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養育費の金額はどうやって決める?トラブルを防ぐために知っておくべきこと

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「養育費の金額って、どうやって決めたら良いんだろう?」

実は、養育費の金額を決める時は、裁判所が作成した「養育費算定表」を基準にすることが多いです。
ですが、「養育費算定表」はあくまでも基準ですから、全てが基準通りに決められるわけではなく、個別の事情により調整されます。
養育費は離婚後何年も、場合によっては20年近くにわたって支払われるものです。
養育費の金額が不当に低い場合や、後々支払われなくなってしまったら、最終的には子どもの不利益になります。
養育費について取り決める時は、まずは基準をふまえてしっかりと金額を検討した上で、後々支払われなくなった時に備えてできる限りの対策を取っておくことが大切です。

今回の記事では、

  • 養育費を決めるための基準
  • 養育費の取り決め方
  • 養育費が支払われなかった時の対処法

などについてご説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

知っておくべき養育費の基本情報

養育費とは何なのか、また養育費の支払期間について解説します。

(1)そもそも「養育費」とは?

養育費とは、衣食住の費用、教育費、医療費など子どもの監護に必要な費用のことを言います。

養育費は、「余裕があるときに支払えばよい」という性質のものではありません。
養育費を支払う義務は、「自分の生活を保持するのと同程度の生活を、子にも保持させる義務」(生活保持義務)であるといわれています(民法877条第1項)。
これは、一般的には、おにぎりが一つしかなかったとしても、それも半分に分けてでも子どもに与えるというレベルの義務と考えられています。

私が監護親と決まりましたが、前夫が生活が苦しいと言って養育費を支払いません。
生活が苦しい場合には、養育費は支払わなくても良いのですか?

非監護親の生活が苦しいからといって、養育費の支払義務は当然には免除されません。養育費は、非監護親が自分の生活水準を下げてでも支払わなくてはいけないのです。

参考:養育費|法務省

(2)養育費の支払期間について

養育費はいつから発生し、いつまで受け取ることができるのでしょうか。

(2-1)養育費の発生はいつから?

「いつから」という始期については、複数の考え方がありますが、基本的には、養育費を請求した時点と考えられています。

具体的には、次の通りです。

  • 離婚時に養育費の取り決めをした場合……離婚時から
  • 離婚時に養育費の取り決めをせずに離婚後に請求した場合……請求時から

とにかく早く離婚がしたくて、養育費を決めずに離婚しました。
離婚時からの養育費は遡って請求できませんか?

離婚時婚時に取り決めをしていない場合、一般的には後から遡って請求することはできません(※監護親が任意に支払ってくれるなら別です)。

(2-2)養育費が受け取れるのはいつまで?

「いつまで」という終期については、子どもが「未成熟子でなくなるときまで」と考えられています。

養育費が「未成熟子」の監護に関する費用とされているからです。

「未成熟子でなくなる」とは、成人になるということですか?

成人することと必ずしもイコールではなく、経済的・社会的に自立して生活できるかどうかという点がポイントになります。

養育費の話合いでは通常、「未成熟子でなくなる時点」を特定しますが、特定しない場合、基本的に20歳となる時点と考えられます。
大学の進学率が高くなっていますので、大学卒業するまで養育費を支払ってほしい、と希望する場合には、具体的に大学卒業が見込まれる「○年○月○日まで」、「子が22歳に達した後の3月まで」というように、支払の終期をピンポイントで特定するとよいでしょう。

参考:子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A(Q7)|法務省

養育費の金額決定の参考になる「養育費算定表」とは

養育費の金額については「この金額でなければならない」という決まりはなく、基本的には話合いで決めることになります。
ただ、妥当な金額が分からなければ、話合いも難しくなりますね。
ですので、公表されている「養育費算定表」を参考にしながら話し合って、養育費の額を決めるとよいでしょう。
この「養育費算定表」は、妥当な養育費の算定が簡易にできるように作成・公表されたものです。

