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交通事故での高次脳機能障害で適切な等級・慰謝料を得るには?

作成日:更新日:
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交通事故の被害に遭った後、
物忘れが激しくなる、人格が変わってしまった、すぐ疲れてしまう、などの症状があることがありませんか。

このような症状がみられる場合、「高次脳機能障害」かもしれません。
医師でも見逃してしまうことがあるため、医師が何も言っていなくても、このような症状がある場合には、「高次脳機能障害」を疑った方がいいかもしれません。

交通事故によって、「高次脳機能障害」が残ってしまった場合、今後の人生が大きく変わってしまう可能性もあります。
交通事故を原因として「高次脳機能障害」が残ってしまった場合には、きちんとした後遺障害等級の認定を受けること、適正な慰謝料を受け取るようにしましょう。

この記事を読むことで、ご家族が交通事故により高次脳機能障害を負った場合の適切な対応方法、慰謝料の相場、その他貰える賠償金について知ることができます。

この記事では、

  • 高次脳機能障害とは
  • 高次脳機能障害の特徴的な症状
  • ご家族が高次脳機能障害の疑いがある場合の対応
  • 「後遺障害等級」とは、後遺障害等級申請の方法&認定までの流れ
  • 高次脳機能障害の「後遺障害等級」
  • 高次脳機能障害の等級アップのポイント
  • 高次脳機能障害の後遺症慰謝料の相場
  • その他請求できる可能性がある賠償金
  • 高次脳機能障害の損害賠償請求を弁護士に依頼した方がいい理由

について、弁護士が詳しく説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

目次

高次脳機能障害とは

「高次脳機能障害」とは、視覚、聴覚の感覚機能や手足の運動機能に大きな障害が認められないものの、大脳の機能に障害が認められ、社会適合性を大きく欠く症状のことをいいます。

例えば、周りを見たり、音楽を聴いたり、手足も普通に動くにもかかわらず、作業の要領が覚えられない、すぐに忘れてしまう、キレてしまうなどの症状があることをいいます。

交通事故を原因として高次脳機能障害は、主に、脳に強い外力を受けたことによる脳外傷を原因としています。

高次脳機能障害の特徴的な症状

高次脳機能障害の特徴的な症状としては、主に次の症状があげられます。

  1. 記憶障害
  2. 注意障害
  3. 遂行機能障害
  4. 社会的行動障害
  5. 病識欠如

具体的に説明します。

(1)記憶障害

例えば、次のような症状があります。

  • 物をどこに置いたかわからない
  • 約束を忘れてしまう
  • 新しいことを覚えられない
  • 何度も同じ質問を繰り返す

(2)注意障害

例えば、次のような症状があります。

  • 作業を長く続けることができない
  • 単純作業にミスが多くなる
  • すぐに疲れる
  • 他の人の行動にちょっかいを出す
  • 2つのことを同時に行えない

(3)遂行機能障害

例えば、次のような症状があります。

  • 段取りをつけて物事を行うことができない
  • 指示されないと行動できない
  • 物事の優先順位がつけられない

(4)社会的行動障害

例えば、次のような症状があります。

  • 依存:すぐに他人を頼る
  • 退行:子どもっぽくなる
  • 欲求コントロール低下:我慢ができない、何でも欲しがる、浪費する
  • 感情コントロール低下:怒りっぽくなる、急に笑う、暴れる
  • 固執:ひとつのこと(物)に異常にこだわる
  • 対人関係障害:相手の立場や気持ちを考えられない、よい人間関係が作れない
  • 意欲・発動性低下:自分から何かをしようとしない、ボーっとしている
  • 抑うつ:憂鬱な状態が続く、何もしない

