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道路交通法違反をわかりやすく解説|気になる点数制度も合わせて紹介

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「道路交通法」とは、自動車やバイク、自転車を運転する人や歩行者など、全ての道路を利用する人が守らなければいけないルールを定めた法律です。

道路交通法のルールは自動車を運転される方であれば、運転免許を取得する際に勉強していると思いますが、意外と知られていない細かいルールなども存在しています。
ルールを守らずに事故を起こすと、時に人の命さえ奪いかねません。
今一度道路交通法で規定されているルールを弁護士の解説付きで見直してみましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

道路交通法とは

道路交通法1条には、道路交通法の目的が規定されています。

この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

引用:道路交通法1条|e-Gov 法令検索

多くの人が安心して道路を通行できるように、またトラブルが起こらないようにルールを定めたということです。

どんな違反が多い?道路交通法違反の取り締まりについて

内閣府によると、2021年における道路交通法違反の取締り件数(点数告知に係る違反は除きます)は、554万6115件で、内訳は、次のとおりでした。

1一時停止違反158万8628件
2最高速度違反106万4818件
3通行禁止違反75万7154件
4信号無視58万2481件
5携帯電話使用等29万0735件
6追越し・通行区分20万2646件
7駐(停)車違反17万2358件
8踏切不停止等9万0489件
9免許証不携帯5万0616件
10整備不良車運転2万1887件
11酒酔い・酒気帯び運転1万9801件
12無免許運転1万8844件
13積載違反1万3369件
(※令和4年度交通安全白書を加工した表です)

参照:令和4年版交通安全白書|内閣府

あなたは大丈夫?意外と知らない交通ルール

自動車を運転する人ならきちんと押さえておきたい交通ルールをご紹介します。
これらはれっきとした法律違反なので、「マナーが悪い」では済まされません。

(1-1)追越車線を走行し続けてはいけない!

道路を走行するときには、基本的に一番左側の車線を走行しなければならず、追越車線を走行し続けることはできません(道路交通法20条1項)。

どのくらい追越車線を走り続けると取り締まられるかについて明確な規定はありませんが、追越車線を走行する必要がないのであれば、むやみに追越車線を走行し続けるのは控えましょう。
追越車線を走行する必要がある例としては、次のようなケースです。

  • 追越しをするとき
  • 指定通行区分に従って通行するとき
  • 工事などによって走行車線が限定されているとき   など

(1-2)追い越されるときにはきちんと道を譲らないといけない!

追越しされる側の運転手には、次の2つの義務が課されています(道路交通法27条)。

  • 追越しを終わるまで速度を上げてはいけない
  • できる限り道路の左側端に寄ってこれに進路を譲らなければならない

相手が追い越そうとしている状況でスピードを上げてしまうと事故になりかねません。
後ろの車が追い越そうとしている状況では、きちんと道を譲りましょう。

(1-3)高速道路では時速50キロメートル未満で走行してはいけない!

スピード違反は誰もが知る交通違反です。もっとも、スピードを上げすぎるだけでなく、一定速度未満で走行することも法律違反だということをご存じですか?

道路交通法75条の4では、次のように規定されています。

自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。

引用:道路交通法75条の4

高速道路の最低速度は、道路標識等により最低速度が指定されている場合を除き、時速50キロメートルです(道路交通法施行令27条の3)。
一般道路でも最低速度が定められていることがあるので、道路標識に従いましょう。
もっとも、やむを得ない事情があればこの限りではありません。

(1-4)サンダルで車を運転してはいけない!

買い物に行く際「ちょっとそこまで……」とサンダルで自動車を運転していませんか。
サンダルのように脱げやすい靴で運転することは、安全運転の義務に反する可能性があります。

道路交通法70条では、次のように規定されています。

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

引用:道路交通法70条

また、各都道府県の道路交通細則で「サンダルを履いて運転しないこと」と明記されている場合には、71条6号に反することになります。

たとえば、東京都の道路交通規則8条では、運転手の遵守事項が定められています。

法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。

(2)木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物をはいて車両等(軽車両を除く。)を運転しないこと。

引用:東京都道路交通規則8条

引用:東京都道路交通規則|東京都例規集データベース

こんなことまでも?と思うようなことも、道路交通法で規定されていることがあります。興味を持った方は調べてみてくださいね。

点数制度について

自動車を運転する人ならば「点数制度」はご存じでしょう。
0点からスタートし、道路交通法などの法律違反を重ねると点数が蓄積されていき、3年間で一定程度の点数が貯まると、免許の拒否、保留及び取消し、停止といった処分がなされることになります。
交通ルールを守らない人に車を運転させないという狙いがあります。