養育費算定表には、「裁判所が作成したもの」と「日本弁護士連合会が作成したもの」の2種類あります。

この2種類の養育費算定表についてそれぞれご説明します。

(1)裁判所が作成した「養育費算定表」

裁判所作成の養育費算定表は、実務上、全国で広く利用されています。
算定表では、両親の年収(養育費を受け取る側が「権利者」、養育費を支払う側が「義務者」です)を、それぞれ縦軸と横軸に当てはめると、交差するマスが標準的な養育費の額を示すようになっています。
算定表は、子どもの数と子どもの年齢別に複数存在しますので、自分のケースに当てはまる算定表を参考にするようにしてください。
2019年12月に公表された最新の養育費算定表は、次の裁判所のサイトから入手することができます。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について|裁判所 – Courts in Japan

また、次のサイトでは養育費の目安を簡単にチェックできますので、目安をお知りになりたい方は確認してみてださい。

(2)日本弁護士連合会が作成した「養育費算定表」

さらに、日本弁護士連合会が、2018年2月に発表した養育費算定表があります。

日弁連の算定表は、一般的には裁判所の算定表よりも養育費が高額になる傾向があります。しかし、実際の調停や裁判の場では裁判所の算定表が使われ、日弁連の算定表が用いられることは残念ながらほとんどないようです。

ただ、裁判所の基準もあくまでも基準ですので、個別の事情(子供が私立学校に通っている、持病があって医療費がかかるなど)がある場合には、基準より増額されることもあります。

実際の養育費の相場はどれくらい?

算定表により妥当な養育費の額をすぐに算定することができますが、実際の養育費は、家庭の状況によって様々です。

厚生労働省による「平成28年度全国ひとり親世帯等調査の発表」によれば、ひとり親が実際に受け取っている養育費の平均額は次の通りです。

<母子世帯の平均養育費(月額)>
子ども1人:3万8207円
子ども2人:4万8090円
子ども3人:5万7739円

参考:養育費の状況 平成28年度全国ひとり親世帯等調査の発表|厚生労働省

なお、平成30年度の司法統計によれば、「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち母親を監護親と定めた場合の養育費は次のとおりです。

(1)一度決めた養育費は変更されることもある

養育費を話し合って取り決めた場合でも、その後予測できなかった次のような事情がある場合には、相手方に対して、養育費の増額又は減額を請求することができます。

個人的な事情の変化

※両親の勤務する会社倒産による失業・親や子の病気・けがによる長期入院・再婚など

社会的な事情の変化

※急激なインフレによる養育費の増大など

私が監護親となりましたが、夫が再婚して再婚相手との間に子供ができたようです。養育費に影響はありますか?

養育費の支払義務のある非監護親に新たに子供が生まれるなどして扶養家族が増えた場合には、養育費の減額請求理由になります。

私が再婚することになった場合はどうですか?

お子さんが再婚相手と養子縁組を結び、再婚相手に扶養される立場になった場合には養育費は減額される可能性が高いです。
さらに、再婚相手の収入次第では養育費の支払自体が免除される可能性もあります。

(2)養育費を変更する方法

養育費の変更についても、まずは当事者間で話し合って協議します。
養育費増額・減額を希望する理由を、真摯に相手方に伝えて理解を求めるようにしましょう。
当事者間の話合いで決められない場合には、次のとおり、裁判所の仲介のもとで養育費の増額又は減額を求めることができます。

調停

※当事者の話合いによる合意によって解決を図る手続です。

参考:民事調停手続|裁判所 – Courts in Japan

審判

※裁判官が、当事者から提出された資料などをもとに判断する手続です。

参考:審判手続一般|裁判所 – Courts in Japan

通常は、まず調停を申立てて話し合ったけれども調停が不成立となった場合に、審判手続に移行します。

調停を経ずに審判を先に申立てることもできますが、養育費については話合いで納得した結果支払われた方がいいので、裁判所の判断で調停手続に付されることも多いようです。

養育費に関するトラブルと対処法|こんな時どうするのが正しい?

養育費は子どもの生活費などに充てる子どものための費用ですから、両親が納得するまで話し合って合意し、その後も問題なく支払われるというのがベストです。
ですが実際には、金額と支払期間などについて争いがあり合意ができなかったり、合意しても支払が滞ったりするトラブルが生じることも多くあります。

後々生じうるトラブルを未然に防ぐ方法と、トラブルが起こってしまったときの対処法を説明します。

(1)養育費はどこまで決めるといい?

