交通事故後、手足に痛みやしびれ、動かしづらさが残るという場合、後遺障害12級13号が認定されるかもしれません。
後遺障害12級13号が認定されると、手足の痛みやしびれといった後遺症について慰謝料や賠償金を受け取ることができます。
この記事では、
- 後遺障害等級とは?
- 後遺障害12級13号の認定基準と具体的な症状
- 後遺障害12級13号と12級6号・7号・14級9号との違い
- 後遺障害12級の後遺症慰謝料の相場は?
- 後遺障害12級と14級の後遺症慰謝料の相場の違い
- 後遺障害12級の逸失利益
- 後遺障害12級13号で解決した事例
- 後遺障害の慰謝料・賠償金請求を弁護士に依頼するメリット
について弁護士が詳しく解説します。
愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。
後遺障害等級とは?
後遺障害等級とは、後遺障害の慰謝料や賠償金の算定の目安となるものです。
後遺障害の内容に応じて、重いものから順に1~14級が認定され、重い等級に認定されれば、当然、その分慰謝料や賠償金も高額となります。
しびれや痛み、めまいといった後遺症について慰謝料や賠償金を受け取るためには、後遺障害等級の認定を受けることが必須となります。
後遺障害12級13号の認定基準と具体的な症状
ここでは、後遺障害12級13号の認定基準と12級13号の可能性のあるケガ、その症状について解説します。
(1)後遺障害12級13号の認定基準
後遺障害12級13号は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」と言われています。
「局部に頑固な神経症状を残す」とは、身体の一部分に他覚的所見が認められる神経症状(痛みやしびれ、めまいなど)のことをいいます。
つまり、医師などの第三者がレントゲンやMRIなどによって客観的に認識できる神経症状が身体の一部に認められることをいうのです。
(2)後遺障害12級13号の可能性があるケガ
身体の一部分に痛みやしびれ、動かしづらさが残ってしまうことにより、後遺障害12級13号に認定されることになります。
後遺障害12級13号の可能性があるケガについては、たとえば次のものが挙げられます。
(2-1)むち打ち症
(2-2)椎間板ヘルニア
(2-3)骨折
(2-4)靭帯損傷
(2-5)TFCC損傷
それぞれの症状について説明します。
(2-1)むち打ち症
「むち打ち症」とは、正式な傷病名ではなく、「頸椎捻挫」、「頸部捻挫」、「頸部挫傷」、「頸部損傷」、「外傷性頚部症候群」などと呼ばれます。
主に自動車との交通事故を原因として首が鞭のようにしなったことによって、頸部の筋肉、靭帯、椎間板などの軟部組織や骨組織が損傷したことによっておこる症状を総称したものをいいます。
交通事故後、頭・首・肩・腕・背中などの痛み、めまい・しびれ・知覚異常・倦怠感、吐き気・微熱・睡眠障害・情緒不安定などに陥り、自分の診断書に前述のような病名が記載されている方は、いわゆるむち打ち症になったということです。
もっとも、むち打ち症の多くは後遺症なく治るものであって、後遺症が残ってしまうのはケガの程度が重症なものであるといわれています。
(2-2)椎間板ヘルニア
「椎間板ヘルニア」とは、骨と骨の間でクッションの役割を果たしている椎間板が変性して飛び出してしまったことにより、神経を圧迫して様々な症状を引き起こす病気のことをいいます。
椎骨は、背骨を作る骨で、首に7個、胸に12個、腰に5個あり、脊髄や馬尾神経を守っています。椎間板ヘルニアでは、脊髄や馬尾神経を刺激することで麻痺やしびれ、痛みなど様々な症状を引き起こすことになるのです。