(5)病識欠如

例えば、次のような症状があります。

  • 自分の障害に対する認識ができない
  • 障害がないかのようにふるまう、言う

ご家族が高次脳機能障害の疑いがある場合の対応

交通事故の被害者であるご家族にこれまで説明したような症状がある場合、「高次脳機能障害」を疑いましょう。

高次脳機能障害の症状は、日常生活において大きな支障をもたらし、生存のための必要最小限の行動もままならないという重大な後遺症を残す場合もあります。

他方で、程度などによっては一見してその症状を外部から発見することは難しい場合もあり、医師でも気づかない場合も少なくありません。

被害者の事故前の人格を知っている、かつ、事故後も被害者とコミュニケーションをとっているご家族しか、このような変化に気づかない場合もあります。

とにかく、まずその症状に気づくことが重要です。高次脳機能障害の症状の疑いがある場合、早期に医師の診断を受けることをおすすめします。

「後遺障害等級」とは

高次脳機能障害の後遺障害等級について説明する前に、「後遺障害等級」について説明します。

(1)「後遺障害等級」とは慰謝料算定の目安になる

後遺障害等級とは、後遺障害の慰謝料や賠償金の算定の目安となるものです。
後遺障害の内容に応じて、重いものから順に1~14級が認定されます。

後遺症について慰謝料や賠償金を受け取るためには、後遺症について後遺障害等級認定を受けることが必要となります。

(2)「後遺障害等級」の認定をするのは保険会社

後遺障害等級の認定の判断は、損害保険料算出機構(加害者側の保険会社が加盟している場合)や自賠責保険・共済保険紛争処理機構が行います。

損害保険料算出機構や自賠責保険・共済紛争処理機構の判断は、原則、後遺障害診断書などの書面によって審査されます。そのため、診断書の記載が曖昧であったり、必要な検査結果がなかったりという場合には、実際がどうであれ、適切な認定がされないということも少なくありません。

(3)後遺障害等級認定の申請は「症状固定」後

「後遺症」とは、治療による回復が見込めなくなった状態(「症状固定」といいます。)で残ってしまった症状のことをいいます。
そのため、症状固定となった後に、残った症状について後遺障害の等級認定を申請することになります。

後遺障害等級申請の方法&認定までの流れ

後遺障害の等級認定の申請手続は、損害保険料算出機構に対して行うのが一般的です。申請手続の方法としては、加害者側の保険会社を通じて行う「事前認定」という方法と、被害者自身(被害者が依頼した弁護士を含む)が行う「被害者請求」という方法があります。

流れとしては次のようになります。

事前認定

被害者請求

参考:支払までの流れと請求方法|国土交通省

(1)事前認定

「事前認定」とは、加害者側の任意保険会社が主体となって後遺障害等級の認定に必要な資料を用意し、加害者側の自賠責保険会社に後遺障害等級認定の申請を行う手続きのことをいいます。

「事前認定」は、加害者の保険会社を通じて行いますので、被害者自身には手間がかからないというメリットがあります。

しかし、申請の際に必要となる資料を提出するのは加害者側の保険会社になりますので、提出する資料を被害者や弁護士がチェックすることはできません。

加害者側の保険会社にとっては、後遺障害等級が上がればその分だけ支払う賠償金が増えてしまいますので、より高い等級の認定を受けることに、必ずしも協力的ではありません。場合によっては、認定されない、もしくは、不当に低い認定になってしまうおそれも十分に考えられます。

さらに、高次脳機能障害の場合、一見障害がないように見えることもありますので、加害者側の保険会社が十分な資料を提出せずに、後遺障害等級が認定されないということも十分にありえます。

(2)被害者請求

「被害者請求」とは、被害者が主体となって、後遺障害等級の認定に必要な資料を収集し、加害者側の自賠責保険会社に対し、後遺障害等級の認定の申請を行う手続きのことをいいます。

「被害者請求」は、被害者の方が自ら申請に必要な資料を収集し、提出するといった負担がありますが、提出する資料を被害者自身や被害者から依頼を受けた弁護士がチェックできるといったメリットがあります。

等級認定に有利となる資料をさらに提出したり、不利となりそうな資料については補う資料を提出したりすることができます。

高次脳機能障害の場合、一見障害がないように見えることもあるため、どのような資料を提出するかによって、後遺障害等級の認定結果が大きく変わる場合があるので、提出前に資料チェックができる被害者請求を行うことをおすすめします。

