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亡くなった人の借金にも時効はある!借金を払わなくて済む方法とは

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「突然、親や身近な人が亡くなり、その後に借金の存在を知った…」このような状況に直面した方は少なくありません。亡くなった人の借金をどう扱うべきか、時効は適用されるのか。こうした疑問や不安を抱える方々もいらっしゃるでしょう。

亡くなった人があなたの親であるなど、亡くなった人の借金をあなたが相続した場合には、亡くなった人の借金であっても返済する義務が発生します。

しかし、借金が時効を迎えた場合や相続放棄をした場合には、借金の返済を免れることも可能です。

このコラムでは、亡くなった人の借金に関する時効の仕組み、相続放棄の選択肢、さらには過払い金の可能性まで、幅広くカバーしています。借金問題で悩んでいる方、将来に備えて知識を得たい方、亡くなった人の借金に関する疑問を解消し、最適な対応策を見つけていきましょう。

ここを押さえればOK!

亡くなった人の借金にも時効があり、金融機関の借金であれば返済期日から5年が時効完成に必要な期間(時効期間)となります。また、借金の相続を避けるために「相続放棄」を行うことも可能です。相続放棄を行うとプラスの財産も相続できなくなりますが、借金を相続せずに済みます。

亡くなった人の借金問題に直面した際は、アディーレへご相談ください。時効や相続放棄についてアドバイスが受けられます。

亡くなった人の借金にも時効はある|5年または10年

借金には時効があります。亡くなった人の借金にも時効があります。
時効とは、簡単に言えば、時効が完成(成立)すると借金を返済しなくてもよくなるという制度です。

借金の時効は2020年4月1日以降の借金か、それより前の借金かで変わってきます。
2020年4月1日より前の借金の場合は、誰から借りたのか(個人から借りたのか貸金業者などから借りたのか)によっても時効期間が異なります。

2020年4月1日以降の借金2020年4月1日より前の借金
権利を行使できると知った時から5年
(権利を行使できる時から10年)
金融機関から借りた 個人から借りた 
5年10年

金融機関や貸金業者からの借金では、契約書に返済期日が明確に記載されているため、債権者は返済期日になれば権利を行使できることを知っているとみなされます。このため、基本的にはその返済期日から5年が時効完成に必要な期間(時効期間)となります。

借金を返す必要がなくなるには「時効の援用」が必要になる

時効の期間が過ぎれば、自然と借金を返さなくてもよくなるというわけではありません。借金を返さなくても済むようにするためには「時効の援用」が必要となります。

(1)時効期間が過ぎたら「時効援用」を忘れずに

時効の援用とは、時効によって利益を受ける人が時効の完成を主張することです。

例えば、お金を借りた人がお金を貸した人に「借金は時効を迎えているから、返済義務はありません。だから返済はしません」と伝えるのが時効の援用です。

(2)時効援用には「時効援用通知書」を送る

時効の援用は、電話で伝えることも、郵便で書面を送って伝えることも可能です。ただし、言った言わないの水掛け論になるのを防ぐためには、内容証明郵便で「時効援用通知書」を送るのがおすすめです。

<時効援用通知書に記載する内容>

  • 時効援用通知書の作成日
  • お金を貸した人の住所・会社名
  • お金を借りた人の住所・氏名
  • 「時効の援用を行う」という意思表示
  • 借金を特定できる情報
    (借入契約年月日、借入額、契約番号など)
  • 信用情報機関からの事故情報削除依頼

(3)時効援用をするには注意が必要|時効の完成猶予・更新とは

時効期間が過ぎて時効援用すれば、借金を払わなくて済むと思っていると要注意です。

実は、時効の期間が一時的にストップ(時効の完成猶予)したり、リセット(時効の更新)されていたりして、時効期間が変わってしまっている可能性があります。

例えば、借金の返済を請求(催告)された場合、その後6ヶ月間に限り、時効の完成が猶予されます。

時効の援用の失敗としては、まだ本来は時効を迎えていないのに、時効が過ぎたと勘違いして時効を援用してしまうケースがあります。例えば、5年過ぎたから時効だと思っていたら、実は時効の完成猶予や更新をされていたという場合です。

この場合、時効の援用によって借金がなくならないばかりか、借金の存在に気づかれて、一括返済を求められるリスクを負ってしまいます。

知らない間に借金の時効が伸びる?そんなことってあるの?

