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兄弟姉妹間で相続放棄する主な理由や手続きの流れ・注意点を解説

作成日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

相続は家族にとって重要な問題であり、特に兄弟姉妹間で相続が発生する場合には複雑な状況を生み出すことがあります。

しかし、相続放棄は簡単に決断できるものではありません。
法的な手続きや申立期限、相続放棄後の影響など、考慮すべき点は多岐にわたります。
この記事では、兄弟姉妹間で生じた相続に焦点を当て、相続放棄の具体的な手続きや、相続放棄後に生じ得る影響などについて解説します。
相続放棄を検討している方にとって、適切な判断の一助となれば幸いです。

この記事を読んでわかること

  • 相続放棄とは
  • 兄弟姉妹の相続放棄を検討する主な理由
  • 相続放棄の手続きの流れや影響

ここを押さえればOK!

相続放棄とは、相続人が被相続人の遺産を引き継がないようにする手続きです。
相続放棄をするには家庭裁判所での手続きが必要です。

兄弟姉妹が相続人となるのは、被相続人に配偶者や子ども、父母がいない場合が一般的です。また、それらの相続人が相続放棄した場合も相続人になる可能性があります。

相続放棄を検討する主な理由には、被相続人の債務が資産を上回る場合や、固定資産税・維持費の負担が困難な場合などがあります。

相続放棄の期限は原則として相続開始を知った時から3ヵ月以内ですが、家庭裁判所に申し立てることで期間の伸長が認められることもあります。

相続放棄後は、その相続に関してはじめから相続人ではなかったとみなされます。
ただし、遺産の処分や隠匿をした場合は相続放棄が認められない可能性があります。
相続放棄を検討している場合は、ほかの相続人への影響を考慮し、必要であれば事前に相談しておくことが望ましいでしょう。
この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

弁護士 重光 勇次

アディーレ法律事務所

同志社大学、及び、同志社大学法科大学院卒。2009年弁護士登録。アディーレに入所後、福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2022年4月より商品開発部門の統括者。アディーレがより「身近な法律事務所」となれるよう、新たなリーガルサービスを開発すべく、日々奮闘している。現在、神奈川県弁護士会所属

相続放棄とは

そもそも相続放棄とは、相続人が、被相続人(亡くなった人)のプラスの資産もマイナスの資産も引き継がないようにする手続きです。
相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったとみなされます(民法第939条)。

民法第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

引用:民法|e-Gov 法令検索

そして、相続放棄をするには、家庭裁判所で手続きする必要があります。
家庭裁判所で相続放棄の手続きをせずに、相続人間で「相続放棄する」と合意しても、第三者には「相続放棄」の効果は及びません。
つまり、家庭裁判所で手続きしない限り、被相続人の借金の債権者に「私は相続放棄をしたので、私には請求しないでください」と反論しても認めらないということです。

参考:相続の放棄の申述|裁判所

兄弟姉妹が相続人になる場合

兄弟姉妹が相続人となるのは、被相続人の配偶者や子どもがいない場合、または先に亡くなっている場合です。
民法によると、兄弟姉妹は第三順位に位置づけられています。
具体的には、①子ども(亡くなっている場合は孫)、②父母(亡くなっている場合は祖父母)、③兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥や姪)の順で相続権が発生します。
そして、配偶者は常に相続人となるため、配偶者のいる人が亡くなると、①配偶者と子ども、②配偶者と父母、③配偶者と兄弟姉妹、の順で相続することになります。

また、独身で子どものいない人が亡くなり、(祖)父母も既に他界している場合、兄弟姉妹だけが相続人となります。

先順位者がいても兄弟姉妹が相続人になる場合がある

前述のとおり、相続人が相続放棄すれば、その人ははじめから相続人ではなかったことになります。
そのため、被相続人に配偶者と子どもがいたとしても、被相続人が多額の借金を残して亡くなり、その配偶者と子ども(複数いる場合は全員)が相続放棄すれば、兄弟姉妹がその借金を相続する可能性が高いでしょう。
(※被相続人の父母(亡くなっていれば祖父母)が存命であれば、父母が相続しますが、そのようなケースは多くないため)

兄弟姉妹の相続放棄を検討する主な理由

最も一般的なのは、被相続人の債務が資産を上回る場合です。
相続すればマイナスの資産である債務も引き継ぐことになるため、経済的負担を避けるために放棄を選択することがあります。
また、相続財産が不動産のみで現金が少ない場合、固定資産税の支払いや維持費の負担が困難なことも理由となり得ます。
さらに、兄弟姉妹間の関係性や公平性の観点から、一部の兄弟姉妹が放棄することで、ほかの兄弟姉妹により多くを相続させようとするケースもあるようです。