椎間板ヘルニアは、多くは、頸椎椎間板ヘルニア(首のあたり)、腰椎椎間板ヘルニアですが、まれに胸部椎間板ヘルニアにもなります。交通事故でよくなるのは、「頚椎椎間板ヘルニア」と「腰椎椎間板ヘルニア」です。
「頸椎椎間板ヘルニア」では、肩・腕・背中・足の痛みやしびれ、筋肉の萎縮、けいれん、知覚障害、歩行障害などの症状が現れます。
一方、「腰椎椎間板ヘルニア」では、腰の痛み、歩行障害、足の麻痺などの症状が出ることがあります。
椎間板ヘルニアは、手術によって完治することもありますが、手術を行っても、痛みやしびれが残ってしまうことも少なくありません。
(2-3)骨折
「骨折」とは、外から力が加わることで、骨が壊れることをいいます。骨にヒビが入ること、骨の一部が欠けること、骨が凹んでしまうことも、骨折にあたります。
骨とその周辺には神経と血管がたくさんありますので、骨折するとその部位に痛みや腫れといった症状が出ることがあります。ひどい骨折となると、歩けない、動かせないという機能障害が生じることもあります。
骨折は保存療法や手術またリハビリを行うことによって後遺症なく治ることが多いのですが、骨折した部位や骨折の仕方などによっては後遺症が残ることがあります。
骨折の後遺症は、骨の短縮や変形によって生じることはもちろん、そうでなく骨の癒合がうまくいったとしても、骨折により周辺の神経が傷つけられたことにより骨折部周辺が動かしにくかったり、痛みやしびれが残ってしまったりすることもあります。
(2-4)靭帯損傷
そもそも「靭帯」とは、骨と骨の連結部(関節)で骨どうしをつなげている組織のことをいいます。靭帯があることによって、関節を補強したり、関節の動きを制限したりすることができます。
「靭帯」は、ある程度伸びたり縮んだりすることができますが、外から大きな力が加わることによって、伸び切ってしまったり、断裂したりすることがあるのです。このことを「靭帯損傷」というのです。
交通事故によって生じやすいのが、ひざの靭帯損傷です。
自動車やバイクを運転中はひざを曲げた状態であるために、ひざに衝撃が加わり、ひざをひねったりすることで、ひざの靭帯が損傷してしまうことがあるのです。
ひざの靭帯損傷が生じると、ひざ関節内に大量の出血が生じ、激しい痛みや腫れが生じることがあります。
靭帯損傷の後遺症としては、ひざの痛みや動かしづらさ、さらにひざがぐらつくなどの不安定な感覚が残ることがあり、歩行などひざを動かす際には装具の装着が必要となることがあります。
(2-5)TFCC損傷
「TFCC損傷」とは、三角繊維軟骨複合体損傷(Triangular Fibrocartilage Complex損傷)のことをいいます。
「TFCC」とは、手首の小指側にある2つの骨(橈骨と尺骨)を結ぶ三角の形状をした組織のことをいいます。そして、靭帯や軟骨、腱などの複数のパーツで構成される軟部組織で、手首の小指側の安定性・支持性を与えると同時に、手首をひねったり、ねじったり、力が加わったときに、力の伝達、分散、吸収などを行う役割を担っています。
「TFCC損傷」は発症すると、手首をひねったり、手首を小指側に曲げたりした際に、手首の小指側に痛みが生じます。重症である場合を除いて、安静にしているときに痛みが生じることはあまりありません。
さらに、手首の腫れ、可動域が制限される、手の力が抜けるなどの症状が出る場合もあります。
後遺障害12級13号と12級6号・7号、14級9号の違い
身体の一部に神経症状が残る場合に、後遺障害12級13号のほかに、12級6号・7号、14級9号に認定される場合があります。
(1)12級13号と12級6号・7号の違いとは?