「事前認定」と「被害者請求」についてまとめると次のようになります。

 事前認定被害者請求
手続きを行う人加害者側の保険会社被害者本人(もしくは弁護士)
治療に関する資料の準備加害者側の保険会社被害者本人(もしくは弁護士)
メリット・被害者本人に手間がかからない・提出資料を被害者がチェックできる
・認定に有利な資料を提出することができる
デメリット・提出資料のチェックができない
・認定に有利な資料を提出できない
・被害者に手間がかかる
・事前認定よりも時間がかかることがある

後遺障害等級認定の申請手続について弁護士に依頼した場合には、交通事故に精通した弁護士これまでの経験を踏まえて、後遺障害の認定が適切になされる資料や書類を揃えて、申請を行います。弁護士が医師と相談の上、診断書の記載内容を検討することもあります。

そのため、被害者請求であっても、被害者本人の負担は少ないといえます。

被害者請求に必要書類また申請方法について詳しくはこちらをご覧ください。

交通事故の被害者請求とは?必要書類と申請の手順を分かりやすく解説

高次脳機能障害の「後遺障害等級」

次に、高次脳機能障害によって認定される可能性のある「後遺障害等級」について説明します。

高次脳機能障害については、その症状の重さ・程度によって、つぎのように後遺障害等級が認められています。

等級神経系統の機能または精神の障害
別表第一1級1号神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
a.食事・入浴・用便・着衣など、生命維持に必要な行動について、常時介護を要する
b.高度の痴ほうがあるため、常時看視を要する
2級1号神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
a.食事・入浴・用便・着衣など、生命維持に必要な行動について、随時介護を要する
b.著しい判断力の低下や情動不安定があるため、看視を欠かすことができない(一人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている)
別表第二3級3号神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
(一人で外出できるなど、一人で日常の動作は行うことができるが、一般就労が全くできないか、困難なもの)
a.生命維持に必要な行動はできるが、労務に服することができない
b.記憶や注意力に著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難である
※ここでいう「労務」とは?
労働者としての作業のみならず、主婦の家事、学生の就学・学習も含みます。
5級2号神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(単純な繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能であるが、新しい作業や職場環境の変化に対応できない)
a.単純な繰り返し作業などに限定すれば一般就労可能だが、特に軽易な労務しかできない
b.一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には職場の理解と援助を欠かすことができない
7級4号神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
a.特に軽易な労務などに限定すれば一般就労可能だが、軽易な労務しかできない
b.一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができない
9級10号神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
(自動車の運転が不適当である、高所作業が危険で認められないなど)
a.通常の労務はできるが、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限される
b.一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題がある

明確な画像所見がなくても高次脳機能障害の後遺障害等級は認められる場合がある

従来、「高次脳機能障害」はCTやMRIなどではっきりとした画像所見がない限り、後遺障害等級が認められないという運用がなされていた時がありました。このように加害者側の保険会社から説明を受けた人もいるかもしれません。

しかし、CT画像やMRI画像所見上明らかに異常が認められないが、事故態様やその症状過程から脳外傷による高次脳機能障害を認めるべき場合があるというケースが多数存在しており、CT画像やMRI画像所見上明らかな異常がなくても高次脳機能障害を認めるべきとする裁判例が複数見られるようになりました。

【画像所見がなくても高次脳機能障害を認めるべきとした裁判例】

  • 札幌高裁判決平成18年5月26日
    札幌市内の女性(25歳)が事故を起こした運転手(35歳)に対し、記憶力などの人間らしい脳の働きが著しく低下し、日常生活を満足に遅れなくなったのは交通事故に遭い高次脳機能障害を負ったからだとして、約1億2000万円の損害賠償を求めた事案です。
    地裁では高次脳機能障害を認めませんでしたが、高裁では、地裁の判決を覆し、女性が交通事故によって高次脳機能障害になったと認定し、約1億1800万円の支払いを命じる判決を下しました。
  • 東京高裁判決平成20年1月24日(自保ジャーナル1724号掲載)
    画像所見がない場合でも高次脳機能障害として認定しうる場合がありうることを認めました。この判決では被害者を高次脳機能障害ではないと認定したものの、高次脳機能障害について、慎重に検討すべき姿勢が見てとれます。
  • 大阪高裁判決平成21年3月26日(自保ジャーナル1780号掲載)
    この事案は、事故後約3週間経ってから、高次脳機能障害をうかがわせる症状が発症した事案です。自賠責保険の認定においては、MRI画像などで画像所見がないことを理由に、外傷による高次脳機能障害を否定し、後遺障害14級9号にとどまると診断され、大阪地裁もこれを支持しました。しかし、大阪高裁は、この判断を覆し、「画像所見がなくても、事故態様やその症状過程から脳外傷による高次脳機能障害を認めるべき場合がある。」として、脳外傷による高次脳機能障害(9級相当)の後遺障害を認定しました。

