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社会保険のない会社とは?デメリットと相談先についても解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「入社早々に、『うちは社会保険ないから』と言われてしまった……。このままだと将来受け取れる年金も減りそうだし、何だか不安だな」

ご自身の会社が社会保険に加入していない場合、それは適法なことなのでしょうか。
実は、一定の条件に当てはまる会社の場合、必ず社会保険に加入しなければなりません。

会社が社会保険に入っていなければ、自分で国民健康保険料を支払わなければならなかったり、失業しても求職者手当(いわゆる失業手当)を受け取れなかったりというデメリットが生じます。
本来社会保険に加入すべき会社が加入していない場合、相談できる公的機関がありますので、いざというときのために、相談先を知っておきましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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「社会保険」とは?

社会保険とは、病気やケガなどの一定の事態が起こった場合に公的給付などを行うことで、国民の生活を支えるための制度です。

「社会保険」には、次の5つが含まれています。

それぞれについてご説明します。

参考:日本の社会保障の仕組み 1頁|厚生労働省

(1)雇用保険

雇用保険とは、労働者が失業した場合や再就職のための職業訓練を受ける場合などに給付を行うことなどによって、労働者の生活を支えたり、就職を促進したりする制度です(雇用保険法1条)。

例えば、次のような給付があります。

  • 求職者給付…失業した場合に、生活の安定や求職活動の手助けのために行われる給付。一般的に、「失業手当」と呼ばれる。
  • 教育訓練給付…一定の条件を満たした在職者や離職者が、指定の教育訓練を修了すると受講料のうち一定割合を支給してもらえる。

雇用保険で受け取ることのできる給付金について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

雇用保険に加入しているともらえるお金と給付条件について徹底解説

参考:失業等給付について 2頁、10頁|厚生労働省

(2)労災保険

労災保険とは、仕事が原因で労働者がケガをしたり、病気になったり、死亡した場合などに、国が給付をしたり社会復帰を助ける制度です。

例えば、次のような給付があります。

  • 療養(補償)等給付…必要な療養や、必要な療養のための費用が給付される
  • 障害(補償)等給付…障害の程度に応じて、一定期間分の金額が給付される

労災保険で受けられる給付について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ちょっとした怪我でも労災補償は受けられる?状況別解説

(3)健康保険

健康保険とは、病気やケガなどの際の医療費の出費や収入の減少に備えるための制度です。

例えば、次のようなものがあります。

  • 医療費の一部負担…医療費を出すとき、年齢や所得に応じた割合(1~3割)を負担すればよい。残りは健康保険でカバー。
  • 傷病手当金…病気やケガで一定期間休業していて、会社から十分な報酬を受け取れない場合に支給。

参考:医療費の自己負担|厚生労働省

(4)厚生年金保険

厚生年金保険とは、主に会社員や公務員向けの公的年金制度です。
20歳以上60歳未満の国民は国民年金に加入しなければならないのですが、国民年金だけでなく厚生年金保険にも加入していれば、将来受け取ることのできる老齢年金などがその分上乗せされます。

国民年金と厚生年金保険の違いについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

契約社員が入るのは国民年金?厚生年金?加入ルールを解説

(5)介護保険

介護保険とは、介護を担う家族の負担を軽減し、社会全体で介護を支えるための制度です。
介護保険には、40歳以上の人が加入します。

自分や家族の介護が必要になった場合、介護保険担当窓口へ申請のうえ、要介護認定(要支援認定)を受けるなどの手順を踏むことで、介護サービスの利用料金の負担割合を1~3割に抑えることができます。

ご家族の介護が視野に入ってきた場合、仕事と介護の両立のためには介護保険の利用などを検討することがおすすめです。

介護に伴い、職場で気を付けておきたいことについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ケアハラスメントとは?未然に防ぐ方法や受けたときの対処法を解説

参考:介護保険制度について|厚生労働省

社会保険に加入すべき会社とは?

