「亡くなった親に借金があったから相続放棄をしたい。でも、相続放棄したら、私を受取人にしてくれていた生命保険金も受け取れなくなるの?」
相続放棄を考えている方にとって、生命保険金を受け取ることができるかどうかは大きな関心事であるはずです。
安心して手続を進めるためにも、相続放棄をしても生命保険金を受け取れるのか、税金はどうなるのか、具体的な条件や注意点は何か、などについて知っておきましょう。
この記事では、相続放棄と生命保険金の関係について解説し、税金の取り扱いについても触れています。
相続放棄を検討しているけれど、生命保険金を受け取りたいと思っている方は、ぜひ最後までお読みください。
あなたの疑問や不安を解消できるかもしれません。
この記事を読んでわかること
- 相続放棄と生命保険金の関係
- 生命保険金を受け取った場合の税金
- 相続放棄をしても受け取れる財産
ここを押さえればOK!
生命保険金が相続財産ではなく、受取人固有の財産とみなされるためです。
相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も含めて一切の相続財産の相続を拒否することですが、生命保険金は相続財産に含まれないため、相続放棄をしても受け取ることが可能です。
ただし、受取人が指定されていない場合、生命保険金は相続財産として扱われる可能性があり、その場合に相続放棄をすれば生命保険金は受け取れません。
また、受取人が被保険者より先に死亡した場合、その受取人の法定相続人が保険金を受け取ることになります。
生命保険金を受け取る際には税金も考慮する必要があります。
受取人が指定された生命保険金は「みなし相続財産」として、相続放棄をした場合であっても相続税の対象となり得ます。
また、契約者が受取人と同じ場合は所得税、被保険者と受取人と契約者がそれぞれ別人の場合は贈与税の対象となり得ます。
生命保険金を受け取ったあとでも相続放棄は可能ですが、相続財産を処分したり使用したりすると相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
生命保険金以外にも、相続放棄をしても受け取れる財産には、死亡退職金、遺族年金、未支給年金、香典などがあります。
相続放棄をするかどうかは、これらの財産の有無を確認した上で判断することが重要です。相続放棄は原則として3ヵ月以内に行う必要があるため、早めに専門家に相談するとよいでしょう。
アディーレ法律事務所
同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属
生命保険金は相続放棄しても受け取れる理由
結論から言うと、相続放棄をしても生命保険金は受け取れます。
なぜなら、生命保険金は相続財産ではなく、受取人固有の財産とみなされるからです。
一方、相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も含めて一切の相続財産の相続を拒否して相続人でなくなることです。
つまり、「相続財産」でなければ、相続放棄をしても受け取ることができます。
生命保険の契約で受取人が指定されている場合、保険金は被保険者の財産ではなく、その受取人自身の財産とされているのです。
したがって、たとえば夫が被保険者で妻が受取人の場合、夫の死亡後に妻が相続放棄をしても、妻は夫の生命保険金を受け取ることができます。
相続放棄しても生命保険金を受け取るための注意点
相続放棄をしても、自分が生命保険金を受け取れるか確認するために、次の点に注目してください。
・受取人が指定されていること
生命保険契約においては、受取人が明確に指定されていることが重要です。受取人が指定されていない場合、生命保険金が相続財産とみなされる可能性があります。
・保険契約の内容
保険契約の内容を確認し、受取人が誰であるかを確認しましょう。
受取人が被相続人自身である場合、その保険金は相続財産となるため、相続放棄の対象となります。
受取人指定のない場合は?
受取人が指定されていない生命保険金は相続財産として扱われるため、法定相続人が受け取ることになるでしょう。
その場合、相続放棄をしたらその生命保険金を受け取ることはできなくなります。
なお、保険金受取人が被保険者より先に死亡した場合、受取人の法定相続人が保険金を受け取ることになります。
あくまで、保険金は受取人固有の財産であるためです。被保険者の相続人が受け取るわけではない点にご注意ください。
生命保険金を受け取る場合の税金について
次に、生命保険金を受け取った場合に支払義務が生じる可能性のある税金についてご説明します。
なお、生命保険金にかかる税金は受取人や契約者(通常は保険料の負担者)によって異なるため、詳しくは税理士などの専門家にご相談ください。
相続税
前述のとおり、受取人の指定された生命保険金は、民法上は相続財産になりませんが、相続税の計算においては「みなし相続財産」として相続税の対象になります。
そのため、契約者と被保険者が同一人物の場合には、受取人が相続税を支払う義務を負う可能性があります。
また、受取人が被保険者の法定相続人であっても、相続放棄をすれば生命保険の非課税枠は使えなくなるためご注意ください。
所得税
契約者が受取人と同じである場合、生命保険金は所得税の対象です。
たとえば、子が、親を被保険者とする生命保険契約をして保険料を支払っていた場合、子が受け取る生命保険金は所得税の対象になります。
贈与税
被保険者と受取人と契約者がそれぞれ別人である場合、生命保険金は贈与税の対象になります。
生命保険金を受け取ったあとでも相続放棄できる?
生命保険金を受け取ったあとでも、相続放棄は可能です。
前述のとおり、生命保険金は相続財産ではなく、受取人固有の財産とされるため、保険金を受け取ったこと自体は相続放棄の妨げにはなりません。
ただし、生命保険金を受け取っただけでなく、相続財産を処分したり、自分のために使ってしまったりした場合などには、「法定単純承認(民法第921条1号)」にあたり、相続を承認したとみなされて、もはや相続放棄ができなくなる可能性があるため、ご注意ください。
相続放棄をしても受け取れる財産
生命保険金以外にも、相続放棄をしても受け取れる財産があります。
たとえば、次のようなものです。
- 遺族が受取人だと決められている死亡退職金
- 遺族年金
- 未支給年金
- 香典 など
相続放棄をしても受け取れる財産の種類や、その有無を知ったうえで、相続放棄をするかどうか判断するとよいでしょう。
ただし、相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時点から原則3ヵ月以内に行う必要があります。
判断に迷う場合は、早めに弁護士や税理士などの専門家に相談するようにしましょう。
【まとめ】相続放棄をしても、自分が受取人になっている生命保険金を受け取ることは可能!
今回の記事では、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができる理由や、生命保険金を受け取った場合の税金などについて解説しました。
生命保険金は相続財産に含まれず、受取人固有の財産とされるため、基本的に相続放棄の影響を受けません。
しかし、受取人や保険契約の内容、税金の取り扱いなど、細かい注意点が数多く存在します。思わぬトラブルや税負担の発生を招かないためにも、相続問題でお悩みの場合は弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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