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退職代行サービスで即日退職は可能?弁護士に依頼するメリットも解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「今すぐ仕事を辞めて、もう会社に行きたくない…退職代行サービスを使ったら即日辞められるかな。」

法律上、退職が可能な時期は契約によって異なりますので、あなたがすぐに会社を辞めたいと思っても会社が承諾しない場合、すぐには辞められないことが多いです。
ただし、実は、法律上即日退職ができない場合であっても、退職日まで分の有休が残っている場合には、退職まで有休を消化することにより、事実上会社に行かずに退職することは可能です。
弁護士に依頼した場合、会社が退職を承諾しない場合には、あなたに代わって会社と交渉をすることができます。

今回の記事では、

  • 法律上の退職可能時期
  • 退職と有給消化
  • 弁護士による退職代行サービスに依頼するメリット

などについてご説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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退職代行サービスで即日退職は可能か

退職代行サービスには「即日対応」を可能としているものもあります。
「即日対応」ということは、即日退職することが可能なのでしょうか。

この点について、法律上のルールも説明しながら解説していきます。

(1)法律で定められた退職のルール

退職が可能になる時期は、契約によって異なりますので、まずは、ご自身の雇用契約がどのような形態になっているのかご確認ください。

(1-1)無期雇用労働者(働く期間が特に決められていない場合)の場合

民法では、正社員のような「無期雇用労働者」は、2週間前に退職の意思を伝えればよいということになっています(民法627条1項)。
この場合、会社の承認がなくても、労働者が退職を申し出てから2週間を経過したときは退職の効果が生じます。
退職理由は何でも構いません。「一身上の都合」といったもので十分です。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

引用:民法627条1項

社内規則では、「退職したい場合には1ヶ月以上前に申し出ること」と規定されていますが、この場合も2週間で退職できますか?

社内規則よりも法律が優先されます。
社内規則で「退職する場合は1ヶ月以上前に申し出ること」という決まりがあったとしても、2週間前に退職を申し入れれば退職することが可能です。

(1-2)有期雇用労働者(働く期間が決められている場合)の場合

一方で、労働契約に期間の定めがある「有期雇用労働者」は、契約した期間の途中で退職するには、病気やケガ、親の介護など「やむを得ない事由」が必要(民法628条)とされています。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

引用:民法628条

なお、契約期間が1年を超える場合には、一定の高度な専門的知識を有する労働者などの一部の例外を除いて、契約初日から1年経過によりいつでも退職可能です(2022年9月時点)。
また、雇用期間が更新された後は、退職申し出から2週間経過で退職できるようになります。

法律上の退職可能時期について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

(2)有給消化により「実質的な」即日退職は可能

今ご説明したとおり、退職が可能な時期は法律で定められていますので、退職代行サービスを利用しても、本当の意味での「即日退職」をすることは基本的には難しいといえます。

ただし、次のようなケースでは、即日退職が可能です。

会社が即日退職に合意した場合
会社と労働契約する際に明示された労働条件と、実際の労働条件が異なる場合(労働基準法15条第2項)。

さらに、有給消化により「実質的な」即日退職を実現することは可能です。

無期雇用労働者の場合、退職を申し出る時点で2週間以上の有給休暇が残っていれば、それを利用して、有給消化することにより、退職の効果が生じるまで会社を休むことができます。
そうすれば、実質的には即日退職したのと同じような状態になります。

有給休暇(法律上は「年次有給休暇」といいます)は、入社からの日数や出勤日数などの要件を満たした全ての労働者に与えられるものです(労働基準法39条)。
有給休暇を与える義務は労働基準法で定められているものですので、もし経営者が「うちの会社には有給休暇などない」などと言っていたとすればその言葉は誤りであり、現実にそのような状況であったとすれば労働基準法違反となります。

有給の取得は労働者の権利です!

会社は有給の時期をずらすことができると聞いたことがあるんですが…。

それは有給の「時季変更権」のことですね。
結論から言うと、退職時には会社は時季変更権を行使できません。

会社に退職を切り出すと、有給休暇の時季変更権(労働者に請求された有給休暇の時季が事業の正常な運営を妨げる場合、他の時季に変更できる使用者側の権利)を主張されるケースもあります。
ですが、退職する際の有給休暇の消化については、会社は時季変更権を行使できません。

有給の時季変更権

会社の事業の正常な運営を妨げる場合

有給が2週間以上残っている場合

退職までの期間以上の有給が残っている場合、会社が時季変更権を行使すると有給を取れないまま退職することになってしまいますので、会社は時期変更権を行使できないのです。

この場合に「引き継ぎをしてもらわないと困る」などと理由をつけて、退職する際の有給消化をさせないという行為は違法なのです。

退職前の有給消化について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

退職代行での即日退職では会社とトラブルになる可能性もある

ところで、退職代行サービスを利用したからといって、必ず円満に解決できるとは限りません。
そこで、退職代行サービスを利用して実質的な即日退職を申し出た場合に想定されるトラブルを紹介します。