亡くなった人の借金を負いたくない方は「相続放棄」を

亡くなった人の借金を負いたくない方は「相続放棄」という選択肢もあります。

亡くなった人の借金を相続すると、あなたも借金を返済する必要があります。しかし、相続放棄をすることで、他の財産も相続できないというデメリットがありますが、借金を相続する必要がなくなるのです。

(1)相続放棄とは

相続放棄とは、すべての遺産について相続を拒絶し、相続人の地位を捨てる手続のことです。

いったん相続放棄をしてしまうとプラスの財産(不動産や車、預金など)も相続できなくなるため、プラスの財産よりもマイナスの財産(借金やローンなど)が大きい場合などには相続放棄をすることをおすすめします。

(2)相続放棄をする方法とは

相続放棄をするためには、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に相続放棄の申述をした上で、申述を受理してもらわなくてはいけません。単に相続人同士の話し合いで「相続を放棄する」と言うだけでは、相続人以外の第三者に相続放棄を主張することはできないのです。

相続放棄の手続が無事に終わると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」という書面を送付されます。親の借金などの債権者から支払を求められた場合には、この書面のコピーを送付するなどして、親の借金の支払いを拒否することができます。

相続放棄の流れは?期間や注意点などアディーレの弁護士が解説

(3)相続放棄の期限とは

親の死亡を知ってから相続放棄ができるまでの期間は、基本的には3ヶ月です。

3ヶ月の期間内に、親の借金の全体を把握し、最終的に相続放棄をするかどうか、または期間の伸長を裁判所に求めるのか、取り急ぎ決める必要があります。

相続放棄の期間3ヶ月を徹底解説(前編)|基本から期間の計算方法まで
相続放棄の期間3ヶ月を徹底解説(後編)|期間経過後の対応からQ&Aまで

亡くなった人の借金の負担を減らすには「限定承認」という方法も

限定承認は、プラスの財産からマイナスの財産を支払って、そこから余った財産だけを相続する方法です。仮にマイナスの財産のほうが多い場合、プラスの財産の範囲内で返済すればよいため、相続人が自分の財産を使って借金を返す必要はありません。

ただし、相続人全員で足並みを揃えて手続きしなければならない点や税制上の不都合などがあるため、実際に利用されるケースは少ないです。

亡くなった人の借金に「過払い金」が発生する可能性も

長年借金をされている場合は、「過払い金」が発生していることが少なくありません。

過払い金とは、貸金業者から利息制限法の上限金利を超える高金利でお金を借り、払いすぎてしまった利息のことをいいます。

<特に次の方は注意が必要です>
(1)2010年(平成22年)6月17日以前に借入れを開始した借金がある
(2)最後に借入れ・返済をしてから10年以内の借金がある

過払い金があるのに気付かずに相続放棄をしてしまうのはとてももったいないです。親の借金の相続放棄を検討されている方は、過払い金が発生していないかだけでも調べてみることをお勧めします。

過払い金の調べ方は?3つの方法と注意点をアディーレ弁護士が解説

亡くなった人の借金問題にお困りの方は弁護士への相談がおすすめ!

