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退職に必要な民法・労働基準法上の手続きは?退職予告期間などを解説

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「今の職場を退職したい。退職に必要な法律上の手続きは何だろうか」


このような疑問をお持ちの方はいませんか?
退職に際し退職届の提出が就業規則等で義務付けられている場合がありますが、実は、退職届の提出をしなくとも、法律上は退職できます。

また、「退職の○ヶ月前までに退職届の提出をしなければならない」という就業規則の有効性については、これを無効とするのが裁判例の基本的な方向性であるとされています。

今回の記事では、

  • 退職届の取り扱い
  • 退職予告期間

などの退職の際の手続き等について解説します。

労働者には退職の自由がある

憲法では、奴隷的拘束の禁止(憲法18条)や職業選択の自由(憲法22条)が保障されていることから、労働者には、退職の自由があるといえます。

もっとも、労働者が任意のタイミングで自由に退職できるとなれば、使用者に不測の損害が生じてしまうおそれがあります。

そのため、労使双方の利益の均衡を図るため、民法や労働関係法令では、退職について一定の制限が設けられています。

後述するよう、雇用期間の定めの有無によって、退職についての規律が異なるので注意が必要です。

就業規則で退職の申し出等について規定されている場合は?

就業規則等で、退職に際し、退職の申し出期間が義務付けられている場合があります。

例えば、就業規則上、「従業員が、退職する場合には、退職する3ヶ月までに退職届を提出しなければならない」と規定されている場合です。

この規定の有効性については争いがあり、民法627条1項後段を強行規定と解するか、任意規定とか解するかによって異なります。
強行規定とは、当事者間の合意と法令の規定が矛盾した場合、法令の規定が優先され、その規定に反する当事者間の合意が無効となるもので、任意規定とは、当事者間の合意と法令の規定が矛盾した場合、当事者間の合意が優先されるものをいいます。

民法627条1項後段には、退職の意思表示をしてから2週間後に退職の法律効果が生じると規定されており、上記の就業規則の内容と矛盾しています。
民法627条1項後段を強行規定と解すると、上記の就業規則の規定は無効ということになり、民法627条1項後段に従って、退職の意思表示をしてから、2週間後に退職の法律効果が生じることになります。

これに対して、任意規定と解すると、上記の就業規則の規定は有効となり、上記就業規則の内容に従って退職の法律効果が生じることになります。

厚生労働省のウェブサイトでは、2週間を超える解約予告期間の設定は無効とされるというのが裁判例の基本的な方向性とされています。

参考:7-1 「辞職」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性│厚生労働省

なお、会社がそもそも退職を承認しないという場合もあります。
この点、退職(辞職)とは、労働者の一方的な意思表示により労働契約を終了させる単独行為ですので、会社の承認は必要ありません。

そのため、会社が退職の承認をしなくても、退職の法律効果は問題なく生じることになります。

無期雇用は基本的に「2週間前」の予告で退職できる

期間の定めのない無期労働契約については、原則として2週間の予告期間をおくことによって、理由なくして契約を解除することが可能です。

普通のサラリーマンの場合、期間のない無期労働契約である場合が多いです。


【期間の定めのない雇用の解約の申し入れ】

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用:627条1項

なお、旧民法627条2項、3項では、次のことが労使双方に必要とされていました。

1. 無期労働契約において期間に応じて報酬を定めていた場合、6ヶ月未満の期間によって報酬を定めた場合には当期の前半に次期以後の解約の申し入れをすること

2. 6ヶ月以上の2.6ヶ月以上の期間によって報酬を定めた場合には3ヶ月前に解約の申し入れをすること

これに従うと、完全月給制の場合、解約は翌月以降に対してのみ可能で、しかも月の前半までに行わなければなりません。また、年俸制の場合、3ヶ月前に予告することが必要とされていました。

もっとも、これらの規定は労働者の自由に対して過度な制約を課すということから、改正民法では、上記の制限は使用者にのみ必要とされることになりました。

そのため、現在では、労働者は、月給制であろうと、年俸制であろうと、2週間前の予告期間をおくことで契約を解除することが可能です。

有期雇用の途中退職には条件がある

有期雇用の場合は、民法628条前段は、原則として「やむを得ない事由」がある場合に限り、期間途中での退職が認められます。

【やむを得ない事由による雇用の解除】

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が各当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用:民法628条

ここでいう「やむを得ない事由」は、会社の賃金不払い、パワハラやモラハラ、本人の病気、家族の介護等の事情を考慮して判断されます。

なお、1年以上の期間の定めのある有期労働契約の場合、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることによりいつでも退職することが可能です(労働基準法附則137条)。

会社からのこんな引き留めは法律違反に相当!

