弁護士が解説!受取人が先に死亡した場合の保険金は誰が受け取るの?

  • 作成日

    作成日

    2023/06/13

  • 更新日

    更新日

    2023/06/07

  • アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

目次

弁護士が解説!受取人が先に死亡した場合の保険金は誰が受け取るの?
今回採りあげる法律相談はこちら―――。
兄の遺品を整理していたら、兄よりも早くに亡くなった母を受取人とした生命保険の保険証券が見つかりました。兄は結婚しておらず、子どももいないため、母を受取人にしたのだと思います。父とは別居中で、母はシングルマザーとして私たち3人を養っていましたから。母が亡くなったときに受取人を私と妹に変えておいてくれればよかったんですけどね。
この場合、誰が保険金を受け取るのでしょうか。
保険金の受取人が既に亡くなっていた場合、受取人の相続人が保険金を受け取ります。
今回のケースでは、母親の相続人である父親、相談者、妹が受け取ることになるでしょう。
(ただし、実際に受け取るには戸籍から相続人を明らかにする必要があります)

今回の記事では「受取人が既に亡くなっていた場合の保険金の行方」について説明します。

保険金は受取人の相続人が受け取る!

被保険者(今回のケースでいう兄)が亡くなって以降、受取人を変更することはできません。保険金を請求できる状態になったとき(被保険者の死亡時)に既に受取人が亡くなっていた場合には、受取人の相続人が保険金を受け取ると法律上定められています。
そのため、父、子ども2人の家庭では、この3人が相続人として保険金を受け取れます。

ここで注意すべきなのが、被保険者の相続人が保険金を受け取るわけではないことです。仮に兄が結婚していても、兄の相続人である配偶者は保険金を受け取ることができません。

受け取る金額は頭割り!

今回の家族構成を例として、一般的な相続財産や保険金をいくら受け取れるのかみてみましょう。

一般的に相続であれば、配偶者が半分、残りを頭数で子どもたちが受け取ります。
たとえば、900万円であれば、450万円を配偶者、225万円を子どもたちが相続します。

これに対して、保険金は法律上、立場に関係なく、頭割りで受け取ります。
たとえば、900万円であればみんな等しく300万円ずつ相続します。

参照:『判例タイムズ838号』判例タイムズ社 P.199(最高裁判所判決平成5年9月7日)

受取人が亡くなったら受取人の変更手続きを!

受取人が保険金を請求するだけであれば、1ヶ月もしないうちに保険金を受け取れます。

ところが、受取人の相続人が保険金を請求する場合、戸籍謄本を揃え、法定相続人全員の印鑑証明書が必要になるなど手続きが煩雑になり、保険金を受け取るまで時間がかかります。

生命保険には遺族の生活を保証する側面もありますので、スムーズに受け取れた方が良いでしょう。また、場合によっては思いもよらない人に保険金が渡ってしまうかもしれません。

受取人が亡くなった場合には、受取人の変更手続きを忘れずにしておいてください。
受取人を複数選んで、それぞれの人に渡す割合まで決めることもできるので、より自分の意志を反映させることができるでしょう。

相続放棄に関するご相談は
アディーレへ!

この記事の監修弁護士

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

谷崎 翔の顔写真
  • 本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。
FREE 0120-818-121 朝9時~夜10時・土日祝日も受付中