亡くなった人の借金問題にお困りの方は弁護士への相談がおすすめです。弁護士に相談することで、次のようなメリットを受けることができます。

<弁護士へ相談するメリット>

  • 亡くなった人の借金に「過払い金」があるかを確認してくれる
  • 「時効援用なのか相続放棄なのか」あなたに最適な方をアドバイスしてくれる
  • 借金問題の解決に向けてサポートしてくれる

それぞれ見ていきましょう。

(1)亡くなった人の借金に「過払い金」があるかを確認してくれる

弁護士に依頼することで、亡くなった人の借金に過払い金があるかどうかを確認してくれ、過払い金があるのに気づかず損をしてしまうということを防ぐことができます。

過払い金があるかどうかを確かめるためには、取引履歴を取り寄せたり、引き戻し計算をしたりする必要があります。弁護士に任せることで、あなたは煩わしい手続きをすることなく、過払い金の有無を確かめることができます。

(2)「時効援用・相続放棄・限定承認なのか」あなたに最適な解決策をアドバイスしてくれる

弁護士に依頼することで、あなたに合う解決策をアドバイスしてもらえます。

亡くなった人の借金を支払いを免れるためには、時効援用や相続放棄、限定承認など様々な方法があります。それぞれメリット・デメリットがありますので、弁護士に相談し、あなたが一番損をしない方法をアドバイスしてもらうようにしましょう。

(3)借金問題の解決に向けてサポートしてくれる

弁護士に依頼することで、亡くなった人の借金問題の解決に向けてサポートしてくれます。

例えば、時効援用を行う場合には、時効期間をすでに過ぎているかどうかを確認してくれ、時効援用通知書を作成し、送ってくれます。また、相続放棄を行う場合には、あなたに代わって戸籍謄本を集めたり、家庭裁判所に相続放棄の申述を行ってくれたりします。

このように、弁護士に依頼することで、あなたは面倒な手続きを弁護士に任せることができるのです。

亡くなった人の借金問題に関するよくある質問(Q&A)

最後に、亡くなった人の借金問題に関するよくある質問についてまとめています。ぜひ参考にしてください。

(1)亡くなった人の借金を調べるにはどうすればいい?

亡くなった人の借金を調べるには、次のような方法をとることができます。

  • 故人宛てに届いた書類や通帳を確認する
    • 督促状や裁判所からの書類が届いていたり、通帳に毎月借金の返済費用が引き落とされていたりするかもしれません。
  • 信用情報機関に問い合わせる
    • 信用情報機関とは、個人のクレジットカードやローンの申込み、契約、支払状況などの情報(信用情報)を保管する組織のことです。相続人として故人の信用情報を問い合わせることで、取引のあった金融機関を把握できます。

個人で調べるのは困難な場合が多いため、専門家に依頼することをおすすめします。

(2)亡くなった人の借金を放置するとどうなる?

亡くなった人の借金を放置していると、あなたが相続人である場合にはあなたに借金の返済を求める督促状や請求書が送られてくることになるでしょう。

さらに、放置していると、未払いの借金があるとしてあなたの信用情報が傷つき(ブラックリストに登録され)、ローンが組めなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりする可能性があります。

相続した借金であっても放置し続けると、あなたの財産が差押えされる可能性もあります。

(3)相続人全員が相続放棄したら亡くなった人の借金はどうなるの?

全員が相続放棄すれば、借金や財産を相続する相続人がいなくなります。相続人のいない財産は法人化され、家庭裁判所から選任された相続財産清算人が必要な手続きを行い、遺産から借金を返済するなどして相続財産を清算します。

最終的にプラスの財産があるときには、国庫に帰属することになります。

相続放棄で親の借金を払う義務はなくなる?誰が払うの?してはいけないことを解説 

【まとめ】亡くなった人の借金の時効は5年または10年|借金問題は弁護士へ相談

亡くなった人の借金にも時効があり、一般的に5年または10年で時効を迎えます。ただし、時効を適用するには「時効援用」が必要です。

借金を負いたくない場合は「相続放棄」も選択肢として挙げられます。また、過払い金の可能性も忘れずに確認しましょう。時効援用なのか相続放棄なのかどちらの選択がよいのかは弁護士への相談がおすすめです。弁護士に相談することで、あなたの状況に最適な対応策を見つけ、不必要な負担を避けることができます。

アディーレ法律事務所では、亡くなった方の借金問題も積極的に取り扱っています。

亡くなった人の借金問題や相続放棄でお悩みの方は、アディーレ法律事務所(フリーコール0120-554-212)にご相談ください。