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20年の除斥期間等が経過した慢性B型肝炎における給付金について

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「20年以上前から慢性B型肝炎を発症しているんだけれど、給付金はいくらになる?」

一定の要件を満たしているB型慢性肝炎の場合、もらえる給付金額は次のとおりです。

  • 発症した日から20年を経過していない場合:1250万円
  • 上記期間を経過している場合:300万円または150万円(※)
    ※治療歴の有無により、給付金額は、300万円か150万円か異なることになります。

今回の記事では、

  • B型肝炎訴訟における除斥期間等
  • 慢性B型肝炎の給付金額

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 大西 亜希子

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

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慢性B型肝炎とは?

幼少期にB型肝炎ウイルスに感染すると、免疫機能が未発達のため、ウイルスを排除することができず、体内にウイルスを保有したままの状態となります。
このような状態にある患者を、B型肝炎ウイルスのキャリア(持続感染者)と呼びます。

キャリアのうち約90%は慢性肝障害を伴わない無症候性キャリアとして生涯を過ごしますが、約10%は、慢性B型肝炎を発症し、肝硬変や肝がんなどへ進展する危険性があるといわれています。

参考:B型肝炎|国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター

B型肝炎訴訟における除斥期間等とは?

B型肝炎給付金の給付金額は、除斥期間等を経過しているか否かで異なります。
ここでは、B型肝炎訴訟の除斥期間等について解説します。

(1)B型肝炎訴訟とは?

B型肝炎訴訟とは、幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用によって、B型肝炎ウイルスに感染した方等が、国にその損害の賠償を求める訴訟です。
この訴訟の中で、国との和解が成立した場合、給付金をもらうことができます。

1.予防接種法の施行日である1948年7月1日から、注射筒の1人ごとの取り替えを指導した1988年1月27日までの間で、かつ、2.満7歳の前日までの間に集団予防接種等を受け、3.これによって、B型肝炎ウイルスに持続感染した方(一次感染者)について、給付金が支給されることとなります。
また、一次感染者からの母子感染者または父子感染者(二次感染者)などについても給付金が支給されます。

参考:B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)|厚生労働省

(2)損害賠償請求権の期間制限(除斥期間等)

幼少期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方は、国に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有しています。

この不法行為に基づく損害賠償請求権には、民法で20年の期間制限(除斥期間等)が設けられており、この期間制限を超えてしまうと、原則として損害賠償を求める権利を失ってしまうことになります(改正民法724条の1第2号、改正前民法724条後段)。

※民法が改正されたこととの関係で、この期間制限の性質は、2020年4月1日までに期間を経過していた場合には『除斥期間』(改正前民法724条後段)、2020年4月1日以降に期間を経過した又はする場合には『消滅時効』になります(改正民法724条の1第1号)。

除斥期間と消滅時効は、権利の消滅に際して、その権利が消滅することによって利益を受ける者の意思表示が必要になるか否か等で異なる点はあるのですが、いずれも一定の期間の経過によって権利が消滅してしまう点で共通します。

(3)除斥期間等が経過しても給付金は受け取れる?

前述のように、民法上、除斥期間等を超えると、相手に対して損害賠償をする権利を失ってしまうことになります。
しかし、除斥期間等を経過すると何らの権利もないということになると、あまりに被害者の救済に欠けます。

そこで、特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(「特措法」といってご説明します。)では、除斥期間等を経過した方に対しても給付金請求権は認めた上で、給付金額を減額する仕組みを採っています。

そのため、除斥期間等を経過した方であっても、B型肝炎給付金を受給することが可能です。

なお、次のページでは、20年の除斥期間等を経過した慢性B型肝炎を患った方が、弁護士に依頼することで、給付金を受給することができた事例を紹介しています。

(4)B型肝炎の除斥期間等の起算点は?