一定の条件に当てはまる会社の場合、必ず社会保険に加入しなければなりません。
条件に当てはまっている場合、「加入する・加入しない」を会社が選ぶことはできないのです。

会社が必ず加入しなければならない場合

それぞれの社会保険について、会社が必ず加入しないといけない場合は次の表のとおりです。

保険会社(事業所)が必ず社会保険に加入しないといけない場合社会保険に加入している会社で働いていても、原則として被保険者とならない人
雇用保険原則 、労働者が雇用されている事業全て ・1週間の所定労働時間が20時間未満の人
・同じ事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない人
・季節的に雇用される人のうち、4ヶ月以内の期間を定めて雇用される人や1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の人
・学校や専修学校の学生など(主に、昼間学生などが該当)
・船員のうち、漁船に乗り組むために雇用される人(1年を通じて雇用される場合を除く)
・国や都道府県などの事業で雇用されている人のうち、離職の際に受け取ることのできる給付などが求職者給付や就職促進給付の内容を超えている、一定の範囲の人
労災保険労働基準法上の「労働者」に当たらない人
(例)
・代表取締役
・同居の家族 など
健康保険・一定の範囲の業種(適用業種)に当てはまる事業の事業所のうち、常時5人以上の従業員を使用しているところ
・国、地方公共団体または「法人」の事業所で、常時従業員を使用しているところ

→会社は「法人」なので、通常の会社なら強制加入!
・船員保険の強制被保険者
・ 臨時に使用される人で、日々雇い入れられる人
・臨時に使用される人で、2ヶ月以内の期間を定めて使用される人
・所在地が一定しない事業所で使用される人
・季節的業務に使用される人
・臨時的な事業の事業所で使用される人 など
厚生年金保険・一定の範囲の業種(適用業種)に当てはまる事業の事業所のうち、常時5人以上の従業員を使用しているところ
・国、地方公共団体または「法人」の事業所で、常時従業員を使用しているところ
・船員として船舶の所有者に使用されている人が乗る船舶

→会社は「法人」なので、通常の会社なら強制加入!
・ 臨時に使用される人で、日々雇い入れられる人
・臨時に使用される人で、2ヶ月以内の期間を定めて使用される人
・所在地が一定しない事業所で使用される人
・季節的業務に使用される人
・臨時的な事業の事業所で使用される人
・一定の短時間労働者
介護保険※40歳以上の日本に住んでいる人は原則として強制加入。健康保険や国民健康保険などに加入している限り、40歳になると自動的に加入(会社を通じて加入するわけではない)。・40歳未満の人
・40歳以上でも、海外に住んでいる人など

ここで気を付ける必要があるのが、

会社の加入が必須であっても、一部の人は社会保険の被保険者とはならないケースがある

ことです。
表の右側をチェックしてみてください。右側のどれかに当てはまっている場合、今の会社で社会保険に入ることは基本的にできません。
いわゆるパートやアルバイトといった非正規雇用の場合、たとえ会社が強制加入でもその人は社会保険に加入できないという場合があります。

しかし、非正規雇用であっても一定の条件を満たしていれば、社会保険に加入できます。
また、社会保険の加入要件が拡大したことで、今までは加入しなくてよかった人でも強制加入となっているケースがあります。

社会保険の加入要件の拡大について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

パートの社会保険の加入要件が拡大!加入したときの家計への影響は?

会社が社会保険に加入してくれない場合のデメリット

会社が社会保険に加入してくれない場合、例えば次のようなデメリットが生じるおそれがあります。

  • 雇用保険…失業しても、求職者手当を受け取れない
  • 労災保険…自分で労働基準監督署での手続きをしないと、給付を受けられない
  • 健康保険、厚生年金保険…国民健康保険や国民年金に加入したうえで、自分で保険料を支払わないといけない
  • 厚生年金保険…将来受け取れる年金の額が減ってしまう

会社が社会保険に加入してくれない場合の相談先

会社が社会保険に加入してくれないと、さまざまなデメリットが生じます。
そのため、本来社会保険に加入すべき会社が加入していないという場合には、何とかして加入してほしいところです。

それでは、会社が社会保険に加入してくれない場合の相談先をご紹介します。

(1)公的機関

会社に「どうして社会保険に入らないのか」と言っても取り合ってもらえない場合、公的機関に相談することができます。
それぞれの社会保険ごとに、例えば次のような相談先があります。

