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法定相続人の相続順位とは?遺産相続の基本と遺言書がある場合の扱い

作成日:
kiriu_sakura

「遺言がない場合の相続は、誰がどのような順番で財産を受け継ぐのだろう?」

遺言がある場合は、基本的に遺言の内容のとおりに相続しますが、遺言がない場合に誰がどのような順番で相続財産を受け継ぐのか、その順位は重要ですよね。
実際、多くの方は遺言を作成していませんので、同じような疑問をお持ちの方は多いです。
法務省の嘱託調査によれば、遺言(自筆証書遺言または公正証書遺言)を作成したことがある方は、全体で約7%、作成率が最も高い75歳以上の方でも約11%でした。
このことからも分かるように、ほとんどの方が遺言のないまま相続していることがわかります。

遺言がない場合の相続では、配偶者は常に相続人となります。
また、配偶者以外の相続人の相続順位は「子→親→兄弟姉妹」の順位で、順位が高い者から財産を受け継ぐこととなります。

このことを知っていれば、誰がどのような順番で財産を受け継ぐのか、相続の場面に直面した時にも正しく判断することができ、スムーズに相続手続きを進めることができます。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 遺産相続における法定相続人とは何か
  • 法定相続人の範囲と相続順位
  • 相続順位と法定相続分について

参考:我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務|法務省

この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。神奈川県弁護士会所属

遺産相続における法定相続人とは?

「法定相続人」とは、民法のルールに基づいて亡くなった方(被相続人)の財産を相続する権利を有する方のことです。

遺言があれば法定相続人以外の方が亡くなった方の財産を受け継げることがあります(遺言によって法定相続人以外の方に財産を受け継がせることを「遺贈」と言います)。
これに対して、遺言がない場合には、基本的には法定相続人間で遺産をどのように分け合うかを協議し、協議に基づいて遺産を分け合うこととなります。

法定相続人の範囲については、後で詳しくご説明しますが、亡くなった方(被相続人)の配偶者は常に法定相続人となります。
また、被相続人の配偶者以外にも法定相続人となる方はいます。
配偶者以外の法定相続人については、被相続人との関係に応じて相続の順位が定められています。

法定相続人の範囲と相続順位

法定相続人の範囲(誰が法定相続人となるか)や、相続の順位についてご説明します。

(1)被相続人の配偶者は常に法定相続人となる

被相続人の配偶者は、常に法定相続人となります。

一般的に、「配偶者」には法律上の配偶者(法律婚をした場合の配偶者)と内縁配偶者(事実婚をした場合の配偶者)の2種類があります。
法定相続人となる「配偶者」とは、法律上の配偶者です。
内縁配偶者は、法定相続人となりません。

このことについてご説明します。

(1-1)法律上の配偶者のみ常に法定相続人

法定相続人となる「配偶者」とは、法律上の配偶者のみを指します。
法律上の配偶者とは、婚姻届を提出して法律上の婚姻(法律婚)をした配偶者のことです。

法律上の配偶者であれば、たとえ別居中や離婚調停中であっても、常に法定相続人となります。
これに対して、離婚をすると、離婚の時から法律上の配偶者ではなくなるので、法定相続人とはならなくなります。

(1-2)内縁配偶者(事実婚の配偶者)は相続する権利がない

私は事実婚をしています。
私が死亡した後、事実婚の配偶者は私の財産を相続することができますか?

事実婚の配偶者は、法定相続人には含まれないため、あなたの財産を相続する権利はありません。
ただし、あなたが「その方に財産を遺す」旨の遺言を作成すれば、財産を受け継がせることができます。

法定相続人となる「配偶者」には、内縁関係(事実婚)にある者(内縁配偶者)は含まれません。
したがって、内縁配偶者が法定相続人となることはなく、亡くなった方(被相続人)の財産を相続することは一切ありません。

もっとも、内縁配偶者が相続をできないからといって、一切財産を受け継ぐことができなくなるわけではありません。
相続以外の方法によって財産を遺せば、亡くなった方が内縁配偶者に財産を受け継がせることができます。
例えば、亡くなった方(被相続人)が内縁配偶者に財産を遺す旨の遺言を書いた場合には、内縁配偶者が財産を得る結果となることがあります。

