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交通事故で脊髄損傷した場合の後遺障害等級と請求できる賠償金を解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

脊髄損傷とは、簡単にいいますと、交通事故の脊髄が傷つき、手足の感覚がなくなったり、動かなくなったりする障害が残った場合をいいます。

そして、交通事故により脊髄損傷となった場合には、後遺障害1級(要介護)・2級(要介護)・3級・5級・7級・9級・12級の等級が認定される可能性があります。

脊髄損傷で後遺障害が認定された場合、後遺症慰謝料を請求できます。
後遺症慰謝料の目安は次のようになります(弁護士の基準)。

  • 後遺障害1級(要介護):2800万円
  • 後遺障害2級(要介護):2370万円
  • 後遺障害3級:1990万円
  • 後遺障害5級:1400万円
  • 後遺障害7級:1000万円
  • 後遺障害9級:690万円
  • 後遺障害12級:290万円

脊髄損傷は、日常生活にも大きな影響を与える後遺症です。適切な賠償金を受け取るためにも、被害者側が後遺障害の認定基準や賠償金についてきちんと理解していることが必要となります。

この記事では、次のことについて弁護士が詳しく解説します。

  • 脊髄損傷によって生じる症状
  • 脊髄損傷の後遺障害等級
  • 賠償金を少しでも多く得るための方法
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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「脊髄損傷」とは?

「脊髄損傷」とは、脊髄に外部から強い力が加わったことにより、脊髄に損傷を受けることをいいます。

そもそも「脊髄」とは、脳と脊髄からなる中枢神経を構成する部位で脳から送られている信号を手足などの末梢神経に伝達し、また、末梢神経から脳へ信号を伝える重要な役割を担っています。
そのため、脊髄が傷つくと、身体の一部の感覚機能や運動機能が失われることがあります。

診断書には、頚髄損傷、胸髄損傷、腰髄損傷、中心性脊髄損傷といった傷病名が記載されることもありますが、これらはいずれも「脊髄損傷」にあたります。

「脊髄損傷」の症状とは?

交通事故による脊髄損傷による症状は、脊髄損傷が「完全損傷」であるか「不完全損傷」であるかによって異なります。

完全損傷不完全損傷
脊髄の機能が完全に壊れてしまった場合脊髄の一部が損傷し、一部の伝達機能が残存する場合
【症状】
脊髄の機能が完全に壊れ、感覚知覚機能、運動機能ともに失われる。
さらに、自律神経系も同時に損傷し、体温調整機能や代謝機能も困難になることもある。
【症状】一部の伝達機能は残存し、軽度であればある程度体を動かすこともできる場合もある。

例えば、次のような症状が挙げられる。
  • 巧緻運動障害(箸が上手に持てない、服のボタンが留めにくいなど)
  • 歩行障害
  • 知覚症状(知覚過敏・知覚鈍麻・知覚消失・異常知覚)
  • 排泄障害

脊髄損傷で認定される可能性のある後遺障害等級

「後遺障害等級」とは、後遺症の症状に応じて1級から14級に振り分けられたものです。そして、後遺障害等級に応じて、後遺症に対する慰謝料(交通事故による後遺症が残ったことによる精神的苦痛に対する賠償金)の目安額が決まります。

さらに、後遺障害等級には、別表第1と別表第2の2種類があります。
別表第1は、常時若しくは随時の介護を必要する後遺障害で第1級及び第2級のみしかありません。一方、別表第2は、その他の一般的な後遺障害を定めており、第1~14級まであります。