この裁判例の流れを受けて、2011年4月1日より、後遺障害等級の認定についても認定システムの充実が図られています。

はっきりとした画像所見がなくても、「高次脳機能障害」によって後遺障害等級が認められる事例が増えていますので、はっきりとした画像所見がない場合であっても「高次脳機能障害」の後遺障害等級の認定をあきらめてはいけません。

高次脳機能障害の等級アップのポイント

あとで説明するとおり、後遺障害等級が1等級違うだけで、貰える慰謝料の金額は大きく異なります。
そのため、高次脳機能障害の後遺障害等級について少しでも上位の等級を得ておくことは適正な慰謝料をもらうための重要なポイントといえます。

高次脳機能障害の等級アップのポイントは、次のとおりです。

  1. 提出資料の精査
  2. 「日常生活状況報告書」には別紙を使用
  3. 医師の所見はしっかりと記載

(1)提出資料の精査

後遺障害等級の認定を得るためには、提出資料を事前にチェックできる被害請求がおすすめというのはすでに説明したとおりです。

特に、高次脳機能障害の等級認定の資料として重要なのが、「日常生活状況報告書」や、医師が作成する「神経系統の障害に関する医学的所見」、「脳外傷による精神症状などについての具体的な所見」、「各種神経心理学的検査結果」などです。

等級認定のアップのためには、特にこれらの資料の記載内容を精査し、各種資料間で整合がとれているかなどをチェックする必要があります。

(2)「日常生活状況報告書」には別紙を使用

「日常生活状況報告書」については、患者の、事故後~症状固定までの生活状況を詳細に記載し、事故後の患者の障害の程度および症状の経過を示せることが重要です。これは、患者本人で認識できることに限界がありますので、患者を見守るご家族の方々の真摯な協力が必要となります。

「日常生活状況報告書」は、通常用いられる雛型がありますが、この空欄に諸症状を書ききることはおよそ不可能です。したがって、諸症状や患者の行動・事件事故などを具体的詳細に示すためには、「別紙」として、ご家族が文章にして、「陳述書」というかたちで提出することが有益です。その際、各種神経心理学的検査結果と、日常生活状況の報告内容に齟齬がないことが重要です。

(3)医師の所見はしっかりと記載

「神経系統の障害に関する医学的所見」、「脳外傷による精神症状等についての具体的所見」については、専門家である医師が作成するものです。一般に、記載内容に信頼性があるといえますが、診察室で限られた時間のみ患者と対面している医師が、毎日患者のそばで生活をしているご家族同様に、患者の症状を把握することは困難です。したがって、これらの所見を記載してもらう際には、日常生活状況報告書の内容をあらかじめ医師に見てもらい、患者の具体的症状を医師にしっかり理解してもらうことが重要です。医師によっては、所見を書き忘れる、症状の把握が足りていない等の可能性もあるので、所見については、患者の症状をしっかり書面に記載してもらうことが重要です。もちろん、各種検査の結果も重要ですが、何よりも医師の所見(診断書や意見書の記載)が重要視されることはもちろんです。

ご自身の症状に見合った等級の認定を受け、合理的な補償(損害賠償)を受けるためには、この等級認定のための所見を提供してくれる、親身になってくれる医師とのつながりが重要だと思われます。

また、「記載不備」が理由で等級が変わってくることもあるので、十分かつ的確な「所見」を記載してもらえるべくお願いすることが、等級認定及び等級アップの重要なポイントです。