内縁関係(事実婚)について、詳しくはこちらをご覧ください。

事実婚の特徴とは?法律婚との違いや必要な手続きについても解説

(2)配偶者以外の法定相続人の相続順位

配偶者は常に法定相続人となりますが、配偶者以外の人も次の順位で法定相続人となります。

第1順位:子
第2順位:親
第3順位:兄弟姉妹

第1順位の人がいれば、第2順位や第3順位の人は相続しません。
第1順位の人がいない場合には、第2順位の人が相続します(第3順位の人は相続しません)。
第1順位、第2順位の人がともにいなければ、そのときに初めて第3順位の人が相続します。

配偶者以外の法定相続人の範囲とその相続順位について、解説します。

(2-1)第1順位|被相続人の子

亡くなった方(被相続人)に子がいる場合には、子が第1順位の法定相続人となります。
子が複数人いる場合には、その複数の子全員が法定相続人となります。

「子」とは、実子(いわゆる実の子、生んだ子ども)だけでなく、養子縁組によって法的な親子関係が成立した子(養子)も含みます。

相続が開始した時(主に被相続人が亡くなった時)に配偶者と子の両方が存在している場合には、その両者が法定相続人となります。
配偶者がすでに亡くなるなどして存在しない場合には、法定相続人となるのは子だけです。

相続が開始した時に子がすでに死亡している場合には、さらにその子(被相続人の孫)が代わりに法定相続人となります(このことを代襲相続と言います)。
また、子や孫もすでに死亡しているが孫の子(ひ孫)は生きているという場合には、そのひ孫が代わりに法定相続人となります(このことを再代襲と言います)。

(2-2)第2順位|被相続人の親

被相続人に子や孫、ひ孫がいない場合には、被相続人の親(父母)が第2順位の法定相続人となります。

被相続人に配偶者と親の両方がいる場合には、その両者が法定相続人です。
もし親が亡くなっており、かつ、親の親(祖父母)が存命であれば、その親の親(祖父母)が法定相続人となります。

(2-3)第3順位|被相続人の兄弟姉妹

被相続人に、子や孫、ひ孫、親、祖父母のいずれもいない場合には、被相続人の兄弟姉妹が第3順位の法定相続人となります。

被相続人に配偶者と兄弟姉妹がいる場合には、その両者が法定相続人となります。

兄弟姉妹が亡くなっているものの、兄弟姉妹の子(おいやめい)が存在する場合には、兄弟姉妹の子が兄弟姉妹に代わって法定相続人となります(代襲相続)。

なお、兄弟姉妹や兄弟姉妹の子(おいやめい)がともに亡くなっており、おいやめいの子が存命の場合には、その者が再代襲相続をするということはありません。
兄弟姉妹については再代襲は発生しないというのが法律のルールです。

(3)遺言がある場合の遺産相続

法定相続人は民法のルールで定められた相続人ですが、被相続人が「遺言」を残した場合には、基本的にはその遺言の内容が優先されます。

遺言では、法定相続人ではない者も含めて、誰にでも遺産を分け与えることができます。
例えば、次のような方に対しても、遺言によって遺産を分け与えられます。

  • 内縁配偶者
  • 離婚した元配偶者
  • 養子の連れ子
  • 配偶者の親など
  • 慈善団体
  • 親しい友人

相続順位と法定相続分について

誰が相続するか(法定相続人)という問題のほかに、誰がどの割合で相続するか(法定相続分)という問題があります。
法定相続分の概要や、複数の法定相続人があるときの法定相続分などについてご説明します。

(1)法定相続分とは?