脊髄損傷によって認定される可能性がある後遺障害等級は次の表をご参照ください。

等級認定基準
第1級1号
(別表第1)
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
⇒具体的には
  1. 高度の四肢麻痺が認められるもの
  2. 高度の対麻痺が認められるもの
  3. 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
  4. 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
第2級1号
(別表第1)
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」
⇒具体的には
  1. 中等度の四肢麻痺が認められるもの
  2. 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
  3. 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
第3級3号
(別表第2)
「神経系統の機能又は精神に著しい障害が残し、終身労務に服することができないもの」
⇒具体的には
  1. 軽度の四肢麻痺が認められるものであって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの
  2. 中等度の四肢麻痺が認められるものであって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの
第5級2号
(別表第2)
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
⇒具体的には
  1. 軽度の対麻痺が認められるもの
  2. 一下肢の高度の単麻痺が認められるもの
第7級4号
(別表第2)
「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」
⇒具体的には
一下肢の中等度の単麻痺が認められるもの
第9級10号
(別表第2)
「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」
⇒具体的には
一下肢に軽度の単麻痺が認められるもの
第12級13号
(別表第2)
「局部に頑固な神経症状を残すもの」
⇒具体的には
  1. 運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの
  2. 運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

※麻痺の種類や程度は次のとおりです。

麻痺の範囲
四肢麻痺両側の四肢すべての麻痺
片麻痺片側の上下肢の麻痺
単麻痺上肢又は下肢の一肢のみの麻痺
対麻痺両下肢又は両上肢の麻痺
麻痺の程度麻痺の内容
高度の麻痺「障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないもの」
⇒具体的には
  1. 完全強直又はこれに近い状態にあること
  2. 上肢においては、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
  3. 下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
  4. 上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
  5. 下肢においては、随意運動の顕著な障害により一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの
中等度の麻痺「障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるもの」
⇒具体的には
  1. 上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
  2. 下肢においては、障害を残した一下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには階段を上がることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしには歩行が困難であること
軽度の麻痺「障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているもの」
⇒具体的には
  1. 上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難が伴うもの
  2. 下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖若しくは硬性装具なしに階段を上ることができないもの

交通事故による脊髄損傷の場合に請求できる賠償金

交通事故による脊髄損傷の賠償金としては、一般的に次のものが考えられます。

  1. 脊髄損傷の後遺症慰謝料
  2. 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
  3. 休業損害
  4. 脊髄損傷の逸失利益
  5. 治療関係費・介護費用・住宅改造費用など

順番に説明します。

(1)後遺症慰謝料

「後遺症慰謝料」とは、後遺症が残ったことにより受けた精神的苦痛に対する賠償金で、後遺障害等級に応じた基準額が定められています。

そして、賠償額の基準額を算定する根拠として、「自賠責の基準」、「任意保険の基準」、「弁護士の基準」というものがあります。どの基準で算定するかによって、賠償額は異なってきますので注意が必要です。適切な後遺症慰謝料を受け取るためには、どの基準で算定すると慰謝料が一番高くなるのかを知っておく必要があります。

慰謝料算定基準概要
自賠責の基準自賠責の基準は、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、慰謝料の基準額は基本的に3つの算定基準のうち最も低くなります。
ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、被害者の過失割合が大きい場合などには、自賠責の基準が最も高額となることもあります。
任意保険の基準任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の算定基準です。保険会社によってその内容は異なり、公表されていません。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険の基準をもとにして慰謝料を提示してきます。基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であると推測されます。
弁護士の基準弁護士の基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準です。弁護士に示談交渉を依頼した場合などに使われる算定基準です。
弁護士の基準による慰謝料金額(目安)は3つの算定基準のうちでは基本的に最も高額となります。

3つの基準の金額(目安)を比べると、次のようになることが一般的です(一部例外あり)。

脊髄損傷による後遺症慰謝料の相場(目安)を、自賠責の基準と弁護士の基準で比べてみると、後遺障害等級ごとに、次の表のようになります。

等級自賠責の基準(※1)弁護士の基準
1級(別表第1)1650万円(※2)
(被害者に被扶養者がいるときは1850万円)
2800万円
2級(別表第1)1203万円(※2)
(被害者に被扶養者がいるときは1373万円)
2370万円
3級(別表第2)861万円
(被害者に被扶養者がいるときは1005万円)
1990万円
5級(別表第2)618万円1400万円
7級(別表第2)419万円1000万円
9級(別表第2)249万円690万円
12級(別表第2)94万円290万円
※1.2020年4月1日以降に発生した交通事故で被害者に過失がない場合に適用されます。
※2.「別表第1」の1級・2級の場合には上記金額に加えてさらに初期費用などが加算されます。1級の場合500万円、2級の場合は205万円が加算されます。

