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自己破産は仕事に影響する?会社にバレてクビになる可能性は?

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弁護士に自己破産を依頼する多くの方が不安に感じることの1つが、「自己破産が会社にバレないか」です。自己破産をするには、退職金を含め自分の財産をすべて裁判所に伝える必要がありますので、退職金規程など会社関連の資料を求められることがあります。そのため、弁護士から必要書類を案内されたとき、このような不安を抱く方が多いのです。
そこで、今回は「自己破産の仕事にあたる影響」を弁護士が解説します。

自己破産が会社にバレる5つのパターン

弁護士として「自己破産は確実に会社にも家族にもバレません」とはお約束できません。
しかし、どういった場合にバレる可能性が高いのかをお伝えし、ご自身の事案でどういった点に注意したらいいのかをお伝えすることはできます。

(1)会社に対して支払わなければならないお金がある場合

残念ながら、ほぼ確実に自己破産が会社にバレてしまうケースがあります。
それが「会社からのお借入れがある場合」「会社に対して損害賠償義務を負っている場合」など会社に対して支払わなければならないお金がある場合です。
自己破産手続きでは、すべての債権者に受任通知を送り、債権調査を行います。
会社が債権者となっている場合も例外ではなく、弁護士から受任通知と呼ばれる書類を会社に発送し、自己破産手続きの依頼を受けた旨を連絡します。
そのため、会社に対して支払わなければならないお金がある場合には、自己破産手続きがバレてしまいます。

また、会社の関連会社からお金を借り入れている場合などにもバレる可能性があります。

そのほか、経費精算のためなど本人名義でコーポレートカードがある場合も要注意です。
従業員がお金を支払えなくなった場合に会社が代わりに支払う契約になっていた場合、弁護士がカード会社に受任通知を送ると、カード会社は会社に対して利用額の支払いを請求するため、自己破産をすることが会社にバレてしまう可能性があります。
契約書で会社が保証しているかをチェックし、契約書がなければ会社に尋ねてみましょう。

会社に自己破産がバレないように、弁護士に自己破産を依頼する前に会社に対して全額支払おうと考える人がいるかもしれません。しかし、借金を完済できない可能性の高い状態で特定の債権者に返済すると、偏頗弁済(へんぱべんさい)となり、裁判所に自己破産を認めてもらえなくなりかねませんので、絶対にやめてください。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

偏頗(へんぱ)弁済とは?問題となるケースとその回避方法や注意点などについて解説

そして、偏頗弁済であると判断されると、破産管財人が会社に対して支払ったお金を回収するおそれがあり、自己破産手続きが会社にバレるばかりか、迷惑をかけることにもなりかねません。

(2)制限職種である場合

自己破産手続きでは、開始決定から復権(ふっけん)と呼ばれる時期まで就くことのできない職種「制限職種」が存在します。制限職種であるにもかかわらず黙ってその仕事を続けると最悪損害賠償といった話などになりかねないため、正直に自己破産を進めることを会社に打ち明けましょう。場合によっては、一時的に配置転換をしてもらえる可能性があります。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

自己破産後の復権とは?制約を解除させるための方法を紹介

自分の仕事が制限職種にあたるかを知りたい場合には、「〇〇(自分の仕事)制限職種」と検索するのがいいでしょう。ただし、見つかった情報が正しいとは限らないので、検索して見つかった情報を頼りに一度e-Govなどで根拠条文を確認してみてください。

(3)給料が差し押さえられた場合

会社に借金がバレるきっかけの1つとして多いのが「給料の差押え」です。
給料(債権)が差し押さえられると、会社は一定金額の給料を差押債権者に支払わなければならなくなるため、従業員の借金の存在を知るに至ります。
もっとも、給料の差押えのタイミングと自己破産は直接関係しません。すでに判決が下りているなど給料の差押えの可能性が高ければ、弁護士は自己破産の申立てを急ぐため、弁護士に依頼せずに借金を放置しておくより、給料差押えのリスクを低下させられるでしょう。

