親との関係に悩んでいる方へ。
家族とはいえ、その関係が常に円満とは限りません。時には、親との関係が深刻な問題を引き起こし、「もう耐えられない」「親と縁を切りたい」と感じることもあるでしょう。
この記事では、そんな思いを抱える方々のために、親と縁を切りたい理由や法的手段について詳しく解説していきます。
親との関係に悩んでいる方は、ぜひ一読ください。あなたの悩みが少しでも軽減され、より良い未来への一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。
この記事を読んでわかること
- 親と縁を切りたい理由
- 法的に親との縁を切る方法
- 実質的に親との縁を切る方法
ここを押さえればOK!
法的に親子の縁を切ることは難しいですが、戸籍を分籍すれば別世帯になりますし、養子縁組をして他の人の子どもとなることはできます。特に特別養子縁組は実親との法的関係を消滅させることができますが、厳しい条件があります。
親から逃げ出したい場合はシェルターなどに避難し、住民票や戸籍に閲覧制限をかけることで親からの追跡を防げます。また、親の借金を相続したくない場合は、親の死後3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要があります。
親と縁を切る方法は状況によって異なるため、困った場合は行政や弁護士に相談することが重要です。
同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。神奈川県弁護士会所属
親と縁を切りたい理由とは?
子どもが親と縁を切りたいと考える理由は、大きく分けて次の2つである可能性があります。
- 親が過干渉や虐待を行う「毒親」だから
- 親の借金を相続したくないから
それぞれ見ていきましょう。
(1)親が「毒親」だから
毒親とは、過干渉、支配、暴力などを行う親を指し、子供にとって精神的苦痛を伴うことが多いです。
【毒親の典型例】
- 過干渉:子供の生活に過度に介入し、子供の自主性を奪う。
- コントロール:子供の選択や行動を過度に支配し、自己決定権を認めない。
- 批判的:子供の行動や人格に対して常に批判的で、肯定的な評価をほとんど与えない。
- 感情的虐待:言葉や行動で子供の自己肯定感を傷つける。
- 身体的虐待:暴力を振るうなど、身体的に子供を傷つける行為をする。
- 過剰な期待:子供に対して過度な期待をかけ、それに達しない場合に失望や怒りを示す。
これらの行動は、子供の精神的健康や自己肯定感に深刻な悪影響を及ぼします。子供が成長しても、このような親からの影響は長く続くことがあり、自立や人間関係において困難を感じることもあります。
(2)親の借金を相続したくないから
親が多額の借金を抱えている場合、その負担を子供が背負わないために親との縁を切りたいと考えることがあります。
「親と会いたくない」「親と戸籍上も別になりたい」までではない場合には、相続放棄を行うことで親の借金を相続することを回避することができます。
親子の縁を法的に解消できる?
親子の縁を法的に完全に解消することは難しいです。
ただし、法律上、戸籍を分籍し親と戸籍から抜けたり、養子縁組を組み別の人と親子関係を結んだりすることができます。
(1)戸籍を分籍する
分籍とは、自分の戸籍を親の戸籍から独立させ、新たな戸籍を作成する手続きです。これにより、親との法的な関係は残りますが、形式的には別世帯となります。
分籍の手続きは市区町村役場で行います。
(2)養子縁組を組む
普通養子縁組を組むことで、養親と養子の間には法律上の親子関係が生じます。しかし、実親との親子関係が消滅するわけではなく、実親との親子関係も残ります。
一方で、養子縁組には特別養子縁組という制度もあります。この制度は、普通養子縁組と違い、実親と法的に親子関係を消滅させることができます。ただし、特別養子縁組の条件は、養子が15歳未満であることや実の父母の同意があることが原則必要など普通養子縁組の条件よりも厳しいものとなっています。
親と実質的に縁を切る方法
分籍や普通養子縁組を組んでも親子の縁を完全に切ることはできません。
特別養子縁組であれば法的に親子の縁を切ることができますが、厳しいハードルがあります。そこで、親と実質的に縁を切るためにとれる手段について見ていきましょう。
(1)とりあえず親から逃げ出したい場合
虐待や暴力などを理由に早急に親から逃げ出したい場合には、次の方法で安全な場所に避難しましょう。
- シェルターに逃げ込む
- 引っ越し、戸籍や住民票に閲覧制限かける
親から虐待されている場合には、児童相談所や警察に相談して保護してもらいましょう。児童相談所や警察に連絡する勇気が出ない人は「子どもの人権110番」に連絡するのもよいでしょう。虐待だけではなく、子どものどんな悩みに寄り添ってくれます。
(2)親から居場所を知られたくない場合
すでに親と離れて暮らしていて、親から居場所を知られたくない場合には、住民票や戸籍の閲覧制限を行うことで親があなたの居場所を特定するのを防ぐことができます。
親から虐待を受けていた場合には、住民票や戸籍の閲覧制限が認められやすいといえるでしょう。
(3)自分の遺産を親に渡したくない場合
自分の遺産を親に渡したくない場合、相続廃除をすることで親に財産が渡ることを防ぐことができます。
相続廃除とは、相続人から外す手続です。家庭裁判所に相続廃除が認められると、相続によって財産を受けとることができなくなります。
<親に対し相続廃除を行う条件>
- 子に対する虐待
- 子に対する重大な侮辱
- その他の著しい非行
相続廃除を行うには家庭裁判所への申し立てが必要ですが、遺言書でも行うことができます。遺言書に相続廃除を行う旨記載しておくと、死後に遺言執行人が相続廃除を家庭裁判所に請求してくれます。
(4)親の借金を相続したくない場合
親の借金を相続したくない場合、相続放棄を行うことで、親の借金を負担することを避けられます。
相続放棄とは、プラスの資産もマイナスの資産も引き継がないことをいいます。例えば、もし親に借金以外に不動産などの財産があったとしても、相続放棄を行えば不動産などは相続できないことになります。
相続放棄は親が存命中は行うことはできません。相続放棄を行うには、基本的に親の死後3か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。
【まとめ】親と縁を切る方法は目的次第|お困りの場合には行政や弁護士に相談を
親との縁は法的に完全に切るのは難しいものの、戸籍の分籍や養子縁組などの手段があります。
親から逃げ出し、居場所を知られないようにするためには、親から離れ戸籍や住民票や戸籍の閲覧制限をかける方法があります。相続に関しては、相続廃除や相続放棄の方法で親と縁を切ることができます。
親との関係に悩んでいる方は、まずは適切な支援を受けるために行政や弁護士に相談しましょう。これが一歩を踏み出すための第一歩です。
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