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自己破産は就職や転職に影響するのか?該当するケースを解説します

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自己破産をしたら、今後の就職や転職活動に影響があるのではないかと心配されている方はいらっしゃいますか。

結論から言えば、自己破産をしたという情報は「官報」等に載りますので、就職先(転職先)の企業などが、この官報等を見ていれば自己破産の事実を知っている可能性はあります。そのような場合には転職・就職に影響がないとは言えません。
また、自己破産の手続中は一部の職業に就くことができませんので、そのような職業への就職・転職はできません。
ただ、自己破産をしたという情報が知られる範囲は広くはありません。
今回は、自己破産が就職・転職に与える影響についてご説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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自己破産をした事実はどこに記録・公開されるの?

自己破産をしたという情報が記録されるのは

の3つです。
このうち、(1)官報に関しては一般に公開されますが、(2)信用情報機関と(3)破産者名簿は、一般には公開されません。
それぞれについてご説明します。

(1)『官報』とは

官報とは、いわゆる「国の新聞」です。
官報は、基本的に平日は毎日発行され、官報販売所で誰でも購入することができます。
官報に掲載されているのは、主に「法令の公布」や国会の議事日程、一定の役職以上の公務員の人事異動などの『公文』と、官公庁や裁判所、会社などが行う『公告』などです。
破産法では、例えば次のことについては、「公告」しなければならないと規定されており、その公告の方法として、官報に記載することになっているのです。

  • 破産手続の開始
  • 破産手続の終了
  • 免責許可決定


官報は誰でも購入することができますし、過去30日分の官報は、インターネット上で無料で見ることができます。

また、図書館で過去の官報を見ることもできます。
ですが、金融関係など、職業柄官報を日々チェックしているような場合はともかく、これまで官報を見たこともないという方や会社が、たまたま官報を確認するということはあまり考えられません。

参考:インターネット版官報|国立印刷局

(2)『信用情報機関』とは

『信用情報』とは、借金の申込みや契約などに関する情報です。
現在、日本には、主に次の通り3つの『信用情報機関』があります。

  • 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター(KSC)


『信用情報機関』は、加盟会員から『信用情報』の提供を受け、これを保有しています。

もともと、『信用情報機関』は、個人の返済能力を超える過剰な貸付けや与信を防止するために、貸付などの前に顧客の返済能力を確認しなければいけないという趣旨で設けられています。

銀行、信販会社、消費者金融などは、このうちのどこかの『信用情報機関』に加盟し、『信用情報』を加盟する『信用情報機関』に登録しています。
そして、新たにクレジットやローンの申込みを受けた時は、登録してある『信用情報』を確認し、その申込みが返済能力を超えたものでないか、確認しているのです。

各『信用情報機関』の加盟会員の特徴は、下の図のとおりです。

各加盟会員から登録される信用情報のうち、

  • 2~3ヶ月以上の滞納
  • 保証債務の履行、代位弁済
  • 任意整理(完済した業者への過払金返還請求を除く)
  • 破産
  • 民事再生

などは、『事故情報』(俗にいうブラックリスト)と呼ばれ、3つの『信用情報機関』に共有されています。

信用情報機関について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

返済を延滞した事実は共有されている!「CRIN」について解説

自己破産をしたという情報は、『事故情報』として、通常、約5~10年間、信用情報機関に登録されます(ただし、事故を起こした借入先やそのグループ会社には、社内において、半永久的に事故情報が記録され続けている可能性があります)。

ですが、『信用情報機関』に登録されている『信用情報』は、一般に公開されていません。
『信用情報機関』にどのような信用情報が登録されているのかということについては、貸金業者等の各加盟会員が確認できます。また、各『信用情報機関』に対して情報開示請求ができますが開示請求ができるのは、次の方に限定されています。

  • 本人
  • 本人から委任を受けた代理人
  • 本人の法定代理人
  • 本人が死亡した時の法定相続人

これ以外の者は開示請求はできません。
ですから、自己破産に関する情報が、『信用情報機関』を通じて、本人の同意なく各加盟会員以外の無関係な第三者に知られてしまうことはありません(※亡くなった本人の同意なく法定相続人が信用情報の開示を受けた場合を除く)。