まず、養育費について取り決めをする際、次の点に注意が必要です。

養育費の金額や支払終了時期などを具体的に決めること

養育費の取り決め内容が、抽象的だったり、支払終了時期をあいまいにしてしまったりすると、その解釈をめぐって後々トラブルが生じる可能性があります。

話合いでは、次の点を具体的に取り決めておきましょう。

  • 養育費の金額
  • (子供が複数いる場合)子ども1人当たりの金額か、全員分なのか
  • 支払時期(始期と終期)
  • 支払方法
  • 銀行振込みであれば、口座情報
  • 振込手数料の負担(通常は振り込む側が負担します)

また、合意内容を明確にし、後々支払が滞ったときに速やかに財産の差押え(強制執行手続)ができるように、公正証書を作成するとよいでしょう。
公正証書を作成する際には、「執行認諾文言」を忘れずに入れるようにしましょう。

「執行認諾文言」とは何ですか?
なぜ公正証書に「執行認諾文言」を入れる必要があるのでしょうか?

「執行認諾約款」とは、養育費を支払う者が支払を滞らせたら財産について強制執行されても構わないという内容の文言です。
「執行認諾文言」が入っていれば、養育費の支払が滞った時はすぐに相手の給料や預金などの財産を差し押さえることが出来ます。
逆に「執行認諾文言」が入っていないと、相手の財産を差し押さえるために、再度裁判などをしないといけなくなりますから、公正証書で作成したメリットがなくなってしまいます。

公正証書とは?作成するメリットや種類・作成の手順を詳しく紹介

(2)話がまとまらない・相手が話合いに応じない場合はどうするべき?

話し合っても養育費の取り決めができない場合や相手が話合いに応じない場合には、家庭裁判所の調停又は審判の手続を利用して、養育費の支払を求めることができます。
別居の有無や離婚の有無で、利用できる手続や申立てる裁判所の管轄が異なってきますので注意しましょう。

  1. 婚姻中・同居中の場合
    「夫婦関係調整(離婚)」の調停を申立てて、離婚について話し合うのに加えて、養育費についても話し合います。
    申立てる裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。
  2. 婚姻中・別居中の場合
    「婚姻費用の分担」の調停又は審判を申立てます。婚姻費用には子どもの生活費が含まれていますので、婚姻費用の話合いをするなかで子どもに関する費用の話合いを行います。
    申立てる裁判所は、調停の場合は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所、審判の場合は申立人の住所地を管轄する家庭裁判所、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、当事者が合意で定める家庭裁判所のいずれかです。
  3. 離婚後の場合
    「子の監護に関する処分(養育費)」の調停又は審判を申立てて、養育費について話し合います。
    申立てる裁判所は、調停の場合は相手方の住所地を管轄する裁判所又は当事者が合意で定める裁判所、審判の場合は子の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。

調停又は審判を申立てるに当たっては、印紙代や切手などの必要な費用がかかりますが、子ども1人であれば2000~3000円程度です。
家庭裁判所によって多少異なりますので、詳しくは管轄の家庭裁判所に問い合わせるとよいでしょう。

調停や審判の審理期間は、当事者の話合いに応じる姿勢や緊急度合いによって異なると考えられますが、平均的には4ヶ月程度といわれています。

審判や調停と聞くととても大変だと思うかもしれません。
ですが、調停や審判を経て調停調書や審判調書に養育費の支払について記載されると、後々、養育費の支払が滞った時に、すぐに相手方の財産に対して強制執行の申立てができるというメリットもありますよ。

参考:子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A(Q4)|法務省

(3)養育費を払ってもらえない場合はどうするべき?

ここでは、3つの対処法を説明します。

なお、こちらの記事にも記載しておりますので、ご参照ください。

養育費とは?支払い期間から金額の算定方法、不払いへの対処法までわかりやすく解説

(3-1)強制執行の手続をとる

養育費について強制執行力のある書面(債務名義)がある場合には、地方裁判所に対して強制執行の申立てをすることで、相手方の財産から強制的に支払を確保することができる可能性があります。
債務名義としては、次のようなものがあります。