後遺障害12級13号と後遺障害12級6号・7号の後遺障害の内容は次のようになります。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
第12級6号 | 1上肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの |
第12級7号 | 1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの |
第12級6号の「1上肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの」とは、肩関節、ひじ関節、手関節のうちの1つの機能に障害を残すものをいいます。
そして、「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が腱側の可動域角度の4分の3以下に制限されているものをいいます。
一方、第12級7号の「1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの」とは、股関節、ひざ関節、足関節のうちの1つの機能に障害を残すものをいいます。
12級13号と同じ神経症状(痛み、麻痺やしびれなど)であっても、関節の動きが通常の4分の3以下に制限されている場合は、12級6号もしくは12級7号にあたる可能性があるので注意が必要です。
(2)12級13号と14級9号の違いとは?
後遺障害12級13号と後遺障害14級9号の後遺障害の内容は次のようになります。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
これまで説明したとおり、第12級13号の「局部に頑固な神経症状を残す」とは、身体の一部分に他覚的所見が認められる神経症状(痛みやしびれ、めまいなど)のことをいいます。
一方、第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」とは、身体の一部に他覚的所見は認められないものの、医学的に一応の説明がつく神経症状のことをいいます。
つまり、MRIやレントゲンなど画像所見があるものは第12級13号、画像所見はないものの、ケガの内容や治療の経過から一応の説明がつくものを第14級9号ということになります。
後遺障害12級の後遺症慰謝料の相場は?
ここでは、後遺障害12級13号、12級6号、12級7号の後遺症慰謝料の相場と後遺障害14級9号の後遺症慰謝料の相場との違いについて説明します。
(1)後遺障害12級の後遺症慰謝料
後遺障害12級13号、12級6号、12級7号は、同じ12級ですので、後遺症慰謝料の金額は同じになります。
後遺障害等級12級の慰謝料及び賠償金には、「自賠責の基準」、「任意保険の基準」、「弁護士の基準」の3つの基準があります。
例えば、後遺障害12級の後遺症慰謝料は次のようになります。
自賠責の基準 | 94万円(2020年4月1日以降に発生した事故に適用) 93万円(2020年3月31日までに発生した事故に適用) |
任意保険の基準 | 自賠責の基準と同等か自賠責保険と弁護士の基準の間の金額であることが一般的(非公開) |
弁護士の基準 | 290万円 |
ここでいう「自賠責の基準」、「任意保険の基準」、「弁護士の基準」とは、
自賠責の基準:自賠責保険が慰謝料や賠償金の算定に使用している基準
弁護士の基準:過去の交通事故の裁判例を基にして作成された、弁護士が使用している慰謝料や賠償金の算定基準
任意保険の基準:任意保険会社が慰謝料や賠償金の算定に使用している基準
のことをいいます。
もっとも、上記図からもわかるように慰謝料や賠償金の金額は、「自賠責の基準」、「任意保険の基準」<「弁護士の基準」となることが一般的です。
「弁護士の基準」を使用するためには、弁護士に交渉を依頼する必要があります。個人では、保険会社が「弁護士の基準」に応じてくれることは基本的にありません。
確かに、交渉を弁護士に依頼すると、弁護士費用などの費用がかかってしまいます。
後遺障害等級12級の慰謝料の相場を見るに、「自賠責の基準」と「弁護士の基準」で慰謝料だけで見ても約95万円もの差額があり、弁護費用を鑑みても、受け取れる金額に大きな差があります。
後遺症は、今後長く付き合っていかなければならないものです。きちんと慰謝料や賠償金を受け取るためにも、慰謝料や賠償金の交渉を弁護士に依頼することをおすすめします。
弁護士費用特約を利用できる場合には、一定上限額まで弁護士費用を保険会社に肩代わりしてもらえます。
(2)後遺障害12級と14級9号の後遺症慰謝料の違い
後遺障害12級と14級9号の後遺症慰謝料は次のようになります。
後遺障害第12級
自賠責の基準 | 94万円(2020年4月1日以降に発生した事故に適用) 93万円(2020年3月31日までに発生した事故に適用) |
任意保険の基準 | 自賠責の基準と同等か自賠責保険と弁護士の基準の間の金額であることが一般的(非公開) |
弁護士の基準 | 290万円 |
後遺障害第14級9号
自賠責の基準 | 32万円 |
任意保険の基準 | 自賠責の基準と同等か自賠責保険と弁護士の基準の間の金額であることが一般的(非公開) |
弁護士の基準 | 110万円 |
後遺障害12級と14級9号の後遺症慰謝料を見るに、自賠責の基準であれば約60万円、弁護士の基準であれば約180万円の差があります。
これまで説明したとおり、12級13号と14級9号は、同じ神経症状であっても他覚的所見の有無によって判断が分かれるものです。
他覚的所見は、事故直後の精密検査や治療経過などによっては見落とされてしまうことがあります。
事故直後から痛みなどがあれば医師にきちんと伝える、さらに、精密検査を受けるということを心がけましょう。
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後遺障害12級の逸失利益

ここでは、逸失利益とは何か、さらに、後遺障害12級13号と12級6号・7号の逸失利益の違いについて説明します。
(1)逸失利益とは?