(3)『破産者名簿』とは

『破産者名簿』とは、本籍地の市町村役場にて作成される名簿です。
破産者名簿は一般には公開されていません。


破産者名簿に載るのは、次の場合です。

破産手続開始決定の確定から

1.1ヶ月経過しても免責手続が始まっていない時
2.1ヶ月経過後に、免責許可の申立てが取り下げられた時
3.1ヶ月経過後に、免責許可の申立てが全て却下又は棄却する裁判が確定した時
4.免責不許可の決定が確定した時
5.免責取消決定が確定した時

参照:「戸籍事務司掌者に対する破産手続開始決定確定等の通知について」 平成16年11月30日民三第000113号 高等裁判所長官、地方裁判所長あて民事局長通達

自己破産を申立てた後、通常どおりに手続が進行している限り、破産者名簿に載る事態にはほとんどなりません。

一番あり得るのは4の免責不許可決定が確定したケースですが、日本弁護士連合会の調査(2017年破産事件及び個人再生事件記録調査)によれば、個人で破産を申立てた場合の全体の1%にもなりません。

免責申立の結果17調査14調査11調査08調査05調査02調査00調査
許可96.77%96.44%96.67%97.85%97.63%97.90%95.47%
不許可0.57%0.00%0.08%0.17%0.26%0.08%0.92%
申立却下・棄却0.08%0.24%0.24%0.08%0.26%0.34%0.67%
取下げ2.34%2.75%2.11%1.57%0.88%0.84%0.00%
死亡終了0.08%0.32%0.24%0.08%0.09%0.00%0.25%
不明(記入漏れ含む)0.16%0.24%0.65%0.25%0.88%0.84%2.69%

引用:2017破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会

また、万が一『破産者名簿』に登載されたとしても一般には非公開の情報ですので、就職・転職しようとしている先に知られることはありません。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

破産者名簿に載るとどうなる?載るケース、載らないケースを解説

自己破産に関する情報が登載されるのは、以上の3つのケースです。

官報は公開されますので、後でご説明するとおり、就職・転職しようとしている先が官報を確認していれば、自己破産に関する情報は知られる可能性があります。

他方、『信用情報機関』の信用情報や『破産者名簿』は非公開とされますので、就職・転職しようとしている先に自己破産に関する情報を見られることはありません。

なお、就職・転職しようとしている会社が「信用情報機関」の加盟会員などの場合、就職・転職にあたり登録してある信用情報を調べられてしまうのではないかと心配になる方もいるかもしれません。しかし、「信用情報機関」の信用情報は先ほどご説明したとおり、貸付などの前に顧客の返済能力を確認するために設けられたもので、就職しようとする人の自己破産歴などを調べるものではありません。

ですから、採用の場面で「信用情報機関」の信用情報を照会するということは考えられないでしょう(※ただし、後でご説明するように、「官報」を通じて自己破産をしていることが知られる可能性はあります)。

自己破産と就職・転職への影響について

それでは、自己破産をしたことが就職・転職に影響を及ぼすことはあるのでしょうか。
結論から言えば、破産手続が無事全て終わっている場合は、影響を及ぼすのは「官報を日常的に確認している会社に就職・転職する場合」で、それ以外は過度に影響を心配する必要はないでしょう。
その理由についてご説明します。

(1)自己破産について自己申告する義務はない

就職や転職活動にあたり、通常書かなければならない『履歴書』に「賞罰」の記載があります。
「賞罰」の「罰」とは、基本的には刑事罰、しかも罰金刑以上の確定したものに限られます。
懲役・禁固・罰金などの刑罰を受けてそれが確定し、刑罰の効力が消滅していない場合には履歴書に記載する必要がありますが、自己破産をしたことは、ここでいう「罰」には当たりません。

