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離婚慰謝料は非課税?贈与税がかかる?慰謝料と税金について知っておくべきこと

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kiriu_sakura

「離婚慰謝料に税金ってかかるの?」

慰謝料は、被害者が受けた精神的損害に対する填補として支払われるものです。
そのため、慰謝料の受け取りには、原則として、税金はかかりません。
しかし、例外的に、慰謝料の受け取りに贈与税などの税金がかかってしまう場合があります。

例えば、慰謝料額が社会的に相当な範囲を超えて高額な場合などです。
また、慰謝料を支払う側にも税金がかかる場合もあります。
例えば、第三者に慰謝料を代わりに支払ってもらった場合などです。

本記事では、次のことについて、弁護士が解説します。

  • 慰謝料を受け取る側にかかる税金
  • 慰謝料の受け取りに対する税金
  • 養育費の受け取りに対する税金
  • 慰謝料を支払う側にかかる税金
  • 慰謝料に贈与税が課せられないようにするための2つのポイント
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

慰謝料を受け取る側に対する税金

離婚慰謝料や養育費に対して税金は課されるのでしょうか。
ここでは、慰謝料・養育費を受け取る側に対する税金を解説します。

(1)離婚・不倫などの慰謝料は原則非課税

離婚や不倫などによって受ける慰謝料の支払いは、精神的損害に対する填補(てんぽ)として行われるものです。つまり、慰謝料の支払いによって、何か新たな利益が発生しているというわけではなく、あくまで損害の穴埋めがなされているだけということです。

慰謝料の支払いにはこのような性質があるため、原則として、所得税は課されません(所得税法9条1項18号、所得税法施行令30条3号)。
また、慰謝料の支払いは、損害賠償義務の履行として行われるものですので、贈与にはあたりません。そのため、原則として贈与税も課されません。

参考:No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき|国税庁

(2)慰謝料の受け取りに税金が発生するおそれがあるケース

慰謝料に税金が発生するおそれがあるケースは次の3つです。

  • 慰謝料の額が社会的に相当な範囲を超えて高額
  • 慰謝料として不動産や動産などを譲渡した
  • 偽装離婚の疑いがある

(2-1)慰謝料の額が社会的に相当な範囲を超えて高額

離婚や不倫の慰謝料が、社会的に相当な範囲を超えて高額である場合、相当な範囲を超えた部分は単なる贈与と異ならないといえます。

そのため、このような場合、過分な部分について贈与税が課税されるおそれがあります。
不倫(不貞行為)による慰謝料の場合を例にとって解説しましょう。
不貞行為による慰謝料の裁判上の相場は、一般的に、次の通りです。

離婚する場合:100万~300万円ほど
婚姻を継続する場合:数十万~100万円ほど

もちろんこれはあくまで相場で、これらの金額を超えるケースもあります。

例えば、不貞行為の慰謝料として2000万円の支払いがあった場合には、社会的に相当な範囲を明らかに超えているといえますので、贈与税が課税される可能性は非常に高いといえるでしょう。

(2-2)慰謝料として不動産や動産などを譲渡した

慰謝料は金銭で支払われるのが通常ですが、まれに不動産や動産(車や有価証券など)を慰謝料として譲渡する場合があります。
譲り受ける不動産や動産の時価相当額が、社会通念上、慰謝料としては高額過ぎるときには、過分な分については贈与税がかかる可能性があります。

また、不動産を譲り受ける場合は、社会通念上、不動産の時価相当額が慰謝料額として相当だとしても、原則として不動産取得税と登録免許税がかかります。さらに、取得後は毎年固定資産税がかかります。

(2-3)偽装離婚の疑いがある

法律上の定義はありませんが、偽装離婚とは、一般的に、真実は夫婦としての実態を将来に向かって解消する意思がないのに、税金の支払いを免れたり、財産を隠したりする目的で、離婚届を提出して法律上の離婚をすることをいいます。

夫婦間であっても、財産のやりとりがなされた場合には、原則として、贈与税が課されます。贈与税の課税を回避するため、偽装離婚をして、離婚慰謝料の名目で多額の金銭的給付がなされるというわけです。
偽装離婚の場合、離婚慰謝料として支払われた金銭等は単なる贈与にすぎませんので、贈与税が課税されます。

【コラム】夫婦間の贈与に贈与税が課されない場合は?
夫婦間の贈与については原則として贈与税が課されますが、生活費や子どもの教育費などで贈与が必要である場合や、贈与額が基礎控除額である年間110万円以下である場合には、贈与税はかかりません。

