用される?
利息制限法は、法人から借りた場合だけではなく個人から借りた場合にも適用されます。
つまり、消費者金融や銀行から借りた場合だけではなく、友人や知人から口約束でお金を借りた場合にも利息制限法を守らなければなりません。
(3)利息制限法で元本は分けることができる?元本額の決まり方
消費者金融や銀行などの貸金業者がお金を貸す場合には、「借金を複数に分けて、利息の上限を上げる」ということはできません。
例えば、とある消費者金融から、形式上「5万円ずつ6回借金をした」という形で契約をし、30万円借金をした場合を考えてみましょう。
この場合、契約だけを見ると5万円の借金を6回したということになるので、利息の利率を年20パーセントにできるように思えます。
しかし、同じ消費者金融から借りている場合には、貸しているお金の合計額を元本として利息の上限を計算することになっているので、利息の利率を年20パーセントにはできません。
この場合であれば、消費者金融は30万円を貸しているので、年18パーセント以下の利率の利息にしなければなりません。
このように、消費者金融や銀行などの貸金業者がお金を貸す場合には、借金をいくつかに分けて利率を上げるという手段はとれないようになっています。
利息の計算方法とは
例えば、50万円を年18パーセントの利率の利息で借りた場合、利息はいくら払うのでしょうか。
この場合、1年間お金を借りたとすると、払うべき利息は9万円になります。
【計算式】50万円×18%=9万円
一方、1か月間(30日間)借りた場合には、払うべき利息は7,397円になります。
【計算式】50万円×18%×30日/365日=7,397円
抜け道は許さない!手数料や調査料も「利息」にみなされる
利息制限法では、礼金,割引金,手数料,調査料などいかなる名目で請求されるお金も「利息」とみなされます。
例えば、礼金、割引金、手数料、調査料といったお金を「利息」とみなさないとすると、どうなるでしょうか。
この場合、消費者金融や銀行が、利息の上限を守っていても、礼金、割引金、手数料、調査料といった名目で多額のお金を請求できてしまいます。そうすると、利息の上限を定めた意味がなくなってしまいます。
そこで、利息制限法では、礼金、割引金、手数料、調査料などいかなる名目で請求するお金も「利息」とみなすことで、このような抜け道をふさいでいるのです。
ただし、次のお金については、「利息」とみなさないことになっています。
- お金の貸付や返済に使うカードの再発行の手数料
- 貸金業法で決められた書類やデータの再発行の手数料
- 口座振替による返済ができなかった場合に、再度の口座振替にかかる手数料
遅延損害金とは?利息と違いは?
次に、「利息」と似たものとして「遅延損害金」の説明をします。
「遅延損害金」とは、返済が遅れた場合に債権者(お金を貸す側)に発生する損害を償うお金のことです(民法419条)。
いわば、約束どおりにお金を払わないことに対するペナルティです。
「遅滞利息」とも呼ばれますが、利息とは全く違うものです。
「利息」がお金を借りた日から払う必要があるのに対し、「遅延損害金」は返済期限の翌日から払う必要があります。
(1)遅延損害金の上限とは
「遅延損害金」も「利息」と同じく、年〇パーセント支払うと決められることが一般的で、利息制限法によって上限が決められています。
例えば、お金を6万円借りた場合の遅延損害金の利率は年29.2パーセント以内にしなければなりませんし、お金を30万円借りた場合の遅延損害金の利率は年26.28パーセント以下にする必要があります。
ただし、これまで説明した上限は消費者金融や銀行などの貸金業者からの借り入れには適用されません。
消費者金融や銀行などの貸金業者からの借り入れの場合には、借りた金額にかかわらず、遅延損害金の利率は一律に最大20パーセントとなっています。
この利率を超えて借金をしたとしても、その利率を超えた利息は無効であるため、支払う必要はありません。
遅延損害金や遅延損害金の計算方法についてさらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
利息制限法を超える利息はどうなるの?