自己破産をしたということは、あくまでもプライベートに関する事柄ですから、会社の事業とは基本的には関係がなく、自己申告をする義務はありませんし、面接などで質問される可能性も低いでしょう(ただし、もし採用に当たって、業務との関連等を理由に破産したことがあるか確認する必要があると考える会社であれば、官報を確認する方法を取る可能性が高いものと考えられます)。

また、転職後、過去に自己破産をしたことが会社に発覚したとしても、自己破産をしたことがあるということだけを理由に解雇することは原則として許されません。

(2)官報を確認している業種はそう多くはない

日常的に官報をチェックしている会社はそう多くはありません。
『信用情報機関』の関係会社や金融機関などは、官報を確認しています。
また、不動産業やリサイクル業なども、官報の破産情報をチェックしているようです。

その他、後述の制限職種にあたる業種(警備業など)を営んでいる企業は、官報の破産情報をチェックしている可能性があります。
さらに、公務員に就職・転職しようという場合、例えば税金を扱っているような場合(国税庁や税務署など)には、官報を確認することもあるでしょう。

ですから、「信用情報機関」の関係会社や金融機関など、日常的に官報を確認している会社に就職・転職する場合には、官報を通じて自己破産をしていることを知られる可能性があります。
そのような場合には、事実上、自己破産をしていることが就職・転職に不利に働くおそれがあることは否定できません。

他方で、それ以外の官報とはあまりかかわりのない一般の企業については、通常、就職を希望している相手について、官報で自己破産をしているかどうか調べる可能性は低いでしょう。

ですから、そのような場合にまで自己破産をしたことが企業側に知られてしまい、就職・転職に不利に働くということは考え難いです。

自己破産の手続中に就職・転職が制限される職種はある

それでは、自己破産が就職・転職に影響を及ぼす場合についてご説明します。
破産手続開始決定が出ると、手続期間中、一部の職種に就くことが制限されます。
一部の職種に就くことが制限されることを資格制限といい、制限の対象となる職種を「制限職種」といいます。

「制限職種」は各法律に規定されていますが、資格制限をされてその職業に就けないにも関わらず、その資格が必要な仕事をすることは違法です。
ですから、資格が制限されている間、資格が必要な職種への就職・転職はできません((厳密には、採用するかどうかは就職(転職)先の自由ですが、就職時点で資格を制限されている人をあえて採用しない可能性が高いであろう、ということです)。

制限職種は、たとえば弁護士、司法書士、税理士、宅地建物取引士、公認会計士、土地家屋調査士などのいわゆる「士業」のほかにも、警備員、生命保険募集人、証券外務員、貸金業者などがあります。

これらの制限職種は、「復権」すれば制限を解除されます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【破産による欠格事由】制限される資格・職業とは?

「復権」とは、自己破産によって何らかの制限を受けた場合に、制限が法律上解除されて元の状態に戻ることです。
通常、個人の破産申立てでは、順調に手続が進んで免責許可決定を得られ、その決定が確定すれば、『復権』できます。

なお、破産手続開始決定から免責許可決定までの期間についての日本弁護士連合会の調査結果は次のとおりです。

開始決定から免責決定までの期間17調査14調査11調査08調査05調査02調査00調査
4ヶ月未満99.18%99.23%99.25%98.69%96.20%78.91%10.50%
4ヶ月以上5ヶ月未満0.59%0.33%0.32%0.56%2.28%11.74%19.73%
5ヶ月以上6ヶ月未満0.23%0.22%0.00%0.00%0.47%2.91%24.38%
6ヶ月以上7ヶ月未満0.00%0.00%0.11%0.00%0.28%1.24%16.16%
7ヶ月以上8ヶ月未満0.00%0.00%0.32%0.19%0.00%0.79%10.41%
8ヶ月以上9ヶ月未満0.00%0.00%0.00%0.09%0.00%1.32%6.76%
9ヶ月以上1年未満0.00%0.00%0.00%0.09%0.00%0.62%7.67%
1年以上1年半未満0.00%0.00%0.00%0.00%0.00%0.26%3.38%
1年半以上0.00%0.00%0.00%0.09%0.09%0.00%0.82%
不明0.00%0.22%0.00%0.28%0.57%2.21%0.18%

