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突然の交通事故で家族が死亡した場合に知っておくべきことを弁護士が解説

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Yさん(仮名)は、妻と幼い2人の子供とともに4人で仲良く暮らしていました。ところがある日突然、通勤中に横断歩道を歩いて渡っていた際に自動車にはねられ、帰らぬ人となってしまいました。妻であるTさん(仮名)は、夫を亡くした悲しみに打ちひしがれるとともに、今後必要となる様々な手続きについて、何から手をつけたらいいのか途方に暮れています。
この記事では、交通事故でご家族を亡くした場合の

  • 加害者に請求できる賠償金の種類
  • 慰謝料算定の3つの基準
  • 遺族に対する公的支援
  • 賠償金の仮渡金申請
  • 弁護士費用特約

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

交通事故で家族が死亡した場合の慰謝料・賠償金請求について

交通事故で家族が死亡した場合、遺族は加害者に対して慰謝料をはじめとする賠償金を請求することができます。
被害者が加害者に対して慰謝料などの賠償金を請求する場合、その金額などについて、通常は加害者が加入する保険会社と示談交渉を行うことになります。
加害者に適切な償いを求めるためには、最初の行動や言動が大切です。
というのも、賠償についての加害者側との交渉は、一度合意してしまうと後から覆すことは難しいからです。
後々、受け取れるべき賠償を受け取れなかったなどと悔やむことがないよう、事故直後からしっかりとした対応が必要です。

(1)交通事故の損害賠償請求は誰がする?

交通事故による損害賠償を請求する権利は被害者本人にあります。
もっとも、交通事故により被害者本人が死亡した場合は、損害賠償を請求する権利は相続人が相続することになります。
民法では、相続人となる者の範囲があらかじめ定められています。
これを法定相続人といいます。

法定相続人の範囲は次ととおりです。

  • 亡くなった本人(=「被相続人」といいます)の配偶者は常に相続人となり、
  • 配偶者とともに相続人となる者の順位が次のように定められています。

被相続人の配偶者

第1順位:被相続人の子(養子も含む。子がいない場合は孫)
第2順位:被相続人の直系尊属(父母・祖父母など)
第3順位:被相続人の兄弟姉妹(兄弟姉妹がいない場合は甥・姪)

前順位の相続人がいれば、次順位の者は相続人になりません。

【法定相続人の範囲】

相続人の範囲について、詳しくはこちらをご参照ください。

参考:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

なお、亡くなった本人が生前に遺言を作成していた場合は、遺言のほうが法定相続分に優先し、原則として遺言に従って遺産が分割されることになります。

(2)請求できる損害賠償金

交通事故の被害者が加害者に対して請求できる損害賠償には、主に次のようなものがあります。

ア 治療費
イ 通院費用(通院のためにかかった交通費など)
ウ 傷害慰謝料(入院や通院を余儀なくされたことに対する慰謝料)
エ 休業損害(ケガにより就労できず得られなくなった収入)
オ 入院雑費
カ 付添看護費
キ 葬儀関係費
ク 車両の修理費
ケ 逸失利益(後遺障害や死亡により得られなくなった将来の収入など)
コ 後遺症慰謝料(後遺障害が残ったことに対する慰謝料)
サ 死亡慰謝料(被害者が死亡したことに対する慰謝料)

これらを、亡くなった本人の代わりに相続人である遺族が請求することになります。

なお、上記のうち、サ 死亡慰謝料には

  • 亡くなった本人に対する慰謝料と
  • 遺族に対する慰謝料

の2つがあり、遺族がこれらをまとめて請求することになります。

また、死亡事故の場合は、キ 葬祭関係費も請求できます。

交通事故で家族が死亡した場合の慰謝料請求について

では、交通事故で家族が死亡した場合の死亡慰謝料の額は、どのように決まるのでしょうか。
実は、死亡慰謝料を算定するための基準は3つあります。
加害者側との示談交渉、または裁判においては、これらの算定基準をもとに慰謝料を算定しますが、どの基準を用いるかによって金額が変わってきます。
以下、3つの基準についてそれぞれ見ていきましょう。

(1)自賠責の基準

自賠責の基準は、車両を運転する人が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。国土交通大臣および内閣総理大臣が定めます(自動車損害賠償保障法16条の3)。
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているため、基本的には慰謝料の額は3つの算定基準のうち最も低くなります。

(2)任意保険の基準

任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準です。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険の基準に基づいた慰謝料額を提示してきます。
金額は、一般に上記(1)の自賠責の基準よりは高くなりますが、次の(3)弁護士の基準よりは低くなります。

(3)弁護士の基準

弁護士の基準は、過去の交通事故事件の裁判例をもとに設定された基準です。『民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準』(通称「赤い本」)や、『交通事故損害額算定基準』(通称「青本」)に記載されており、「裁判所基準」と呼ばれることもあります。
弁護士の基準は、弁護士が被害者に代わって示談交渉や裁判をする際に使われる算定基準です。

(4)「弁護士の基準」とその他の基準では、慰謝料の額がどれくらい異なる?