後遺症が残った被害者の方が、後遺症があるために仕事ができなくなったことを理由に、将来にわたって得られるはずであったのに得られなくなった利益のことをいいます。
手足の痺れや痛みについても職業を続けることができない、また、希望する職業への就職が断たれてしまったということもあり、そのような場合に逸失利益が認められます。
(2)逸失利益の計算方法
一人一人、将来実際にどれくらいの収入を失うのかを正確に計算することはできません。
将来のことであり、失う収入額については不確かであるからです。
そのため、後遺症による逸失利益は、基礎となる事故前の収入額(「基礎収入額」)に、今後どの程度労働能力を失うのかという「労働能力喪失率」と「労働能力喪失期間」の中間利息控除のためのライプニッツ係数を掛けて計算します。
後遺症による逸失利益の計算方法は、次のようになります。
後遺障害逸失利益= 基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
ちなみに、後遺障害12級の労働能力喪失率は14%、後遺障害14級の労働能力喪失率は5%であるとされています。
(3)後遺障害12級13号と12級6号・7号の逸失利益の違い
後遺障害12級の逸失利益の労働喪失能力の目安は14%であって、それは12級13号と6号・7号で変わりません。
しかし、労働能力喪失期間の考え方で12級13号と6号・7号で変わってしまうのです。
そもそも12級13号は、痛みやしびれが主な症状となります。そのため、痛みやしびれはいずれ軽減する、もしくは、本人が慣れてくると考えられており、12級6号・7号の関節の動きの制限とは異なると考えられているのです。
そのため、12級6号や7号では、一般的に67歳までの期間と考えられているのに対し(高齢者であれば平均余命の半分)、12級13号では5年から10年の期間とされているのです。
それぞれの逸失利益の違いは次のようにあらわれることになります。
<12級13号の場合>
年収400万円×労働能力喪失率14%×10年に対応するライプニッツ係数7.7217=432万4152円
<12級7号の場合>
年収400万円×労働能力喪失率14%×67歳までの37年に対応するライプニッツ係数16.7113=935万8328円
935万8328円-432万4152円=503万4176円
交通事故によってケガを負った場合、後遺症慰謝料や逸失利益以外にも慰謝料や賠償金を受け取ることができます。
後遺障害12級13号で解決した事例1
Kさん(仮名・女性・37歳・主婦)
傷病名:右膝打撲傷・頭部外傷・頸椎捻挫(むち打ち)
後遺障害等級:12級13号
※弁護士特約を使用
Kさんは、ご家族が運転する乗用車に同乗していたところ、交差点で信号無視の乗用車がスピードを緩めずに進入してきて、衝突され、さらに民家のブロック塀にも衝突するという大規模な交通事故に遭ってしまいました。
この交通事故により、頸椎捻挫(むち打ち)、頭部外傷、右肘打撲と診断され、治療を余儀なくされました。
Kさんが治療を開始して1ヶ月後、Kさんは、加害者側の保険会社とのやり取りについて不安を抱き、弁護士に相談し、弁護士に依頼することに決めました。
弁護士は、Kさんが治療中の時からアドバイスをして、交通事故から約1年4ヶ月経過したころに、ようやく症状固定(これ以上治療を続けても症状の改善が見込めなくなった時点)を迎えました。
残念ながら、Kさんには、頸椎捻挫(むち打ち)の影響で、首の痛みや頭痛、めまいなどの症状が残ってしまいましたが、Kさんには治療中から、弁護士のアドバイスに従い、事故直後から精密検査を受けていたことや医師に対して一貫して痛みや頭痛、めまいを訴えていたことが認められ、後遺障害12級13号を獲得することができました。
その後、弁護士はすぐに、後遺障害12級13号に認定されたことを示して、加害者側の保険会社と交渉を開始しました。
