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給料の未払いは違法!会社への請求方法や制度を解説

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「会社が給料を払ってくれない。泣き寝入りするしかないの?」

給料の未払いは違法です。
そして、未払給料は会社に請求することにより、回収できる場合もあります。
また、会社が給料を支払わないまま倒産したような場合には、未払給料の一部につき補填を受けることができる「未払賃金立替払制度」というものがあります。

今回の記事では、

  • 会社への未払給料の請求方法
  • 未払賃金立替払制度

などについて、弁護士が解説いたします。

給料はあなたが働いた正当な対価です。
違法な給料の未払いに泣き寝入りをする必要はありません。
まずは、どのような手段で未払いの給料を請求できるのか、しっかりご確認ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

給料未払いとは?

労働基準法24条で、事業者の賃金(給料)支払について、以下の4つのルールを定めています。

  1. 通貨支払の原則
  2. 直接払いの原則
  3. 全額払いの原則
  4. 毎月1回以上一定期日払の原則

これらのルールを破ると、給料未払いとなります。
上記ルールの詳細につき、解説いたします。

(1)通貨支払の原則

給料は原則として、通貨で支払わなければなりません(労働基準法第24条1項本文)。
通貨とは、日本の貨幣・日本銀行券をいいます。
外国通貨や小切手での支払や、現物支給などは原則として労働基準法違反となります。

例外的に、次のようなケースでは、通貨以外による支払も認められています(労働基準法第24条1項但書、労働基準法規則第7条の2)。

  • 労働協約に別段の定めがある場合
  • 労働者の同意を得て口座振り込みをする場合
  • 退職手当を、一定の要件を満たす小切手や郵便為替により支払う場合 など

(2)直接払いの原則

給料は、原則として直接労働者に支払わなければなりません(労働基準法第24条1項本文)。
例えば、労働者の親に給料を払うことは、原則として、労働基準法違反となります(※未成年であっても、親に支払うことは違法です(労働基準法第59条))。

ただし、一定の例外があります。
例えば、給料が、国税徴収法や民事執行法に基づいて差し押さえられた場合には、差押えた者に対して、給料を払っても、労働基準法違反とはなりません。

(3)全額払いの原則

給料は、原則として全額を支払わなければなりません(労働基準法第24条1項本文)。
このことから、会社が労働者に対する債権と労働者の給料を一方的に相殺(同じ金額分だけお互いになかったことにすること)することも禁止していると考えられています。

ただし、法令に別段の定めがある場合は、例外が認められています(労働基準法第24条1項但書)。
例えば、給料から、次のようなものを給料から控除しても、労働基準法違反とはなりません。

  • 源泉徴収
  • 社会保険料の控除
  • 財形貯蓄金の控除  など

また、次のような場合も、全額払いの原則が適用されません。

  • 「事業場労働者の過半数で組織する労働組合」または「その過半数を代表する者」との書面による協定がある場合(労働基準法第24条1項但書)。

それは例えばどういうケースですか?

例えば「チェック・オフ」(※会社が組合員の給料から組合費を控除し、これを一括して労働組合に引渡すもの)などです。

また、払いすぎた給料を、後に給料から控除する、いわゆる調整的相殺も一定の場合には許されています。

さらに、判例によれば、次の場合にも、労働基準法違反とはなりません。

労働者の自由な意思により

  • 労働者の同意を得て給料と、会社の債権を相殺する場合
  • 給料を放棄する場合

日新製鋼事件(最高裁第二小法廷判決平成2年11月26日民集44巻8号1085頁)シンガー・ソーイング・カムパニー事件(最高裁第二小法廷判決昭和48年1月19日判決民集27巻1号27頁))。

(4)毎月1回以上一定期日払の原則

給料は原則として、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければなりません(労働基準法第24条2項)。
ただし、臨時に払われる給料や賞与などはこの原則の適用外です(労働基準法第24条2項但書)。

この4つのルール(労働基準法第24条)に違反すると、30万円以下の罰金刑に処されることがあります(労働基準法第120条1号)。

給料の未払いは違法

会社の業績が悪化して給料が支払えないという話も聞きますが、経営不振を理由に給料の支払を拒否することは違法です。
労働者がきちんと労働を提供したのならば、給料を受け取る権利があります。
未払給料は正社員、非正規雇用、アルバイトといったすべての雇用形態の方が、請求できます。

(1)残業代の未払い

残業代の未払いも労働基準法違反となります。
退職後でも未払いの残業代請求は可能です。

(2)未払給料の時効

未払給料は、請求しないまま一定期間が経過すると、会社側が時効を主張することで、未払給料を請求する権利を失ってしまいます。
民法改正の影響で、未払給料(退職手当を除く)の時効には、次の2種類があります。

  • 2020年3月31日までに支払日が到来する未払い給料→時効は2年
  • 2020年4月1日以降に支払日が到来する未払い給料→時効は3年

※今後、法改正により時効が5年に延びる可能性がありますので、最新の情報にご注意ください。

3年(又は2年)というのは、いつから数えて3年(又は2年)ですか?