  • 確定判決
  • 和解調書
  • 調停調書
  • 審判調書
  • 公正証書(※執行認諾文言がある場合) など

離婚の際に公正証書を作成せず、口頭や公正証書以外の書面で養育費の合意をしたにすぎない場合には、すぐに強制執行の手続をとることはできません。
相手の協力が得られないなど、公正証書の作成が難しければ、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に養育費支払の申立てをして、債務名義となる調停・審判調書を得る必要があります。

(3-2)履行勧告・履行命令の制度を利用する

履行勧告・履行命令は、家庭裁判所の調停・審判調書などに養育費の支払について記載されている場合のみ利用できます。
公正証書を作成しただけの場合には利用できませんので注意しましょう。

履行勧告は、家庭裁判所により、履行状況を調査し、相手方に対して取り決め通りに支払うよう履行を勧告し、督促してもらう制度です(履行勧告、家事事件手続法289条)。
勧告に強制力はありませんが、相手方は、裁判所から直接督促を受けることになるので、一定の効果が期待できるというメリットがあります。

履行勧告によっても支払われない場合、家庭裁判所が相当と認めると、一定の時期までに支払うよう命令を発してもらうこともできます(履行命令、家事事件手続法290条)。
この命令に正当な理由なく従わない場合は、10万円以下の過料に処せられるという制裁があるので、一定の強制力を有します。しかし、強制力が乏しいため、あまり利用されていないのが実情です。

(3-3)弁護士に相談する

養育費の未払いがある場合、どのような対処法が適切なのか、慎重に判断する必要があります。
例えば、債務名義があり、相手方の職場が分かっている場合には、給与債権を差し押さえることが最も効果的かつ確実な回収方法ですが、相手方が差し押さえを嫌がって仕事を辞めてしまうと、差し押さえる対象の給与自体がなくなってしまいます。

弁護士であれば、事案の内容を踏まえて、突然強制執行の手続をする前に、交渉によって自主的な支払を求めたり、裁判所による履行勧告の手続を利用したりした方がいいかについて、的確にアドバイスすることができるでしょう。
また、強制執行する場合は、まず、相手方の財産を特定する必要があります。

例えば、預金口座であれば、基本的に銀行名と支店名まで必要です。本人が分からない場合でも、弁護士であれば、職権により調査することで、支店名を特定できることがあります。
弁護士の職権によっても、銀行の支店や、職場などを特定できないこともあります。その場合は、裁判所の「第三者からの情報取得手続」という制度を利用することで、相手方の勤務先や、銀行口座について把握することができることがあります。

離婚後、夫が転職してしまったようです。
給料の差押えはできないのでしょうか?

養育費の支払を滞納している場合には、条件を満たせば「第三者からの情報取得制度」により非監護親の勤務先に関する情報を取得できる可能性があります。
新たな勤務先が分かれば給料の差押えもできますので、養育費の支払がない場合には、すぐにあきらめずに、まずは弁護士に相談してみてください。

参考:第三者からの情報取得制度を利用する方へ|裁判所 – Courts in Japan

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

養育費の未払いは諦める必要なし!法改正によりどのように変わったか

【まとめ】子供1人の場合、養育費の平均額は4万円弱

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 養育費とは、監護親が非監護親に対して請求できる、子供を育てていくために必要となる費用である。
  • 養育費の支払時期の始期:
    離婚時に養育費について取り決めた時→離婚時から
    離婚時には取り決めずに離婚後に請求する場合→請求時から
  • 養育費の支払時期の周期は、子供が未成熟子でなくなる時まで。
  • 養育費の金額は、主に裁判所の作成した「養育費算定表」を基準に決められることが多いが、個別の事情により増減される。
  • 国政労働省によると、養育費の平均額は次のとおり。
    子ども1人:3万8207円
    子ども2人:4万8090円
    子ども3人:5万7739円
  • 一度養育費を取り決めても、個人的な事情の変化や社会的な事情の変化によって増減の変更ができる。
  • 養育費の変更は、話合いがまとまらなければ、調停や審判手続による。
  • 養育費の支払が滞った時は、以下の方法を取ることができる
    1. 非監護親の財産に対する強制執行(※ただし、債務名義が必要)
    2. 裁判所の履行勧告・履行命令の制度を利用する
    3. 弁護士に相談する

養育費についてお悩みの方は、一人で悩むことはせず、是非離婚問題を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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