除斥期間等を経過した場合、給付金額が減額されるので、いつから除斥期間等がカウントされるのか(起算点)は非常に重要です。

(4-1)無症候性キャリアの場合

無症候性キャリアのうち一次感染者の場合、集団予防接種等を受けたときが起算点になります(集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染する可能性がったのは1988年1月27日までですので、一次感染者の方については除斥期間等を経過していることになります)。

無症候性キャリアのうち二次感染者または三次感染者の場合は、母子感染者については出生日、父子感染者についてはB型肝炎ウイルスに感染していることを確認できる最初の時点または満7歳の誕生日の前日のいずれか早い方の日となります。

(4-2)慢性B型肝炎などの病態発症者の場合

慢性肝炎等の病態を発症した場合は、その病態を最初に発症した日が起算点となります。
慢性B型肝炎は上記の「病態発症者」にあたりますので、起算点は、『慢性B型肝炎を発症した日』となります。

通常、医師による慢性B型肝炎との診断を初めて受けた日が、慢性B型肝炎を発症した日として、起算点となります。

なお、亡くなられた方については、死亡日が起算点となります。

無症候性キャリアの場合

一時感染者については
集団予防接種等を受けた時点
母子感染者については出生日
父子感染者についてはB型肝炎ウイルスに感染していることを確認できる最初の時点又は満7歳の誕生日の前日のいずれかの
早い方の日

慢性B型肝炎などの発症者の場合

慢性B型肝炎などの病態を発症した時点
死亡の場合は、死亡日

(5)除斥期間等の起算点が争点になった慢性B型肝炎の訴訟事例

慢性B型肝炎の場合、その慢性B型肝炎を発症した日が除斥期間等の起算点となります。

もっとも、慢性B型肝炎を発症したものの、いったん肝炎が沈静化し、その後再び慢性B型肝炎を発症した場合、起算点を最初の発症日とするのか、それとも再発した日とするのかについては争いがありました。

そのような状況下で、2021年4月26日、最高裁第二小法廷は、「再発日」を起算点と主張する原告を敗訴とした福岡高裁判決を破棄し差し戻すという判決をしました。

この点について、もう少し詳しくご説明します。

裁判例上、「不法行為によって発生する損害の性質上、加害行為が終了してから相当期間が経過した後に損害が発生する場合には、当該損害の全部または一部が発生した時が除斥期間の起算点となる」とされていました。

そして、幼少期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染し慢性肝炎を発症した場合の不法行為に基づく損害賠償請求権について、「その損害の性質上、加害行為が終了してから相当期間が経過した後に損害が発生するものと認められる」ことから、除斥期間の起算点は「損害の発生の時」であるとされていました。

これを受けて特措法においても、慢性B型肝炎の給付金減額期間の起算点を、「当該慢性肝炎を発症した時」としています(特措法6条1項7号、同項8号参照)。

今回の最高裁判決で争われていたのは、次の点です。
  • 「最初に発症した慢性B型肝炎による損害」と「再発した慢性肝炎による損害」を一つの損害とみて、最初の発症日を「損害の発生の時」とみるのか
  • 別個の損害とみて、再発日を「損害の発生の時」とみるのか

この点、最高裁は、最初に発症した慢性B型肝炎による損害と、再発した慢性B型肝炎による損害は別個の損害であるとして、再発日が除斥期間の起算点であると判断したのです。

この判決により、慢性肝炎が再発した方については、再発日を除斥期間等の起算点として、除斥期間等経過前の給付金を受給することができる可能性があることになりました。

参考:最高裁判所第二小法廷判決令和3年4月26日|裁判所 – Courts in Japan

慢性B型肝炎の給付金額は除斥期間等が経過すると、大幅に減る

B型肝炎給付金の給付金額は、除斥期間等を経過しているか否かにより異なります。
ここで、慢性B型肝炎の給付金額につきご説明します。

(1)慢性B型肝炎の給付金額

慢性B型肝炎の給付金額は次のようになります。

慢性B型肝炎
除斥期間等を経過していない方1250万円
除斥期間等を経過している方で、現に治療を受けている方等
300万円
除斥期間等を経過している方で、上記以外の方
150万円

上記の表のとおり、除斥期間等の経過の有無により、慢性B型肝炎の場合、給付金額が大幅に異なることになります。

(2)慢性B型肝炎は治療の有無で給付金額が変わる

上記の給付金額の表をご覧いただけるとわかるのですが、慢性肝炎を発症している方のうち、除斥期間等を経過した方については、「現に治療を受けている方等」に該当するか否かによって給付金額が異なります。

