「亡くなった親族の相続人になったのだけれど、戸籍の取得方法がわからない…どの種類の戸籍が、どれだけ必要なの?」
いざ相続に直面して、このような疑問をお持ちではないでしょうか。
相続は人生の中で避けて通れない出来事ですが、手続は複雑で、最初の戸籍取得の段階から戸惑う人も少なくありません。
相続手続をスムーズに進めるためのポイントを押さえ、のちのトラブルを防ぐためには、正確な情報が不可欠です。
この記事が、相続手続に必要な戸籍の取得方法をしっかりと把握し、安心して手続を進めるために役立てば幸いです。
この記事を読んでわかること
- 相続に必要な戸籍
- 戸籍の取得方法や費用
- 相続手続における戸籍の利用例
ここを押さえればOK!
戸籍には戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)と戸籍抄本(個人事項証明書)などがあります。
戸籍の有効期限は明確に設定されていませんが、最新の情報をもとに手続を進めることが重要です。
特に金融機関や法務局では、発行から3ヵ月以内の戸籍が求められることが一般的です。
相続手続が長期間にわたる場合、再度戸籍を取得する必要が生じることもあります。
相続手続に必要な戸籍の種類と部数は手続の内容によって異なります。
戸籍の取得方法には窓口請求、郵送請求、オンライン請求があります。請求には本人確認書類が必要で、手数料もかかります。
2024年3月1日からは戸籍証明書等の広域交付制度が開始され、全国どこの市町村役場からでも戸籍謄本を取得できるようになりました。
相続手続では、相続人調査、不動産の相続登記、預貯金や有価証券の名義変更、相続税申告、自動車の移転登録などで戸籍が必要になります。
アディーレ法律事務所
同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属
相続に必要な戸籍とは?
相続手続において、戸籍は非常に重要な役割を果たすものです。
相続人の範囲を正確に把握することは、遺産分割や相続税の申告など、すべての相続手続の基盤となります。
たとえば、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍を取得することで、法定相続人が誰であるかを確認できます。戸籍には、被相続人の親族関係や婚姻歴、子供の有無などの情報が含まれるからです。
また、各相続人の戸籍も必要になるでしょう。
以上のことから、相続に必要な戸籍を取得することは、円滑な相続手続の第一歩といえます。
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
相続手続では、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)と戸籍抄本(個人事項証明書)の違いを理解することが重要です。
戸籍謄本は戸籍全員の情報を含む書類で、相続人の範囲を確定するために必要になります。
これに対し、戸籍抄本は特定の個人の情報のみを含むものです。
相続手続では、通常、戸籍謄本が求められます。相続人の権利を正確に確認するためです。
除籍謄本と住民票の除票
なお、混同されやすい戸籍の種類として、「除籍謄本(抄本)」も存在します。
除籍謄本とは、死亡や婚姻などにより、その戸籍にいる人が全員いなくなった戸籍謄本のことです。
また、戸籍ではありませんが、相続手続においては「住民票の除票」が必要なこともあります。
住民票の除票は、被相続人が死亡した事実や、最後の住所地を証明するために用いられます。
相続に必要な戸籍の有効期限
相続手続において、戸籍がいつ取得されたものであるかは重要な要素になります。
一般的に、明確な有効期限が設定されているわけではありませんが、相続人の範囲や状況が変わる可能性があるため、最新の情報を基に手続を進める必要があるからです。
特に金融機関や法務局などの手続では、発行から3ヵ月以内の戸籍を求められることが一般的です。
また、相続手続が長期間にわたる場合、途中で再度戸籍を取得する必要が生じることもあります。
したがって、なるべく新しい戸籍を用意しておくことで、手続がスムーズに進行し、のちのちのトラブルを防ぐことが期待できます。
相続手続に必要な戸籍の種類と部数
必要な戸籍の種類と部数は相続手続の内容によって異なります。
繰り返しになりますが、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本が必要です。
これにより、法定相続人が誰であるかを確定します。
また、それぞれの相続人の戸籍謄本も必要です。これにより、相続人全員の身分関係を証明します。
ただし、相続人が被相続人と同一戸籍に入っている場合などであれば、重ねて取得する必要はないこともあるでしょう。
さらに、特定の手続では追加が求められることもあります。
たとえば、不動産の相続登記や金融機関での名義変更には、各相続人の戸籍抄本や住民票が必要となることがあるようです。