後遺症は、一般的には等級が高ければ高いほど認められる後遺症慰謝料の額も高くなります。そして、3つの算定基準による慰謝料の額の差も、等級が高ければ高いほど大きくなります(例えば、1級の場合、後遺症慰謝料について、自賠責の基準と弁護士の基準の差は1650万円にもなります)。

被害者が適切な賠償を受けるためには、被害者にとって、通常は一番有利となる弁護士の基準で計算することがポイントです。保険会社からの提案額は、通常、弁護士の基準よりもかなり低い額となっています。
弁護士は、弁護士の基準を使い、場合によっては訴訟も辞さない姿勢で毅然と任意保険会社と交渉しますので、慰謝料の増額を期待することができます。

示談金が増える可能性もについて詳しくはこちらをご覧ください。

<コラム>症状が重篤な場合には近親者も慰謝料を請求できる!?

被害者が受けた後遺症が重度な場合には、近親者も被害者の生活を支えていかなければなりませんし、精神的苦痛を受けるため、被害者本人とは別に慰謝料を請求することができます。

この場合、被害者の年齢や後遺症の内容にもよりますが、概ね被害者本人の10~30%の範囲で慰謝料を請求することができるとされています。

〔裁判例〕
胸髄損傷による両下肢麻痺等(別表第1の1級1号)を負った男性会社員(症状固定時39歳)に入通院慰謝料として370万円、後遺症慰謝料として本人に対し、3000万円が認められました。
さらに、近親者慰謝料として父250万円、現在から将来にわたって介護にあたる事実上の母に250万円を認め、本人、近親者含め慰謝料として合計3500万円を認められました。
(事故日2007年10月12日、仙台地裁判決平成23年9月9日自保ジ1870号11頁)

(2)入通院慰謝料(傷害慰謝料)

「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」とは、入通院をしたことの精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことをいいます。

ケガの部位や程度、症状固定日(治療を続けても症状の改善が見込めなくなった日)までの入通院期間の長短などによって、ある程度画一的に算定されます。

入通院慰謝料の目安(別表1:軽微な後遺症でない場合)については次のとおりです(弁護士の基準)。

参考:日弁連交通事故相談センター東京支部 編『民事交通事故訴訟損害賠償算定基準上巻(基準編)2022年』日弁連交通事故相談センター東京支部 208頁(いわゆる「赤い本」)

ケガの程度が重く、入通院期間が長期間にわたれば、入通院慰謝料の金額は高くなります。

表の見方としては、例えば、入院後に通院を行った方の場合、「入院」欄にある入院期間と「通院」欄にある通院期間が交差する欄の金額が、入通院慰謝料の基準額となります。

交通事故における慰謝料について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

【弁護士監修】交通事故の慰謝料の基準や請求の手順に関して必ず知っておくべきこと

(3)休業損害

「休業損害」とは、交通事故でケガをしたことにより、治癒あるいは症状が固定するまでの間、働くことができず収入が減少することにより発生した損害をいいます。

休業損害は、次のように計算します。

休業日数とは、治療期間内で、実際に休業した日数のうち障害の内容・程度、治療過程、被害者の方が従事している仕事の内容等をみて相当な日数が認められます。
必ずしも休んだ日数=休業日数とはなりません。

一方、日額の基礎収入とは、被害者が給与所得者である場合、事故前の3ヶ月分の給与の合計額を、90日又は事故前3ヶ月の稼働日数で割ったものです。

なお、専業主婦についても、女性労働者の全年齢平均の賃金額(賃金センサス)を基礎として、休業損害が認められます。

(4)脊髄損傷の逸失利益

「逸失利益」とは、本来であれば得られるべきであるにもかかわらず、得られなかった利益のことをいいます。

例えば、交通事故で脊髄損傷を負ったことにより、得られなくなった将来働いて得られたはずの収入や利益のことをいいます。

逸失利益は、次のように計算します。

  • 「基礎収入」とは、交通事故前の現実の収入(専業主婦の場合は、女性労働者の全年齢平均の賃金額などによって計算します)のことをいいます。
  • 「労働能力喪失率」とは、労働能力の低下の程度のことをいいます。後遺症によって、どれくらいの労働能力が失われたかを示すもので、後遺等級に応じて定められており、1級・100%、2級100%、3級・100%、5級・79%、7級・56%、9級・35%、12級・14%、とされています。
  • 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
    「労働能力喪失期間」とは、基本的には症状固定日から67歳までの期間です。そして、「ライプニッツ係数」とは、中間利息控除した係数のことをいいます。

    本来であれば、67歳まで働いて順次受け取るはずであったものを、一括で受け取ることになりますので、加害者は本来払う時点まで現金を保有し利息を得られた分について損をし、逆に被害者は得をすることになります。

    そこで、この不公平を修正するために用いられているのが、一括で受け取る一括利益から中間利息を控除することになるのです。

逸失利益の計算方法について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

逸失利益とは?計算方法や慰謝料・休業損害との違いを弁護士が解説

(5)治療関係費・将来の介護費用・住宅改造費用など

交通事故によって脊髄損傷を負った場合、慰謝料や逸失利益以外にも、次のような費用について賠償金が支払われることがあります。

  1. 治療関係費
  2. 付添看護費
  3. 将来介護費
  4. 雑費
  5. 交通費
  6. 装具代・器具代
  7. 住宅改造費用  など

それぞれ説明します。

(5-1)治療関係費

治療費に関しては、必要かつ相当な範囲で賠償金が支払われます。
医師の指示があるなど症状により有効、かつ、相当な場合には、柔道整復やマッサージ代についても認められます。

将来の手術費・治療費についても、治療を行う必要があると認められる場合には、これらの見積金額が治療関係費として認められることがあります。

(5-2)付添看護費

医師の指示又はケガの程度、被害者の年齢などにより必要があれば介護ヘルパーなど職業付添人の費用の分については実費全額、近親者の看護には1日につき6500円が「付添看護費」として認められます(弁護士の基準での目安となる金額)。

もっとも、ケガの程度、被害者が幼児や児童などの場合には、10~30%の範囲で増額が認められることもあります。

(5-3)将来介護費

将来介護費は、将来介護が必要となる場合に、ケガの程度、医師の指示などにより必要な限りで認められます。

介護ヘルパーなどの費用については実費全額、近親者が介護した場合は1日につき8000円が認められます(弁護士の基準での目安の金額)。

もっとも、症状の程度や介護状況によって増減する場合があります。

要介護など症状が重い場合、被害者の年齢によっては将来介護費は高額になります。適切な賠償を受けるために、忘れずに請求するようにしましょう。

(5-4)雑費

入院すると、例えば、おむつ、ティッシュなど日用雑貨が必要となります。
このため、入院1日につき1500円が入院雑費として認められています(弁護士の基準で目安となる金額)。

また、入院期間以外にも、介護状況に鑑みて、一定額を雑費として賠償金に含むことがあります。

(5-5)交通費

通院交通費については、実費相当額の範囲で認められます。

症状の程度によりタクシー利用が必要となれば、タクシー料金、そうでなければ公共交通機関の料金となります。また、自家用車を利用した場合は、その実費相当額となります。

近親者が介護のため病院に通院した交通費のついても認められます。

(5-6)装具代・器具代

装具・器具とは、例えば、義手・義足・車椅子・電動ベット・コルセット・歩行訓練器などが挙げられます。

装具代・器具代については、必要の限りで認められます。

一定期間ごとに交換が必要なものに関しては、将来の交換分の購入費用も損害として認められます。

(5-7)住宅改造費用

住宅改造費用とは、例えば、車椅子を使用するため、玄関や廊下の段差解消機を設置する場合の費用や、階段の手すり、昇降機を取付ける費用などです。
住宅だけでなく、車を身体障害者用に改造した場合の改造費なども賠償請求ができます。

これらは、被害者の受傷の内容や後遺症の程度を検討し、必要性があれば実費相当額が認められます。

脊髄損傷の賠償金を増額する2つのポイント

脊髄損傷の賠償金を増額するためには、次の2つのポイントに気を付けましょう。

  1. 適正な後遺障害等級認定を得る
  2. 保険会社から最初に提示された金額ではすぐに示談しない

それぞれ説明します。

(1)適正な後遺障害等級認定を得る

脊髄損傷の賠償金を増額するためには、まず、適正な後遺障害等級を得ることが必要です。

基本的には、後遺要害等級が後遺症慰謝料や逸失利益の労働能力喪失率などの基準となりますので、適切な後遺障害等級が得られないと、得られる賠償金額の総額が大きく異なってくる可能性があります。

後遺症には様々な種類があり、その認定要件はそれぞれ違います。
認定要件を満たすためには、症状を正確に医師に伝えるとともに、必要な検査結果などの資料を不足なく準備することが大切です。

弁護士に依頼せずに、任意保険会社に任せてしまうと、適切な後遺障害等級が得られないことも少なくありません。

後遺症に詳しい弁護士に等級認定の申請を依頼することで、資料の準備などのアドバイスを受けることができ、適正な後遺障害等級の認定を受けられる可能性が高めることができます。

(2)保険会社から最初に提示された金額に対して、すぐに示談しない

脊髄損傷の賠償金の増額をするためには、保険会社から提示された金額に対し、すぐに示談に応じることはおすすめしません。

示談は一度、応じてしまうと原則として撤回や変更はできません。そのため、増額を目指すのであれば、すぐに示談に応じてはいけません。

個人で示談交渉した場合、多くの保険会社では、自賠責の基準若しくは任意保険の基準により算定した賠償金額を、示談の金額として提示します。

もっとも、自賠責の基準や任意保険の基準で計算した賠償金額は、弁護士の基準で算定しなおすと、増額できる可能性があります。

そこで、保険会社から賠償金額を提示されたら、一度、弁護士へ賠償金額の増額可能性がないか確認しましょう。
弁護士が交渉した場合には、基本的には、最も賠償金が高くなる弁護士の基準を用いて示談交渉するので、獲得できる賠償額が上がる可能性があります。

【まとめ】脊髄損傷の場合には後遺障害1~12級に認定される可能性がある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「脊髄損傷」とは、脊髄に外部から強い力が加わったことにより、脊髄に損傷を受けることをいいます。そして、「完全損傷」と「不完全損傷」かによって症状がかわります。
  • 脊髄損傷で認定される可能性のある後遺障害等級
  • 第1級1号(別表第1):神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  • 第2級1号(別表第1):神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
  • 第3級3号(別表第2):神経系統の機能又は精神に著しい障害が残し、終身労務に服することができないもの
  • 第5級2号(別表第2):神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 第7級4号(別表第2):神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  • 第9級10号(別表第2):神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  • 第12級13号(別表第2):局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 交通事故による脊髄損傷の場合に請求できる賠償金は、後遺症慰謝料のほか、入通院慰謝料、休業損害、脊髄損傷の逸失利益、治療関係費・介護費用・住宅改造費用などがある。
  • 脊髄損傷の賠償金を増額する2つのポイント
  1. 適正な後遺障害等級認定を得る
  2. 保険会社から最初に提示された金額ではすぐに示談しない

脊髄損傷のような重い後遺症が発生する事故の場合、様々な項目において賠償金が発生し、賠償金の交渉をするにあたっては、専門的な知識が必要となります。
かといって、加害者側の保険会社に言われるがままに従ってしまうと、本来よりも少なくなった賠償額になってしまうことも少なくありません。

示談は一度成立してしまうと、やり直しがききません。一度弁護士に相談することをおすすめします。

アディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。

実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年8月時点)

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