「現に治療を受けている方等」に該当するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. 訴訟提起の日から1年前の日以降にALT(GPT)値の異常(異常値の比較)があること。かつその日から6ヶ月以上の間隔をあけた別の時点において、連続して、ALT(GPT)値の異常(基準値との比較)が認められる状態であること
  2. インターフェロン製剤、核酸アナログ製剤、ステロイドリバウンド療法またはプロパゲルマニウムのいずれかの治療歴が医療記録等から認められること

B型肝炎給付金を弁護士に相談するメリット

B型肝炎給付金の受給手続きをお考えの方については、B型肝炎訴訟に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
ここでは、弁護士に相談することのメリットを解説します。

(1)資料集め等のサポートをしてもらえる

B型肝炎給付金を受給するためには、様々な資料を収集することが必要になります。
この資料を自分自身で収集することも不可能ではありませんが、血液検査については検査項目や場合によっては検査方法に指定がありますし、役所や医療機関等の様々な場所に問い合わせをする必要があります。

また、提出するべき資料としてカルテが求められていることとの関係上、カルテの中身をチェックし、他の医療機関への通院歴が見つかった場合には、その医療機関からカルテを開示してもらった上で、再度カルテの中身をチェックするという作業も行わなければなりません。
しかもカルテは日本語以外の言語で書かれていることもあります。

さらに、他原因による感染を疑わせるような記載がないか等をカルテからチェックする必要もあり、この作業には医学的な専門知識も必要となってきます。カルテの量が相当な量に及ぶ場合もあり、その場合にはカルテチェックに膨大な時間を費やす必要がでてくることも稀ではありません。

以上のように、B型肝炎給付金を受給するため個人で手続きを進めることには、多大な労力を要します。

これに対して、B型肝炎訴訟の経験のある弁護士に依頼すれば、資料集めやそのチェックについてサポートがあります。

また、弁護士によっては、サポートに留まらず、そもそも資料収集を代わりに行ってくれることもあります(母子手帳など、一部の書類を除きます)。
こうしたサポート等により、ご自身が資料収集に割く時間や労力を減らすことができます。

弁護士に依頼すると、面倒な資料収集をサポートしてもらえるので便利です。

(2)相談料や着手金が無料の弁護士もいる

弁護士に依頼すると着手金や報酬がかかります。
もっとも、弁護士事務所によっては、相談料や着手金を無料としているところもあり、そのような事務所に相談すれば、着手金や相談料は発生しません。

また、B型肝炎給付金の支給が決定すれば、和解協議にあたり、弁護士等に報酬を支払った方に対して、各給付金額の4%の額が訴訟手当金として、給付金とは別に支給されます。

例えば、成功報酬を給付金額のうち20%としている事務所に依頼した場合、成功報酬として依頼者が実質的に負担する額は16%となります。

相談料や着手金無料の事務所に依頼すれば、あらかじめ手元にまとまったお金がなくても弁護士に依頼することが可能です(ただし、別途、病院等に払う書類収集費用がかかることがあります)。
また、B型肝炎給付金の支給が決定すれば、和解協議にあたり、弁護士等に報酬を支払った方に対して、各給付金額の4%の額が訴訟手当金として支給されます。

【まとめ】慢性B型肝炎で除斥期間が経過しても、給付金をもらうことは可能

今回の記事をまとめると次のようになります。

  • 予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染した一次感染者や、一次感染者から母子感染や父子感染をした二次感染者等は、B型肝炎給付金を受給することが可能
  • B型肝炎給付金には、20年の除斥期間または消滅時効といった期間制限がある。B型肝炎給付金の場合、この期間を経過しても給付金はもらえるが、給付金額が減額される
  • 慢性B型肝炎の除斥期間等の起算日は、慢性肝炎の発症日であり、通常、医師による慢性B型肝炎の診断を初めて受けた日となる
  • 除斥期間等を経過した慢性B型肝炎については、「現に治療を受けている方等」に該当するか否かにより給付金額が異なる

「慢性B型肝炎を長く患っており、体が辛い。自分で書類収集するのはしんどい……」
このような方は、書類収集を代行してくれる事務所に依頼すると負担が軽減されます。

(※)母子手帳など、弁護士では収集できない一部資料を除きます。

またアディーレ法律事務所では、B型肝炎給付金の受給手続きに関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
※以上につき、2022年4月時点

アディーレ法律事務所では、B型肝炎に悩まれている方を一人でもサポートしたいという思いから、B型肝炎給付金の受給をお考えの方のご相談を心からお待ちしております。

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