加害者側の保険会社の対応が非常に遅く、弁護士は何度も督促の連絡を入れ、交渉の主導権を握りました。
加害者側の保険会社は、後遺障害12級13号がすでに認定されていること、弁護士が交渉に関与していることから、賠償金の減額は難しいと考え、賠償金総額は約1200万円を獲得することができました。
後遺障害12級13号で解決した事例2
Tさん(仮名・女性・30歳・パート主婦)
傷病名:仙骨骨折・腰部打撲・頭部打撲・頸椎捻挫(むち打ち)
後遺障害等級:12級13号
自転車で横断歩道を横断中だったTさんは、後方から右折しようとした乗用車に巻き込まれ、仙骨骨折、頸椎捻挫(むち打ち)、頭部打撲、腰部打撲のケガを負いました。
Tさんはこの事故を原因として約2ヶ月間入院して、その後約5ヶ月間の通院を余儀なくされ、さらに、仙骨下半分に痛みが残るといった後遺症が残りました。
Tさんはすでに別の弁護士に相談し、後遺症について14級9号の認定を受けていましたが、弁護士の対応に不満を持っており、これまでの弁護士を解任し、新たな弁護士に相談し、依頼することを決めました。
新たに依頼を受けた弁護士は、後遺障害診断書の内容やレントゲン画像を精査したところ、事故により仙骨に変形癒合が生じて痛みが残った可能性が高いと判断しました。
そこで、さらに、弁護士のアドバイスのもと、仙骨の変形癒合であることが明らかとなる検査の実施やさらなる後遺障害診断書の作成を行い、すでに行われた後遺障害等認定に対して異議申立てを行いました。
異議申立ての結果、後遺障害12級13号の等級を獲得することができました。
加害者にはすでに弁護士がついており、交渉が難航することが予想されましたが、粘り強い交渉の結果、後遺症慰謝料については、弁護士の基準の満額である290万円で示談することができ、最終的には、保険会社から当初提示された示談金額よりも540万円増額することができました(賠償金総額は1300万円以上)。
後遺障害の慰謝料・賠償金請求を弁護士に依頼するメリット
後遺障害等級の賠償金請求を弁護士に依頼するメリットとしては、次の点が挙げられます。
- 慰謝料や賠償金の基準について、一般的に一番高額となる「弁護士の基準」を適用される
- 加害者側保険会社のいいなりになって、貰えるはずの賠償金が貰えなくなることを防ぐことができる
- 加害者側保険会社との面倒な交渉や後遺障害等級認定の申請について弁護士に一任し、治療に専念できる
(1)慰謝料や賠償金の基準について一番高額な「弁護士の基準」を適用される
慰謝料や賠償金については、「自賠責の基準」、「任意保険の基準」、「弁護士の基準」の3つの算定基準がありますが、一番高額となるのは「弁護士の基準」となることが一般的です。
個人では「弁護士の基準」で対応してもらうことは難しいといえます。そのため、弁護士に交渉を依頼することによって、「弁護士の基準」によって慰謝料や賠償金を算定してもらうことができ、適正な慰謝料や賠償金を受け取ることができる可能性が高まるのです。
(2)加害者側保険会社のいいなりになって、貰えるはずの賠償金が貰えなくなること防ぐことができる
加害者側保険会社は、交通事故の賠償金の支払い交渉を仕事としています。そのため、個人相手であれば言いくるめて、本来貰えるはずの賠償金が知らない間に減額されているということも少なくないのです。
一方、弁護士は、相手と交渉することが仕事であり、かつ、交通事故に関する専門的な知識も有しているため、加害者側保険会社に言いくるめられる心配はありません。
(3)加害者側保険会社との面倒な交渉や後遺障害等級認定の申請について弁護士に一任し、治療に専念できる
事故後は、治療であったり、後遺症に関するリハビリであったり、被害者の負担は十分重いです。それに加えて、慣れない事故の交渉や後遺障害等級の申請までご自身で対応することは、大変な負担です。
