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オワハラから身を守れ!よくある手口や違法性について弁護士が解説

作成日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

オワハラとは、「就活終われハラスメント」の略称で、一般的には企業などが就職活動中の学生に対して行う不当な圧力や干渉のことです。
オワハラの具体的な態様としては、他社の内定辞退を強要することや過度な接触による就活の妨害などが挙げられます。

オワハラは、場合によっては民法上の不法行為だけでなく、強要罪や脅迫罪など刑法上の犯罪にも該当し得る行為です。
したがって、当事者の意識向上だけでなく、社会全体での取り組みが不可欠といえるでしょう。

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オワハラとは、「就活終われハラスメント」の略で、企業が内定を出す代わりに学生の意思に反して他社への就活終了を強要する行為です。近年、採用競争の激化などに伴い問題となっています。

よくある手口としては、他社の内定辞退の強要、過度な接触による就活妨害、内定辞退の拒否などです。

対処方法としては、状況を記録し、信頼できる人や専門家に相談することが重要です。悪質な場合は法的措置も検討しましょう。

社会的な取り組みとしては、企業と学生双方の意識改革、教育機関における支援体制を整備することや企業の意識向上が必要です。

オワハラは学生の職業選択の自由を侵害し、健全な就職活動を妨げる行為です。
オワハラに特化した法律は現在存在しませんが、刑法や民法に抵触する可能性があります。悪質な被害を受けた場合には、公的機関や弁護士に相談することも視野に入れてください。

オワハラとは?就活生を取り巻く新たな問題

オワハラとは、「就活終われハラスメント」の略称です。
企業などが就職活動中の学生に対して内定や内々定を出すことと引き換えに、学生の意思に反して他の企業などへの就職活動の終了を強要するような不適切な行為や圧力を指します。
たとえば、内定を出した学生に対して過度な拘束や強制を行ったり、他社への就職活動を妨げたりする行為が該当します。
また、学生の内定辞退に対して度を超えた引き留め行為をすることも、オワハラの一種と考えられています。

近年、採用選考の開始時期の変化や人材獲得競争の激化に伴い、このような問題が顕在化してきました。
学生の職業選択の自由を侵害するオワハラは、健全な就職活動を阻害し、学生のキャリア形成に悪影響を及ぼす深刻な問題となっています。

企業側にとっても社会的信用の失墜やイメージの低下につながりかねないため、採用担当者がオワハラとなり得る行為をしないよう、注意しておくことが必要です。

参考:学生の職業選択の自由を侵害する「オワハラ」は行わないでください!!|厚生労働省

オワハラが起こる背景

オワハラの背景には、日本の雇用システムと企業文化が深く関わっています。
終身雇用を前提とした新卒一括採用の慣行により、企業は長らく新卒採用を長期的投資と捉え、内定者を既に「自社の人材」とみなす傾向がありました。
また、産業構造の変化や、少子化に伴う競合他社との人材獲得競争の激化が、企業の焦りや過剰な行動を引き起こしているとも考えられます。
さらに、就職活動の長期化は、企業と学生の接触機会を増やし、結果的にオワハラのリスクを高めています。
これらの要因が複雑に絡み合い、オワハラという問題を生み出しているのです。

オワハラのよくある手口

次に、企業がやりがちなオワハラのよくある手口を具体的にご紹介します。

(1)ほかの企業の内定を辞退させる

企業がオワハラとして行う典型的な手口の一つが、他社の内定辞退を強要することです。
具体的には、「当社に入社するなら他社の内定は全て辞退するように」と圧力をかけたり、「他社の内定を辞退しないと当社の内定を取り消す」などと脅したりします。
これは学生の職業選択の自由を奪う行為です。複数の内定を比較検討する権利を侵害し、学生にとって最適な就職先を選ぶ機会を奪ってしまう可能性があります。

(2)過度に接触して就職活動を妨害する

オワハラの一形態として、企業が内定者に対して過度に接触し、他社への就職活動を妨害するケースがあります。
具体的には、頻繁な電話やメール、不必要な面談の要求などが挙げられます。これらの行為は、学生の時間を奪い、他社へ就職活動の機会を制限します。
入社前の研修会参加や課題の提出を要求することで、物理的に他社への就職活動を妨害するパターンもあるようです。
また、「当社の内定者なのだから他社の説明会に行く必要はない」といった言動で、学生の就活の自由を制限することもあります。

(3)内定辞退を拒否する

内定辞退を拒否するという行為は、オワハラの中でも特に悪質な手口の一つです。
学生が他社への入社を希望し、内定辞退の意思を伝えた際に、企業が「辞退は認められない」「損害賠償請求をする」などと主張し、辞退を受け入れないだけでなく、長時間の説得や脅迫まがいの言動をするケースがあります。
このような行為は、単に不適切なだけでなく、場合によっては強要罪(未遂を含む)や脅迫罪に該当する可能性があります。

