サレ夫とはどんな夫?妻や不倫相手に慰謝料を請求する方法についても解説
作成日
2023/07/20
更新日
2023/07/20
- ※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。
目次
読み方は『されお』です。
妻に不倫『サレ』た夫のことで、2006年頃からインターネット上で使われはじめ、その後ドラマなどで見掛けるようになった俗語です。
不倫というテーマをコンテンツとして楽しむ人がいるのは世の常ですが、当事者にとって配偶者の不倫は深刻な問題です。
今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- サレ夫となってしまったときの対処法
- サレ夫が慰謝料を請求する方法
妻が不倫……サレ夫の実態とは?
まずはその実態を見てみましょう。
(1)サレ夫の基礎知識
妻に不倫される夫のことを『サレ夫』というほかにも、不倫する夫は『スル夫』、不倫される妻を『サレ妻』、不倫する妻を『スル妻』といった使い方をされています。
種々の統計を見る限り、男女の不倫の割合は依然男性の方が多いようですが、どうやら女性の不倫は年々増える傾向にあるようで、『サレ夫』は注目ワードとも言えそうです。
女性の不倫が増え、不倫される夫『サレ夫』が増加していることには、
- 女性の社会進出に伴い、妻の側に夫以外の男性との出会いの機会が増えたこと
- 女性の生活能力が向上し、離婚をしても自活できるため不倫へのハードルが低くなっていること
特に女性は40代くらいから男性ホルモンが増加し性欲も同時にピークを迎えることもあり、子育ても一段落した時期であるため、不倫してしまう確率が高くなるといわれます。
また、不倫に限らず男女の交際においては、男性側が交際にかかる支出を負担するケースが多いため、夫側の不倫は支出を伴うことから家庭にバレやすく、逆に妻側の不倫は「身軽にできる」という事情もうかがわれます。
(2)サレ夫になりやすいタイプ
妻に不倫をされてしまった『サレ夫』は、不倫の被害者です。
とはいえ、夫婦関係は相手あってのものです。
どちらかが一方的に悪いというわけではなく、関係性をうまく保てないことから、一方が不倫に走ってしまうということもあるのです。
『サレ夫』になる人には、このような関係性の食い違いを招きやすいといえる次の共通点が見受けられます。
- 真面目
しかし、長く続く男女関係においては相互に刺激し合うこともまた大切です。
マジメであることにあぐらをかき、相手をときに楽しませる努力を怠ってはいないでしょうか。
- 倹約家
けれど経済観念は多様ですから、夫婦間で異なることも不思議ではありません。
交際期間にはお金を使って妻と楽しんでいた経験があるとするのなら、当時とのギャップで妻にストレスがかかっていませんか?
- 仕事最優先で育児や家事を手伝わない
結果的に他の人に心が向いてしまうこともあるでしょう。
- 感謝や愛情表現が足りない
そこに、別の相手から愛情あふれる優しい言葉を掛けられれば、不安な心は揺らいでしまうかも知れません。
自分がサレ夫と気付いたときの対処法
自分が『サレ夫』と気が付いたとき
どのような対処をすれば良いでしょうか。
(1)問い詰める行為は避ける
また、妻に制裁を加える目的で「自分も不倫し返す」などという選択肢を取ることも排除してください。
このような対応は、後に紹介する慰謝料請求で不利になるうえに、逆に妻からモラハラやDVなどを理由とする慰謝料や離婚を請求される可能性もあります。
妻との関係を解消するにしても、許してやり直すにしても、将来的にマイナスになる行為です。
まずは落ち着きましょう。
(2)妻の不倫の証拠を集める
いくら相手が不倫をしていると感じていても、そのような証拠がない限り相手が不倫の事実を認めることは期待できません。
それでは誠実な話し合いすら困難です。
相手と話し合うにしろ、戦うにしろ、まずは確実な証拠をつかんでおく必要があるのです。
もし、離婚、慰謝料請求を考えているのであれば、不倫(性行為)の証拠が必要となります。
このような証拠を自分で集めることが難しい場合は、弁護士や専門の調査会社に依頼するのもひとつの手です。
ただ、勝手に妻のスマホを見るなどといった行為はプライバシー侵害として責任を追及される可能性もありますので、調査は慎重に行ってください。
サレ夫が慰謝料を請求する方法
(1)慰謝料請求する方法
不貞行為の事実があれば、妻と不倫相手のそれぞれに慰謝料を請求できます。これは、離婚とともに請求することもできますし、離婚せずに慰謝料だけを請求することもできます。
その結果、不倫関係の解消につながる場合があるというメリットがあります。
それでは、慰謝料請求はどのようにしたら良いでしょうか。
以下に3つの方法を解説します。
(1-1)内容証明郵便を送付する
内容証明郵便により慰謝料の請求書を送付する方法があります。