弁護士に一任してしまうことで、少しでも賠償金を下げようとする加害者側保険会社との相手をする必要もないですし、中には心無いことをいう担当者の相手をする必要もありません。事故の交渉や後遺障害等級の申請を任せてしまうだけでも、被害者にとっては、かなりの負担軽減となります。
【まとめ】後遺障害12級13号の症状は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」
今回の記事のまとめは次のとおりです。
- 後遺障害12級13号の可能性のあるケガは、むち打ち症、椎間板ヘルニア、骨折、靭帯損傷、TFCC損傷などが挙げられます。
- 後遺障害12級13号と14級9号の違い
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
第14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
- 後遺障害12級13号と12級6号・7号の違い
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
第12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
第12級6号 | 1上肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの |
第12級7号 | 1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの |
- 後遺障害12級の後遺症慰謝料の相場
自賠責の基準 | 94万円(2020年4月1日以降に発生した事故に適用) 93万円(2020年3月31日までに発生した事故に適用) |
任意保険の基準 | 自賠責の基準と同等か自賠責保険と弁護士の基準の間の金額であることが一般的(非公開) |
弁護士の基準 | 290万円 |
- 後遺障害第14級9号の後遺症慰謝料の相場
自賠責の基準 | 32万円 |
任意保険の基準 | 自賠責の基準と同等か自賠責保険と弁護士の基準の間の金額であることが一般的(非公開) |
弁護士の基準 | 110万円 |
- 逸失利益の違い
- 逸失利益の計算で、後遺障害12級の労働能力喪失率は14%、後遺障害14級の労働能力喪失率は5%が目安であるとされています。
- 逸失利益の計算で、後遺障害12級の労働能力喪失率は同じだが、一般的に、労働能力喪失期間については、6号7号は67歳までの期間と考えられているのに対し、12級13号では5~10年と考えられています。
- 後遺症の賠償金請求を弁護士に依頼するメリット
- 慰謝料や賠償金の基準について一般的に一番高額な「弁護士の基準」を用いて交渉
- 加害者側保険会社のいいなりになって、貰えるはずの賠償金が貰えなくなること防ぐことができる
- 加害者側保険会社との面倒な交渉や後遺障害等級認定の申請について弁護士に一任し、治療に専念できる
ご加入中の自動車保険や損害保険に「弁護士費用特約」が付いていてこれを利用できる場合、原則的に弁護士費用は保険会社が負担することになります(一定の限度額、利用条件あり)。
弁護士費用特約を利用できない場合でも、アディーレ法律事務所では、原則として、交通事故被害の賠償請求につき、相談料、着手金はいただかず、成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配もありません。
※以上につき、2021年9月時点
交通事故被害による後遺障害12級13号の賠償金請求は、交通事故被害の賠償請求を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所にご相談ください。