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疎遠な親の相続問題の対処法(後編)|具体的な手続きと注意点

作成日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

長年疎遠だった親の相続問題に直面し、自分が選択すべきことはわかったけど、具体的に次に何をすべきか悩んでいませんか?

本記事では、相続問題に直面した方が選択した手続きについて、弁護士の視点から詳しく解説します。

例えば、相続を選択する人に向けて、相続手続きの流れから遺産分割のコツを説明しています。また、相続放棄を選択する人に向けては、相続放棄の具体的な手続きや注意点を説明します。

疎遠な親の相続でも、なるべく相続トラブルは避けたいものです。円滑に相続問題を解決するため、必要な情報をお伝えできれば幸いです。

ここを押さえればOK!

疎遠な親の相続問題に直面した際、大きく、相続か相続放棄かという選択肢があります。
相続を選択した場合の手続きは以下の5ステップで進めていきます。
(1)相続人の確定
(2)相続財産の調査
(3)債務の確認
(4)遺産分割協議
(5)各種名義変更
相続放棄を選択する場合は、以下の3点に注意が必要です。
・相続開始を知ってから3ヶ月以内に申述する
・一部放棄は不可能
・原則として撤回不可
相続するにせよ相続放棄するにせよ、不安や疑問がある場合は相続問題を扱っている弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に依頼すれば、弁護士のサポートにより、相続問題にかかる労力や精神的負担を軽減できるでしょう。
この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

弁護士 重光 勇次

アディーレ法律事務所

同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

疎遠な親の相続手続きの流れ:5つのステップで解説

親の遺産を相続するという選択肢を選んだ方に向けて、相続手続きの流れを説明します。相続手続きは複雑に見えますが、以下の5つのステップに分けて考えることで、より理解しやすくなります。

  1. 相続人の確定:戸籍謄本で相続人を特定
  2. 相続財産の調査:預金、不動産など資産の把握
  3. 債務の確認:借金や未払い税金のチェック
  4. 遺産分割協議:相続人間での話し合いと合意形成
  5. 各種名義変更:不動産や預金口座の手続き

これらのステップを順番に進めていくことで、相続手続きを着実に進めることができます。

特に疎遠な親の相続の場合、情報収集に時間がかかることがあるため、早めの着手が重要です。また、各ステップで弁護士、税理士、司法書士などのサポートを受けることで、より円滑に手続きを進められるでしょう。

相続手続きは、法的な側面だけでなく、相続人同士で話し合うことで、家族関係を見直したり、再構築の機会にもなり得ます。

(1)相続人の確定:戸籍謄本で確認

相続人の確定は、相続手続きの第一歩です。被相続人(亡くなった人)の戸籍謄本を取得し、相続人を特定します。

【手順】

  1. 被相続人の本籍地の市区町村役場で戸籍謄本を取得
  2. 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を収集
  3. 戸籍を確認し、法定相続人を特定

【注意点】

  • 郵送でも取り寄せ可能だが、方法・費用は取り寄せる役場に確認する
  • 養子縁組や離婚歴がある場合は特に注意が必要
  • 相続放棄をした人がいる場合、次順位の相続人を確認
  • 疎遠な親族がいる場合、所在確認が必要になることも

相続人の確定は、その後の手続きの基礎となる重要なステップです。

被相続人が生前引っ越し、結婚・離婚歴などで本籍地が変わっている場合には、複数の本籍地から戸籍を取り寄せる必要があります。

仕事や家事・育児など忙しい毎日を送りながら、被相続人の出生から死亡までもれなく戸籍を集めるのは、なかなか骨の折れる作業です。

相続手続きについて弁護士に依頼すると、基本的に弁護士が代わりに相続手続きに必要な戸籍を収集します。

(2)相続財産の調査:預金や不動産の把握

相続財産の調査は、相続の全体像を把握するために不可欠です。プラスの財産(資産)とマイナスの財産(債務)の両方を調査します。

【調査対象】

  • 預貯金:銀行や郵便局の残高証明書を取得
  • 不動産:法務局で入手できる登記簿謄本(登記事項証明書)で所有権を確認
  • 有価証券:証券会社などに問い合わせ
  • 生命保険:保険証券や保険会社窓口で契約内容を確認
  • 動産:貴金属、美術品、車両など
  • 債務:住宅ローン、カードローン、税金の未払いなど

【調査方法】

  • 被相続人の自宅を探索し、関連書類(カード、通帳、取引が分かる書類など)を確認
  • 通帳から口座間の資金移動がないか確認
  • 金融機関や関係機関に直接問い合わせ、資料を取り寄せる
  • 必要に応じて弁護士や司法書士に依頼

相続財産の全容を把握することで、適切な遺産分割の基礎ができます。

また、隠れた資産や債務を発見することで、後で相続問題が再燃することを防ぐことができます。もし、遺産分割後、新たに判明した遺産が見つかった場合、遺産分割を無効とするか、新たに遺産分割するかしなければならないからです。

特に疎遠な親の場合、情報が限られていることがあるため、慎重かつ徹底的な調査が重要です。

なお、債務の調査の前に遺産を使うのは避けた方がいいでしょう。例えば、預金を下ろして使ってしまったりすると、単純承認したとみなされますので、後々多額の債務が判明して相続放棄したくても、相続放棄ができません。

通常金融機関は、相続人に対しては、被相続人の口座情報を開示します。万が一拒否された場合には、弁護士に依頼すると、弁護士が弁護士会照会という方法で預金を調査することができる可能性があります。

(3)債務の確認:借金や税金の有無チェック

債務の確認は、相続財産の中でも特に重要です。知らずに相続してしまうと、予期せぬ債務を負うことになりかねません。

【主な債務の種類】

  • 住宅ローン
  • 管理費など住居関連費用の未払い
  • カードローン、消費者金融からの借り入れ
  • 自動車ローン
  • 保険料や携帯代金などの各種未払い
  • 未払いの税金(所得税、固定資産税など)
  • 医療費や介護費用の未払い
  • 事業関連の債務(個人事業主の場合)

【確認方法】

  • 被相続人の自宅にある書類(取引履歴、督促状、契約書、領収書など)を確認
  • 登記簿(登記事項証明書)で抵当権の設定の有無、借入先を確認
  • 被相続人の金融機関に残高証明書を請求
  • 税務署や市区町村役場に未払い税金を確認
  • 医療機関や介護施設に未払い費用を確認

債務がプラスの遺産を上回る場合、相続放棄や限定承認を検討する必要があります。

債務の調査と確認は、どのような選択をするか(単純承認、限定承認、相続放棄)を決める上で極めて重要です。特に疎遠な親の場合、隠れた債務がある可能性も考慮し、慎重に調査することが大切です。

(4)遺産分割協議:相続人間での話し合い

遺産分割協議は、相続人全員で相続財産の分け方を決める重要なプロセスです。円滑な協議のために、以下のポイントに注意しましょう。

【協議のポイント】

  • 全相続人の参加:全員の合意が必要
  • 公平性の確保:法定相続分を基準に考える
  • 各相続人の事情考慮:生活状況や貢献度を考慮
  • 現物分割vs換価分割 vs 代償分割:不動産などの扱いを決定
  • 書面化:遺産分割協議書の作成

【注意点】

  • 感情的にならず、冷静な話し合いを心がける
  • 必要に応じて弁護士、税理士などに相談
  • 協議が難航する場合、調停や審判の利用を検討

疎遠な親の相続だと、他の相続人との関係も疎遠である可能性があります。遺産分割協議は、そのような相続人との関係を修復する機会にもなります。長年の疎遠状態を解消し、新たな関係を築くきっかけとして捉えることも大切です。

しかし、次のような事情から、遺産分割協議を弁護士に依頼する人も少なくありません。弁護士に依頼すれば、弁護士があなたの代わりに他の相続人と遺産分割について話し合って合意を目指します。

  • 相続人同士連絡を取ることが困難
  • 相続人が多数いる
  • 相続人と直接やりとりすることができない
  • 多忙で疎遠な親の相続にそこまで時間をかけられない など

とくに遺産分割協議書については、遺産の漏れや間違いがあると、せっかく解決したと思った相続問題が後で再燃するおそれがありますので、弁護士などに作成を依頼することをお勧めします。

(5) 各種名義変更:不動産や預金口座の手続き

遺産分割協議が終了したら、相続した財産の名義変更手続きを行います。主な手続きは以下の通りです。

  • 不動産の名義変更
    • 法務局で相続登記を行う
    • 必要書類:相続登記申請書、登記事項証明書、遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、全相続人の戸籍謄本、全相続人の印鑑証明書など
  • 預貯金の名義変更
    • 各金融機関で手続き
    • 必要書類:銀行所定の申請用紙、被相続人のカードや通帳(あれば)、遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、全相続人の戸籍謄本、全相続人の印鑑証明書など。具体的には各金融機関に問い合わせる。
  • 有価証券の名義変更
    • 証券会社などで手続き
    • 必要書類:証券会社所定の申請用紙、遺産分割協議書、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、全相続人の戸籍謄本、全相続人の印鑑証明書など。具体的には各証券会社に問い合わせる。
  • 自動車の名義変更
    • 陸運局で手続き
    • 必要書類:一人で相続するか、複数人で相続するかによって異なる。ひとりで相続する場合、移転登録申請書、手数料納付書、遺産分割協議書、被相続人の死亡が確認でき、被相続人と相続人全員の関係が分かる戸籍謄本、新所有者の印鑑登録証明書など

【注意点】

  • 不動産の相続登記は2024年4月1日から義務化された
  • 不動産の相続登記は相続してから3年以内に行う必要がある、自動車の移転登録は相続してから15日以内に行う必要があるなど、期限に注意
  • 各種書類は、3ケ月以内に発行されたものなど、発行期限がある場合も
  • 法定相続情報証明制度を利用すれば、戸籍謄本等の代わりに、法務局から交付される法定相続情報一覧図の写し(法務局交付)を利用できる。
  • 戸籍謄本の束(被相続人の出生から死亡まで、各相続人の戸籍を含む)は原本を提出するが、返却を希望すれば基本的に返してもらえる。
  • 自動車は、売却する予定であれば買取業者が名義変更を代行してくれる場合もある。
  • 相続税の申告が必要な場合は、申告期限(相続開始を知ってから10ヶ月以内)に注意
  • 手続が複雑で間違いがあると大変なので、税に関しては税理士、不動産登記名義変更は司法書士に相談を検討する

名義変更手続きは、相続手続きの最終段階です。

手続を行う相手に一つ一つ確認しながら、書類を集めて確実に行っていきます。

ここまで、相続を選択した方に向けて、相続手続きについてご説明しました。

次は、相続放棄をする方に向けて、相続放棄のポイントなどを詳しく説明します。

相続放棄のポイント:3つの重要事項

相続放棄は、被相続人の権利義務を全て放棄する選択肢です。特に疎遠な親の相続で、債務が多いと予想される場合や、相続に関わりたくない場合に選択されます。しかし、相続放棄には厳格なルールがあり、特に以下の3つの重要事項を理解しておく必要があります。

  • 期限厳守:相続開始を知ってから3ヶ月以内の申述が必須
  • 全部放棄:一部放棄(例えば債務だけ放棄)は不可能
  • 撤回不可:一度放棄したら原則取り消せない

これらのポイントを踏まえ、慎重に判断することが重要です。

相続放棄は、相続人として有する法的な権利を放棄する重大な決定であり、同時に家族関係にも影響を与える可能性があります。判断に迷う場合は、相続放棄を扱う弁護士に相談することをおすすめします。

(1)期限厳守:3ヶ月以内の申述が必須

相続放棄の最も重要なポイントは、厳格な期限があることです。民法で定められた期限は以下の通りです。

  • 相続開始を知った日から3ヶ月以内

通常、親が死亡した場合、被相続人の死亡日と相続開始を知った日は同じになります。その場合は、親が死亡した日から3ケ月以内です。

しかし、疎遠な親の場合、死亡日と、実際に死亡を知った日=相続開始を知った日がずれることが少なくありません。

例えば、2024年1月15日に親が死亡し、相続人がその死亡を知ったのが2024年5月15日というケースでは、相続開始を知った日は2024年5月15日になります。そこから3ケ月以内が、相続放棄の期限になります。

また、財産調査に時間がかかるなど事情がある場合には、家庭裁判所にこの期間の伸長を願い出ると、認められるケースがあります。

【相続放棄の手順】

  1. 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所が手続きする場所
  2. 申述書や必要書類(申述書、被相続人の住民票除票、相続放棄をする人の戸籍謄本、被相続人が死亡したことの記載のある戸籍謄本など※)、費用を準備して提出
  3. 家庭裁判所から照会書が届いたら回答する
  4. 家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く

※必要書類は、相続放棄をする人と被相続人との関係によって異なる

【注意点】

  • 期限を過ぎると原則として相続放棄はできない
  • 「相続開始を知った日」の解釈が重要
  • 特別な事情がある場合、期限延長が認められることもある

期限を守れなかった場合、原則として相続を承認したとみなされます。特に疎遠な親の相続の場合、相続開始を知るのが遅れる可能性があるため、注意が必要です。

借金がないと思って疎遠な親の相続をそのままにしていたけど、債権者からの請求で初めて借金を知ったようなケースでは、借金があることを知った日が相続開始を知った日であるとして、相続放棄が認められるケースもあります。

3ケ月の期間を過ぎていても、例外的に相続放棄ができるケースもあります。一度、相続放棄を扱う弁護士に相談してみるとよいでしょう。

(2)全部か無か:一部放棄は不可能

相続放棄は、相続財産の全部について行うものであり、次のように、一部のみを放棄することはできません。

【具体例】

  • ×:不動産だけ相続し、債務は放棄する
  • ×:プラスの財産のみ相続し、マイナスの財産は放棄する

【注意点】

  • 相続放棄は個人単位で行う(他の相続人の判断に影響されない)
  • 相続放棄後、次順位の法定相続人が相続人になる

相続放棄すると、自分が相続人ではなくなりますので、被相続人の権利義務は一切相続しません。

特に疎遠な親の相続の場合、財産状況が不明確なことがあるため(借金がないと思っていたがあった、財産がないと思っていたらあったなど)、慎重な判断が求められます。

(3)撤回不可:一度放棄したら取り消せない

相続放棄の決定は、次のような理由から、一度行うと原則として撤回や取り消しはできません。

【撤回不可の理由】

  • 相続人の地位の安定性を保つため
  • 他の相続人や第三者(債権者)の利益を保護するため

【注意点】

  • 錯誤、詐欺、強迫による相続放棄の場合には、取り消しが認められる可能性がある
  • 相続放棄の申述書を提出した後でも、家庭裁判所が受理する前であれば、取り下げは可能

相続放棄を検討する際は、将来的な状況変化も考慮に入れる必要があります。例えば、後から予期せぬ資産が見つかった場合でも、相続放棄を取り消すことはできません。

特に疎遠な親の相続の場合、情報が限られていることがあるため、相続財産を調査したうえで、慎重な判断が求められます。不安や疑問がある場合は、相続放棄を扱う弁護士などに相談することをおすすめします。

よくある疑問と回答:疎遠な親の相続Q&A

相続は、人生でそれほど多くあることではありませんので、わからないことも多く、疑問が多数浮かぶのも当然です。

ここでは、疎遠な親の相続に関して、よくある質問とその回答を紹介します。

これらの疑問に対する理解を深めることで、相続に関する不安や戸惑いを軽減できれば幸いです。さらに詳しい説明が必要な場合や、個別の状況に応じたアドバイスが必要な場合は、弁護士や税理士などに相談することをおすすめします。

(1)相続税の負担:どんな場合に発生する?

相続税は、相続財産の総額が一定の金額を超える場合に発生します。具体的には以下の条件で判断されます。

  • 相続税が発生する条件: 相続財産の総額 > 基礎控除額(3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)

例:相続人が配偶者と子2人の場合 基礎控除額 = 3000万円 + 600万円 × 3人 = 4800万円 

この例では、遺産が4800万円を超える場合には相続税がかかることになります。

【注意点】

  • 相続開始前3年以内の贈与財産も相続財産に含まれる(相続開始日が2026年12月31日まで)
  • 生命保険金や退職金の非課税枠がある
  • 配偶者の税額軽減制度がある(一定条件下で配偶者は相続税がかからない)

相続税の計算は複雑で、財産の評価方法や各種特例の適用によって大きく変わります。特に特例は、頻繁に改正されたり新設されたりします。相続税の計算は、税理士に相談することをおすすめします。

(2)相続放棄後の責任:本当に借金から解放されるか?

相続放棄を適切に行えば、相続に関する権利義務から完全に切り離されます。これには借金からの解放も含まれます。

【相続放棄の効果】

  • 相続人ではなかったことになる
  • 相続財産に対する権利を失う
  • 借金を返済する義務からも解放される

【注意点】

  • 相続放棄は家庭裁判所への申述が必要(期限:相続開始を知った日から3ヶ月以内)
  • 相続財産を処分したり、隠匿したりした場合は、単純承認したとみなされるので、相続放棄できなくなる
  • 相続放棄しても、債権者が相続放棄の事実を争って訴訟を起こしてくることが稀にある

相続放棄は、一度行うと原則として撤回できませんので、慎重な判断が求められます。判断に迷う場合は、相続放棄を扱っている弁護士に相談することをおすすめします。

(3)遺言書の効力:疎遠でも従う必要がある?

適法に作成され有効である遺言書は、たとえ疎遠であっても法的効力を持ちます。相続人は遺言の内容に従う必要があり、法定相続分よりも優先します。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 遺言書の有効性
    • 方式や内容が法律の要件を満たしているか
    • 遺言能力(遺言時の判断能力)があったか
  • 遺留分侵害
    • 遺留分権利者の権利を侵害していないか
    • 遺留分が侵害されている場合、遺留分侵害額請求が可能
  • 遺言執行者の存在
    • 遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者が遺言書に書かれた被相続人の意思を実現するために手続きを行う

疎遠な親が遺言書を残していて、その内容や作成経緯などに疑問がある場合、まずはその有効性を確認することが重要です。必要に応じて、弁護士に相談し、法的な観点から遺言書の効力を検討することをおすすめします。

まとめ|相続も相続放棄も、ポイントを押さえて着実に手続きを!

  • 相続手続きの5つのステップ
    1. 相続人の確定:戸籍謄本による法定相続人の特定
    2. 相続財産の調査:預金、不動産など資産の把握
    3. 債務の確認:借金や未払い税金のチェック
    4. 遺産分割協議:相続人間での話し合いと合意形成
    5. 各種名義変更:不動産や預金口座の手続き
  • 相続放棄の3つの重要ポイント
    • 期限厳守:相続開始を知った日から3ヶ月以内の申述が必須
    • 全部か無か:一部放棄は不可能
    • 撤回不可:一度放棄したら原則取り消せない
  • よくある疑問への回答
    • 相続税の負担:基礎控除額を超える場合に発生
    • 相続放棄後の責任:適切に行えば債務から解放される
    • 遺言書の効力:疎遠でも原則として従う必要がある

 疎遠な親の相続問題では、大きく相続するのか、相続せず相続放棄するのかという選択肢があります。

相続する場合は、ご紹介した相続手続きの5つのステップを参考に、相続手続きを進めていきます。

借金が多い、被相続人とかかわりあいたくないなどの理由で相続放棄を選択する場合には、相続開始を知ってから3ケ月という期間制限に注意して相続放棄の手続きを進めます。

相続するにしろ、相続放棄するにしろ、不安や疑問がある場合には、相続問題を扱っている弁護士に相談するようにしましょう。弁護士はあなたの利益を一番に考え、具体的にアドバイスを行い、あなたの代わりに必要な書類を集めたり、書類を作成したりします。弁護士のサポートを受けることで、相続問題にかかる労力や精神的負担を軽減することができるでしょう。

まずは、本記事の前編と後編で相続の基本知識、選択肢、具体的手続きについてご確認いただくと、弁護士や税理士に相談する際にも説明が理解しやすくなると思います。

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この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

弁護士 重光 勇次

アディーレ法律事務所

同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。