「法定相続分」とは、法定相続人が相続できる財産の基本的な割合のことです。
法定相続分は、法定相続人の種類に応じて定められています。

法定相続人が配偶者しかいない場合(子、親、兄弟姉妹などがいない場合)には、配偶者の法定相続分は、100%となります。

配偶者がいる場合には、法定相続人と法定相続分との関係は、次のとおりとなります。

法定相続人法定相続分
配偶者と子(第1順位)配偶者 2分の1子    2分の1
配偶者と親(第2順位)配偶者 3分の2親    3分の1
配偶者と兄弟姉妹(第3順位)配偶者 4分の3兄弟姉妹 4分の1
  • 具体例1

被相続人が亡くなった時、配偶者と子1人がいたとします。
遺産が預金300万円のみであった場合、配偶者と子はそれぞれ次の額の預金を相続します。

配偶者:300万円×2分の1=150万円
子:300万円×2分の1=150万円

  • 具体例2

被相続人が亡くなった時、配偶者と妹1人がいたとします(子や親はいなかったとします)。
遺産が預金800万円のみであった場合、配偶者と妹はそれぞれ次の額の預金を相続します。

配偶者:800万円×4分の3=600万円
妹:800万円×4分の1=200万円

(2)同じ順位の法定相続人が複数いる場合

同じ順位の法定相続人が複数人いる場合があります。
例えば、子が2人以上いる場合などです。

子、親、兄弟姉妹が2人以上いるなど、同じ相続順位となる方が複数人いる場合には、法定相続分を人数で均等に割って具体的な相続分を算出します。
※例外的に、第3順位である兄弟姉妹が相続人となる場合に、被相続人と父母を異にする兄弟姉妹がいるときは、均等に割らず、被相続人と父母を異にする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は被相続人と父母を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の2分の1として算出します。

  • 具体例1〔子が相続人となるケース〕

相続人が配偶者と子2人のケースでは、まず配偶者が2分の1、子が全員で2分の1を相続することとして考えます。
そのうち、子2人は、「2分の1」を2人で均等に分け合うため、結局「2分の1×2分の1=4分の1」ずつを相続します。

  • 具体例2〔親が相続人となるケース〕

相続人が配偶者と父母のケースでは、まず配偶者が3分の2、父母が全員で3分の1を相続することとして考えます。
そのうち、父母は、「3分の1」を2人で均等に分け合うため、結局「3分の1×2分の1=6分の1」ずつを相続します。

  • 具体例3〔兄弟姉妹が相続人となるケース〕

相続人が、配偶者のほか、被相続人と父母を同じくする(全血の)妹1人、被相続人と父母を異にする(半血の)姉1人(例えば、被相続人の親の前婚の配偶者との子ども)であるケースでは、まず配偶者が4分の3、姉妹が全員で4分の1を相続することとして考えます。
そのうち、姉妹については、半血の姉が全血の妹の2分の1の割合で相続するので、結局全血の妹が「4分の1×3分の2=6分の1」、半血の姉が「4分の1×3分の1=12分の1」をそれぞれ相続します。

(3)配偶者がいない場合の法定相続分

配偶者がいない場合には、同様にこれまでにご説明した相続順位が高い人から優先して遺産を相続することとなります。

  • 具体例

相続開始時(被相続人が亡くなった時)に、配偶者はすでに亡くなっており、子が3人存命だった場合には、3人の子が等しい割合で遺産を相続するので、各々の法定相続分は3分の1となります。

【まとめ】法定相続人の相続順位は「子→親→兄弟姉妹」の順

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 「法定相続人」とは、民法のルールに基づいて亡くなった方(被相続人)の財産を相続する方のこと。
  • 被相続人の配偶者(法律上の配偶者に限る)は常に法定相続人となる。
  • 配偶者以外の法定相続人は、子、親、兄弟姉妹。
    「第1順位:子」→「第2順位:親」→「第3順位:兄弟姉妹」の順で法定相続人となる
  • 法定相続分は、「子:2分の1」、「親:3分の1」、「兄弟姉妹:4分の1」という割合。

相続を考えるにあたって、法定相続人は誰か、法定相続分はどれだけかということは、考え方の出発点となる重要なポイントです。
ぜひ間違えることなく、しっかりと押さえておくようにしましょう。

相続について分からないことがある場合には、相続を取り扱う弁護士に相談するようにしましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。神奈川県弁護士会所属

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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