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むち打ちの症状固定とはどんな状態?治療費の打ち切りについても解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「交通事故でむち打ちになって治療を受けているけれど、加害者の保険会社から『そろそろ症状固定なので治療費を打ち切りたい』と言われた。どうしたら良い?」

交通事故の加害者が任意保険に加入している場合、治療費などは加害者の任意保険会社から直接病院に支払われておりご自身では負担していないという方は多いと思います。
これは保険会社による「一括対応」というサービスの一環ですが、実は、「一括対応」は保険会社の法的な義務ではなく、あくまでもサービスなので、保険会社の都合によって途中で打ち切られる可能性があります。
ですので、保険会社がどうしても治療費を打ち切るというのであれば、支払いを強制することはできません。

ただ、ここで知っておいて頂きたいのは、「症状固定」の判断はあくまでも医師がすることであって、保険会社に言われるままに「症状固定」と判断して治療を止めるべきではないということです。

医師による「症状固定」の判断がないまま治療を止めてしまうと、後々、むち打ち症による後遺症が残ってしまった場合、適正な後遺障害等級認定が受けられなくなるおそれがあります。

そこで今回の記事では、次の内容について弁護士がご説明します。

  • むち打ち症の「症状固定」
  • むち打ち症で認定される可能性のある後遺障害等級
  • むち打ち症で治療費の打ち切りを打診された時の対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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むち打ち症の「症状固定」とはどんな状態?

まず、むち打ち症(むち打ち損傷)とは、外部からの衝撃により、日常生活では起こりえない不自然な力を受けて、頸部(首)が大きく「しなる」結果、頸部の筋肉、靭帯、椎間板等の軟部組織や骨組織などが損傷することを言います。

治療方法としては薬物治療や神経ブロック治療などがあり、治療期間は、1~6ヶ月程度で完治することがほとんどです。

次に「症状固定」とは、それ以上治療を継続しても、医学的に回復が見込めない(それ以上は治療の効果が見込めない)という状態を指します。
むち打ち症でもリハビリ治療を行えば一時的には症状が良くなったと感じるけれど、しばらくすると元に戻ってしまう、と言う方も多いと思います。そのような一進一退の状態です。

「後遺症」とは、症状固定後に残る神経症状などの症状のこと

交通事故によりむち打ち症になった場合、治療をして完治する場合もあれば、残念ながら痛みやしびれなどの神経症状が残ってしまうこともあります。
このような、症状固定後も残ってしまった痛みやしびれなどの神経症状を「後遺症」と言います。
交通事故により何らかの後遺症が残ってしまった場合、加害者に対して、治療費などのほかに次の賠償を請求することができます。

後遺症慰謝料

後遺症が残ってしまったことについての精神的苦痛に対する慰謝料です。

後遺症による逸失利益

本来であれば得られたはずの利益が、交通事故によって得ることができなくなってしまったことによる損害です。
例えば、交通事故にあって働けなくなってしまった場合には、交通事故にあわなければ得られたであろう将来の収入分が損害です。

加害者の保険会社に後遺症慰謝料と逸失利益を請求するためには、基本的に後遺障害等級認定を受ける必要があります。

後遺障害等級認定とは何ですか?

「後遺症」とは、事実としてそのような症状が残ってしまっている状態です。
他方、「後遺障害の等級認定」とは、残ってしまった後遺症が、自賠責法施行令の定める1~14級までのどの等級に該当するのか、特定の機関(損害保険料率算出機構など)が判定することです。
加害者の保険会社に対して後遺症慰謝料などを請求するには、まずは、後遺障害等級認定の申請をして、あなたの後遺症が何級の後遺障害等級に当たるのか判断してもらう必要があるのです。

後遺障害等級認定について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

むち打ち症で認定される後遺障害等級は?