引用:2017破産事件及び個人再生事件記録調査|日本弁護士連合会

上記の期間に加えて、『免責決定』から決定が確定するまでは、約1ヶ月です。
ですから、ほとんどのケースでは、破産手続開始決定から免責許可決定の確定までは5ヶ月以内で終わりますが、その期間に関しては制限職種の就職・転職が制限されます。

本当に自己破産しか途がないのか、確認しましょう

自己破産は、免責許可決定があれば、借金の支払義務がなくなるという最大のメリットがあります(※税金などの非免責債権の支払義務はなくなりません)。

今回ご説明したとおり、

  • 制限職種に就いている方は、一定の期間その職種への就職・転職ができない
  • 「信用情報機関」の関係会社や金融業など、日常的に官報を確認しているような業種に就職・転職を希望されている方は、官報を通じて自己破産をしたことが知られ、就職・転職に影響がありうる

でしょう。
ですから、自己破産は困るという方については、自己破産以外の途を検討してみてください。

借金を減額したり、支払に猶予を持たせたりすることにより、借金の返済に追われる生活から解放されるための手続を『債務整理』と言います。
『債務整理』には、主に『任意整理』、『民事再生』、『自己破産』があります。

「任意整理」とは、将来発生する利息をカットしてもらう、分割払いにしてもらうなど、返済しやすくしてもらうよう借入先と交渉する手続です。

任意整理は、官報に載ることはないので、官報を確認されて、就職・転職に影響があるのではないかという心配は不要です。
『制限職種』による制限もありません。

ただし、債務整理をしたことは『信用情報機関』の『事故情報』として登録されます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

任意整理をするとブラックリスト入り?ブラックリストにはいつまで載る?

「民事再生」とは、裁判所の認可決定を得たうえで負債の額を法律上の基準に従って減額してもらい(負債や保有資産等の金額によって減額の程度は違います)、減額された負債を原則として3~5年で分割返済していくという手続です(税金など一部の負債は認可決定を得ても減額されません)。

民事再生は、自己破産と同様、官報に掲載されます。
また、『信用情報機関』の『事故情報』に登録されます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

個人再生をしたらブラックリストに載る?個人再生のメリットは?

ただ、民事再生は、自己破産のような『制限職種』による制限はありません。

ですから、『制限職種』に就いている方は、民事再生の場合は手続中であっても就職・転職に法律上の制限はありません(※ただし、官報を確認している会社などであれば、官報を通じて民事再生をしていることを知られる可能性はあります)。

借金の返済に苦しんでいて、自己破産を検討されている方は、別の債務整理の方法も含め、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

【まとめ】一部の職種を除き、基本的に自己破産をしたことが就職・転職に不利になる可能性は低い

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 自己破産に関する情報は、『官報』、『信用情報機関』、『破産者名簿』に登録されるが、一般に公開されているものは『官報』のみ。
  • 自己破産が就職・転職等に影響するのは、次の場合であり、それ以外の場合には、過度に心配する必要はない。
    1. 制限職種に就いている場合
      (破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでの間、法律上、一定の職業に就くことができない)
    2. 「信用情報機関」の関係会社や金融業など、日常的に官報を確認している職種
      (官報を通じて自己破産をしたことが知られてしまい、事実上、就職・転職に影響が出る可能性がある)
  • 制限職種や官報を確認している職種に就職・転職を希望されている方は、早めに弁護士に相談し、自己破産以外の債務整理の道がないか検討すべき。

「債務整理」のうち、最も就職・転職に影響が少ないのが「任意整理」です。
「民事再生」は、「破産」と異なり制限職種による制限は関係ありませんが、官報に記載されますので、官報を確認する業種への就職・転職が事実上制限されるおそれがあります。

もしも今、借金の返済が苦しいと感じていらっしゃる方がいれば、早めに弁護士にご相談していただければ、制限職種による制限や官報掲載が行われない「任意整理」によって借金から追われる生活から解放されるかもしれません。

アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
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参考:「損なし宣言」について|弁護士法人アディーレ法律事務所

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