個人再生した場合のクレジットカードへの影響は?プリペイドカードはOK?

  • 作成日

    作成日

    2023/07/06

  • 更新日

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    2023/07/06

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目次

個人再生した場合のクレジットカードへの影響は?プリペイドカードはOK?
「個人再生をしたら、クレジットカードは作れないと聞いたけれど…プリペイドカードはどうなの?」

個人再生をすると、手続から5年~7年程度はクレジットカードを作ることが困難になります。
ただ、個人再生の手続から5年~7年程度が経過すれば新たにクレジットカードを作ることができる可能性はありますし、個人再生をしてもプリペイドカードなどのキャッシュレス決済は基本的に利用可能です。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。
  • 個人再生により、クレジットカードを作成できなくなる期間
  • 個人再生による、それまで使っていたクレジットカードへの影響
  • 個人再生をしても利用できるキャッシュレス決済
  • 個人再生後に再びクレジットカードを作成したい場合の注意点
  • 事故情報がなくなっているかの確認方法

個人再生をすると、5年~7年程度クレジットカードを新しく作れなくなる

「個人再生をするとブラックリストに載る」と聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。

正確には、金融機関に『ブラックリスト』という名称のリストがあるわけではありません。
個人のクレジットカードやローンなどの申込み、契約、支払状況などの情報(信用情報といいます)を管理している、信用情報機関という組織があります。
そして、信用情報の中でも、延滞や債務整理など、当初の契約どおりの支払ができていないという情報を事故情報と呼びます。
事故情報が信用情報機関に登録されていることを、俗に「ブラックリストに載っている」ということがあるのです。

事故情報が登録されていると、新しくクレジットカードを作ることが原則としてできなくなります。
というのは、クレジットカード作成の申込みを受けたクレジットカード会社は、申込者の信用情報を信用情報機関に照会します。
その際、事故情報が登録されていると、「この人は支払えなくなってしまうかもしれない」と判断され、審査を通らなくなってしまうのです。
事故情報
ただし、事故情報は、一定の期間ののちに削除されます。個人再生の場合は、5年~7年程度です(2022年12月時点)。
詳しくは次の表をご覧ください。
※以下の情報は、随時、更新・修正されていく可能性があります。

信用情報機関名 個人再生に関し登録される主な事故情報 左記の情報の登録期間
CIC 個人再生を申し立てた事実は載らない
JICC 個人再生を申し立てた事実 【契約日または貸付日が2019年9月30日以前の登録】 ⇒発生日から5年以内
※申立ての取下げがあった場合は、加盟会社がその旨登録した時点まで

【契約日または貸付日が2019年10月1日以降の登録】 ⇒契約継続中の期間+契約終了後5年以内 ※申立ての取下げがあった場合は、加盟会社がその旨登録した時点まで
KSC 個人再生につき、開始決定が出た事実 当該開始決定日から7年を超えない期間
※個人再生の手続を始めるに伴い、代位弁済などがなされると、別途その旨事故情報を登録されることもあります。

例えば、CICは個人再生を申し立てた事実は登録されませんが、それ以前に、返済日より61日以上または3か月以上の支払遅延(延滞)があるものまたはあったものなどは、その時点で事故情報が登録されます。

個人再生をすると今使っているクレジットカードも使えなくなる?

「個人再生で新しくクレジットカードを作れなくなっても、それまで使っていたクレジットカードは使い続けられるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、個人再生の手続を取る場合、それまでに所持していたクレジットカードは、基本的には全て解約することとなります。
債務を返済できない(支払不能)にもかかわらず、クレジットカードを使って新たな債務を負うことは許されません。
また、クレジットカードの約款において、個人再生などの手続を始めた場合には強制解約する旨が定められていることが一般的です。

個人再生をしても使えるキャッシュレス決済はある?

