あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

セックスレスで離婚&慰謝料請求できる?慰謝料を高額にするポイント

作成日:
リーガライフラボ

法律上、性交渉は夫婦関係において必須のものとはされていませんが、夫婦の重要な要素のひとつです。

俗に、夫婦間に一定期間性交渉がない状態をセックスレスといい、いろいろな理由で性交渉のない夫婦もいます。
夫婦双方が性交渉に対する欲求がない場合や高齢になって自然に性交渉がなくなった場合などには、あまり問題にはなりません。

しかし、セックスレスを理由に、片方または双方が離婚を望むケースがあります。

そこで今回の記事では、次のことについて解説します。

  • セックスレスを理由に離婚はできるのか
  • セックスレスの原因となった配偶者に対し、慰謝料を請求できるのか
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

セックスレスは離婚原因として成立する?

まずは離婚原因となりうる『セックスレス』は、どのような状態をいうのか確認してみましょう。

(1)セックスレスとは?

『セックスレス』とは、カップルにおいて特殊な事情なくお互いの合意した性交あるいはセクシュアル・コンタクトが1ヶ月以上なく、その後も長期に渡り性交あるいはセクシュアル・コンタクトがないことが予想されること、と言われています。

この目安となる『月に1回』程度の性交渉や性的接触があれば、セックスレスとはいえないと考えられています。

また、セックスがほとんど行われない夫婦もいますので、離婚の原因となるのは、セックスレスの期間やセックス頻度の他『拒む』回数や頻度が高い場合といえます。

セックスレスとなる原因によっても、離婚が認められるかどうかは変わってきます。
セックスレスの原因としては、例えば次のようなものがあげられます。

  • 相手に異性としての魅力を感じなくなった
    兄弟のような感覚になってしまった、異性として見れない、身だしなみや体系の変化により魅力が減退した、など
  • 性欲や体力が衰えた
    年齢を原因とする場合や、過労による場合など
  • セックスが嫌い
    もともとセックスが嫌い、セックスをしても痛いだけ、相手のセックスが乱暴で恐くなったなど
  • 配偶者以外で性的欲求が満たされる
    不倫相手、AVなどで性欲を満たし、配偶者を拒否するといった事情など

(2)セックスレスは法律上の離婚原因に該当する?

夫婦で話し合い、離婚することに合意した場合には「協議離婚」ができます。
話し合いが上手くいかない場合には、裁判所を仲介者にして話し合う調停という手続きを利用することができます。
これらの場合には『合意』のみで離婚できるため、離婚原因は問われません。

しかし、協議離婚や調停離婚によっても「合意」ができなかった場合には、家庭裁判所の審判または裁判で離婚を争うことになります。

「審判離婚」と「裁判離婚」は、裁判官の判断に離婚の成否が委ねられます。
特に、裁判離婚では民法770条で定める「法定離婚事由」の存在が認められなければ、離婚は成立しません。

ではセックスレスはこの「法定離婚事由」に該当するでしょうか。

民法770条では次の5項目が離婚理由として定められています。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

この場合には、相手が離婚を拒否していても離婚が認められることになります。

セックスレスの場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性があります。
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、その問題があるため夫婦関係が破綻してしまうような重大事を指します。

例えば、配偶者のどちらかがセックスを望む一方、相手に拒み続けられて夫婦関係が破綻する場合などが挙げられます。

ただし、セックスレスになった原因が自分にある場合、婚姻を継続し難い重大な事由にはならない可能性が高くなります。

例えば、セックスレスの原因が、自分が乱暴なセックスを望んだため相手が嫌がっている場合や、自分が浮気をしたことが原因で相手が嫌悪感を抱いてしまった場合、その他、家事育児などの負担を相手の過剰に負わせてしまった結果、相手が疲れてセックスに応じることが困難になってしまった場合などです。

なお、セックスレスが直接離婚理由にならない場合でも、セックスレスが原因で夫婦が不仲になって夫婦関係が破綻し、例えば、長期間別居をしているような場合であれば、『婚姻を継続し難い重大な事由』が認められて離婚できることもあります。

(3)セックスレスで離婚する割合とは?

  • 司法統計における、家庭裁判所に離婚を申立てた動機によると、性的不調和は夫で13%(2406÷18134=0.133)、妻が7%(3462÷48351=0.072)となっています。

この『性的不調和』にはセックスレスだけではなく、性癖の違いなど他の要素もあるとはいえ、セックスレスが離婚の原因となることはそれなりに多いようです。

参考:婚姻関係事件数―申立ての動機別│裁判所 – Courts in Japan

セックスレスの離婚で慰謝料を獲得する方法

セックスレスを理由に慰謝料請求は可能なのでしょうか。
可能である場合、その条件は?

慰謝料を高額にするポイントを解説します。

(1)セックスレスで慰謝料請求できる条件

民法709条は故意または過失により他人の権利利益を侵害した場合に、その賠償を求めることを認めています。

そして民法710条は、財産以外の損害、つまり精神的損害に対しても損害賠償を認める旨を規定しています。
これを一般的に『慰謝料』と呼んでいます。

セックスレスで慰謝料を請求するには『精神的な苦痛(損害)』を被ったといえるかどうかが問題となります。

とはいえ、夫婦の間柄であっても、セックスは極めて個人的なものであり、夫婦の一方が望まない他方に対し、セックスを強要することはできないと考えるべきです。

そのため、セックスレスで慰謝料を請求するには「セックスができるのにしない」という状況が前提となります。

例えばEDなどでそもそも性行為をしたくてもできないという場合には慰謝料請求をすることはできません。

他にも、夫婦の一方が性行為に対して強い嫌悪感を抱いており、心理的な障害でセックスが『できない』という場合も、慰謝料請求は難しいかも知れません。

逆に、例えば夫婦の一方が、AVや風俗店などを利用し、性行為に対して積極的な姿勢がうかがわれるのに、配偶者とのセックスに応じない場合などは慰謝料請求ができる可能性が出てきます。

