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未払い給料の請求には証拠が重要…では、証拠がない場合はどうする?

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給料(賃金)の未払いという事態は、何よりも優先的に解決すべき労働トラブルのひとつでしょう。

もっとも、賃金が未払いであるという事実を証明し、会社に未払い分の賃金を請求するためには、その事実を証明できる証拠がなければなりません。

ところが、もろもろの事情によって、証拠が集まらないということが起こりえます。
そのような場合も、すぐにあきらめる必要はありません。

賃金の未払いをはじめとする労働トラブルと証拠について、今回は解説していきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

未払い賃金を会社に請求する方法

使用者には、「通貨払いの原則」「直接払いの原則」「全額払いの原則」「毎月1回以上定期払いの原則」といった労働基準法上のルールに基づいて、労働者に賃金を支払う義務があります(労働基準法第24条1項・2項)。
労働の対価として適正な賃金が支払われなければ違法であり、労務を提供した労働者は、使用者に賃金請求権を有することになります。

賃金の未払いが起こった場合に会社に支払いを請求する方法としては、大きく分けて次の3つがあります。

(1)会社に直接申し入れる

まずは証拠を揃えて、会社に対して直接請求する方法があります。
上司や人事部等に相談しても支払いを受けられない場合は、訴訟提起も視野に入れて、証拠となりうる内容証明郵便で請求書類を送付しておくとよいでしょう。

また、個人で交渉したが期待した結果が得られなかったという場合でも、弁護士に交渉を依頼すると会社がスムーズに支払いに応じてくれるケースもあります。

(2)労働基準監督署(労基署)に申告する

労働基準監督署に対して相談・申告を行うことも、会社にプレッシャーをかけるという間接的な形にはなりますが、ひとつの方法です。

労働基準監督署の役割は、管轄内の会社(事業場)に労働基準法を遵守させることにあります。
労働基準監督署は、労働者からの申告に基づいて違法の疑いがあると判断した場合には、会社(事業場)に立ち入り調査を行い、必要に応じて、是正勧告や再発防止、改善のための指導を行ってくれることがあります。

ただし、労働基準監督署に申告した場合でも、迅速に対応してもらえなかったり、行政指導や指示された斡旋等を会社が受け入れなかったりなどの理由で、現実的にトラブルが解決しないケースもあります。

(3)法的手続きをとる

給料の未払いがあった時に利用できる法的手続きには、以下のようなものがあります。

  • 地方裁判所での手続き(労働審判)
  • 簡易裁判所での手続き(支払督促、少額訴訟、通常訴訟、民事調停)

請求額が140万円以下の事案については簡易裁判所、140万円を超える事案については地方裁判所の管轄となります。

参考:労働審判手続|裁判所 – Courts in Japan
参考:支払督促|裁判所 – Courts in Japan
参考:少額訴訟|裁判所 – Courts in Japan
参考:民事調停手続|裁判所 – Courts in Japan

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

給料の未払いは違法!会社への請求方法を解説

未払いの実態を示すものとして有効な証拠の具体例

未払い賃金を請求するにあたっては、上述したいずれの方法で請求するにしても、労働条件、労働時間の実態、支払い賃金の実態を示す証拠が必要になります。
賃金の未払いを証明するために必要な証拠とは、「労働条件に関する証拠」「労働時間の実態に関する証拠」「支払い賃金の実態に関する証拠」ということになります。

具体的には、以下のような証拠が有用といえます。

  • 雇用契約書や就業規則(労働条件に関する証拠)
  • タイムカードやPC使用時間等の客観的な記録(労働時間の実態に関する証拠)
    客観的な記録が難しい場合は、業務指示書やメール、研修資料や日報、オフィスビルへの入退館記録等も証拠として認められる可能性があります。
  • 給与明細書(支払賃金の実態に関する証拠)

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

残業代請求で集めるべき証拠って何?弁護士が分かりやすく解説

手元に決定的な証拠がない場合は迷わず弁護士に相談・依頼しよう

書面や客観的な証拠がない場合にも、複数の証拠を組み合わせることで、証明力を高められる可能性があります。

また、証拠保全という民事訴訟法上の手続きにより、会社から証拠を引き出せる可能性があります。
証拠保全は、「あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情がある」(民事訴訟法234条)場合に、申立てにより、裁判所が訴訟提起に先立って証拠調べを行っておく手続きです。
例えば、証拠が廃棄・改ざんされるおそれがあると裁判所が認めた場合に、この手続きを利用して、裁判所に会社側の証拠を調べてもらうことができます。

なお、使用者には労働時間の状況を記録した上で3年間保存する義務があります(労働基準法109条)。

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働問題に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。

引用:労働基準法109条

こうした立証活動や法的手続きを行うためには、判例等に関する法務知識や労働トラブルの交渉等のノウハウが必要になるため、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

証拠以外にも落とし穴が?未払い賃金の請求における2つの注意ポイント

証拠さえあれば未払い賃金の請求ができるというわけではありません。
残業代(割増賃金)については、そもそも発生していない可能性もあります。

そこで、以下では、証拠収集以外に注意すべきポイントとして、未払い賃金請求権の消滅時効と、割増賃金の加算条件について説明します。

(1)未払い賃金の請求には消滅時効がある

未払い給料を請求する場合には、賃金請求権の消滅時効期間についての注意が必要です。
従来、賃金請求権の消滅時効期間は、当該賃金の支払期日から「2年」でしたが、2020年4月1日の改正労働基準法施行により「5年」に延長されました(労働基準法115条)。ただし、経過措置として、当面は「3年」が適用されています(同法143条3項)。

そして、改正法施行後は「2年」と「3年」の2種類の時効期間が存在することになっています。
どちらが該当するかは、支払い期日の到来日が改正法施行日以前か以後かによって分かれます。
具体的には、2020年4月1日より前に支払期日(給料日)が到来した賃金請求権については2年、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金請求権については3年が請求できる期間となります。
※最新の情報にご注意ください。

弁護士に相談や依頼すると、消滅時効期間の確認や、消滅時効期間の更新・完成猶予といった時効の完成を阻止するための法的手続きを行ってもらうことができます。

(2)法定労働時間内の残業には、割増賃金が加算されなくても違法ではない

賃金の一部である残業代(割増賃金)が、残業をしたはずなのに、実は発生していなかったということがあります。
これは、割増賃金の支給対象となるのが、あくまで「法定労働時間」を超えた「時間外労働」であるためです。

法定労働時間とは、労働基準法32条で規定されている「1日8時間・1週40時間」という労働時間の上限の定めのことをいいます。
これに対し、会社が就業規則などで独自に定める労働時間のことを「所定労働時間」(いわゆる「定時」)と呼び、両者は区別されます。

所定労働時間が7時間とされている会社で1時間残業して8時間働いた場合のように、所定労働時間を超えた労働をしたとしても、法定労働時間を上回らない限り、超えた部分も時間外労働とは扱われないため、割増賃金は発生しません。使用者は、通常の賃金を支払えば足りるということになります。

割増賃金の種類(時間外労働・休日労働・深夜労働)と支払い条件、割増率については、以下のようになっています。

割増賃金は3種類

種類支払う条件割増率
時間外
(時間外手当・残業手当)
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えたとき25%以上
時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間等)を超えたとき25%以上
(※1)
時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき(※2)50%以上(※2)
休日
(休日手当)
法定休日(週1日)に勤務させたとき35%以上
深夜
(深夜手当)
22~5時までの間に勤務させたとき25%以上

(※1)25%を超える率とするよう努めることが必要です。
(※2)中小企業については、2023年4月1日から適用となります。

参考:しっかりマスター労働基準法 割増賃金編|厚生労働省 東京労働局

残業代の計算は複雑なものになりがちですが、弁護士に相談や依頼をすると、正確な残業代(割増賃金)を算出してもらうことができ、賃金の未払いがどれくらいの額になっているのかを知ることができます。

なお、アディーレ法律事務所のウェブサイトには「残業代メーター」という請求可能な残業代を簡単に計算できるページがあります。
ただし、簡易的に計算するものであるため、実際の請求額とは異なることがあります。

【まとめ】未払い賃金について確実な証拠がない場合はすぐに弁護士に相談しよう

今回の記事のまとめは以下のとおりです。

  • 未払い賃金の請求方法は、大きく分けて「会社との直接交渉」「労働基準監督署への申告」「法的手続き」の3種類があります。
  • 未払い賃金の請求においては、労働条件、労働時間の実態、支払い賃金の実態を示す証拠収集が重要になります。
  • 決定的な証拠を収集できなかった場合でも、複数の証拠の組み合わせや会社に対する証拠保全手続きによって残業の事実を立証できる可能性があります。
  • 証拠収集以外にも、未払い賃金の消滅時効と、割増賃金の加算条件なども注意が必要です。

賃金の未払いでお悩みの方は、公的機関や弁護士などの専門家にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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