(4)会社のだれかが官報をチェックしている場合

自己破産手続きでは、1.開始決定時と2.免責の可否を決定したときに官報(国が行政機関の休日を除き毎日刊行する機関紙)に破産者の氏名・住所が掲載されます。
一般的に官報を定期的に購読している人は多くありませんが、金融・証券系など特定の業界では定期的に官報がチェックされていることもありますし、会社内に官報を購読している人がいないとは限りません。
そのため、官報をきっかけに会社で自己破産がバレてしまう可能性はあります。

(5)退職金計算書の発行を会社に依頼した場合

自己破産をする場合には、退職金計算書を裁判所へ提出することが必要とされています。
退職金計算書の提出を会社にお願いすると、自己破産をすることが会社に知られてしまう可能性があります。
どうしても会社に頼めない場合には、退職金計算書の代わりに退職金規程のコピーを提出するという方法があります。これによって退職金額を具体的に計算できるのであれば、退職金計算書の代替手段として用いることができるからです。しかし、自己破産手続き上、退職金計算書が不可欠と判断されることもありますので、あらかじめ受け取っておいた方がスムーズです。

自己破産したら会社をクビになったり懲戒解雇されたりする可能性は?

自己破産が会社にバレてしまう可能性は否定できません。
では、自己破産が会社にバレてしまうとどのような不利益があるのでしょうか。

(1)会社をクビになることはない

雇用契約を締結している従業員は、会社に対して労務を提供する義務を負っています。労務と借金は無関係ですから、会社は従業員の自己破産を理由にクビにすることはできません。
会社が従業員をクビにするには、解雇権の濫用に当たらないような相当の理由が必要であり、従業員が自己破産をしたことのみでは相当の理由に当たらないとされていますから、自己破産をしただけでは退職する必要はないというのが法律の建前です。

一方、会社と委任契約を結んでいる場合には、自己破産の開始決定により委任契約が終了する(民法653条2号)ため、再度委任契約を締結してもらえないか交渉する必要があります。

(2)資格をはく奪されることはない

制限職種であれば自己破産手続き中、仕事に支障が生じます。しかし、自己破産をしたという理由だけで資格がはく奪されることはないため、無事復権すれば、再びその仕事に就ける可能性は十分にあります。

なお、資格制限ではありませんが、取締役の場合は、破産手続き開始決定を受けることにより、会社との委任契約が終了してしまいます(破産手続き開始決定後、再度、取締役に選任されることは可能です)。

ただし、会社に雇われている人ではなく個人事業主の方が自己破産する場合には、事業が負債の根本原因となっている場合や、大規模な事業であればあるほど自己破産前と同様に事業を継続することは基本的に難しくなるため、注意が必要です。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

個人事業主破産の影響は?事業継続の可否や売掛金の扱いなどを解説

(3)自己破産を理由としない異動・配置転換や降格処分などはありうる

自己破産をするほどお金に困っているからといって、他の従業員と異なる扱いをされるわけではありません。そのため、経営状況の悪化を理由とする整理解雇の対象となるなど、自己破産を直接の理由としない処分はありえます。
不当解雇であると考える場合には、別途弁護士に相談・依頼するなどして争うことになるでしょう。

自己破産すると給与やボーナス・賞与、退職金の扱いはどうなる?

自己破産をすると給料や退職金を受け取れなくなってしまうのではないか、と不安に感じる人がいるかもしれません。では、給与や賞与、退職金がどうなるのかを解説しましょう。

(1)給与には特に影響なし!

自己破産は、破産者の経済生活を再建するために行われますので、自己破産によって破産者が今日・明日の生活にさえ困る状態になっては意味がありません。給与をギャンブルに使えないなど制約はあるものの、給与は満額受け取ることができます(差押えの場合を除く)。

(2)自由財産や自由財産拡張の枠を超える場合に要注意!