個人再生を行うとなると、一定期間はクレジットカードを使えなくなって不便と感じるかもしれません。
しかし、全てのキャッシュレス決済を利用できなくなってしまうわけではありません。個人再生の手続をしても利用可能なキャッシュレス決済について説明します。

(1)プリペイドカード

プリペイドカード
まず、プリペイドカードであれば基本的に利用可能です(クレジットカード機能が付帯しているものなどを除きます)。

プリペイドカードにはどんな種類がある?

プリペイドカードには、「QUOカード」などの『使い切り型』のものと現金をチャージして使う『チャージ型』のプリペイドカードがあります。
チャージ型のプリペイドカードは、主に次のようなものがあります。

・流通系のプリペイドカード
「WAON」、「nanaco」「楽天Edy」など

・交通系プリペイドカード
「Suica」、「PASMO」、「ICOCA」など

さらに、近年は「MasterCard」「Visa」「JCB」など国際カードブランドの付いた『チャージ型』プリペイドカードも多くあります。
これらは、当該国際ブランドの加盟店であればプリペイドカードも利用できるため、チャージ型のプリペイドカードより利用できる店舗が多いというメリットがあります。
プリペイドカードは、あらかじめ入金した分の金額しか使えません。
そのため、クレジットカードなどとは異なり与信審査はされませんので、作成する際に信用情報を照会されることが基本的にないのです。

(2)家族カード(クレジットカード)

家族カード
自分以外の家族が本会員として支払義務を負うクレジットカードの家族カードであれば、事故情報が載っている人でも使用することができます。

個人再生などを行って事故情報が登録されるのは、あくまで手続を行った本人だけです。
そのため、家族が支払義務を負うクレジットカードの使用は、基本的には支障が生じないのです。

もっとも、個人再生をした理由がお金の使い方に問題があったという方は、家族カードを利用するかどうか、ご家族と十分話し合って決めてくださいね!

(3)デビットカード

デビットカード
デビットカードは、決済と同時に、カードに登録してある銀行口座から同額が引き落とされる仕組みのカードです。
デビットカードは、口座の残高までしか使えないようになっています。そのため、作成時に信用情報を照会されることが基本的になく、事故情報が登録されていても基本的に作成可能です(クレジットカード機能が付帯しているものなどを除きます)。

デビッドカードにも、国際カードブランドが付いたものが増えています。加盟店も多いですし、独自のポイントプログラムや付帯サービスもありますので、まずは調べてみてくださいね。

(4)ETCカードはどうなる?個人再生をしても使えるETCカードとは

ETCカード
ETCカードは、クレジットカードに付帯しているETC機能を利用している方が多いでしょう。個人再生の手続を取るとクレジットカードを原則として使えなくなるため、付帯していたETC機能も使えなくなってしまいます。

もっとも、ETCパーソナルカードなどであれば、事故情報が登録されている間でも基本的に利用可能です。ETCパーソナルカードは、デポジットの範囲内の使用になるため、信用情報の照会が基本的に行われません。

個人再生から5年~7年程度すればクレジットカードを作れる?主な注意点は

個人再生の手続から約5~7年程度で、信用情報機関の事故情報は削除されます。
しかし、事故情報がなくなったからといって、必ずクレジットカードの審査を通るとは限りません。

それでは、手続から5~7年経ってクレジットカードを作成したい場合の注意点を説明します。

(1)個人再生の時に利用していた金融機関などやグループ会社では作れない可能性も

信用情報機関の事故情報が削除されても、個人再生の際に利用していた金融機関などと同じ会社や、同じグループの会社の内部には、「この人は以前に個人再生をした」という情報が残ってしまう場合があります(いわゆる「社内ブラック」)。

金融機関などは、「以前個人再生をしたことのある人は、また支払が苦しくなって債務整理をするかもしれない」と警戒します。

そのため、個人再生の時に利用していた金融機関などや、そのグループ会社では、クレジットカードを作成できない可能性があります。

(2)クレジットヒストリーがないため、審査を通りにくいことも

クレジットヒストリーとは信用情報機関が保有する、クレジットカードやローンの利用履歴のことです。
一定期間ののちに事故情報が削除された人は、クレジットヒストリーがない状態になっています(俗に「ホワイト」とも言います)。