(2)セックスレスの慰謝料が高額になるケース

セックスレスに慰謝料が認められるかどうかは、ご説明したとおり、セックスレスの事実が不法行為といえるかどうか、それにより精神的苦痛を被ったかどうかにより異なりますので、必ず慰謝料が認められるというものではありません。

(2-1)慰謝料が高額になる場合

ですが、セックスレスが原因で離婚に至る場合などは、セックスレスが婚姻関係を破壊し、精神的苦痛が大きいと考えられる分、慰謝料額が高くなる傾向があります。
その他

  • セックスレスの期間が長い(一般的には3年以上)
  • 結婚してから一度もセックスをしていない
  • 婚姻期間が長い
  • 夫婦間ではセックスレスであるに関わらず、不倫相手とセックスをしていた
  • セックスを拒絶する際に、暴言を吐く

このような事情があり、それを証明できる証拠を準備できると慰謝料が増額要素とされる可能性があります。

東京地方裁判所平成29年8月18日の裁判例では、元妻が元夫に対してセックスレスにより離婚に至ったことについて慰謝料を請求した事例で、セックスレスが夫婦間の精神的結合にも不和をきたし、婚姻関係の破綻に至った(婚姻関係は約1年)などとして、元夫に対し50万円の慰謝料を支払うよう命じました。

(2-2)セックスレスの証拠を集める

セックスレスで慰謝料請求が可能である場合であっても、それを証明するのは難しいことです。

セックスレスを理由とした慰謝料請求が認められるためには、セックスレス自体の証拠の他、それが婚姻関係が継続できないと認められるほどの「重大な事由」にあたると推認できる証拠が必要です。

証拠となるものとしては例えば、夫婦関係における日記やメモです。
どの時期から性行為をしていないのか記録をつけておいた場合などには、セックスレスの証拠となります。

他にも、セックスレスの原因となる夫婦間の言い争いについての録音記録なども証拠になります。

また、セックスレスの原因が不倫の可能性がある場合、不倫の証拠を集めるのも良いでしょう。

不倫の証拠として使えるものについては、次の記事が詳しいのでご参照ください。

(2-3)裁判上で主張する

慰謝料請求のために、まずは当事者間で話し合いをしましょう。
慰謝料額などについて折り合いがつかない場合に安易に妥協せず、調停や訴訟において不法行為の要件を踏まえて、適切に主張、立証を行う必要があります。

調停や訴訟の手続きをとる場合には、弁護士のサポートを受けると、手間が削減でき、訴訟を有利に進められるため、慰謝料請求において有利であるといえます。

セックスレスで離婚慰謝料請求を請求する流れ

セックスレスの慰謝料請求をする手順について解説します。

(1)当事者の離婚協議

まずは夫婦で話し合いを行い、離婚及び慰謝料の支払いを要求します。
対面でも電話、メールなどでも構いません。

ただ、話し合いの証拠は残しておきましょう。
電話や対面の場合には、録音記録を残しておいてください。

話し合いで慰謝料請求が拒否された場合、内容証明郵便で慰謝料請求すると心理的なプレッシャーを与えられるという意味では効果がある可能性があります。

(2)離婚調停

話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の離婚調停を利用することができます。
離婚調停では、家庭裁判所にて、調停委員(2名)と裁判官に相手方との間に入ってもらい、話し合いを進めることができます。

調停で合意した内容を記した「調停調書」は、裁判の判決と同じ効力があり、合意した内容が守られない場合には強制執行することができます。

調停の場では、「正当な理由なく」セックスレスとなった具体的な経緯や理由の他、どのように性行為を拒まれたのか、何度拒まれたのか、どのくらいの期間性交渉がないのか、セックスレスによって受けた精神的ダメージなどについて調停委員に説明することになります。

(3)離婚訴訟を提起

調停の話し合いでも合意が取れない場合、家庭裁判所に対してセックスレスを理由として離婚及び慰謝料を請求することになります。

離婚訴訟の流れは次の通りです。

  1. 原告が家庭裁判所に訴状を提出する
  2. 裁判所から第1回口頭弁論期日の通知が来る
  3. 被告が訴状への反論を書いた答弁書を提出する
  4. 第1回口頭弁論:訴状と答弁書の内容を整理する
  5. 第2回以降:弁論準備期日によって争点と証拠を整理
  6. 証拠調べ
  7. 終結・判決

離婚訴訟では離婚事由および慰謝料請求の要件を、証拠により立証する必要があります。

訴訟の手続きには、法的な根拠に基づく主張・立証が必要となるため、ご自身で進めるのは少々ハードルが高いかも知れません。
弁護士に相談し、手続きを進めるのがおすすめです。

【まとめ】セックスレスによる離婚&慰謝料請求は弁護士にご相談ください

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • セックスレスの定義は性交渉や性的接触が1ヶ月以上なく、それが継続すること
  • セックスレスで婚姻を継続し難いほどの精神的苦痛を被った場合、離婚の原因になり、慰謝料の請求も可能
  • より高額な慰謝料を獲得したい場合、請求する側・される側の条件やセックスレスの証拠などを裁判などで主張すること
  • 慰謝料請求は夫婦間の協議を行い、協議や離婚調停で決着がつかない場合には離婚裁判を提起する

セックスレスによる慰謝料請求をしたい方や、裁判を検討する方は、当該業務を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

浮気・不貞による慰謝料のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-783-184
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています