土地の相続について考える時、多くの人は「財産を受け取ること」が前提だと思います。しかし、実際には「誰も相続したくない土地」という問題が発生することも少なくありません。
例えば、相続人全員が相続を放棄したり、そもそも相続人が存在しなかったりするケースがあるのです。これらの状況がどのようにして生じるのか、そしてその背景にはどんな理由があるのかをくわしく見ていきましょう。
この記事を読むことで、相続放棄の手続きやその後の土地の扱い方、さらには法的リスクや土地の有効活用方法について理解を深めることができます。相続に関する問題を解決するための第一歩として、ぜひご一読ください。
この記事を読んでわかること
- 相続人全員が相続放棄した場合などに誰も相続しない土地が発生する
- 誰も相続しない土地は、売却だけではなく国や地方公共団体に引き取ってもらうこともできる
- 相続放棄後であっても土地の管理をしなければならないケースもある
ここを押さえればOK!
・土地を売却する
・空き家バンクに登録する
・近隣の住民に譲渡する
・地方自治体に寄付する
・国に引き取ってもらう
これらの方法を選択することで、誰も相続しない土地が放置されることを防ぎ、近隣住民への迷惑を避けることができます。
そして、相続放棄をする場合の注意点としては、(1)相続放棄は3か月以内に行う必要があること、(2)次順位の人に影響が及ぶこと、(3)相続放棄後も一時的に土地の管理責任が残る可能性があることです。相続放棄を行う場合には、これらの注意点も理解して、適切に手続きを進めることが求められます。
アディーレ法律事務所
同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属
誰も相続しない土地が発生する理由
誰も相続しない土地が発生する理由としては、次の2つが挙げられます。
- 誰も相続したがらず、相続人全員が相続放棄した
- そもそも相続人がいない
それぞれ見ていきましょう。
(1)誰も相続したがらず、相続人が全員相続放棄した
誰も相続したがらない理由としては、次の3つが考えられます。
- 土地の市場価値が低く、売却しても利益が出ない
- 税金がかかる
- 管理が難しい(特に遠方に住んでいる相続人であれば土地を管理に労力や時間がかかる)
土地を相続したくない理由がある場合には、相続人が相続放棄をします。
相続人全員が相続放棄をすると、誰も相続しない土地が発生することになります。
ただ、土地がいらないからといって、土地だけを相続放棄するということはできません。
相続放棄をする場合には、土地だけではなくすべての相続財産を放棄する必要があります。
(2)相続人がいない
亡くなった人の相続人がないことも誰も相続しない土地が発生する理由の1つです。
例えば、亡くなった人に子供がおらず、親や兄弟も先に死んでいる場合には相続人がいないことになります。
誰も相続しない土地を手放す方法
誰も相続しない土地を手放す方法としては、次の5つの方法が考えられます。
- 土地を売る
- 空き家バンクに登録する
- 近隣の住民に譲る
- 土地を地方自治体に寄付する
- 国に引き取ってもらう
誰も相続しないからといって放置することはおすすめしません。
誰も相続しない土地を放棄すると、近隣住民に迷惑をかけることがあります。例えば、雑草が生い茂り、害虫の発生源となることなどが考えられます。
(1)土地を売る
土地を手放す最も一般的な方法は売却です。
相続人全員の合意のもと、土地を売却し、売却代金を相続人で分配する方法です。
少しでも高く売るためには、複数の不動産会社に土地の査定をしてもらうとよいでしょう。
(2)空き家バンクに登録する
空き家バンクを利用することで空き家を有効に活用できます。
空き家バンクとは、市区町村が運営する空き家情報のデータベースで、空き家を持つ人とり利用したい人をマッチングさせる制度です。
不動産会社が仲介してくれない空き家であっても、空き家バンクに登録すれば、空き家の買い手を見つけることができる可能性があります。
(3)近隣の住民に譲る
近隣の住民に売却や譲渡を持ちかける方法です。
例えば、その土地を購入することで、自身の土地が広くなるなど近隣の住民にメリットがある場合には関心を持ってもらえるかもしれません。
(4)土地を地方自治体に寄付する
誰も相続しない土地は寄付することができる可能性があります。
市区町村がその土地を利用したいと考えている場合には、寄付を受け入れてくれることもあります。