【参考】日常生活状況報告書

【参考】神経系統の障害に関する医学的所見

【参考】脳挫傷による神経症状等についての具体的な所見

高次脳機能障害の後遺症慰謝料の相場

後遺症が残った場合、後遺症が残ったことにより受けた精神的ショックを償うために「後遺症慰謝料」が支払われることになります。

後遺症慰謝料の金額は次のように定められています。

等級自賠責の基準弁護士の基準
別表第一1級1号1650万円
(1600万円)
2800万円
2級1号1203万円
(1163万円)
2307万円
別表第二3級3号861万円
(829万円)
1990万円
5級2号618万円
(599万円)
1400万円
7級4号419万円
(409万円)
1000万円
9級10号249万円
(245万円)
690万円

※自賠責の基準は、2020年4月1日に改定されており、2020年4月1日以降に発生した事故に適用されます。かっこ書き内の金額は、2020年3月31日までに発生した事故に適用されます。

自賠責の基準と弁護士の基準とは、慰謝料の算定基準のことをいいます。
慰謝料の算定基準については、次の項目で説明します。

高次脳機能障害の等級別にもらえる金額とは?賠償額増額の要点を解説

3つの算定基準

慰謝料には、次にあげる3つの算定基準があります。

  1. 自賠責の基準
  2. 任意保険の基準
  3. 弁護士の基準(裁判所の基準)

慰謝料の3つの算定基準について説明します。

(1-1)自賠責の基準

自賠責の基準は、自動車損害賠償法(自賠法)によって定められている損害賠償金の支払い基準です。

自賠責保険は、自動車やバイクを保有する人が加入を義務付けられている保険で、「強制保険」とも呼ばれます。
事故の加害者が任意保険に加入していなくても、通常は自賠責保険からの損害賠償金を受け取ることになります。

もっとも、自賠責保険は被害者への最低限の補償を目的として設けられたものであるため、3つの算定基準の中では最も金額が低くなります。

(1-2)任意保険の基準

任意保険基準は、各保険会社が独自に定める慰謝料算定基準です。
一般に公開はされていませんが、金額は自賠責基準よりも高く、弁護士基準よりも低い程度です。

事故後、被害者が加害者側の保険会社と賠償金について示談交渉する際は、保険会社は通常この任意保険基準を用いて金額を提示してくることになります。

(1-3)弁護士の基準(裁判所の基準)

弁護士基準は、過去の交通事故裁判における支払い判決に基づく基準です。「裁判所基準」と呼ばれることもあります。

弁護士会が編纂している『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称「赤い本」)や『交通事故損害額算定基準』(通称「青本」)に記載されている計算方法や金額を用います。

3つの算定基準を金額の大きい順に並べると、

弁護士の基準(裁判所の基準)>任意保険の基準>自賠責保険の基準

となることが一般的です。

弁護士に示談交渉を依頼すると、弁護士の基準を用いて示談交渉をスタートすることになります。そのため、自賠責の基準や任意保険の基準に基づいて算定された金額よりも増額できる可能性が出てきます。

慰謝料の算定基準についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

交通事故慰謝料の弁護士基準(裁判所基準)とは?増額事例も紹介

交通事故で高次脳機能障害になった場合に、その他請求できる可能性がある賠償金

交通事故に高次脳機能障害になった場合に、後遺症慰謝料以外に請求できる可能性がある賠償金は次のとおりになります。

  • 慰謝料(賠償金の一種)
慰謝料の項目内容
入通院慰謝料
(傷害慰謝料)
傷害を受けたことにより生じた精神的ショックを償う慰謝料
近親者慰謝料家族が重症を負った場合の近親者が受ける精神的ショックを償う慰謝料
  • 賠償金
賠償金の項目内容
治療関係費手術、治療、入院、薬などにかかった費用
付添看護費入院に家族の看護や付添を必要としたことに対する費用
将来介護費将来の介護に必要となる費用
通院交通費病院へ通院するために必要となった交通費
休業損害仕事を休んだことで発生した損害の賠償
逸失利益将来得られるはずだった利益(収入など)に対する賠償