過去3年以内に
行政処分を受けた回数
停止処分取消処分
0回6~14点15点以上
1回4~9点10点以上
2回2~4点5点以上
3回以上2点または3点4点以上
参考:点数制度|警視庁

具体的な点数については、警視庁のHPにまとめられていますので、ご参照ください。

参照:交通違反の点数一覧表|警視庁

たとえば、免許取得後1年以内に、次の交通違反をしたケースを想定してみましょう。

  • 免許を取得したばかりなのに、初心者マークをつけなかった
    ➡初心者運転者表示義務違反(道路交通法71条の5 第1項)で1点
  • 高速道路を走行中、後部座席の友人がシートベルトをしていなかった
    ➡同乗者のシートベルト装着義務違反(道路交通法71条の3 第2項)で1点
  • お酒を飲んで仮眠をとって運転したら、呼気1L当たり0.2mgのアルコールが検出された
    ➡酒気帯び運転(道路交通法65条1項)で13点

1年以内にこのような違反を繰り返した場合、違反点数は15点ですので、せっかく免許を取得したばかりなのに、免許取消処分を受けることになります。

さらに、交通事故を起こした場合には、被害者のケガの程度などに応じて付加点数(2~20点)が加算されます。

一方、点数制度には、無事故無違反の運転者に対する特例が規定されています。

  • 1年間無事故無違反ならば、それ以前の点数は加算されない
  • 2年間無事故無違反ならば、軽微な違反行為(1~3点)をしても、その日から3ヶ月間無事故無違反であったときは、その点数は加算されない
  • 運転免許の停止等の前歴があっても、その後1年間無事故無違反で、免許停止処分も受けなかったときには、前歴0回の者として扱われる

免許を取得して軽微な違反をしたからといって気落ちせずに、安全運転を心がけましょう。

(1)免許停止(免停)

免許停止とは、免許証の効力が一定期間停止となることです。
一定点数を超える交通違反をすると同時に、免許の効力が停止するわけではありません。
「運転免許行政処分出頭通知書」が届き、指定された場所に出頭して免許を返納します。
免許停止中に運転すると、無免許運転となり、刑事処分を科されるおそれもあります。

参考:停止中に運転した方の処分|警視庁

停止期間は過去3年に受けた行政処分の回数や違反点数によって異なります。

過去3年以内に
行政処分を受けた回数
違反点数 停止期間
0回 6~8点 30日間
9~11点 60日間
12~14点 90日間
1回 4~5点 60日間
6~7点 90日間
8~9点 120日間
2回 2点 90日間
3点 120日間
4点 150日間
3回 2点 150日間
3点 180日間

免停講習を受けると、免許停止期間を短縮することができます。
処分を受けた当日から処分期間の半分を過ぎるまでの間に、運転試験場や交通安全センターで受けられますので、仕事で自動車を運転するなど自動車を運転する必要性の高い方は受講を検討しましょう。

(2)免許取消

免許取消とは、せっかく取得した免許を失うことです。この状態で自動車を運転すると、無免許運転ということになりますので、絶対に運転してはいけません。改めて免許を取得するには、取消処分者講習を受講して、テストを受けるか教習所に通うことになります。

交通事故で一定程度点数が累積された場合だけでなく、認知症など一定の病気を患った場合にも免許取消となります(道路交通法103条)。

道路交通法違反の反則金と罰金

道路交通法違反には懲役や罰金などの刑事罰が規定されています。

もっとも、ほかの犯罪に比べると交通事故違反の件数が多いため、軽微な違反を迅速に処理するために反則金制度が用意されています(交通反則通告制度)。一定期間内に反則金を支払えば、刑事罰は科されません。

反則金と罰金の違いがよく分からないのですが…。
反則金を納めないと罰金になるかも、と警察から言われたことがありますが、どういうことなんでしょうか。

反則金は行政処分、罰金は刑事処分という違いがあります。
例えば、先ほどご紹介した、取締件数が一番多い「一時停止違反」は、道路交通法43条に違反する行為で、本来は3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられる犯罪です(道路交通法119条1項2号)。
懲役(※)や罰金というのは刑事罰ですので、懲役刑や罰金刑に処すためには必ず刑事裁判をしなければいけません。
ですが、1年間で取り締まりを受ける一時停止違反はそれだけでも158万件(2021年度)を超えますので、他の道路交通法違反も含めて全てについて刑事裁判をすることは事実上できません。
そこで、一定の比較的軽微な道路交通法違反については、「反則行為」と定めて、反則金を納付すればそれ以上の刑事責任を問わないとされているのです。