(5)国に引き取ってもらう
相続土地国庫帰属制度を利用することで土地を国に引き取ってもらえます。
土地の所有者が手放すことを希望し、一定の条件を満たす場合に適用されます。
土地の相続放棄とは
土地を相続したくない場合には「相続放棄」をする必要があります。
ここでは、相続放棄の方法とその注意点を解説します。
(1)相続放棄の方法
相続放棄は家庭裁判所への申述で行われます。
- 必要書類の準備:相続放棄申述書、亡くなった人と相続放棄する人の戸籍謄本など
- 家庭裁判所への申述:被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述
- 照会書への回答:家庭裁判所から照会書が届いた場合には、照会書に回答をする
- 相続放棄申述受理通知書が届く:問題がなければ、相続放棄申述受理通知書が届く
家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届けば、家庭裁判所に相続放棄が認められたことになります。
(2)相続放棄を行う際の注意点
相続放棄を行う場合には、次の3つのことに注意してください
(2-1)相続放棄は3ヶ月以内に行う
相続放棄は、自分が相続人であることを知った日から原則3ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎた場合、借金などの負債を含めた遺産すべてを相続しなくてはなりません。
(2-2)次順位の人に影響が及ぶ
次順位の相続人が存在する場合、相続放棄の影響が及びます。
例えば、子供が相続放棄を行うと、次順位の相続人である「亡くなった人の親」や「兄弟姉妹」が相続人となります。
亡くなった人の親や兄弟姉妹は、子供の相続放棄がなければ本来相続人ではない人達です。相続放棄をする場合には、事前に「相続放棄をするので、次はあなたたちが相続人となります」と伝えておくのがよいでしょう。
(2-3)相続放棄後も土地の管理をしなければならない可能性がある
相続放棄をした場合でも、その時点で空き家を占有している場合には、後順位の相続人か相続財産清算人に引き渡すまで、自己の財産と同一の注意をもって、その空き家を保存しなければなりません。
例えば、雨漏りの修繕や屋根の補修など、建物を保全するための最低限の措置をとったり、不法侵入を防ぐための施錠や定期的な見回りをしたりする必要があります。
後順位の相続人も相続放棄をした場合やあなた以外に相続人がいない場合には、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てるようにしましょう。相続財産清算人が選任されると、相続財産清算人が土地の管理を引き継ぎます。
【まとめ】誰も相続しない土地は、早めに手放すことがおすすめ!
この記事をまとめると、次の通りです。
- 誰も相続しない土地が発生する理由
- 相続人全員が相続放棄
- 相続人がいない
- 誰も相続しない土地を手放す方法
- 土地を売却
- 空き家バンクに登録
- 近隣の住民に譲る
- 地方自治体に寄付
- 国に引き取ってもらう
- 相続放棄の注意点
- 相続放棄は3か月以内に行う
- 次順位の人に影響が及ぶ
- 相続放棄後も土地の管理責任が残る可能性がある
相続に関する問題を解決するためには、専門家のアドバイスが不可欠です。早めに法律事務所や専門家に相談し、適切な対策を講じましょう。問題を先送りせず、今すぐ行動することが重要です。
アディーレ法律事務所では、相続放棄に関するご相談は何度でも無料ですので、フリーコール0120-554-212までご連絡ください。
アディーレ法律事務所に相続放棄をご依頼いただければ、次のことを弁護士が代わりに行います。
- 戸籍謄本の収集
- 相続人の調査
- 裁判所に対して行う相続放棄の申述
- 裁判所からの照会書に対する対応
- 相続放棄申述受理通知書の受領
- 支払いの督促をされている債権者へ相続放棄したことの連絡
- 後順位相続人へのご連絡およびご説明
これにより、ご依頼者様の負担を減らすことができます。
もし、相続放棄のお手続きが完了しなかった場合(相続放棄の申述が受理されなかった場合)、弁護士費用は、原則として全額返金となりますので、安心してご依頼いただけます。
(※以上につき2024年11月時点)
アディーレ法律事務所では、相続放棄を積極的に取り扱っています。
相続放棄でお悩みの方は、アディーレ法律事務所(フリーコール0120-554-212)にご相談ください。