オワハラへの対処方法

オワハラに遭遇した場合、まず冷静に状況を把握し、記録を取ることが重要です。日時、内容、関係者などを詳細に記録しておくことが、その後の対応に役立ちます。
次に、信頼できる人や専門家に相談するようにしましょう。大学のキャリアセンターや就職支援室、労働局の総合労働相談コーナーなどが相談窓口となります。
悪質な場合は、法的措置を視野に入れ、弁護士に相談することも選択肢の一つです。
重要なのは、一人で抱え込まず、適切な支援を求めることです。自分の権利を守り、健全な就職活動を続けるためにも、毅然とした態度で対応してください。

オワハラ防止のための社会的取り組み

当事者だけでなく、社会全体でできることを考えることも重要です。

(1)就活に関する意識改革の必要性

オワハラを防止するには、まず企業と学生双方の意識改革が不可欠です。
企業には、学生を「所有物」ではなく、対等な関係にある人材として尊重する姿勢が求められます。
一方、学生も自身の権利を理解し、不当な要求には毅然と対応する勇気を持つことが大切です。
さらに、社会全体で「新卒一括採用」の慣行を見直し、多様な採用形態を認める柔軟な雇用システムへの移行を検討することも重要になっていくでしょう。

(2)教育機関や企業の役割

オワハラ防止において、教育機関と企業は重要な役割を担っています。
大学などの教育機関は、学生に対してオワハラの実態や対処法を教育し、相談窓口を設置するなど、支援体制を整える必要があります。
また、企業に対しても啓発活動を行い、健全な採用活動の重要性を伝えることが求められます。

一方、企業は自社の採用方針や内定者との関わり方を見直し、コンプライアンス研修を通じて採用担当者をはじめとする従業員の意識改革を図るべきです。
さらに、業界団体などを通じて、オワハラ防止のためのガイドラインを策定し、遵守することも重要な取り組みといえるでしょう。

オワハラについてよくある質問

(1)具体的にどのような行為がオワハラに該当しますか?

オワハラに該当し得る具体的な行為は、次のようなものです。

  • 他社の内定辞退を強要する
  • 内定辞退の申し出を拒否したり、長時間説得を続けたりする
  • 頻繁な連絡や不必要な面談で学生の時間を拘束する
  • 他社の説明会や面接への参加を禁止する
  • 内定者に対して、過度な課題や研修を課す
  • 内定辞退すると他社にも就職できなくなると脅す
  • 私生活に過度に干渉する

これらの行為は、学生の職業選択の自由を侵害し、健全な就職活動を妨げる可能性があります。企業は採用活動において、学生の権利を尊重し、適切な対応を心がけることが必要です。

(2)オワハラは法的にどのように扱われていますか?

オワハラに特化した法律は現在存在しません。
もっとも、青少年の雇用の促進等に関する法律第7条の規定に基づく「青少年の雇 用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関 係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号)において、採用内定・労働契約締結に当たって遵守すべき事項等の1つとして、「採用内定又は採用内々定を行うことと引換えに、他の事業主に対する就職活動 を取りやめるよう強要すること等青少年の職業選択の自由を妨げる行為又は青少 年の意思に反して就職活動の終了を強要する行為については、青少年に対する公 平かつ公正な就職機会の提供の観点から行わないこと。」とされます。
上記の指針に抵触するのみならず、他の複数の法律に抵触する可能性があります。
たとえば、悪質な場合には、前述のとおり強要罪や脅迫罪といった刑法上の犯罪が成立する可能性もあります。
また、オワハラが民法上の不法行為に該当する可能性もあり、その場合には損害賠償の対象となります。

近年では、パワーハラスメント防止の観点からも、オワハラが問題視されるようになってきています。
ただし、個々のケースによって法的な扱いは異なるため、深刻な被害を受けた場合は公的機関や弁護士に相談しましょう。

【まとめ】

この記事では、就活生を取り巻く新たな問題であるオワハラ(就活終われハラスメント)について解説しました。
オワハラは学生の職業選択の自由を侵害し、健全なキャリア形成を妨げる深刻な問題です。
しかし、適切な知識と対応策を持つことで、この問題に立ち向かうことができます。
就活生の皆さんは、自身の権利を理解し、毅然とした態度で臨むことを心がけてください。

同時に、企業や教育機関、社会全体でこの問題に取り組み、公平で健全な就職活動の実現を目指すことが重要です。
一人ひとりの意識と行動が、より良い就活環境の創出につながっていくことが期待されています。

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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