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年金未納で財産の差し押さえも!滞納のデメリットと対処法を解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「国民年金の保険料高いな…。今月は家計が苦しいし、将来年金がもらえるかも分からないのに、払いたくないな…。」

現在、日本では20歳になると国民年金の被保険者になり保険料の納付義務を負います。
国民年金保険料は決して低額ではありませんから、家計が厳しい月だと気が重くなることもあるかもしれません。

ですが、国民年金保険料を未納にすると、将来受け取る年金が減ってしまうなどの不利益があるだけでなく、給料や預金などの財産を差し押さえられてしまう可能性もあります。
期限までの納付が難しい場合には、未納のまま放置せず早めに対処することが必要です。

この記事を読んでわかること
  • 国民年金の未納と差押えまでの流れ
  • 国民年金を未納にすることのデメリット
  • 国民年金の時効について
  • 国民年金の納付が難しい場合の対処法     など
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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国民年金の未納から差押えまでの流れ

国民年金の納付が遅れ、未納のまま何も対処しないままでいると、最終的には、預金や給料などの財産を差し押さえられる可能性があります。
国民年金の未納から財産の差し押さえまでの大まかな流れは、通常次のようになります。

催告状が届く

特別催告状が届く

督促状が届く

差押予告通知書が届く

財産が差し押さえられる

まずは未納分の保険料を納付するようにとの連絡がきます。これが「納付督励」の段階です。

電話や郵便のほか、訪問により督促されることもあります。
特別催告状は何度か届き、催告状の入った封筒の色は「青➡黄➡赤」と変化していきます。
赤色の封筒に入った特別催告状が届いても未納を解消できないと、差し押さえを受けるリスクも高まります。

特別催告状について詳しくはこちらのをご覧ください。

国民年金の滞納で赤色の特別催告状が!年金を払えないときの対処法

特別催告状が届いても保険料が未納のまま対応しないでいると、次は『督促状』が届きます。

そして、督促状で指定された支払期日までに納付しないでいると、本来の納付期限の翌日以降から延滞金が発生します。

さらに、督促状に従った納付をせずにいると、未納分を強制的に回収する旨が記された、「差押予告通知書」が届きます。
差押予告通知書を受け取っても未納分を納付せずにいると、強制徴収としての「差し押さえ」に至る可能性があります。

国民年金未納のデメリット1|延滞金が発生する

督促状で指定された納期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞金が発生します。
延滞金の計算方法は、次のとおりです。

※500円未満の端数は切り捨て
※※うるう年は366で計算

ここでは、「延滞金の金利」は年利のことを指します。

延滞日数は、もともとの年金の納付期限の翌日から、実際に納付した日の前日までです。
延滞金の年利は、滞納している期間が長引くほど高くなります。

国民年金保険料を支払えず未納になっているという方は、早めに対応されることをお勧めします。

参照:延滞金について|日本年金機構

国民年金の未納のデメリット2|財産を差し押さえられる

督促状等を無視し続けると、最終的に預金などの財産が差し押さえられる可能性があります。
差し押さえとは、年金の納付義務者が滞納している国民年金保険料を、日本年金機構が回収するための法的手段です。
給料の一部や預金、不動産や動産といった財産が差し押さえられると、自由な処分ができなくなります。

しかも、例えば預金が差し押さえられる場合、未納になっている金額だけ引き落とされるわけではなく、基本的には、口座の預金全額が差し押さえられ、未納分を支払うまで預金を引き出せなくなってしまうので、注意が必要です。

