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後悔しないために!面会交流のルール策定のポイント

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リーガライフラボ

未成年の子どもがいる夫婦が離婚をする場合、父母のどちらが親権者になるかを必ず決める必要があります。
通常は、親権者が子どもと同居し、監護・教育といった子どもに対する扶養義務を果たしていくことになり、離婚によって親権者でなくなった方の親は、子どもと離れて暮らすことになります。
自分の子どもである以上、離婚によって親権者でなくなったとしても、定期的に子どもと会いたいと思うのが親としての自然な感情でしょう。

また、子どもの利益に資することであるという認識が広まっていることもあって、「面会交流」に関するルールが父母の間で取り決められ、離れて暮らす方の親と子が定期的に交流の機会を持つ「面会交流」が実施されています。
適切なルールを定め、面会交流が父、母、子のいずれにとってもよりよいものとなるよう、面会交流に関する認識を深めておきましょう。
今回の記事では次のことについて、弁護士が解説します。

  • 面会交流のルール策定のポイント
  • 面会交流のルールに関するトラブルとその対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

面会交流のルール策定時に最優先すべきは「子どもの福祉」

両親が離婚した後も、子どもが実の親と定期的・継続的に会ったり交流したりすることは、子どもの健全な人格形成に重要な要素であるとされています。面会交流権は、親の権利・義務であると同時に、子どもの権利でもあるのです。
したがって、面会交流のルールについて取り決めをする際には、子ども自身の意向を第一に考えながら、日常の生活リズムやスケジュールとの関係で無理のないように設定するなど、「子どもの福祉に資するか」「子どもの利益にかなうか」といった子どもへの影響を最優先とすることが重要と考えられます。

(1)面会交流とは

面会交流とは、監護権を持たないほうの親が、定期的・継続的に子どもに会ったり(面会)、電話、手紙やメールなどのやりとりで意思疎通を図ったりする(交流)ことをいいます。
面会交流の頻度や方法等については、民法766条1項によって、父母が「子の利益を最も優先して」「協議で定める」ことになっています。

父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

引用:民法766条1項

面会交流は、父母の感情的対立が激しくあらわれる場面であるという側面もあり、子どもをめぐる紛争のなかでも対立が激しい事項のひとつとなっています。父母による協議で合意できなければ、家庭裁判所に面会交流の調停を申立てて、面会交流の条件を定めることになります。
面会交流には、直接会う「直接的面会交流」と、電話や手紙といった間接的なやり取りに限定する「間接的面会交流」があります。
なお、面会交流については、父母が離婚した後だけでなく、離婚することなく別居し、父母のいずれか一方が子どもを監護・教育している場合にも行われることがあります。

(2)面会交流の実施データ

まず、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」(厚生労働省)のデータをもとに、面会交流の実施状況と取り決めの傾向について見ていきましょう。

参考:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果|厚生労働省

面会交流のルールを取り決めているのは、母子家庭・父子家庭ともに25%前後にとどまっています(2・3ページ)。
もっとも、面会交流のルールを取り決めているケースでは、母子家庭では96.8%、父子家庭では72.6%が、そのルールを文書の形で定めています(2・3ページ)。
面会交流の実施状況としては、母子世帯では「月1回以上2回未満」、父子世帯では「月2回以上」のペースが最も多くなっています(10ページ)。

(3)面会交流と養育費の関係

協議離婚では、養育費など他の条件と並行しながら、面会交流の条件(方法、回数、日時、場所など)について交渉していくというケースも数多くみられます。
ここで注意が必要なのが、養育費を支払うことは、面会交流をするための条件ではないということです。
つまり、養育費の未払いを理由に面会交流を拒否することはできないのです。
離婚後に単独で親権・監護権を持つことになったほうの親からすれば、養育費を払っていないのに、子どもと面会交流をするなんて許せないと感じるかもしれません。
しかし、面会交流で最も重視されるべきは「子の利益」であるため、子の意向に反するなどの事情がない限り、健全な成長に資するとされる面会交流はなるべく受け入れるべきでしょう。
また、面会交流を認めないと、子どもと会えない方の親が「会うこともできない子どものために養育費を支払いたくない」という心情に傾きやすくなります。他方で面会交流を認めると、「目の前にいるかわいい子供のために頑張って養育費を払おう」という気持ちを引き出せる場合もあります。

子どもを会わせたくない!面会交流の拒否や制限が認められるケースとは?

それでも子供に会わせたくない!という方もいらっしゃるでしょう。
面会交流をすることで「子どもの福祉」が害されると裁判所が判断した場合には、面会交流が拒否されたり、制限が認められたりすることがあります。
代表的なケースには、次のようなものがあります。

  • 子どもが自分の意思で面会交流を拒否していると客観的に認められる場合
  • 非監護者(面会交流をする親)が子どもや監護者に暴力をふるう可能性がある場合
  • 非監護者が子どもを連れ去る危険性が高い場合

面会交流が認められない具体的なケースや判断要素なども含め、面会交流権に関する詳細については次のウェブサイトが参考になります。

面会交流のルール策定のポイント

先ほど説明したとおり、例外的に面会交流を制限・拒否できることはありますが、基本的には、面会交流を行うことになります。
面会交流を行うこととなった場合、取り決めるべきルールがあります。
というのもルールがないと離婚後に様々なトラブルが発生する可能性があるからです。
面会交流のルール策定にあたっての重要なポイントは、事前にしっかりと押さえておきましょう。