ただ、内容証明郵便は郵便局が「誰が、誰に、いつ、どのような内容の文書を送ったか」ということを証明してくれる郵便です。
このように内容証明郵便が裁判を念頭に置いた郵送方法であるため、受け取った相手は裁判を意識することになります。
それが相手にプレッシャーを与え、不倫をした妻や不倫相手に対して、こちらが本気であることが伝わりやすく、相手が要求に応じることも期待できる可能性が高まります。
この内容証明郵便による慰謝料請求書に記載する内容は、次の通りです。
- 不貞行為の事実
- 不貞行為が法律に違反すること
- 請求する内容(慰謝料の支払いや交際中止や接触禁止、不倫の口外禁止など)
- 要求に応じない場合の法的措置
内容証明郵便は形式に決まりがあるなど、通常の文書とは異なるルールがあるため、個人で対応するよりも弁護士に相談することをお勧めします。
(1-2)弁護士に依頼する
弁護士は、書面の送付や電話等を用いた口頭の方法など、場面に応じて効果的な交渉方法を選び相手方と交渉を行います。
妻に不倫をされたことによる精神的なショックは大きいものでしょう。
弁護士に交渉を任せれば不倫相手と直接やりとりする必要がなく、精神的な負担が軽減されるといった点でも効果は期待できます。
(1-3)裁判で慰謝料請求する
交渉が決裂した場合、裁判で慰謝料請求することになります。
また、裁判手続き上、自分の法的主張をまとめた書面の提出なども必要です。
これらは、法律の知識と裁判経験がない人にとってはかなりの負担となるでしょう。
そのため、裁判を有利に進めるには弁護士に依頼すべきといえます。
弁護士に依頼することにより、基本的に本人は裁判所に行かず、手続きを弁護士に任せてしまうことができますが、「当事者尋問」が実施された場合など、直接本人が裁判所に行かなければならないこともあります。
(2)妻に慰謝料請求するときの注意点
不貞行為をした妻と不倫相手は、各自が請求された慰謝料の「全額」を支払う義務があります。
ですから「半額しか払いたくない」という反論は認められていません。
もっとも、妻と不倫相手の双方に全額請求し、二重取りすることはできません。
ですから妻に対しては、離婚する場合にのみ慰謝料を請求することが多いです。
離婚するのであれば、慰謝料のほか、養育費、親権、財産分与についても取り決めをしておきましょう。
話し合いで合意できれば、それらを盛り込んだ離婚協議書を公正証書の方式で作成しておくことがおすすめです。
この話し合いがまとまらなかった場合には、家庭裁判所での調停、訴訟へと、順次移行することになります。
(3)不倫相手に慰謝料請求するときの注意点(求償権について)
ですが、注意していただきたいことがあります。
というのも、不倫相手が支払った慰謝料の一部を、妻に返還するよう請求してくる可能性があるのです。
しかし、不倫はひとりでできるものではなく、どちらか一方だけが100%悪いというものではないのが通常です。
100万円を支払った不倫相手は、不倫の他方当事者である妻に対して責任負担として50万円(金額は一例であり負担割合はケース・バイ・ケース)の支払いを請求できてしまうのです。
これを、「求償権(きゅうしょうけん)」の行使といいます。不倫相手との間で示談が成立しそうなのであれば、妻に対して求償権を行使しないことを示談の内容に含め、示談書に記載しておくと良いでしょう。
なお、求償権を行使される可能性があるからといって、不倫相手への慰謝料請求に妻の同意が必要になることはありません。
ただ、離婚せずに夫婦間で今後も関係を修復し、夫婦関係を維持するつもりであるなら、後から妻とトラブルになることを避けるために、あらかじめ妻に確認を取っておいた方が良いでしょう。
【まとめ】サレ夫は不倫の被害者!妻の不倫に悩んだら慰謝料請求を検討しよう
- 「サレ夫」とは妻に不倫された夫のこと
- サレ夫になりやすいのは、真面目で倹約家な男性であることも多い
- 自分がサレ夫と気付いたら、感情的に問い詰めることはせず、冷静になって妻の不倫の証拠を集めるべき
- 不貞行為(性行為)の事実があれば、基本的に妻と不倫相手の双方に慰謝料を請求することができる
- 不倫相手と直接交渉することや、裁判手続きには負担が大きいため、対応を弁護士に依頼することも検討すべき
妻に支払い能力がない場合などは、妻ではなく不倫相手だけに慰謝料請求するという選択も可能です。
慰謝料請求にしろ、離婚にしろ、まずは証拠集めが肝心なのですが、特に仕事が忙しい方は自分で証拠を集めて書面にすることは難しいでしょう。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件ドメイン(現:慰謝料請求部)にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。東京弁護士会所属。
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