(1)国民年金の未納で財産が差し押さえられる「強制徴収」の対象とは

「財産を差し押さえられるとは言っても、一部のお金を持っている人だけでは?」

国民年金の未納による差し押さえなど、自分には関係ないと思っている方も少なくありません。
ですが、国民年金機構による強制徴収の対象は、年々範囲が拡大しています。

例えば、2014年当時、強制対象となるのは、次の方でした。

  • 控除後所得が400万円以上で、未納月数が13月以上の方

ですが、2019年当時、強制徴収の対象となったのは、次の方です。

  • 控除後所得が300万円以上で、未納月数が7ヶ月以上の方

2019年度において、国民年金の未納により差し押さえが実施された件数は、全国で2万590件でした。

新型コロナ感染症の影響により、2020年度及び2021年度は強制徴収に関する手続きが一部停止され、差し押えが実施された件数は大幅に減少しました。

ですが、2022年度は「所得が700万円以上」かつ「7ヶ月以上年金保険料を滞納している」方を対象として限定的に強制徴収が実施されました。

さらに、2023年度に滞納処分を行う可能性がある方は、「控除後所得が300万円以上で、7ヶ月以上保険料を滞納している方」とされています。

参照:日本年金機構令和5年度計画(案)の概要|日本年金機構

今後も日本年金機構は徴収体制の見直しや徴収職員の育成など、より着実な徴収を図るものと見られます。
今、強制徴収の対象外の方であっても、いずれ財産が差し押さえられる可能性があります。

(2)財産を差し押さえられたらどうなる?

差し押さえられた財産は、給与や預金等の債権や、現金の場合はそのまま滞納分の年金に充当されます。
動産や不動産の場合は、換価処分のうえ、滞納分に充てられます。

また、国民年金の場合、次の者は、納付義務者と連帯して納付する義務を負っています(国民年金法88条2項、3項)。

  • 世帯主
  • 配偶者

そのため、滞納している人が属する世帯の世帯主や配偶者の財産も、差し押さえの対象となってしまう場合があります。

国民年金の未納により財産を差し押さえられた場合、個人再生や自己破産をしても差し押さえを止めることはできません。
財産を差し押さえられる前に、未納になっている国民年金の分納や猶予などについて相談されることをお勧めします。

国民年金の未納は時効で消滅する?

「国民年金の未納とはいえ、待てば時効で消滅するのでは?」と思われた方もいるかもしれません。
しかし、未納になっている国民年金について時効が完成することは期待しにくいです。

国が国民年金保険料を徴収する権利は、2年で時効にかかることとされています(国民年金法102条4項)。
ですが、滞納となっている国民年金保険料について督促状が発送された時点で、時効は「更新」されます(国民年金法102条5項、96条1項、2項)。

時効の「更新」が起こると、消滅時効の進行がリセットされます。
例えば、あと半年で時効が完成するというタイミングで督促状が発送されると、発送の時点からまた2年経たないと時効が完成しないということになります。

先ほど述べたように、日本年金機構は未納となっている国民年金保険料の徴収を強化しています。
そのため、2年以内に督促状が発送されないということは考えにくく、時効で年金を納める義務が消滅するのを狙うのは難しいでしょう。

国民年金の納付が難しいと感じた場合の対処法

国民年金の未納を放置していると、財産を差し押さえられるリスクが高まりますし、時効の完成を狙うのも非現実的です。
そのため、未納の解消が難しいと感じたら、放置せずに早期に対処する必要があります。

この項目では、国民年金の納付が難しい場合の対処法を説明します。

(1)保険料免除制度

経済的な理由で国民年金を納めることが困難な場合、その月の年金の全額もしくは一部(4分の1、半分、4分の3)の納付を免除してもらえる制度があります。

こうした免除を受けるためには、次の方のそれぞれの前年の所得が一定の金額以下である必要があります。

  • 免除を受けようとする本人
  • (結婚している場合は)その配偶者
  • (本人≠世帯主であれば)その世帯主

免除制度の利用によって、免除を受けた期間についての差し押さえを回避できるのはもちろん、免除の期間分も一定額が将来受給できる金額に反映される(免除の大きさによって減額されるものの)等のメリットがあります。
また、追納も可能となっています。