(1)必ず定めておくべき3つのルール

トラブルの火種にならないよう、次の3点は必ずルール化しておくことにしましょう。

  1. 面会交流の内容(遠出や宿泊、高額なプレゼントやお小遣い等を制限することにより、これらを原因とするトラブルを防ぐ)
  2. 面会の頻度(「会いすぎ」「会わせなさすぎ」で揉めるリスクを抑える)
  3. 連絡方法(子どもに直接面会のアポイントを取る等のトラブルを防ぐ)

面会交流は長期的・継続的に実施されるものですから、基本的なルールを定めておいた上で、「子どもの成長等に応じてその都度調整する」としておくと、現実に即した形でのルールの適用に柔軟性を持たせることができます。

(2)トラブルのリスクを最小化したいなら、定めておきたい5つのルール

その他にも、トラブルのリスクを最小化するために、ルール化しておくと良いポイントがあります。
父母の関係性や状況にもよりますが、代表的なものとしては次の5つが挙げられます。
これらの点についても、できれば定めておくのがベターでしょう。

  1. 面会場所
  2. 子どもの受け渡し方法
  3. 学校行事への参加
  4. 対面以外の面会交流の方法(電話、手紙、SNS、Zoom等)
  5. 祖父母との面会交流(基本的に祖父母に面会交流権はありませんが、その上で面会交流を認めるかどうか)

(3)策定した面会交流のルールは、書面に残そう

策定した面会交流のルールは、証拠として残るように書面にしておくことをおすすめします。
口頭だけの取り決めですと、あとで言った言わないの水掛け論となり、トラブルが起きやすくなります。

面会交流のルールに関する主なトラブルと対処法

面会交流は、基本的に子どもが成人するまで長期的に続く、親と子どもの権利です。
次に、面会交流のルールに関するトラブルのうち主要な3つのケースについて、対処法を紹介します。

(1)話し合いでは、面会交流のルールを合意できないとき

実親同士の話し合いでルールがまとまらないときは、家庭裁判所が関与し、法的な手続きのもとでルールを決定していくことになります。
具体的には、監護権を持たない方の親が、監護権を持つ親の住所地を管轄する家庭裁判所に「面会交流調停」を申立てることになります。
調停員を交えての調停でも当事者双方が合意に至らなかった場合には、「面会交流審判」に移行し、裁判官に面会交流の内容を判断してもらうことになります。

(2)離婚後に、面会交流のルールを守らなかったとき

調停調書等で定めた面会交流のルールを守らずに、面会交流させなかった場合、非監護権者(元配偶者)が、家庭裁判所に「間接強制」の申立てをする可能性があります。
間接強制は、債務を履行しない義務者に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に金銭の支払い義務を課す、ということを家庭裁判所に警告(あるいは決定)してもらい、義務者に精神的な圧迫を加えることによって、自発的な義務の履行を促すという方法です。
ただし、調停調書等において、監護親の義務の内容が特定されている必要があり、特定されていない場合は、間接強制が認められません。

必要な取り決め内容としては、調停調書などで1.面会交流の日時または頻度、2.各回の面会交流時間の長さ、3.子の引き渡しの方法が具体的に定められていることが挙げられます。

間接強制だけではなく慰謝料請求を受けるリスクにも要注意です。面会交流のルールを無視して面会交流させなかった場合、非監護者(元配偶者)から、間接強制とは別に、面会交流権を侵害したとして慰謝料請求を受けるリスクがあります。
面会交流の約束を守らないと、このように金銭的なデメリットを受ける可能性もありますので、約束を破るのは避けた方がよいでしょう。

(3)離婚後に、面会交流のルールを変更したいとき

面会交流のルールを変更したい場合には、離婚時と同様に、基本的に父母が話し合って決めることになります。
話し合いでルール変更に関する合意ができなかった場合には、離婚時と同様に、家庭裁判所の調停や審判といった制度を利用することになります。

【まとめ】面会交流ルールの策定でお悩みの方は、弁護士にご相談ください

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 面会交流権は親だけでなく子どもの権利でもある
  • 面会交流をすることで「子どもの福祉」が害されると裁判所が判断した場合、面会交流の拒否や制限が例外的に認められることがある
面会交流において必ず定めておきたい3つのルール
  1. 面会交流の内容
  2. 面会の頻度
  3. 面会のための連絡方法
できれば定めておきたい5つのルール
  1. 面会場所
  2. 子どもの受け渡し方法
  3. 学校行事への参加
  4. 対面以外の面会交流の方法
  5. 祖父母との面会交流(基本的に祖父母に面会交流権はない)
  • 父母による話し合いで合意できなければ、家庭裁判所に「面会交流調停」を申立てる
  • 調停でも合意できなければ、「面会交流審判」に移行し、裁判官に面会交流の内容を判断してもらう
  • 離婚後でも面会交流のルールを話し合いで変更することは可能だが、合意できなければ離婚時と同様に、調停や審判を利用することになる

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年3月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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