一方、反則金を納付しない場合には、原則どおり、道路交通法の規定する刑事罰を受ける可能性がありますので、警察がそのように言ったのでしょう。

※2022年6月に刑法が改正され、懲役刑と禁錮刑は廃止されて拘禁刑に一本化されました。改正刑法は2025年頃までに施行される予定です。

具体的な反則行為については、次の警視庁の一覧をご参照ください。

参照:反則行為の種別及び反則金一覧表|警視庁

(1)行政処分は反則金

交通反則告知書(いわゆる青キップ)を切られた場合には、支払期限が明記された仮納付書が渡され、銀行または郵便局で反則金を支払います。
もっとも、反則金を支払うかどうかを自分で決めることができます。
もし交通違反をしていないと思うならば、その処分が誤っていると刑事裁判で争うことになります。
ただし、刑事裁判で有罪となれば前科がついてしまうので、よく検討しましょう。
よくある違反行為について、反則金の金額は次のとおりです。

違反行為普通車大型車二輪車
指定場所
一時停止等違反
7000円9000円6000円
信号無視(赤色等)9000円1万2000円7000円
速度超過
(15km/h未満)
9000円1万2000円7000円

(2)刑事処分は罰金

6点以上の重大な交通違反に対して、反則金の制度はありません。
告知書(いわゆる赤キップ)が切られると、通常警察や検察で取り調べを受けた後、起訴されて、罰金を支払う刑事処分が科されます。違反の重大性によっては懲役刑や禁固刑となる可能性もあります。

反則金の規定がなく刑事罰が課せられる違反

反則金のない道路交通法違反を2つお伝えします。

(1)危険運転致死

最も重大な違反は、危険運転致死です(違反点数62点)。
危険運転致死罪は、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態で運転したり、コントロールができないような高スピードで運転した結果、人を死亡させた場合に成立します(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条)。

危険運転致死をすれば、それまで違反行為がなくても、1年以上の懲役刑に処せられる可能性があります。

(2)酒酔い運転

酒酔い運転とは、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態のことを指します(違反点数35点)。蛇行運転や逆走など冷静な判断力を欠いた人は何をするかわからないため、非常に危険な行為とされています。
正常な運転ができるかどうかは次のような基準で判断されます。

  • 直立できるか
  • まっすぐに歩行できるかどうか
  • ろれつが回っているか、支離滅裂な内容になっていないか
  • 会話を正しく聞き取ることができるか

酒酔い運転をすると、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。

なお、近年社会問題になっている「あおり運転(運転妨害罪)」についても、反則金制度はありません。

反則金制度のある違反

反則金の用意されている違反行為を2つお伝えします。

(1)携帯電話使用等違反(保持)

携帯電話を手に持ちながら自動車を運転することは、道路交通法違反です(違反点数3点)。

違反行為普通車大型車二輪車
携帯電話使用等違反(保持)1万8000円2万5000円1万5000円

携帯電話に意識をとられたことを原因とする交通事故が多発し、社会問題化しています。
警察庁の発表によると、2021年だけで携帯電話の使用等を原因として1394件の事故が起こりました。特に自動車を運転中の携帯電話やスマホの操作は死亡事故などの重大な結果につながる危険性も高くなるので、絶対にやめましょう。

携帯電話を使用していたことで事故を起こした場合には、反則金制度はなく、1年以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられるおそれがありますので、注意してください。

参考:やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用|警察庁

(2)信号無視

信号を無視して運転すれば、交通事故を起こす可能性が高まります。
そのため、赤色信号が点灯していれば一旦停止しなければなりませんし、黄色信号が点灯している場合にも原則として一旦停止しなければなりません。
信号無視には、次のような処分が科されるおそれがあります。

違反行為普通車大型車二輪車
信号無視(点灯)9000円1万2000円7000円
信号無視(点滅)7000円9000円6000円

違反点数は、いずれにしても2点です。

ちなみに、反則金が低額な道路交通法違反としては、例えば免許証不携帯があります。反則金は、車種を問わず一律3000円、交通違反の加点はありません。

【まとめ】交通ルールを守って運転をしましょう!

自動車の免許制度には、点数制度が設けられており、交通ルールを守らない人には免許停止、免許取消といった重い処分が科せられることになります。

もっとも、無事故無違反で一定期間を過ごせばそれまでの点数はリセットされますし、軽微な違反であれば反則金制度も用意されています。

自動車を運転する者の責任として、交通ルールを守りましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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