国民年金の未納期間がある、又は今後の納付が困難な場合には、免除を受けられないかお確かめください。

参照:知っていますか?国民年金保険料の免除制度|日本年金機構

(2)その他の申請による免除・猶予

前年の所得が一定額以下である必要のある保険料免除制度の他にも、免除や猶予が利用可能な制度がいくつかあります。
猶予の場合、猶予を受けていた期間は国民年金に加入していなかった扱いとなるため、免除の場合よりも将来受け取れる金額が下がる可能性があることに注意が必要です。

この項目では、代表的な免除・猶予の制度をいくつか紹介します。

制度概要
学生納付特例制度20歳以上でも、学生であれば原則として在学中の納付の猶予を受けられる
納付猶予制度20~50歳未満の方で、本人(及び配偶者)の所得が一定以下であれば、納付の猶予を受けられる
退職(失業)による特例免除制度退職や失業等の場合に、納付の免除や猶予を受けられる
家庭内暴力による特例免除制度配偶者からの暴力で住居が異なっている場合、本人の前年所得が一定以下であれば全額または一部の免除を受けられる
産前産後期間の免除制度出産予定日の前月から翌々月の期間は、全額免除を受けられる

また、臨時の特例ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で国民年金保険料の納付が困難となった場合には、令和2年2月分以降の保険料に関して免除・納付猶予及び学生納付特例が認められる可能性があります(2023年2月時点。令和5年度分以降は未定)。

参照:国民年金保険料の学生納付特例制度|日本年金機構
参照:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
参照:配偶者からの暴力を受けた方の国民年金保険料の特例免除について|日本年金機構
参照:国民年金の産前産後期間の保険料免除制度|厚生労働省
参照:新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について|日本年金機構

(3)分割払の相談

滞納している国民年金を一括納付することは難しいものの、免除や猶予を受ける条件が満たされていないという場合には、年金事務所等の窓口で分割払の相談をすることをおすすめします。

年金事務所以外でも、「ねんきんダイヤル」や「国民年金保険料専用ダイヤル」等の相談窓口を日本年金機構が設けています。

納付が難しい場合にも放置せず、これらの窓口に相談するのがおすすめです。

参考:電話での年金相談窓口|日本年金機構
参考:全国の相談・手続き窓口|日本年金機構

(4)借金と相まって納付が困難な場合には「債務整理」の検討も

「年金を払わないといけないとは思うけれど、借金の返済が厳しくて年金に手が回らない…」

年金が未納になっている方の中には、他にも借金があり、年金を払いたくても払えないという方も多いです。

国民年金保険料の支払いは、今回ご説明した免除などの制度の適用にならなければ支払義務を免れませんが、借金などであれば、『債務整理』により、負担の軽減を図ることができる可能性があります。

借金の返済が苦しくて年金も未納のまま、という方は、まずは借金問題を解決することを目指すことをお勧めします!

【まとめ】国民年金を未納のまま放置すると財産を差し押さえられるおそれが!納付が難しければ早期に免除や分納等の相談を

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 国民年金を滞納すると、「納付督励→督促状→差押予告通知→差押え」の流れで差し押えを受けるリスクが高まる。
  • 国民年金を滞納すると、督促状で指定された納付日を過ぎれば延滞金が発生する、自分だけでなく場合によっては家族の財産も差し押さえられてしまう等のデメリットがある。
  • 国民年金は2年で納付義務が時効消滅するが、時効期間のカウントは督促状の発送時点でリセットされてしまうため、時効消滅を狙うのは難しい。
  • 国民年金の納付が難しいと感じたら、早めに免除や猶予の制度を利用できないか確認し、制度の利用条件を満たしていない場合であっても年金事務所等に分納の相談をする。

国民年金保険料を滞納していると、自分だけでなく家族にも負担をかけてしまう可能性があります。
国民年金の納付が難しいと感じた場合は、なるべく早めに年金事務所等の役所窓口にご相談ください。

アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続につき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続に関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、完済した業者への過払い金返還請求の手続きの場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、費用をあらかじめご用意いただく必要はありません(2023年3月時点)。

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