「親が亡くなった。でも、あの兄弟とは連絡すら取りたくない……」
相続で、お金の問題以上に多くの人を苦しめるのは「不仲な親族との連絡」かもしれません。
預貯金の解約や不動産の名義変更には「相続人全員の合意」が原則必要です。
しかし、あなたが直接会ったり、連絡をしたりせずに解決できる可能性があります。
「自分が我慢するしかない」と一人で抱え込み、疲弊してしまう前に。
あなたの平穏な生活を守りながら、相続をする方法を探ってみましょう。
相続トラブルの原因は「数字」ではなく家族の「感情」
相続は、単なる「お金や財産の計算」では終わりません。そこには、数十年という歳月の中で育まれてきた、家族それぞれの思いが深く根ざしている可能性があります。
(1)「私だけが親を支えた」という献身と消えない不公平感
「自分だけが親を近くで支え、介護も担ってきた」という自負がある一方で、遠くに住む兄弟もあなたと同じく相続の権利を主張する…。この「貢献度の違い」に対する割り切れない思いが、話し合いを停滞させる大きな要因となりえます。
(2)数十年経っても癒えない幼少期の記憶や「愛情の格差」
「あの時、自分だけ学費を出してもらえなかった」
「親はいつも、あの子のことばかり優先していた」
心の奥底に眠っていた幼少期の不公平感や寂しさが、相続というきっかけを得て一気に溢れ出してしまうことも少なくありません。
(3)自身の老後や健康不安が心の余裕を奪ってしまう
親の相続問題が起こりやすい50代~60代は定年退職や自分自身の健康、そして老後資金など、将来への不安をリアルに感じ始める時期でもあります。
自分たちの生活を守らなければならないという切実な思いが、親族間のトラブルをより深刻で苦しいものに感じさせてしまうのです。
「今は無理」と放置する前に|相続を先延ばしにできない4つのリスク
「あの兄弟と話すくらいなら、手続きなんて後回しでいい……」
そう思ってしまうお気持ち、本当によく分かります。
ですが、実は2024年から相続のルールが大きく変わり、放置することのリスクはこれまで以上に重くなっています。将来のあなた自身が困らないために、知っておいていただきたい4つのリスクがあります。
(1)【2024年新ルール】名義変更の放置で「過料(ペナルティ)」の対象に
2024年4月から、不動産の相続登記(名義変更)が法律で義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に手続きを行わないと、最大10万円の過料を科される可能性があります。
もし相続に向けた話し合い(遺産分割協議)をしていない場合でも、相続登記をしないということはできません。相続登記の期限を迎えそうな場合には、法定相続による登記申請や相続人申告登記をする必要があります。
(2)銀行口座が凍結され、親の預貯金を自由に引き出せなくなる
親が亡くなると、銀行口座は「凍結」され、勝手にお金を引き出すことができなくなります。相続人が他の相続人の許可なく勝手に引き出すなど、相続人間のトラブルを防ぐためです。
凍結後に預金を引き出すには、原則遺産分割協議(どの財産を誰がもらうかの話し合い)を完了させ、相続人全員の署名・捺印がある書類を提出する必要があります。
(3)相続税は10か月以内に申告が必要|放置すると損をしてしまうことも
一定額以上の相続財産がある場合には、相続税の申告・納税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。
相続税の申告期限を過ぎてから税金を納めると「延滞税」が課されたり、相続税の申告期限までに申告せず、期限後に申告した場合は「無申告加算税」が課されることになります。
故人が個人事業を営んでいた場合、相続人はその故人の代わりにその年の確定申告(準確定申告)を行います。期限は、相続人が自己のために相続が開始したことを知った日の翌日から4ヶ月以内ですので注意しましょう。
(4)相続放棄や遺留分侵害額請求ができなくなる
相続には「やり直しのきかない期限」があります。
例えば、後から親に多額の借金があることが分かった場合、相続を辞退する(相続放棄)には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に手続きをしなければならないのが原則です。
また、不公平な遺言書が見つかり、最低限の取り分を請求したい(遺留分侵害額請求)という場合の期限も「相続の開始および遺留分が侵害されていることを知ったときから1年以内」が原則になります。
「関わりたくない」と距離を置いている間に、あなたの権利を守るためのチャンスがなくなってしまう可能性があるのです。
不仲の兄弟と連絡をとらずに、相続を終える方法とは
「手続きは進めたいけれど、相手の声を聞くことすら苦痛……」
そんな状況であっても極力連絡をとらずに相続を終える方法を3つ紹介します。
(1)相続放棄をする(相続に一切かかわらない)
もしあなたが「親の遺産は一円もいらないから、とにかくあの兄弟と関わりたくない」と考えているなら、「相続放棄」も選択肢の1つです。
家庭裁判所で手続きを行うことで、法律上「最初から相続人ではなかった」ことになります。他の兄弟と遺産を分け合う「遺産分割協議(どの財産を誰がもらうかの話し合い)」に参加する義務がなくなるため、連絡を取り合う必要も一切なくなります。
しかし、家庭裁判所に相続放棄の申述が受理されたあとは、原則として撤回(取り消し)することはできません。あとから高額な財産が見つかったとしても、「やはり相続したい」と主張することはできませんので注意しましょう。
(2)書面やオンラインで相続の話し合いを行う
「遺産は正当に受け取りたいけれど、顔を合わせるのは嫌だ」という場合、必ずしも一堂に会して話し合う必要はありません。
他の相続人が作成した遺産分割協議書の内容に合意できるのであれば、その遺産分割協議書を郵送してもらい、署名・捺印して返送する「持ち回り方式」で参加できます。また、近年ではZoomなどのWeb会議システムを利用して、遠隔地からオンラインで遺産分割協議に参加する方法もあります。
ただし、相手が感情的になりやすかったり、こちらの連絡を無視したりする場合、こうした「本人同士」のやり取りはかえって精神的な負担を大きくしてしまうリスクがあります。
(3)弁護士に間に入ってもらう
「話し合い自体がストレスで動悸がする」「相手がまともに応じてくれない」という場合には、弁護士に間に入ってもらうのがおすすめです。
相続手続を弁護士に依頼することで、弁護士があなたの兄弟との間に入って、あなたの窓口となってくれます。相手への連絡、書類の送付、交渉のすべてを弁護士が代行してくれますので、あなたから兄弟に連絡を取る必要はありません。
弁護士が代理人となれば、他の相続人との交渉や連絡、複雑な書類の作成など慣れない手続や面倒なやり取りをすべて任せることができます。
【まとめ】相続は必要…だけど、あなたの心を守ることを一番に考えませんか?
相続のトラブルというのは、単なるお金の問題だけではありません。その根底には「家族だからこそ、どうしても譲れない」という複雑で切実な感情が渦巻いているものです。
しかし、お気持ちがつらいからといって手続きをそのままにしてしまうと、ペナルティ(過料など)が発生したり、期限が過ぎて損をしてしまったりと、さらなる大きなリスクを抱え込んでしまう可能性も考えられます。
ご自身の心を守るためには、無理にひとりで立ち向かおうとする必要はありません。解決への一番の近道は、あえて「適切な距離」を置くための方法を選ぶことです。
アディーレの弁護士にご依頼いただければ、弁護士があなたの「代理人」となり、親族との話し合いをすべてお引き受けいたします。
精神的な平穏を取り戻し、一日も早く心穏やかな毎日を送れるよう、私たちがその第一歩を全力でサポートさせていただきます。まずは一度、今のお悩みを聞かせていただけませんか。



