  • 雇用保険…ハローワーク
    労働者は、自分の雇用保険加入手続きがなされているかどうかをハローワークで確認することができます。
    雇用保険が適用される基準を満たしていたのに会社側が手続きをしていなかったという場合、一定期間遡って加入できる場合もあります。
  • 労災保険…労働基準監督署
    労災について自分で労働基準監督署での手続きを行い、労災の認定を受けられれば、療養(補償)等給付などの給付を受けることができます。
  • 健康保険…全国健康保険協会(協会けんぽ)
    会社独自の健康保険組合がない場合、健康保険についての相談先は全国健康保険協会となります。
  • 厚生年金保険…年金事務所
    厚生年金保険に加入すべきなのに未加入となっている事業所に対して、加入するよう指導を行います。

雇用保険の未加入が発覚した場合の対処法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

雇用保険未加入で起こる問題と未加入が発覚したときの対処法を解説

参考:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!|厚生労働省
参考:全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省
参考:法人の事業所は、すべて厚生年金保険の適用事業所となるはずですが、私の周囲に未加入の事業所を見かけます。加入する義務があるのではないですか。|日本年金機構

(2)「弁護士」という選択肢

会社が社会保険に加入してくれないという場合、労働事件を取り扱っている弁護士に相談するという方法もあります。

労働問題をまとめて解決できる可能性

例えば厚生年金保険に加入していない会社について年金事務所に相談した場合、年金事務所がしてくれることは基本的に「厚生年金保険に加入するように」という指導にとどまります。
一方、労働事件を扱っている弁護士であれば、それ以外の労働問題についてもまとめて解決できる可能性があるのです。

「きちんと社会保険に入ってくれない会社なんて、もう辞めたい。福利厚生がしっかりしている会社に転職しよう」と思って会社に退職の意思を伝えた場合を考えてみます。
会社がすんなり退職を認めてくれればよいのですが、「この忙しい時期に辞められても困る」と拒否されてしまうケースが往々にしてあります。
このような場合、弁護士は「退職代行」といって、退職に伴う諸手続きを代理して行うことができます。

民間の業者も退職代行サービスを提供しているケースがありますが、弁護士でないと「代理権」がありません。そのため、例えば退職への報復として会社から損害賠償請求をされてしまった場合、民間の業者は代理人として対処することができません。
弁護士に依頼した方が、いざという時のことを考えると安心できる一面があります。

退職代行を弁護士に依頼するメリットについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【まとめ】会社が社会保険に加入しないことが違法な場合には、ハローワークなどの公的機関や弁護士に相談できる!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 社会保険とは、病気やケガなどの一定の事態が起こった場合に公的給付などを行うことで、国民の生活を支えるための制度。主に次の5つの制度をまとめて「社会保険」という。
    • 雇用保険
    • 労災保険
    • 健康保険
    • 厚生年金保険
    • 介護保険
  • 介護保険を除き、通常の会社は社会保険に加入する義務がある。
  • 会社が社会保険に加入してくれないと、次のようなデメリットが生じるおそれがある。
    • 雇用保険…失業しても、求職者手当を受け取れない
    • 労災保険…自分で労働基準監督署での手続きをしないと、給付を受けられない
    • 健康保険、厚生年金保険…国民健康保険や国民年金に加入したうえで、自分で保険料を支払わないといけない
    • 厚生年金保険…将来受け取れる年金の額が減ってしまう
  • 会社が社会保険に加入してくれない場合の相談先には、例えば次のところが挙げられる。
    • 雇用保険…ハローワーク
    • 労災保険…労働基準監督署
    • 健康保険…全国健康保険協会(協会けんぽ)
    • 厚生年金保険…年金事務所

会社が社会保険に加入していない場合、将来受け取れる年金が減ってしまったりするおそれがあります。
もしも会社の不加入が違法である場合、この記事でご紹介した公的機関に相談することで是正を図れる可能性があります。

また、それ以外にも「こんな会社、もう辞めたいのになかなか退職できない……」といった労働問題を抱えている場合など、総合的な解決のためには弁護士への相談がおすすめです。

アディーレ法律事務所では、退職代行に関する相談料は何度でも無料です。

「退職したいけど、言い出せない」「退職の意思を伝えたが、断られてしまった」など退職のことでお悩みの方は、退職代行を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

また、未払いの残業代がある場合には、残業代請求についても弁護士に相談することをおすすめします。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2023年5月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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