利息制限法を超える利息は、無効になり、払う必要はありません。
例えば、利息の利率年20パーセントで50万円を借りた場合を考えてみましょう。
この場合、50万円であれば本来は、利息の利率の上限は年18パーセントなので、年2パーセント分は無効になります。
50万円を1年間借りた場合、年20パーセントの利率だと10万円が利息となりますが、その内の年2パーセント分の1万円が無効になり、払う必要のないお金になります。
(1)過払い金を請求できる
上限を超えた利息分もすでに払ってしまった場合には、「過払い金」として返してもらうことができます。
大手消費者金融や銀行から借りているような場合には基本的に上限を超えた利息を設定されるケースはないといえるでしょう。しかし、2010年6月の出資法・貸金業法改正以前にお金を借りていた場合には、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金返還を取り戻せるかどうかの目安は、主に次の2つです。
・ 借入れを始めたのが、2010年6月17日以前である(※)
・ 最後に借入れ・返済をした日(最終取引日)から10年以内である
※ 法改正によりグレーゾーン金利は2010年6月18日以降、撤廃されました。ですから、それ以降の貸付は利息制限法の範囲内ですので過払い金は発生しません。しかし、2010年6月18日以降も違法に高い利息で貸付を行っていたカード会社が一部存在します。そういったカード会社については2010年6月18日以降の貸付に対しても過払い金が発生している可能性があります。
過払い金の返還には時効があります。過払い金の時効は、最後に借入れ・返済をした日から10年です。そのため、借金を完済したときから10年が経過してしまうと時効により過払い金を取り戻せなくなってしまう可能性があります。
2010年6月の法改正と過払い金の関係については、後でくわしく説明します。
「リボ払いで生活が苦しい…過払い金発生してない?」リボ払いと過払い金についてさらにくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
(2)行政罰や刑事罰が処せられる
利息制限法の上限を超えた利息には行政罰や刑事罰が処せられることになります。
そもそも利息制限法自体には、上限が定められているものの、上限を超えた場合の行政罰や刑事罰はありません。しかし、後で説明する貸金業法や出資法に利息制限法を超えた場合の行政罰や刑事罰について定められています。
【消費者金融や銀行など貸金業者からの借金の場合の行政罰の例(貸金業法)】
業務改善命令や貸金業者の登録の取り消しなど
【消費者金融や銀行など貸金業者からの借金の場合の刑罰(出資法5条2項、3項)】
年20%を超える利息の契約をしたとき
➡5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
業務として貸付けをした場合に年109.5%を超える利息の契約をしたとき
➡10年以下の懲役又は3000万円以下の罰金
利息制限法に関係する法律との関係とは
利息制限法に関係する法律に、「貸金業法」と「出資法」があります。
それぞれの法律と利息制限法との関係や違いについてそれぞれくわしく説明します。
(1)貸金業法との関係
「貸金業法」とは、消費者金融や銀行など貸金業者を対象とした法律です。
そのため、利息制限法と違い、個人でのお金の貸し借りは対象としていません。
貸金業法では、主に、次のようなことが定められています。
- 貸金業者の登録制度
- 貸金業務取扱主任者の設置
- 借金の貸付や取り立て行為の規制
- 信用情報を共有する制度
利息制限法の上限を超えた場合の行政罰については、貸金業法で定められています。利息制限法を超えた場合の行政罰は、個人のお金の貸し借りは対象ではありません。
(2)出資法との関係
出資法とは、正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といい、出資金の受け入れや預り金の制限や高金利の処罰について定めた法律です。
この法律は、消費者金融や銀行など貸金業者だけではなく、個人のお金の貸し借りも対象としています。
【個人の貸し借りの場合(出資法5条1項)】
年109.5%を超える利息の契約をしたとき(※)
➡5年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
出資法があることによって、利息制限法の上限を超えた場合のペナルティが定められ、消費者金融や銀行などが利息を守るようになっています。
2010年の法改正で何が変わった?グレーゾーン金利ってなに?
2010年6月以前、消費者金融やクレジットカード会社などの貸金業者の多くが、利息制限法の上限を超えた利息を取っていました。
利息制限法の上限を超えた利息を取っていても、出資法の上限を超えなければ、ペナルティがなかったからです。
「利息制限法の上限金利を超えているが、出資法の上限金利を超えない部分」は『グレーゾーン金利』と呼ばれ、かつて消費者金融や銀行などの貸金業者の多くはこの範囲内の利率で利息を取っていました。
しかしその後、利息制限法の上限金利を超えて支払った部分は基本的には無効であるとの最高裁判所の判断がなされました。それと共に出資法や貸金業法が2010年6月に改正され、グレーゾーン金利は撤廃されました。
これによって、利息制限法の上限を超えて支払い過ぎた利息を「過払い金」として取り戻せることになったのです。
利息が膨らみ返済できない!どうしたらいい?
「利息が膨らみ、返済ができない!」という方には、「債務整理」をおすすめします。
なぜなら、債務整理をすることで、毎月の支払額を減らせたり、借金の減額をできたりする可能性があるからです。
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあり、それぞれ毎月の支払額を減らせたり、借金の減額をできたりする可能性があります。
- 任意整理:消費者金融や銀行などに対し、毎月の支払額や利息を減らせないかなどを交渉すること
- 個人再生:裁判所の許可を得て、大幅に減らした借金を3年~5年で返していくこと
- 自己破産:裁判所に原則全ての借金をなくしてもらうこと
「債務整理」をしたいという方は、弁護士の相談・依頼がおすすめです。弁護士に依頼することで、どの手段をとるべきかのアドバイスを受けることができたり、難しい手続きを代わりにやってもらったりすることもできます。
また、過払い金があるかもしれないという方も、弁護士の依頼されることをおすすめします。弁護士に依頼することで、過払い金がいくらあるのかを計算してくれたり、面倒な消費者金融や銀行などとのやり取りも代わってくれたりし、あなたの負担を減らします。
【まとめ】利息制限法とは借金の利息や遅延損害金の上限を決めた法律のこと
今回の記事のまとめは、次のとおりです。
- 利息制限法の上限
10万円未満➡年20パーセント
10万円以上100万円未満➡年18パーセント
100万円以上➡年15パーセント - 利息制限法は、法人から借りた場合だけではなく個人から借りた場合も対象となる。
- 遅延損害金は「利息」とは違うもの。上限も利息の上限より高い。
- 利息制限法を超える利息は、無効になり、すでに払ってしまった場合には「過払い金」として返してもらうことができる。
法改正以前に借金をしていた場合、過払い金の返還を請求できる可能性があります。
また、法改正以後に借金をした場合であっても、「利息ばかり返して、借金が減らない!」という方もいらっしゃるかもしれません。
このように、過払い金や借金にお悩みの方は、アディーレ法律事務所へ相談してみてください。
アディーレ法律事務所なら過払い金や借金のご相談は何度でも無料です。ご状況に合わせて適切な債務整理の手続をご提案いたしますので、安心してお任せください。
また、アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
一方、完済した業者への過払い金返還請求の手続きの場合には、原則として過払い金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。(2024年5月時点)
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