交通事故でむち打ち症になり、後遺症が残ってしまったという場合、認定される可能性のある後遺障害等級は次の2つです。

12級13号14級9号
局部に頑固な神経症状を残すもの局部に神経症状を残すもの

12級13号と14級9号の違いは何ですか?
「頑固な」というのは、どうやって区別されるのでしょうか。

12級13号は「障害の存在が他覚的に証明できるもの」、14級9号は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」と区別されます。

「他覚的に証明できる」とは、基本的にはレントゲン検査、CT検査、MRI検査などの画像診断から、脊髄や神経根の圧迫や脊椎の損傷・変形所見などが確認できて、それが医学的見地から症状の原因になると説明できる場合です。
他方、画像診断による確認はできないけれど、けがの状態などからそのような症状があっても医学的見地からおかしくない、という場合には14級9号の後遺障害等級に認定される可能性があります。

保険会社から治療費の打ち切りを打診されたらどうする?

むち打ち症は、なかなか痛みやしびれが抜けずに治療が長引くことが少なくなく、保険会社から治療費の打ち切りを打診されやすいけがの一つです。
痛みやしびれが残っているのに、突然保険会社から治療費の打ち切りを打診されたら、とても驚くことでしょう。
なかなか症状が改善されなくて弱気になっていたり、将来の治療費の支払いに対する不安などから、保険会社に言われるままに治療費の打ち切りを受け入れ、治療を終了してしまおうかと思われるかもしれません。

ですが、あくまでも症状固定の判断は医師がするものです。
保険会社から「そろそろ症状固定ですから、治療費の支払いは打ち切ります。」と言われても、それに従う必要はありません。
保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合は、次の流れをご参照の上、どうすべきかご検討ください。

後遺障害の等級認定は「十分な治療が行われたにもかかわらず、症状が残ってしまったこと」を医師が作成した書面で説明しなければいけません。
保険会社の言葉を安易に受け入れて治療を途中で止めてしまった場合、不本意な認定結果となり、本来もらえるはずの賠償金を受け取れないおそれがあります。
本当に症状固定なのか、まずは主治医と相談して判断してもらってください。

もしも、医師がまだ症状固定には至っていないと判断する場合には、保険会社と交渉して治療費の支払いを継続してもらうことができることもあります。
また、あくまでも治療費は打ち切ると言われても、健康保険を利用するなどして症状固定までは治療を継続するべきです。

治療費を打ち切られて自費で治療したとして、その治療費はどうなるんですか?
私が自分で負担しないといけないんでしょうか。

本当に治療のために必要であると判断された治療費は、示談をする際、保険会社から支払ってもらえます。

治療費の打ち切りを打診されてご自身で保険会社を説得できない場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士に相談した結果、治療費の支払いが継続されたり、支払いは打ち切られたもののその後、弁護士のサポートを受けながら後遺障害等級認定を受け、保険会社の提示した示談金よりも増額した示談金を受け取ることができた解決事例を一部ご紹介します。

【治療費の支払いが継続された事例】

けがの内容打ち切りを
打診された時期
弁護士に相談した結果獲得した示談金保険会社の提示から増額した金額
前頭部打撲
外傷性頸部症候群
頸椎捻挫
事故から約4ヶ月後事故から約6ヶ月時点まで、治療費の支払いを継続
(後遺障害なし)
82万5300円27万9300円
(54万6000円➡82万5300円)
頸椎捻挫事故から約3ヶ月後事故から約9ヶ月の治療期間について治療費の支払いを継続。
後遺障害等級認定を申請し、14級9号に認定
466万1919円100万4123円
(365万7796円➡466円1919円)

【治療費打ち切り後、後遺障害等級認定を受けた事例】

けがの内容打ち切りを
打診された時期
弁護士に相談した結果獲得した示談金保険会社の提示から増額した金額
頸椎捻挫・腰椎捻挫
右膝部打撲傷
第二腰椎椎弓骨折
事故から半年以上後治療を継続。
症状固定後に後遺障害等級認定を申請
後遺障害等級併合14級に認定
535万4753円234万8410円
(300万6343円➡535万4753円)
頸椎捻挫・腰椎捻挫事故から約8ヶ月後事故から約10ヶ月後に症状固定。
後遺障害等級認定を申請、14級9号に認定
548万1857円264万2125円
(283万9732円➡548万1857円)

結果的に、治療を継続して後遺障害等級認定を受けた方が受け取れる示談金が増額されることは少なくありません。
保険会社の「症状固定」の判断には、くれぐれも惑わされないように気をつけてくださいね。

交通事故の示談金は、増額されることがある?