上でご紹介した3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般的に

弁護士の基準>任意保険の基準>自賠責の基準

となります。

※ただし、自賠責保険では、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者の過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。

そこで、弁護士の基準とその他の基準とで、死亡慰謝料の額が実際どのくらい変わってくるのか見てみましょう。
なお、任意保険の基準は非公開となっているため、自賠責の基準と弁護士の基準を比較します。いずれも2020年4月1日以降に起きた事故の場合の金額です。

【自賠責の基準の場合】
自賠責の基準では、
死亡した本人の死亡慰謝料は400万円です。
これに加え、遺族の慰謝料は次のとおりです。

  • 遺族が1名の場合:550万円
  • 遺族が2名の場合:650万円
  • 遺族が3名以上の場合:750万円
  • 死亡した本人から扶養されていた者がいる場合:+200万円

なお、ここにいう「遺族」とは、原則として死亡者本人の父母・配偶者・子に限られます。

【弁護士の基準の場合】
これに対し、弁護士の基準では、死亡した本人の死亡慰謝料と遺族の慰謝料を合算して算定します。
金額は、死亡した本人の家族内における立場によって変わります。

具体的には、死亡したのが

  • 一家の大黒柱の場合:2800万円
  • 母親、配偶者の場合:2500万円
  • その他の場合:2000万~2500万円

となります。これらを基準にし、個別の事由を考慮して金額が増減されます。
なお、例えば飲酒運転やひき逃げなど、事故の内容が悪質だった場合は、金額が増額されることもあります。

【自賠責の基準と弁護士の基準の比較】
例えば、この記事の冒頭で出てきたTさんの家庭のように、会社員の父親と専業主婦の母親、就学前の子供2人の家庭で、父親が交通事故により死亡した場合の死亡慰謝料額(目安)は、

  • 自賠責の基準:1350万円
  • 弁護士の基準:2800万円

となります。

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交通事故で家族が死亡した場合の公的支援について

交通事故で家族を亡くした遺族は、加害者からの賠償金以外に、公的な支援を受けることもできます。
公的支援には、大きく分けて経済的な支援と精神的な支援の2つがあります。
死亡した方が家族の中でどの立場なのか、またどういう状況で事故に遭われたのかによって、受けられる支援と相談する窓口が異なります。
以下、具体的な支援の内容をご紹介します。

【公的支援】

(1)経済的支援とは?

公的な経済的支援として代表的なものは年金です。交通事故によって亡くなった方の収入により生計を維持されていた遺族は、以下のように遺族年金や労災年金を受け取ることができます。

【遺族年金】
ア 遺族基礎年金
国民年金に加入中の方が亡くなった時、その方によって生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までにある子(障害者は20歳未満)のいる配偶者」又は「子」に支給されます。

イ 遺族厚生年金
厚生年金に加入中の方が亡くなった時(加入中の疾病がもとで初診日から5年以内に亡くなった時)、その方によって生計を維持されていた遺族(1.配偶者または子、2.父母、3.孫、4.祖父母の中で優先順位の高い方)に遺族厚生年金が支給されます。子のある妻または子には、遺族基礎年金もあわせて支給されます。

◎遺族年金に関する相談窓口

年金ダイヤル0570-05-1165(祝日、年末年始を除く8:30~17:15)
年金事務所・年金相談センター年金事務所等の所在地・連絡先は、日本年金機構のホームページをご覧ください。

遺族年金の受給要件・支給額などの詳しい情報について、詳しくはこちらもご参照ください。

参考:遺族年金|日本年金機構

【労災年金】
業務中または通勤途中の交通事故によって亡くなった場合、遺族に対し、

  • 遺族補償給付(業務災害の場合)または
  • 遺族給付(通勤災害の場合)

という年金が支給されます。

労災年金を受給できるのは、被害者の死亡当時その収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・祖父母・兄弟姉妹ですが、妻以外の遺族については被害者の死亡時に一定の高齢又は年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要です。

なお、労災年金は上で述べた国民年金(遺族基礎年金)・厚生年金(遺族厚生年金)とあわせて受給できますが、その場合は労災年金が減額され支給されます。

◎労災年金に関する相談窓口

労働保険相談ダイヤル0570-006031(土日祝日・年末年始を除く9:00~17:00)
労働基準監督署被害者の勤務先の地域を管轄する労働基準監督署の所在地・連絡先は、厚生労働省のホームページをご覧ください。

労災年金の受給要件・支給額などの詳しい情報について、詳しくはこちらをご参照ください。

参考:労働基準情報:労災補償|厚生労働省

【その他】
遺族年金・労災年金以外の経済的支援として、

  • 生活福祉資金貸付制度(各市区町村・社会福祉協議会)
  • 母子・父子福祉資金貸付制度(各地方公共団体)

などがあります。

これらの経済的支援について、詳しくはこちらをご参照ください。

参考:家族が亡くなったときは?|国土交通省

(2)精神的支援とは?