(1)協議・交渉を求められる可能性がある

退職代行サービスを利用しても、会社は「突然やめられると困る」ということで、協議や交渉を求めてくる可能性があります。

中には、突然やめられて迷惑を被ったとして、会社から損害賠償を請求されたりするケースもあります。

状況にもよりますが、トラブルを避けるためにも、常識的な引継ぎ程度は行っておいた方がよいケースも多いでしょう。

即日退職にこだわるよりも、余裕をもって退職を告げて円満に退職した方が、余計なトラブルに巻き込まれずに済むことも多いです。

(2)退職代行業者は、トラブル解決に向けた交渉ができない

たとえトラブルに巻き込まれるリスクがあったとしても、どうしても実質的な即日退職をしたいという人もいます。
そのような人は、次の2点について知っておくべきでしょう。

  • 退職代行サービスには、弁護士によるものとそうでないものがあること
  • 弁護士でない退職代行業者は、会社との「交渉」はできないこと

退職にあたり、退職日やそれまでの有休取得についてトラブルが発生したとき、依頼者に代わって会社と交渉などの対応をすることができるのは弁護士だけです。
というのは、弁護士でない退職代行業者が交渉などの対応を代行すると、「非弁行為」として弁護士法違反になってしまうのです(弁護士法72条)。

「非弁行為」とは、弁護士ではない者が報酬目的で行う法律事務の取扱い行為や訴訟事件を行うことで、弁護士法72条で禁止されている違法行為です。
そして、退職代行にあたり会社と交渉することも、基本的には「非弁行為」にあたります。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に定めがある場合は、この限りでない。

引用:弁護士法72条

退職代行業者が交渉できない場合には、ご自身で対応するか、改めて弁護士に交渉を依頼しないといけません。

即日退職したい人が弁護士による退職代行サービスを利用するメリット

それでは、弁護士に退職代行を依頼するメリットについて説明していきます。

(1)弁護士法違反のリスクがない

弁護士でない退職代行業者は、退職の意思を会社に伝えることや、形式的な事務処理を代行することしかできず、会社との協議や交渉には対応できません。
もし対応すれば上記のとおり弁護士法に違反してしまうからです。

弁護士であれば、会社側から協議や交渉を求められた場合でも、合法的な対応が可能であり、法律に違反するリスクがありません。

(2)退職に伴って必要となる各種手続も代行可能

弁護士であれば、退職されたい方の「代理人」になることができます。

ですから、有給休暇の取得交渉、離職票や源泉徴収票の請求、健康保険や年金、雇用保険の手続きなど、退職に伴って必要となる各種手続も全て弁護士に任せることができます。

職場でのパワハラや長時間労働などで心身に疾患が発生していた場合には、労災認定の手続も任せることができます(※ただし、退職代行とは別に費用が発生する場合もあります)。

(3)もし損害賠償を請求されても対応可能

退職の報復のようなタイミングで会社から損害賠償を請求された場合でも、弁護士に退職代行を依頼していれば、その協議交渉や裁判対応なども、その弁護士に別途依頼して、対応をしてもらうことができます。

その結果、不当に高額な賠償金を支払わなければならなくなるような事態を防ぐことができます。

(4)未払い賃金などの請求も代行可能

労働者を退職させてくれないような会社では、賃金が未払いになっているケースもあります。
そうした場合に、残業代を含む未払い賃金の請求も、別途弁護士に依頼することができます。
本来支給されるはずの退職金が支給されない場合には、退職金の請求も可能です。

職場でのパワハラやセクハラによって精神的な苦痛を受けた場合には、慰謝料請求についても相談できます。

(5)退職に失敗するリスクが低い

弁護士を通じて会社に退職を申し入れれば、会社側には労働者の本気度が伝わります。

また、実際には訴訟にまで発展するようなケースは稀ですが、弁護士であれば、最終的には訴訟を起こして退職を実現することが可能です。
そのため、会社側も、初めから法律を無視したような無理な主張をしてこようとは思わないでしょう。

その結果、きちんとした法的手続を踏んで、円満に退職を完了できる可能性が高いといえるでしょう。

即日退職の代行を依頼する弁護士の選び方

弁護士には、それぞれ特に注力している分野があります。
退職代行に関する問題を依頼するにあたっては、労働問題に積極的に取り組んでおり、労働問題を取り扱った経験が豊富な弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士の過去の実績については、法律事務所のホームページに掲載されていることも多いので、チェックしてみるとよいでしょう。

対応の早さや、対応の内容についても、しっかり確かめておきましょう。

また、弁護士も人ですので、相談者(依頼者)との相性があります。
相談を持ち込む際には、弁護士と直接連絡をとってみて、相談しやすく説明がわかりやすいかどうか、信頼できるかどうか等についての判断を十分にした上で、依頼をするのがおすすめです。

【まとめ】有給が残っている場合には、退職まで有休を取得し、実質的に即日退職できる可能性がある

今回の記事のまとめは次の通りです。

  • 民法では、正社員のような「無期雇用労働者」は、原則として2週間前には退職の意思を伝える必要がある。
  • 退職日までの日数以上の有給が残っている場合、退職まで有給を使うことにより「実質的に」即日退職の状態を作り出すことが可能。
  • ただし、退職まで有給を使う場合、引き継ぎなどをめぐって会社とトラブルになることもあるため、可能であれば、引き継ぎをきちんと済ませた後に退職をすると良い。
  • 弁護士でない退職代行サービス業者は、退職をめぐる会社との「交渉」は出来ない。
  • 弁護士に退職代行を依頼すると、万が一、退職をめぐって会社とトラブルが起きても弁護士が直接会社と「交渉」できる。

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この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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