ところで、今ご紹介した事例を見て頂ければお分かりかと思いますが、保険会社が提示する示談金は、最終的にさらに増額されることはよくあります。
これはなぜでしょう?

一言で言えば、弁護士が「弁護士の基準」で交渉するからです!

そもそも保険会社の提示する示談金は、自社の基準に従って算出しており、けがの内容で一律に決まっているわけではありません。
ここで、交通事故の慰謝料の算出方法についてご説明しましょう。

交通事故の慰謝料の基準は3つある

交通事故の損害賠償金のうちの「慰謝料」について、実はその金額を決める基準は次の3つがあります。

  • 自賠責の基準
  • 任意保険の基準
  • 弁護士の基準

「自賠責の基準」は、交通事故の被害者に対して自賠責保険から支払われる賠償金で、金額は法令により定められていますので、交渉によって増額はされません。
「任意保険の基準」とは、任意保険会社から支払われる賠償金です。任意保険から支払われる賠償金は各保険会社によって異なります。
そして、「弁護士の基準」とは、弁護士が加害者やその保険会社と交渉をする際に基準とするものです。

通常は自賠責の基準が1番低額で弁護士の基準が1番高額になります(※ただし、自賠責保険金額は交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合などには、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります)。
任意保険会社の基準は各会社によって異なりますが、一般的には自賠責の基準よりは高いものの、弁護士の基準には及ばないことが多いです。

例えば、むち打ち症に関して認定される可能性のある12級と14級について、自賠責の基準と弁護士の基準では次の差が出ます。

保険会社が提示する示談金は、自賠責の基準のままの金額であってり、多少それより増額された金額ではあるものの、通常は弁護士の基準に則った金額を提示することはまずありません。
弁護士が保険会社と示談交渉をする場合、弁護士は被害者が受け取れる賠償金が一番高額になるように、基本的に弁護士の基準に基づいて交渉します。
その結果、弁護士の基準やそれに近い金額で示談できることも多いです

他方、弁護士でない方が弁護士の基準で交渉しようとしても、なかなか弁護士の基準に近づけることは困難です。
よって、弁護士に依頼すると、最終的に受け取れる賠償金が増額される可能性があるのです。

示談交渉を弁護士に依頼するメリットについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

【まとめ】治療を継続してもそれ以上の回復が見込めない状態が「症状固定」。その判断は医師がすべきで、保険会社がするものではない

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 交通事故の被害にあってむち打ち症になり、治療を継続してもそれ以上医学的に回復が見込めないという状態を「症状固定」という。
  • むち打ち症の治療が長引くと、まだ痛みやしびれなどが残っており治療中にも関わらず、加害者の任意保険会社から「そろそろ症状固定なので、治療費の支払いを打ち切りたい」と打診されることがある。
  • 「症状固定」かどうかの判断は医師がする。保険会社から「症状固定」と主張されても、医師による判断がつかない場合には、治療を継続する方が、最終的に受け取れる示談金が増額される可能性がある。
  • ただし、保険会社が病院に対して直接治療費を支払う「一括対応」はあくまでも保険会社のサービスのため、医師による症状固定の判断前であっても支払いを強制することはできない。
  • 保険会社から治療費の打ち切りを打診された時は、弁護士に相談すべき。弁護士が交渉した結果、支払いが継続される可能性はある。
  • 交通事故の示談交渉は、弁護士が「弁護士の基準」で交渉すると示談金が増額することがある。

まだ痛みやしびれが残っているのに、突然治療費の打ち切りを打診されたら、当然驚きます。そもそも、けがをしたのは加害者のせいなのに…そんな怒りも覚えるでしょう。
そんな時は、無理をして保険会社とご自身で交渉せず、まずは弁護士にご相談ください。
交通事故の被害による賠償金請求に関してアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年10月時点)

交通事故の被害にあって保険会社の対応などでお悩みの場合は、交通事故の対応を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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