その給料を請求できる時、つまり、通常は給料日から3年(又は2年)です。
例えば、毎月の給料が「月末締め・翌月25日支払」という会社で、2021年4月分の給料が未払いだったとしましょう。
2021年4月分の給料は2021年5月25日に支払われるので、時効が完成するのは、そこから3年後の2024年5月25日です。

なお、退職手当の時効は5年です。

このように未払給料には時効がありますので、勤務期間が2年以上で、月給制の方の場合は、古い未払給料から順番に、毎月、時効が成立している可能性があります。
そのため、未払給料を請求したいなと思ったら、早めに請求することが大切です。

なお、請求しても、会社が未払給料を認めてくれない場合には、消滅時効が完成する前に訴訟提起などをして、「消滅時効の完成を阻止したり」、「時効完成する時期を一時的に伸ばす措置」を取らないと、そのまま権利が消滅してしまいますので注意が必要です。

未払給料を請求する方法

次に未払い給料を請求する方法について、解説いたします。

(1)証拠を集める

未払給料を請求する際に、まずすべき事は、給料未払いを証明するための証拠を集めることです。
給料未払いの証拠としては、主に以下のものがあります。

  1. 給与明細書
  2. タイムカードの写しやweb打刻のスクリーンショット
  3. 就業規則(賃金規程などを含む)
  4. シフト表
  5. 雇用契約書
  6. 業務日報の控え
  7. 業務中に送信したメールやFAXの履歴(残業したことを証明する場合)
  8. デスクワークの方であれば、パソコンのログイン、ログアウト時間
  9. 運転手の方であれば、入出庫記録
  10. 給料が振り込まれた預金通帳の写し
  11. 毎日、出勤退勤時刻を正確かつ詳細(1分単位)に記載した日記・メモ
  12. その他、給料未払いに関する証拠

(2)会社と交渉する

できる限りの証拠を揃えたら、会社と未払給料の支払につき、交渉することになります。
消滅時効の完成が迫っている場合には、訴訟提起などをして時効の完成を阻止しないと、権利を失ってしまうことがあります。

しかし、訴訟提起などの準備をするには時間がかかることも多いです。
このような場合、内容証明郵便で請求すると、訴訟提起するまでの時間を6ヶ月間稼ぐことができます(この6ヶ月間は消滅時効が完成しません)ので、内容証明郵便で請求するとよいです。

※ただし、この6ヶ月間の間に、訴訟提起などをしないと時効が完成してしまいますので注意しましょう。
なお、内容証明郵便を繰り返し出すことによって、時効がさらに伸びることはありません。内容証明郵便で時効の完成を6ヶ月伸ばすことができるのは1回限りです(※相手が未払給料の請求権の存在を認めた場合などは別です)。
交渉が難しい、と感じる場合には、弁護士へ依頼してみるのもよいでしょう。

(3)労働基準監督署に給料の未払いを申告する

会社にプレッシャーを与える方法として、労働基準監督署に給料の未払いを労働基準法違反として申告する方法もあります。
労働者からの申告を受けた後、労働基準監督官は使用者からの事情聴取をしたり、事業場へ立ち入り調査するなどして、労働者・会社双方の主張の整理・確認をします。
給料未払いの事実が確認されれば、是正や改善の指導などがされます。

ただし、労働基準監督署には、労働者から相談を受けたからと言って、必ずしも、調査等の措置を取る義務はありません(東京労基局長事件(東京高裁判決昭和56年3月26日))。

労働基準監督署に申告に行く際、給料未払いの証拠を持参すると、労働基準書に動いてもらいやすくなりますので、申告の際は証拠を持参することをおすすめします。

参考:賃金不払いが発生したら、迷わず労働基準監督署に相談、申告してください!|厚生労働省
参考:相談機関のご紹介|厚生労働省

(4)裁判手続をする

交渉がうまくいかない、労働基準監督署も動いてくれない、消滅時効の完成が迫っているというような場合には、裁判手続に移ることになります。
給与未払いの場合に利用可能な裁判手続には、いろいろな種類があります。例えば次のような裁判手続きがあります。

支払督促
少額訴訟
労働審判
通常の訴訟

これらの手続につき、詳しく解説いたします。

(4-1)簡易裁判所に支払督促を申立てる

金銭の支払や有価証券、その他の代替物の引渡しを求める場合に限り利用できる手続で、未払給料を請求するときにも利用できます。
書類審査のみで、裁判所へ行く(出廷する)必要がない手続です。
ただし、相手が異議を申立てると通常の訴訟に移行します。

参考:支払督促|裁判所 – Courts in Japan

(4-2)給料の未払いが60万円以下なら少額訴訟をする

出廷の必要はあるものの、原則として1回の期日で終結し、その後、判決が直ちに出るなど、迅速な手続です。
ただし、少額訴訟での手続を望まないと相手が述べた場合には、通常訴訟に移行します。