高次脳機能障害の損害賠償請求を弁護士に依頼した方がいい理由

高次脳機能障害は、後遺障害等級も高く、他の後遺障害と比べて、賠償項目が多くなるため、また、賠償額が高額となります。

そのため、加害者側との交渉が難航する可能性が高いといえます。

適正な賠償金を得るためには、交渉を弁護士に依頼し、「弁護士の基準」によって賠償額を算定すべきですが、それ以外にも弁護士に交渉を依頼することのメリットが3つあります。

  1. 適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高めることができる
  2. 不利な過失割合が割り当てられるリスクを回避する
  3. 不利な条件で加害者と和解するリスクを回避する
  4. 弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用の心配ないことも

詳しく説明します。

(1)適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高めることができる

適正な後遺障害等級の認定を受けるためには、どのような資料を提出するのか、資料にどのような記載をするかが重要です。

もっとも、後遺障害等級認定の申請を何度も行う人はそういません。後遺障害等級認定の申請におさえておくポイントやコツを知っている人はそうそういないのです。

しかし、交通事故問題に精通した弁護士は、後遺障害等級認定の申請のポイントやコツを知っています。弁護士が医師と相談して、診断書や資料の記載内容を決めることもあります。

弁護士に依頼することで、適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高めることができます。

(2)不利な過失割合が割り当てられるリスクを回避する

弁護士に依頼するメリットとしては、加害者からの話を鵜呑みにして、不当な過失割合が認定されてしまうことを回避することができるということが挙げられます。

交通事故において加害者・被害者双方に不注意があった場合、どちらの不注意が交通事故の原因となったかを割合(「過失割合」)を定めて、賠償金額を減額することがあります。

例えば、過失割合が被害者:加害者=3:7であるとすると、被害者の過失の分3割が全体の賠償金額より減額されることになります。

通常は、加害者被害者双方から話を聞いて、事故状況を明らかにし、過失割合を認定するのですが、被害者が高次脳機能障害であれば、被害者が事故状況を説明することができないことがあります。

そのため、加害者側の話のみで過失割合が認定されてしまう可能性があるのです。

そこで、弁護士に交渉を依頼することで、弁護士が専門的な知識やノウハウを駆使し、
加害者側の主張が一方的に鵜呑みにされ、不当な過失割合が認定されないように防ぐことができます。

(3)不利な条件で加害者と和解するリスクを回避する

次に、弁護士に依頼するメリットとしては、本来であればもっと高額な慰謝料や賠償金が受け取れるはずであるにもかかわらず、加害者側の保険会社が提示する示談額が不利なものだとも知らずに、示談に応じてしまうことを防ぐことができます。

被害者が高次脳機能障害になった場合、被害者の家族は、精神的・肉体的・金銭的にも過大な負担を負うことになります。

そして、加害者側の保険会社との慰謝料や賠償金の交渉まで手が回らなくなってしまって、保険会社が言うなら間違いないだろうなどと思い込み、提示された示談額で示談に応じてしまうことは少なくありません。

しかし、これまで説明したとおり、自賠責保険会社・任意保険会社の基準と弁護士の基準では賠償金額に大きな違いがあります。

また、賠償金を支払うのは加害者側となりますので、少しでも支払う金額を減額しようとあれやこれやと不利な条件を付ける場合も少なくないのです。

そのため、少しでも高額な慰謝料や賠償金を受け取るためには、交通事故に詳しい弁護士に交渉を任せてしまうのがよいといえるでしょう。

(4)弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用の心配ないことも

弁護士に依頼すると弁護士費用がかかってしまいます。
しかし、弁護士費用特約に加入していれば、費用を気にする心配がなくなることがあります。

そもそも「弁護士費用特約」とは、あなたやあなたの家族が入っている自動車保険や火災保険のオプションとして設けられている制度です。自動車事故の賠償請求を行う際に発生する弁護士費用を保険会社が支払ってくれるのです。