公的な支援のうち、残された遺族の精神的な負担を支援する制度として

  • 交通遺児等友の会((独)自動車事故対策機構(NASVA))
  • 交通事故被害者サポート事業(警察庁)

などがあります。

これらの精神的支援について、詳しくはこちらをご参照ください。

参考:家族が亡くなったときは?|国土交通省

交通事故の賠償金仮渡金申請について

交通事故の被害者は加害者から治療費や慰謝料など損害賠償を受け取れますが、実際に受け取ることができるのは、ケガの治療および示談交渉が終わってからとなります。
これは、事故発生から数ヶ月以上経ってからとなるのが通常です。その間、仕事を休むなどして収入がないと、生活に支障が生じてしまうことがあります。
そこで、自賠責保険の仮渡金の仕組みを利用することで、当面の出費に関する悩みを解消することができます。

(1)仮渡金とは?

仮渡金とは、交通事故の被害者が、損害賠償額が確定する前にお金を受け取ることができるもので、自動車損害賠償保障法(自賠法)第17条により定められている制度です。
将来受け取る損害賠償金の一部を前もって受け取ることができ、治療費や葬儀費などに充てることも可能です。
被害者が死亡した場合、290万円が支払われます(支払いは1回のみ)。

(2)仮渡金の申請手続き

被害者が亡くなった場合、仮渡金は、加害者の加入する自賠責保険会社に対して遺族が請求します。
提出書類に問題がなければ、請求後、通常1週間程度で支払われます。
提出書類は以下のとおりです。

  1. 保険会社から取り寄せた申請書
  2. 交通事故証明書(人身事故にかぎる)
  3. 事故発生状況報告書
  4. 医師が作成した診断書
  5. 死亡診断書
  6. 請求者の印鑑登録証明書
  7. 被害者および相続人の戸籍謄本
  8. 委任状および委任者の印鑑証明書(相続人が複数いる場合は、原則として1名を代表者として、他の相続人全員の委任状および印鑑証明が必要)

弁護士費用特約が付いていると弁護士費用の負担が軽くなる

これまで述べてきた各種手続きや加害者に対する賠償請求を遺族ご自身で行うと、精神的・時間的に大きな負担がかかります。
また、加害者との示談交渉は、弁護士が上でご紹介した「弁護士の基準」に基づき交渉を行うことで賠償額を増額できる可能性も高まります。

賠償額の増額の可能性について、詳しくはこちらもご参照ください。

交通事故の慰謝料を「弁護士基準」で受け取るために知っておくべきこと

もっとも、これらを弁護士に依頼すると弁護士費用が別途かかります。
その際、ご加入している保険の弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用を保険でまかなうことができます。
以下では、弁護士費用特約について解説します。

(1)弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約とは、加害者や加害者側の任意保険会社との示談交渉などを弁護士に依頼した際の弁護士費用を、加入している任意保険会社が支払ってくれる特約です。
弁護士報酬、訴訟費用、和解・調停に要した費用、法律相談料、その他必要な手続きをするためにかかった費用について、一定金額の範囲で補償してくれるものです。

(2)弁護士費用特約が使えるかを調べるには?

弁護士費用特約の適用範囲は広いことが多く、被害者自身が加入している任意保険に付帯させていなくても、ご家族(遺族)が付帯させている弁護士費用特約を利用できる場合もあります。
具体的には、被害者の

  1. 配偶者(夫、妻)
  2. 同居の親族
  3. 別居の両親(未婚の場合)
  4. 被害事故に遭った車両の所有者

が任意保険に加入していれば、弁護士費用特約の使用が可能な事が多くなります。
なお、弁護士費用特約を使っても、等級や保険料は上がりません。
ご自身が弁護士費用特約を利用できるのか、利用できる条件などを保険会社に確認してみましょう。

【まとめ】被害者本人が死亡した場合は、相続人が損害賠償請求をすることができる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故により被害者本人が死亡した場合は、その損害賠償の請求権は原則として法定相続人が相続する。
  • 加害者に対する賠償金請求の他に、年金など公的支援を受けることもできる。
  • ご家族を亡くし精神的に辛い状態で保険会社と示談交渉するのは負担が大きい。
  • 加害者側との示談交渉は、弁護士費用特約なども活用して、弁護士に依頼するのがおすすめ。

交通事故により家族を亡くされた方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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