ほかにも、被相続人やほかの相続人との関係が険悪だったり疎遠だったりする場合や、面倒な相続手続きに関わりたくない、といった理由から相続放棄を検討することもあるでしょう。

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄の手続の流れは、およそ次のとおりです。

  1. 必要書類の収集・作成
  2. 必要書類を家庭裁判所に提出(相続放棄の申述)
  3. 家庭裁判所から照会書が届いた場合は、回答
  4. 相続放棄申述受理通知書が家庭裁判所から届く

必要書類の提出から相続放棄申述受理通知書が届くまで、およそ1ヵ月半かかることが一般的です。
もっとも、必ずしも家庭裁判所から照会書が届くとは限りません。
当該相続放棄について、家庭裁判所が本人の意思を特に確認したいと考えるような事情がなければ、必要書類の提出から10日程度で相続放棄申述受理通知書が届き、手続きが完了するケースもあります。

相続放棄には、被相続人や自分の戸籍などが必要になります。
兄弟姉妹の戸籍の取得方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

兄弟姉妹は赤の他人?兄弟姉妹の戸籍を取得する方法

相続放棄の期限(原則と例外)

相続放棄には、期限があります。
知らないうちに相続放棄できる期限が過ぎていたなんてことにならないよう注意しましょう。

(1)原則は3ヵ月以内

相続放棄できる期限は、民法第915条により、原則として相続人が相続開始を知った時から3ヵ月以内と定められています。
この「相続開始を知った時」とは、通常、被相続人の死亡を知った時点です。
ただし、先順位者の相続放棄により、本来なら相続人ではなかった人が相続人となった場合には、先順位者が相続放棄をした事実を知った時が起算点となります。

(2)期間の伸長が認められることも

この3ヵ月という期間は、家庭裁判所に申し立てることにより、伸長が認められることがあります。
ただし、この伸長の申立てにも期限があり、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内」にする必要があります。

参考:相続の承認又は放棄の期間の伸長|裁判所

相続放棄後の影響

相続放棄をしたあとに生じ得る影響について説明します。

(1)相続放棄をした人の立場

前述のとおり、相続放棄をした人は、その相続に関しては初めから相続人ではなかったものとみなされます。
したがって、相続放棄をすれば被相続人の遺産の恩恵を受けることはできませんが、借金など、被相続人の債務を負担する必要もなくなります。

ただし、遺産を処分したり、隠匿したりした場合には、相続放棄が認められなくなる可能性がある(法定単純承認)ため、ご注意ください。
また、相続放棄は一度したら、基本的に撤回できません。

(2)他の相続人への影響

法律上、相続放棄をするためにほかの相続人の同意などは必要ありません。
ただし、相続人である兄弟姉妹が複数いる場合には注意が必要です。

誰にも相談せずに一人だけ相続放棄したら、「ほかの相続人に借金を押し付けた」「面倒なことから逃げた」などと言われ、トラブルになる可能性があります。
そのようなトラブルを避けるためにも、相続放棄をするつもりであることは事前に伝えておくとよいでしょう。
資産よりも負債のほうが多いなどの事情があれば、相続人全員が相続放棄することも少なくありません。

【まとめ】

相続放棄は、相続問題を解決する一つの選択肢です。
この記事では、相続放棄の基本から、兄弟姉妹が相続人となる場合、放棄を検討する理由、具体的な手続き、相続放棄の期限、そして相続放棄後の影響について解説しました。
相続放棄は一度行うと基本的に撤回できない重要な決断であり、他の相続人にも影響を及ぼすことがあります。
そのため、個々の状況を慎重に検討し、必要に応じて弁護士のアドバイスを受けるとよいでしょう。

アディーレ法律事務所では、相続放棄に関するご相談は何度でも無料です。
アディーレ法律事務所に相続放棄をご依頼いただければ、次のことを弁護士が代わりに行います。

  • 戸籍謄本の収集
  • 相続人の調査
  • 裁判所に対して行う相続放棄の申述
  • 裁判所からの照会書に対する対応
  • 相続放棄申述受理通知書の受領
  • 支払いの督促をされている債権者へ相続放棄したことの連絡
  • 後順位相続人へのご連絡およびご説明

これにより、ご依頼者様の負担を減らすことができます。

もし、相続放棄のお手続きが完了しなかった場合(相続放棄の申述が受理されなかった場合)、弁護士費用は、原則として全額返金となりますので、安心してご依頼いただけます。
(※以上につき2025年4月時点)