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第三者委員会とは?誰が決める?費用は誰が負担する?徹底解説

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「企業の不祥事」のニュースで報道される度に、よく耳にするのが「第三者委員会」という言葉です。

しかし、この「第三者委員会」とは一体何なのでしょうか?誰がメンバーを決め、報酬を払っているのでしょうか。

実は、第三者委員会って不祥事を起こした企業や組織が立ち上げた委員会で、メンバーを決めるのも報酬を払うのも不祥事を起こした企業や組織なんです。

そうすると、本当に第三者委員会って調査できるの?と疑念を抱くのも当然です。この記事では、弁護士が第三者委員会について詳しく解説します。

ここを押さえればOK!

第三者委員会は、企業や組織の不祥事を外部の独立したメンバーによって調査し、原因究明と再発防止策を提言するための委員会です。メンバーは法令やガバナンスに詳しい弁護士が多いですが、案件によって公認会計士や学識経験者なども加わります。

調査は任意で、組織の協力が不可欠です。報告書は中立性を保つために企業に事前開示されず、利害関係者に速やかに公表されるのが原則となります。日弁連のガイドラインに基づき、独立性と公正さを維持しながら調査が行われ、結果は信頼回復に役立てられます。

第三者委員会が設置されるまではいかなくても、「自身の会社のトラブルに巻き込まれ、嫌気がさした」等退職を検討しているが、退職を伝えられないでいる方は、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。

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第三者委員会とは

第三者委員会は、企業や組織などの不祥事や問題を調査するため、企業や組織などとは関係のない第三者で構成される委員会です。

企業の不祥事で組織されるイメージがある第三者委員会ですが、大学や病院、官公庁などの不祥事でも組織されることがあります。実際、企業だけではなく官公庁の不祥事の際にも、第三者委員会が設置されたことを報道などで耳にしたことがある方も多いでしょう。

(1)第三者委員会の目的とは

第三者委員会の目的は、企業や組織などで起こった不祥事や問題の原因を究明し、再犯防止策を提言することで、企業や組織などの信頼回復に努めることにあります。

例えば、不祥事や問題を起こした企業や組織などが企業や組織内で調査をして「問題ない」「問題が起きたのは私たちのせいではない」と主張したところで、外部から見れば責任逃れのように見えてしまい、到底信用してもらうことはできません。

しかし、第三者委員会という不祥事や問題を起こした企業や組織などから独立したメンバーによる調査委員会を設置することで、企業や組織が不祥事や問題に対して真摯に向き合っている姿勢を対外的に示すことができます。

(2)第三者委員会のメンバーとは

第三者委員会のメンバーは企業や組織などで起こった不祥事や問題の解決に向けて専門的な知識を持った人がふさわしいとされています。

法令やコンプライアンス、ガバナンスに精通した人が望ましいとされ、弁護士で構成されることが多いです。しかし、弁護士でないといけないというわけではなく、不祥事や問題の内容次第では公認会計士や学識経験者、ジャーナリストなどがメンバーに加わることもあります。

例えば、粉飾決算や不正会計では公認会計士や税理士を第三者委員会のメンバーに加えた方が望ましいといえるでしょう。

(3)第三者委員会ができる調査とは

第三者委員会ができる調査はあくまでも任意の調査です。会社や組織の内部文書の開示や関係者の聴き取りも拒まれてしまうと、強制的に調査することはできません。

<第三者委員会ができる調査の例>

  • 関係者へのヒアリング(聴き取り)を行う
  • 内部文書や電子メールの精査を行う
  • 証拠がなくなったり、隠されたりするのを防ぐ手立てを講じる
  • 社員を対象としたアンケート調査を行う
  • 従業員等の自主的な申告を促す
  • 第三者委員会専用のホットラインを設置する
  • 必要に応じてデジタル調査を行う など

第三者委員会のメンバーは誰が決める?設置費用は誰が負担する?

第三者委員会の設置は不祥事や問題を起こした企業や組織などが主体となって行います。そのため、メンバーの構成を決めるのも設置費用を支払うのも、不祥事や問題を起こした企業や組織ということになります。

そうすると、いくら第三者委員会といっても、報酬を払っているのが企業や組織なのだから「企業や組織にいいような調査しかしないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、日弁連が定めたガイドラインによれば、たとえ調査の結果企業や組織に不利なことが判明しても隠さずに発表しなければならないとされています。たとえ不利なことを隠してものちのちに発覚すれば企業や組織への信頼は瞬く間に失われてしまいます。信頼回復のためには一度膿を出し切ってしまう方がよいでしょう。

第三者委員会が設置されるケースとは

第三者委員会が設置されるケースは法律上決められていません。第三者委員会を設置するかどうかはあくまでも不祥事や問題が起こした企業や組織のトップの判断になります。

ただし、次のような企業や組織に重大な不祥事や問題が生じた場合には、第三者委員会の設置を行うことが一般的となってきました。株主や取引先などから第三者委員会の設置を求められることもあります。

<例>

  • ハラスメント・コンプライアンス違反が発覚した場合
    • 大手芸能事務所の性加害問題
    • 市区町村首長によるパワハラ問題
  • 粉飾決算・不正会計が発覚した場合
    • 大手医療機器メーカーの粉飾決算 など

