後部座席のシートベルト着用は義務?違反した際の罰則もあわせて解説
作成日
2023/12/27
更新日
2024/02/14
- ※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。
目次
皆さんは、この問いに対する正しい答えをご存じですか?
- 法的義務である
- 努力義務である
- 高速道路では法的義務だが一般道路では努力義務である
- 義務ではない
そのため、後部座席のシートベルト着用を怠れば道路交通法違反となります。 しかしその着用率は、運転者や助手席同乗者と比べ決して高いといえません。
そこで、今回のコラムでは、後部座席におけるシートべルト着用義務や、違反した場合の罰則などについて弁護士がご説明します。
後部座席のシートベルト着用は法律で義務化されている
根拠となる条文を見てみましょう。
引用:道路交通法第71条の3第2項
また、シートベルトの着用義務は高速道路か一般道路かで区別されていません。
運転手は、高速道路・一般道路にかかわらず、病気などやむを得ない理由がある場合を除き、原則として乗員全員にシートベルトをさせなければならないのです。
チャイルドシートを利用せずに、6歳未満の子どもを乗せて運転してはいけません(道路交通法第71条の3第3項)。
シートベルトリマインダーの設置も義務化
警報の鳴っている状態では落ち着いて運転できないため、強制的にシートベルトを着用するきっかけとなるでしょう。
後部座席のシートベルト着用が義務化された背景
では、詳しく見ていきましょう。
シートベルトを着用しない危険性
後部座席であっても、シートベルトを着用しないと次のようなリスクが高まります。
・車内で全身を強打する可能性
・前席の人が被害を受ける可能性
そのため、命を落としかねませんし、助かっても重度の後遺症が残るおそれがあるでしょう。
さらに、後部座席の人がシートベルトを着用していなかったことが原因で、運転席や助手席の人にぶつかって被害が拡大することもあるようです。
シートベルト非着用時の致死率
警察庁によれば、後部座席におけるシートベルト非着用時の致死率(死傷者数に占める死者数の割合)は、次のとおりです。
・一般道路で、着用時の約3.6倍
シートベルト非着用の危険性がよくわかると思います!
後部座席のシートベルト着用義務違反の罰則は?
しかし、高速道路で後部座席の同乗者にシートベルトを装着させなかった場合には、違反者1人につき違反点数1点が加算されます。
ただし、この場合でも違反歴としては残るので、ゴールド免許をはく奪されます。
また、違反歴があると保険料が高くなる可能性もあるので、注意しましょう。
一般道路であれば、口頭注意のみで、違反点数はつきません。
【後部座席においてシートベルト着用義務違反があった場合】
高速道路 | 一般道路 | |
---|---|---|
違反点数 | 1点 | なし |
(口頭注意のみ) | ||
反則金 | なし | なし |
罰金 | なし | なし |
シートベルト着用が免除になるケースとは?
道路交通法施行令第26条の3の2に規定されています。
(1)乗車する人の状況によってシートベルト着用が免除になるケース
• ケガ、障害、妊娠で、シートベルトの装着が療養上または健康保持上適当でないとき
• 著しく座高が高くまたは低く、著しく肥満しているためにシートベルトを装着できないとき など
(2)仕事・業務でシートベルト着用が免除されるケース
• 消防士等が消防用車両を運転するとき
• 警察官等の公務員が職務のために自動車を運転するとき
• 宅配業務、ごみ収集などで頻繁に乗降する区間で業務するとき
• 要人警護などで警察用自動車に護衛、または誘導されているとき
• 公職選挙法の適用を受ける選挙における候補者または選挙運動に従事する者が選挙カーを運転するとき など
後部座席のシートベルト着用率と着用の必要性
しかし、警察庁による2022年の調査では、全国の道路における後部座席同乗者のシートベルト着用率は以下の数値にとどまっている状況です。
- 一般道路における後部座席同乗者のシートベルト着用率:42.9%
- 高速道路における後部座席同乗者のシートベルト着用率:78.0%
万が一の交通事故に備えて、後部座席であっても必ずシートベルトを着用しましょう。
シートベルトは正しく着用することで効果を発揮する
次に、骨盤や腰の位置を確認して、シートベルトがねじれないように、また、たるまないようにセットします。このとき、肩ベルトが首にかからないようにしましょう。
最後に、バックルの金具を確実に差し込んでください。
【まとめ】後部座席の同乗者にシートベルトを着用させるのは運転手の法的義務
また、シートベルトをしていない状態で交通事故の被害にあった場合、致死率やけがが重くなるリスクが高くなります。
それだけでなく、シートベルトの非着用を被害者側の「過失」と捉えられ、過失相殺により最終的に受け取ることのできる賠償金が大きく減額されるおそれもあります。
やむを得ない場合を除き、忘れずにシートベルトを着用するようにしましょう。
岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。
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