会社からの引き留めが強引で、時には法律に違反しているような場合もあります。

ここでは、法律違反に相当するような引き留めの典型例を解説します。

(1)「有給消化は認めない」と言われる

労働基準法39条は年次有給休暇(年休)を定めています。
年休とは、労働者に休暇日のうち、使用者から賃金が支払われる休暇のことをいいます。

年休は、労働基準法39条1項、2項の要件を充足することにより法律上当然に労働者に発生する権利です。

労働者は、さらに、時季指定権(年休を取得する日をいつにするかを指定する権利)を有しています。
労働者による適法な時季指定権の行使があった場合、使用者による適法な時季変更権(※)の行使がない限り、指定された時季に年休を取得できます。

※時季変更権:指定された時季に年休を与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」、時季を変更することができる使用者の権利(労働基準法39条5項ただし書)


労働者により時季指定権が行使される

使用者による適法な時季変更権がない

指定された時季に年休が成立


もっとも、時季変更権を行使して、退職日以降に、年休をずらすことはできません。
会社が正当な理由なく有給消化を認めない場合には、お住まいの労働基準監督署か、または、弁護士に相談されることをお勧めいたします。

(2)「後任がいないから退職は認めない」と言われる

既にご説明したように、期間の定めのない無期労働契約の場合、2週間前の予告期間をおくことによって、『理由なく』契約を解除することが可能です。また、退職(辞職)は、労働者による単独行為であって、使用者による承認等は不要です。

そのため、「後任がいないから退職は認めない」という引き留めには、何ら法律的な根拠がありません。

(3)「退職するなら損害賠償請求する」と言われる

損害賠償請求権は、他人の権利や法律上保護される利益を侵害する加害行為によって損害が生じた場合や、契約違反によって契約の相手方に損害が生じた場合に発生するものです。

無期労働契約において2週間前の予告期間をおいて退職をする場合、加害行為はありませんし、契約違反ともいえません。
そのため、退職それ自体で損害賠償責任が発生することはないといってよいでしょう。

ただし、退職の仕方や手続き等によっては損害賠償責任が生じる可能性があります。

次のような場合には、損害賠償責任が生じる可能性があるので注意しましょう。

  • 入社直後の突然の退職によって会社に損害が生じた場合
  • 予告期間を置くことなく突然退職し会社に損害が生じた場合
  • 有期労働契約で1年以内の期間途中で「やむを得ない事由」なく退職した場合
  • 違法な従業員の引き抜きや、競業避止義務違反が認められる場合

退職後も未払いの残業代があれば請求できる可能性がある

退職をしたら、未払いの残業代は請求できないとお思いの方はいらっしゃいませんか。
未払いの残業代があれば、退職をしても会社に請求することが可能です。

ただし、賃金請求権には消滅時効があります。この消滅時効を経過している場合には、未払いであっても会社はその支払いを免れることが可能となりますので、未払い残業代に心当たりのある方は、お早めに弁護士に相談されることをお勧めいたします。

なお、割増賃金請求権等を含む賃金請求権の消滅時効については、これまで、「2年間」とされていましたが、労働基準法の改正により、時効期間が「3年間」に延長されました。

ただし、下記のように、2020年3月31日以前に支払期日が到来するものについては、改正前の労働基準法が適用され消滅時効は2年、同年4月1日以降に支払期日が到来するものについては、改正後の労働基準法が適用され消滅時効は3年となります。

2020年3月31日以前に支払期日が到来するもの

時効は2年

2020年4月1日以降に支払期日が到来するもの

時効は3年

なお、労働基準法115条では賃金請求権の時効は「5年間」とされていますが、経過措置により、「当分の間」は、「3年間」とされています(労働基準法143条3項)。

【まとめ】普通のサラリーマンは2週間前の退職申し出で退職できる

本記事をまとめる以下のようになります。

  • 無期雇用の場合、2週間前の予告期間をおくことで理由なく解約が可能
    普通のサラリーマンの多くが、この無期雇用に該当。
  • 有期雇用で、1年以内の期間途中の解約の場合は「やむを得ない事由」が必要
  • 時季変更権を行使して、退職日以降に、年休をずらすことはできない(有給消化を拒否できない)。
  • 未払い残業代がある場合、退職後も請求は可能だが、消滅時効が完成している場合には会社はその支払いを免れることが可能なので、心当たりのある方は早期に弁護士に相談する必要がある

退職に際しての疑問や未払い残業代請求についてご検討の方は、お気軽にアディーレ法律事務所にご相談ください。

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