参考:少額訴訟|裁判所 – Courts in Japan

(4-3)労働審判の申立てをする

労働審判手続は、労働者と事業主との間で起きた労働問題に対し、裁判官1名と労働関係の専門家2名(労使それぞれから1名ずつ)が間に入って、話合いや、審判(判断を下すこと)をする制度です。
裁判所へ行く必要があるものの、通常の訴訟に比べれば迅速な手続で、原則として期日は3回以内で終了します。
労働審判に対して異議が出ると、通常の訴訟に移行します。

参考:労働審判手続|裁判所 – Courts in Japan

(4-4)通常の訴訟提起をする

他の簡易な手続に比べれば、時間や手間もかかる手続です。
複数回にわたり、裁判所へ行く必要がありますが、裁判所の終局的(最終的)な判断を得ることができます。

どの手続を取った方がよいかは、事例の複雑さや、相手方が争ってくるか、話合いの余地はあるかなどにより異なります。
裁判手続を取るのであれば、弁護士へ相談することをお勧めします。

給料未払いのまま会社が倒産した場合は、未払賃金立替払制度の利用を

給料未払いのまま会社が倒産した場合は、未払賃金立替払制度を利用すると、原則として、一定の未払給料の内、8割を貰うことができます。

(1)未払賃金立替制度で貰える金額は?

立替払の対象となる未払給料は、労働者が退職した日の半年前から立替払請求日の前日までに、未払いとなっている給料の内、支払期日が到来している定期賃金と退職手当が対象となります。
ボーナスや、総額が2万円未満の未払給料は対象とはなりません。

「未払賃金立替制度の対象となる未払給料の額×8割」を貰うことができます。ただし、退職時の年齢に応じて上限額(88万~296万円)があることに注意しましょう。

(2)未払賃金立替制度を利用できる人は誰?

次の要件をいずれも満たすと、未払賃金立替制度を利用できます。

  1. 使用者が、1年以上事業活動を行っていたこと
    ※労災保険の適用事業の事業主であることも必要です。

  2. 使用者が倒産したこと
    この「倒産」には、法律上の倒産(破産、特別清算、民事再生、会社更生)だけでなく、事実上の倒産(※)も含みます。

    ※中小企業について、事業活動を停止したが、再開する見込みがなく、給料の支払能力もない場合

    法律上の倒産の場合は、破産管財人等に倒産したことを証明してもらうことが必要です。
    事実上の倒産の場合は、労働基準監督署に申請して認定してもらうことが必要です。

  3. (会社が法律上倒産した場合)→倒産について裁判所への申立て等が行われた日の6ヶ月前の日から2年の間に、退職した労働者であること

    (事実上の倒産の場合)→労働基準監督署への認定申請が行われた日の6ヶ月前の日から2年の間に退職した労働者であること

例えば、会社が2020年11月19日に破産申立てをしたときは、2020年5月19日~2022年5月18日の間に退職している労働者が、未払賃金立替制度の対象となります。

アルバイトやパートは労働者にあたりますか?

アルバイトやパートの方であっても、労働者にあたります。
国籍や正規・非正規も問いません。

その他、未払賃金立替制度に関するよくある質問は、次のサイトをご確認ください。

参考:未払賃金の立替制度に関するQ&A|厚生労働省

(3)立替払いの請求期限に注意

破産管財人の証明や、労働基準監督署長の認定を経た後、独立行政法人労働者健康安全機構に立替払の請求することになります。
この立替払の請求は、「破産手続開始の決定等がなされた日」又は「労働監督署長の認定日」の翌日から起算して2年以内に行う必要がありますので注意しましょう。

参考:未払賃金立替払制度の概要と実績|厚生労働省

【まとめ】給料の未払は違法です。時効が完成する前に請求しましょう

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 給料の支払については、労働基準法上、次の4つのルールがある。
    1. 通貨支払の原則
    2. 直接払いの原則
    3. 全額払いの原則
    4. 毎月1回以上一定期日払の原則
  • 給料や残業代の未払いは違法だが、次の時効があるため、時効完成前に請求する必要がある。
    1. 2020年3月31日までに支払日が到来する未払い給料→時効は2年
    2. 2020年4月1日以降に支払日が到来する未払い給料→時効は3年
  • 未払給料を請求するためには、証拠を集めた上で、次の方法を採る。
    1. 会社と交渉する
    2. 労働基準監督署に給料の未払いを申告する
    3. 裁判手続をとる
      ※裁判手続には支払督促、少額訴訟、労働審判、訴訟がある。
  • 給料未払いのまま会社が倒産した場合、一定の要件を満たせば「未払賃金立替払制度」が利用できる。

給料の未払いでお悩みの方、給料の支払を受けられないまま会社が倒産してしまった方は、労働問題を取り扱う弁護士や労働基準監督署などの公的機関へご相談ください。

参考:労働基準行政の相談窓口|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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