生活に必要だと認められる財産は「自由財産」や「自由財産拡張」の制度により、原則として手元に残すことができます。
たとえば、東京地裁の場合、99万円以下の現金や20万円以下の預貯金は自由財産として手元に残せます。
逆にいえば、ボーナスの支給により、所持する財産がこれらの基準を超えると、基本的には、超えた分だけ手元に残すことができなくなるというわけです。
また、注意したいのが将来支払われる予定の退職金の扱いです。
支給見込額の8分の1(※退職が間近であれば4分の1)相当額が20万円を超える場合には、原則として、超えた分だけ自己破産手続きに必要なお金として支払う必要があります(東京地裁の場合)。
例外的に、退職金が差押禁止財産にあたる場合には、支給見込額に関係なく、別途支払わなければならないお金はありません。

差押え禁止である退職金としては、たとえば次のものが挙げられます。

  • 確定給付企業年金
  • 確定拠出年金
  • 社会福祉施設職員等退職手当共済法に基づく退職金

このほかにもいろいろあるので、退職金規程や関連法令などを弁護士に見てもらうと良いでしょう。

会社にバレたくない場合は法的整理以外の債務整理方法を使う

債務整理には、自己破産以外にも民事再生と任意整理の2種類があります。

「民事再生(個人再生)」とは、返済困難な方が、裁判所の認可決定を得た上で、基本的に減額された一定の負債を原則3年で分割返済していく手続きです。
負債の額や保有している資産の額などによって異なりますが、任意整理よりも大幅に負債が減額されることが多いです(公租公課など減額されない負債が一部あります)。

民事再生(個人再生)では、住宅を手元に残したまま債務を減額する制度が設けられている点が特徴です(ただし一定の要件を満たさないと当該制度は利用できません)。負債の減額幅は負債総額及び保有している資産などによって決まっています。なお、保有している資産や負債額などによっては、減額されないケースもありえます。
再生計画に基づき負債を完済すれば、再生計画の対象となった負債については、法律上返済する義務が免除されます。

「任意整理」とは、原則として

  • 引き直し計算(適正な利息で負債残高や払いすぎた利息を計算すること)をして、払いすぎたお金があれば、その分負債残高を減らし、
  • 引き直し計算しても残った負債については、今後発生する利息(将来利息)をゼロにして、元本だけを分割で払っていくことを、借入先と交渉する

手続きです。

任意整理をすることにより、返済の負担を現状よりも減らすことができる可能性があります。

※なお、和解できるかどうか、どのような和解内容になるかは、相手との交渉次第ですので、必ずしも希望する通りの和解に至るわけではありません。

このうち、民事再生は自己破産同様、裁判所を利用する手続きであるため、会社に民事再生をすることがバレてしまうリスクがあります。たとえば、民事再生でも自己破産同様、官報に氏名・住所が掲載されることになりますし、会社からのお借入れがある場合には、弁護士から会社に対して受任通知が送られることになります。ただし、制限職種であることを理由に自己破産をできない場合には、自己破産ではなく制限職種の制度がない民事再生をするメリットがあります。
会社が債権者であるなど法的整理をするとどうしても会社にバレてしまう場合に会社にバレたくないのであれば、任意整理をするほかないでしょう。しかし、到底完済できない借金を抱えている中で任意整理をしてもいずれ自己破産や民事再生をしなければならない可能性が高く、それだけ経済生活を立て直せる日が遅くなってしまいます。

会社に借金が発覚したとしても、法律上はそれを理由としてクビになることはないため、意を決して自己破産や民事再生をしたほうが将来的にメリットが大きい場合も多いでしょう。

借金を抱えている以上、弁護士に依頼する日を遅らせると、利息によって借金総額が膨れ上がっていきます。会社に借金がバレるリスクを少しでも下げるため任意整理をしたいのであればなおさら、1日でも早く弁護士に相談してください。

【まとめ】自己破産をしようかとお悩みの方は弁護士にご相談ください

制限職種に就いておらず、会社が債権者でない場合には、自己破産手続きが会社にバレるリスクはそれほど高くありません(官報をチェックしている会社にお勤めの場合を除く)。仮に会社に自己破産がバレてしまったとしても、法律上は自己破産を理由に懲戒解雇されることはなく、給料や賞与を奪われることもありません。場合によっては、返済しきれない借金を抱え続けて給料を差し押さえられてしまったほうが信用を損ないかねないため、なるべく早くに弁護士に相談することをおすすめします。相談する時期が早ければ、会社に借金がバレる可能性が自己破産よりもさらに低い任意整理で進められるという可能性もあります。
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