クレジットヒストリーがないと、クレジットカードなどの審査の際に「過去に事故情報が登録されていたのではないか」と疑われ、クレジットカード等の使用履歴がある方よりも、審査が通りにくい場合もあるようです。

もっとも、過去に一度もクレジットカードを利用したことがない人のクレジットヒストリーはありません(俗に「スーパーホワイト」とも言います)。
信用情報の状況は、スーパーホワイトもホワイトも同じです。
審査する金融機関は、信用情報を見ただけではホワイトとスーパーホワイトの区別はつきません。
最初にカードを作るときは、誰でもホワイトですから、ホワイトだからといって必ずしも審査に落ちるとは限りません。

クレジットカードによって、審査の通りやすさは違います。
個人再生後は、まずは収入をしっかり確保した上で審査の通りやすいクレジットカードを作成し、カードを利用してクレジットヒストリーを積み上げましょう。

あらかじめ、信用情報を確認するのがおすすめ

「もう7年経ったから事故情報は消えているだろうと思ってクレジットカードなどの申込みをしたら、実はまだ事故情報が残っていて審査を通らなかった」ということもあり得ます。

そこで、事故情報が本当に消えているか、あらかじめ信用情報を確認することがおすすめです。

信用情報機関に対して自分の信用情報を開示請求することで、事故情報がないか確認することができます。
信用情報機関は日本に3つあります。それぞれに問合せを行うことで、漏れを防ぐことができます。

【まとめ】個人再生から5年~7年程度でクレジットカードを作れるようになる可能性がある。その間も、プリペイドカードは基本的に利用可能

今回の記事のまとめは次のとおりです。
  • 個人再生をすると、個人再生をしたという情報(いわゆる事故情報)が各信用情報機関に5年~7年程度登録される。事故情報が登録されている間は、新しくクレジットカードを作ることが基本的にできない。
  • 個人再生を行う際、それまで所持していたクレジットカードは原則として強制解約される。
  • 個人再生の手続を始めて、事故情報が登録されている間でも次のようなキャッシュレス決済は基本的に利用可能。
 -プリペイドカード
 -家族カード
 -デビットカード
 -ETCパーソナルカードなど
  • 個人再生から5年~7年経って、またクレジットカードを作りたい場合には次のようなことに注意する。
 -個人再生の際に利用していた金融機関などや、同じグループ会社ではクレジットカードを作れない可能性がある。
 -事故情報が削除されると、クレジットヒストリー(クレジットカードやローンの利用履歴)がまっさらになり、クレジットカードの審査をやや通りにくい場合がある。
  • 約5~7年経っていても、本当に事故情報が削除されているか、念のため信用情報機関へ照会を行って確認することがおすすめ。
個人再生をすると、信用情報機関に登録されて、一定期間クレジットカードの作成や新たな借入れなどが困難になるなどのデメリットはあります。
ですが、そのデメリットは個人再生をしないまま返済が行き詰まり、滞納してしまった時にも同じ事態になる可能性があります。
個人再生は、大幅に借金が減額されることが期待できる上、一定の条件を満たせば住宅ローンの残った自宅を手元に残せる可能性があるなど、メリットも多いです。
早めに行動にうつせば、それだけ事故情報が抹消される時期も早まります。
借金の返済に困っているという方は、まずは弁護士にご相談ください。弁護士があなたにあった債務整理の方法を一緒に考えます。

アディーレ法律事務所では、万が一再生不認可(裁判所から個人再生を認めてもらえない)となってしまった場合、当該手続にあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用は原則として、全額返金しております。

個人再生でお悩みの方は、個人再生を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修弁護士

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

谷崎 翔の顔写真
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