第三者委員会の立ち上げ方のポイントとは(日弁連ガイドライン)

弁護士が第三者委員会を立ち上げるわけではありません。第三者委員会を立ち上げるのはあくまでも不祥事や問題を起こした会社や組織です。

しかし、会社や組織をかばうような第三者委員会では意味がありません。日弁連ガイドラインによれば、次のポイントに気を付けて第三者委員会を立ち上げる必要があります。

<第三者委員会を立ち上げ方のポイント>

  • 企業から独立したメンバーを選任する
  • 中立・公正で客観的な調査を行う
  • 調査には企業側の任意の協力が必要となる
  • 調査報告書は会社側に事前に開示しない
  • 調査報告書は遅滞なく利害関係者に開示する

それぞれ見ていきましょう。

(1)企業から独立したメンバーを選任する

第三者委員会の信頼性を確保するため、委員は調査対象の企業や組織と利害関係のない独立した人物を選任する必要があります。たとえ弁護士であっても会社の顧問弁護士や社外取締役は利害関係があるとされNGです。

(2)中立・公正で客観的な調査を行う

調査は証拠に基づき、偏りのない中立的な立場で行われなければなりません。企業や組織に依頼されていたとしても、企業や組織に不利になることも隠さずに公表する必要があります。

(3)調査には企業側の任意の協力が必要となる

第三者委員会の調査はあくまでも任意のため、調査の実施には企業や組織側の全面的な協力が不可欠です。

  • 第三者委員会に対して、企業や組織などが所有するあらゆる資料、情報、社員への アクセスを保障する
  • 従業員等に対して、第三者委員会による調査に対する優先的な協力を業務として命令すること
  • 第三者委員会の求めがある場合には、第三者委員会の調査を補助するために適切な人数の従業員等による事務局を設置すること(事務局担当者と企業や組織などの間で、厳格な情報隔壁を設けること)

もし企業や組織など側の協力が不十分であった場合や調査の妨害をされた場合、第三者委員会はそのことを公表することができます。

(4)調査報告書は会社側に事前に開示しない

調査の独立性を保つため、報告書の内容は調査対象の企業や組織に事前に開示してはいけないとされています。これにより、企業側の意向による報告書の改変を防ぎます。

(5)調査報告書は遅滞なく利害関係者に開示する

調査結果の透明性を確保するため、報告書は速やかに公表されるべきとされています。

ただし、公的機関による捜査・調査に支障を与える可能性、関係者のプライバシー、営業秘密の保護などを理由に一部不開示となる場合もありますが、その場合には不開示の理由を明らかにする必要があります。

第三者委員会と内部調査委員会の違いとは

企業や組織で不祥事や問題が起きた時、第三者委員会ではなく「内部調査委員会」が設置されることがあります。

内部調査委員会とは、企業内部の経営者や従業員などを中心に、弁護士などの外部有識者を加えて組織する委員会です。内部の実情に詳しいメンバーが調査に当たるため、外部の第三者委員会よりも内部の実情に即した調査が期待できる一方で、客観・中立な調査を行えるかは疑問が残ることでしょう。

また、内部調査委員会は外部調査委員会に比べて、内部の実情に詳しい分調査時間が短く済み、コストもあまりかかりません。

<第三者委員会と内部調査委員会の特徴や違い>

第三者委員会内部調査委員会
メンバー利害関係のない者会社や組織の関係者
調査客観・中立な調査が期待できる企業や組織寄りの調査になる可能性がある
調査スピード会社等の内情に詳しくない
➡調査に時間がかかる
会社等の内情に詳しい
➡調査が短くて済む
調査コスト調査コストがかかる調査コストが安く済む

第三者委員会に関してよくある質問

最後に第三者委員会に関してよくある質問をまとめています。参考にしてください。

(1)第三者委員会の設置費用はいくら?メンバーへの謝礼は?

設置費用は案件の規模や複雑さによって大きく異なりますが、一般的に数千万円から数億円程度かかることがあります。

日弁連ガイドラインによれば、弁護士への報酬はタイムチャージで支払われることになります。

(2)第三者委員会も格付けされている?第三者委員会格付け委員会とは?

第三者委員会格付け委員会は、第三者委員会の調査報告書の質を評価し、格付けを行う民間団体です。この格付けにより、第三者委員会の調査の質や信頼性を客観的に評価することができます。

ただし、この格付けは任意のものであり、すべての第三者委員会が対象となるわけではありません。

【まとめ】第三者委員会は中立公正な立場で調査する組織のこと

第三者委員会は、企業や組織の不祥事を独立した立場から調査し、原因究明と再発防止策を提言する重要な役割を果たします。その設置と運営には、独立性、中立性、透明性が求められ、日弁連のガイドラインに沿って適切に実施されることで、組織の信頼回復につながります。

第三者委員会が設置されるまではいかなくても、「自身の会社のトラブルに巻き込まれ、嫌気がさした」、トラブルに巻き込まれてはいないものの、「コンプライアンスを遵守する会社に転職したい」と考えている方、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

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