また、弁護士費用特約を使用しても保険料を値上がりする心配や保険の等級が下がるということはありませんので安心してください。

【まとめ】高次機能脳障害の場合に適切な等級・慰謝料を得るためには保険会社に任せきりにせず被害者請求!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「高次脳機能障害」とは、視覚、聴覚の感覚機能や手足の運動機能に大きな障害が認められないものの、大脳の機能に障害が認められ、社会適合性を大きく欠く症状のこと。
  • 一見してその症状を外部から発見することは難しい場合があり、医師でも気づかない場合も少なく、疑いがあれば、すぐに医師の診断を。
  • 後遺症について慰謝料や賠償金を受け取るためには、後遺症について後遺障害等級認定を受けることが必要。
  • 高次脳機能障害の場合、一見障害がないように見えることもあるため、どのような資料を提出するかによって、後遺障害等級の認定結果が大きく変わる場合があるので、提出前に資料チェックができる被害者請求を行うことをおすすめ。
  • 高次機能脳障害によって認定される可能性がある後遺障害等級は、1級1号、2級1号(別表第一)、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号(別表第二)。
  • 2011年4月1日より、後遺障害等級の認定についても認定システムの充実。画像所見がなくても、「高次脳機能障害」によって後遺障害等級が認められる事例が増えている。
  • 高次脳機能障害の等級アップのポイント
  1. 提出資料の精査
  2. 「日常生活状況報告書」には別紙を使用
  3. 医師の所見はしっかりと記載
  • 高次脳機能障害の後遺症慰謝料の相場
等級自賠責の基準弁護士の基準
別表第一1級1号1650万円
(1600万円)
2800万円
2級1号1203万円
(1163万円)
2307万円
別表第二3級3号861万円
(829万円)
1990万円
5級2号618万円
(599万円)
1400万円
7級4号419万円
(409万円)
1000万円
9級10号249万円
(245万円)
690万円

  • 交通事故で高次脳機能障害になった場合に、その他請求できる可能性がある賠償金
慰謝料の項目内容
入通院慰謝料
(傷害慰謝料)
傷害を受けたことにより生じた精神的ショックを償う慰謝料
近親者慰謝料家族が重症を負った場合の近親者が受ける精神的ショックを償う慰謝料

  • 賠償金
賠償金の項目内容
治療関係費手術、治療、入院、薬などにかかった費用
付添看護費入院に家族の看護や付添を必要としたことに対する費用
将来介護費将来の介護に必要となる費用
通院交通費病院へ通院するために必要となった交通費
休業損害仕事を休んだことで発生した損害の賠償
逸失利益将来得られるはずだった利益(収入など)に対する賠償

  • 高次脳機能障害の損害賠償請求を弁護士に依頼した方がいい理由
  1. 弁護士の基準から交渉を始めることができる
  2. 適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高めることができる
  3. 不利な過失割合が割り当てられるリスクを回避する
  4. 不利な条件で加害者と和解するリスクを回避する
  5. 弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用の心配ないことも

高次機能脳障害は外から見えづらい分、加害者側保険会社から賠償が認められづらい病気といえます。
もっとも、高次機能脳障害が被害者の日常生活に与える影響は大きく、被害者の生活を一変させてしまうこともあります。

交通事故を原因として高次機能脳障害となった場合には、将来の被害者の生活のことも考え、きちんと加害者側保険会社から賠償金を受け取るようにすべきでしょう。
そのためには、弁護士に依頼することをおすすめします。

ご加入中の自動車保険や損害保険に「弁護士費用特約」が付いている場合、原則的に弁護士費用は保険会社が負担することになります(一定の限度額、利用条件あり)。

弁護士費用特約を利用できない場合でも、アディーレ法律事務所では、原則として、交通事故被害の賠償請求につき、相談料、着手金はいただかず、成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配もありません。

※以上につき、2021年6月時点

交通事故を原因として高次機能脳障害となり、加害者側に対して賠償金請求を検討している場合には、アディーレ法律事務所に相談してください。

高次脳機能障害の患者の方、ご家族には、支援制度もありますので、支援制度を活用することをおすすめします。

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この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。岡﨑支店長、家事部門の統括者を経て、2018年より交通部門の統括者。同年よりアディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが身近な存在となり、依頼者の方に、水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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