また、必要な部数は手続を行う機関ごとに異なるため、事前に確認しておくようにしてください。
相続手続における戸籍の取得方法
相続手続に必要な戸籍を取得する際は、まず、本籍地を確認します。本籍地がわからない場合は、住民票や過去の戸籍謄本を参考にしましょう。
次に、本籍地の市区町村役場に戸籍謄本の請求を行います。
請求方法には、次のような方法があります。
- 窓口での請求
- 郵送請求
- オンライン請求
窓口での請求は、役場の窓口に直接出向き、必要な書類を提出する方法です。
郵送請求の場合、請求書と本人確認書類のコピー、返信用封筒を同封して役場に送ります。オンライン請求は、自治体のオンラインサービスを利用して行いますが、対応している自治体に限られます。
なお、請求には、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)が必要です。
また、手数料がかかるため、事前に確認しておくようにしましょう。
戸籍取得に必要な書類と費用
相続手続に必要な戸籍を取得する際には、前述のとおり、まず本人確認書類が必須です。
具体的には、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの公的な身分証明書が該当します。
これらの書類は、窓口での請求や郵送請求、オンライン請求のいずれの場合でも必要です。
次に、戸籍請求書を準備します。これは市区町村役場の窓口や公式ウェブサイトから入手できます。郵送請求の場合、返信用封筒と切手を同封することも必要です。
返信用封筒には、請求者の住所と氏名を記載し、切手を貼付します。
費用としては、戸籍謄本などの発行手数料がかかります。
手数料は自治体によって異なる可能性がありますが、一般的には1通あたり450円から750円程度です。
戸籍の広域交付制度とは?
2024年3月1日から開始された戸籍証明書等の広域交付制度は、戸籍の取得をより便利にする新しい制度です。
この制度により、従来は本籍地の市区町村役場でしか取得できなかった戸籍謄本を、全国どこの市町村役場からでも取得できるようになりました。
ただし、すべての戸籍が請求の対象となっているわけではなく、戸籍抄本やコンピュータ化されていない戸籍、兄弟姉妹の戸籍は請求できない点にご注意ください。
この制度により、時間と手間を大幅に削減できるため、相続手続がよりスムーズに進行するでしょう。広域交付制度を活用することで、相続手続の効率が大幅に向上するかもしれません。
相続手続における戸籍の利用例
相続手続では、さまざまな場面で戸籍が必要です。
下の表に、具体的な利用例を示します。
なお、必要な戸籍の種類は一例であり、必ずしもこのとおりであるとは限りません。
手続内容 | 必要な戸籍の種類(例) | 説明 |
---|---|---|
相続人調査 | 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 法定相続人を確定するため |
不動産の相続登記 | 被相続人と相続人の戸籍謄本 | 不動産の名義変更を行うため |
預貯金や有価証券の名義変更 | 被相続人と相続人の戸籍謄本 | 金融機関での手続を行うため |
相続税申告 | 被相続人と相続人の戸籍謄本 | 相続税の申告書類に添付するため |
自動車の移転登録 | 被相続人と相続人の戸籍謄本 | 自動車の名義変更を行うため |
これらの手続では、正確な情報が求められます。必要な戸籍を適切に取得し、各手続に対応することで、相続手続がスムーズに進行するでしょう。
【まとめ】戸籍取得は相続手続の第一歩|オンライン請求や広域交付制度を活用しよう
相続手続において、戸籍の取得とその利用は非常に重要なステップです。
相続人の確定から不動産の相続登記、金融機関での名義変更など、さまざまな手続で戸籍が必要となります。
これらの手続を円滑に進めるためには、正確な情報を適切に取得し、各手続に対応することが必要です。
しかし、相続手続は複雑で多岐にわたるため、専門知識が必要です。
戸籍の取得方法や必要書類、手続の流れを理解するだけでも大変な労力がかかるうえ、相続人間でのトラブルや法的な問題が発生するリスクもあります。
そのため、相続手続をスムーズに進め、トラブルを未然に防ぐためには、専門家である弁護士に依頼することをおすすめします。
相続手続に関する豊富な知識と経験を持った弁護士に依頼することで、複雑な手続も迅速かつ正確に対応できるでしょう。
安心して相続手続を進めるためにも、まずは弁護士にご相談ください。
アディーレ法律事務所は、相続手続について積極的にご相談・ご依頼を承っております。
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※以上につき2024年11月時点
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