なお、夫婦間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、次の3つの条件を満たせば、基礎控除である110万円のほか2000万円の配偶者控除を受けることができます。

  • 贈与が婚姻から20年を経過したあとに行われたものであること
  • 贈与された財産が、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、贈与を受けた居住用不動産または贈与された金銭で購入した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、そのあとも引き続き住む予定であること

参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

(3)養育費についても原則非課税

養育費は、扶養義務(民法877条1項)に基づいて、親から子に支払われるもので、子どもを育てるために必要な費用です。
養育費にはこのような性質があるため、原則として非課税となります(所得税法9条1項15号、相続税法21条の3第1項2号)。

(4)養育費の受け取りに税金が発生するおそれがあるケース

相続税法21条の3第1項2号は次のように定めています。

相続税法21条の3第1項2号(贈与税の非課税財産)
次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

贈与税の課税価格に算入しないのは、あくまで「通常必要と認められるもの」です。
そのため、その子の年齢や生活状況その他の事情を考慮して、養育費としては高額すぎると判断された場合には、過分な分について贈与税が課せられます。
なお、以上のことは、養育費を毎月分割で支払った場合でも、離婚時に将来の分まで含めて一括で支払った場合でも異なりません。

慰謝料を支払う側に対する税金

「慰謝料を支払う側に税金が課される場合なんてあるの」と思われがちですが、支払い方によって税金が課せられる場合があります。
税金が課せられるおそれがある場合は次の2つの場合です。

  • 第三者に慰謝料を代わりに支払ってもらった場合
  • 慰謝料を不動産で支払った場合

(1)第三者に慰謝料を代わりに支払ってもらった場合

慰謝料を支払えるだけのお金がなく、親や友人などに慰謝料を代わりに払ってもらう場合もあるかと思います。
そのような場合、代わりに払った人からの贈与があったとして、贈与税が課せられる可能性があります。

(2)慰謝料を不動産で支払った場合

不動産の取得に要した金額よりも、慰謝料として譲渡する時の不動産の時価が高い場合には、譲渡する側に所得があったものとして、譲渡所得税がかかる可能性があります。
不動産以外の株式やその他の資産の場合にも、同様に譲渡所得税がかかる可能性があります。

参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
参考:No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)|国税庁

慰謝料に贈与税が課せられないためには?

慰謝料に贈与税が課せられないために、次の2つのポイントをおさえておきましょう。

  • 財産分与や養育費などを慰謝料名目で受け取らない
  • 協議離婚書などの書面を作成しておく

(1)財産分与や養育費などを慰謝料名目で受け取らない

離婚の際、慰謝料のほかに財産分与や養育費などで金銭のやり取りがあるかもしれません。
この場合、財産分与や養育費として受け取るべきものを慰謝料として受け取ってしまうと、慰謝料額が社会的に相当な範囲を超えてしまうことになり、過分な部分に贈与税が課せられてしまう可能性があります。
そのため、財産分与や養育費などで金銭のやり取りが発生する場合には、可能な限りそれぞれの名目で受け取るようにしましょう。

(2)離婚協議書などの書面を作成する

税務調査が入った場合に、税務署に対してきちんと説明できるようにしておかなければなりません。
そのため、何の名目で受け取った財産なのかわかるように、離婚協議書を作成するなどして、客観的な証拠を残すようにしておきましょう。
離婚協議書といってもどのようなものを作ればいいのか分からないという方もいらっしゃるかと思います。
こちらの記事では、離婚協議書の作成方法などについて詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

離婚協議書を作る時に知っておきたいポイントと公正証書にすべき理由を解説

【まとめ】慰謝料は原則非課税。ただし、高額すぎる場合など課税されるケースも

本記事をまとめると次のようになります。

  • 慰謝料の受け取りは原則非課税だが、次のような場合には課税されるおそれがある
    • 慰謝料の額が社会的に相当な範囲を超えて高額
    • 慰謝料として不動産や動産などを譲渡した
    • 偽装結婚の疑いがある
  • 養育費の受け取りも原則非課税だが、「通常必要と認められるもの」を超えた場合には過分な部分に課税される
  • 慰謝料に贈与税が課せられないためには、次の2つのポイントをおさえておく
    • 財産分与や養育費などを慰謝料名目で受け取らない
    • 協議離婚書などの書面を作成しておく

離婚の慰謝料請求でお悩みの方は、離婚を取り扱っている弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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