弁護士が解説!同時死亡のケースにおける保険金の行方

  • 作成日

    作成日

    2023/08/17

  • 更新日

    更新日

    2023/08/14

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弁護士が解説!同時死亡のケースにおける保険金の行方
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先日、交通事故で子ども夫婦が亡くなりました。即死だったらしくて、全く苦しまずに逝けたそうです。娘たち夫婦に孫はいませんでした。義理の息子が娘を受取人とした生命保険があったのですが、この保険金は私と主人が全額受け取れますか。それとも、息子のご両親にも渡したほうがいいのでしょうか。娘と向こうの両親は養子縁組をしていません。

法律上、受取人の相続人である相談者夫妻が保険金を全額受け取ることができます。

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今回は、登場人物が複雑なので、次のように呼ぶことにします。

相談者  :山田さん夫婦<沙也加さんの相続人>
大樹の両親:川口さん夫婦<大樹さんの相続人> 
娘    :沙也加さん
息子   :大樹さん<沙也加さんの相続人>

大樹さんは自分が亡くなったときに、保険金が沙也加さんに入金されるようにしました。
しかし、沙也加さんは大樹さんと同時に亡くなってしまい、保険金を受け取れません。
そうなると、沙也加さんの代わりに、沙也加さんの相続人が保険金を受け取ります。
つまり、沙也加さんの相続人である山田さん夫婦が保険金を受け取ることに争いはありません。問題は、「川口さん夫婦も保険金を受け取ることができるのか」です。

相続によって、財産は亡くなった人から生きている人に受け継がれます。
養子縁組をしていない限り、義理の子どもの財産を義理の親が相続することはありません。
そのため、川口さん夫婦が保険金を受け取るのは、大樹さんが沙也加さんの財産を相続したといえるケースです。この場合には、大樹さんを経由して、沙也加さんの財産が大樹さんの両親である川口さん夫婦に受け継がれます。
もし沙也加さんが亡くなったときに大樹さんが生きていれば大樹さんは沙也加さんの相続人として財産を受け継ぎます。
しかし、交通事故で即死した今回のケースではどちらが先に亡くなったのかわかりません。
この場合、同時に死亡したものと推定され、2人の間で相続は起こらないとされています。
つまり、大樹さんは沙也加さんの相続人にはなれません。

そのため、大樹さんの相続人である川口さん夫婦は保険金受給権を相続せず、相談者である山田さん夫婦は、保険金を全額手にすることができるのです。

参照:最高裁判所事務總局家庭局『家庭裁判月報61巻12号』最高裁判所事務總局家庭局/東京 P.52

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この記事の監修弁護士

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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