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建設業界に残業が多い4つの理由&残業代の問題と未払いの実態とは

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「建設業界で施工管理として働いているけれど、残業がとても多い。
どうしてこんなに残業が多いんだろう?
しかも、残業代もどうやら全てもらえていないみたいだし……。
いっそ転職することも考えているけれど、もらえていない残業代は請求したいなあ。」

建設業界に残業が多い理由には、休日が少ないことや慢性的に人手が不足していることなどがあります。
また、建設業界の残業代については、施工管理や現場監督を「管理監督者」として扱い残業代を支払わないなどのいくつかの問題点があります。

建設業界で残業代をもらえていないあなたも、残業代について正しい情報を知っていれば、本来もらうことのできる残業代をしっかりともらえる可能性を上げることができます。

この記事を読んでわかること
  • 建設業界の実労働時間と残業実態
  • 建設業界に残業が多い4つの理由
  • 建設業界の残業代に関する3つの問題点
  • 未払い残業代請求を弁護士に依頼するメリット
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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建設業界の実労働時間と残業実態

毎月勤労統計調査によると、2022年の建設業の月間総実労働時間は、163.5時間、出勤日数は20.0日でした。
総実労働時間数のうち、所定内労働時間は149.7時間、所定外労働時間は13.8時間でした。

これらのデータによれば、出勤日数1日当たりの労働時間は、8.1時間だということになります。

参考:毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報|厚生労働省

1日当たりの労働時間が8.1時間というと残業がほとんどないみたいです。
でも、私の実感とは異なります……。
本当はもっと残業があるのではないですか?

毎月勤労統計調査では、建設業の中でも全ての職種を含んで実労働時間を出しています。
職種によっては突出して残業時間が多いこともあるようですね。

実際、ある転職サイトの調査によると、建設業の中でも特定の職種については突出して残業時間が多くなっています。

例えば、次のような職種では、残業時間が月20時間~30時間を超えることもあります。

  • 設計監理/施工監理/コンストラクションマネジメント
  • 施工管理
  • 建築設計/デザイン/積算/測量
  • 技術開発/部材開発/解析/調査

残業が多い建設業界ですが、残業が多いのには建設業界特有の理由があります。
次に、建設業界に残業が多い理由について見ていきましょう。

建設業界に残業が多い4つの理由

建設業界に残業が多いのには何か理由があるのでしょうか?
今の仕事は残業が多くて、辞めてしまいたいという気持ちになることもありますが……。

残業が多いから仕事を辞めたいという気持ちになるのはおかしなことではありません。
建設業界に残業が多いことにも、いくつかの理由があります。

建設業界に残業が多いことには、主に、次の4つの理由があります。

  • 休日が少ない
  • 慢性的に人手が不足している
  • 絶対厳守しなければならない工期がある
  • 36協定の上限規制が適用されない

これらについてご説明します。

(1)理由1|休日が少ない

建設業界では、週休2日制の導入が遅れています。
このため、休日も少なくなってしまっています。
このことが、長時間労働の原因になっているのです。

2015年の調査では、建設工事現場の約65%が、4週4休以下で働いているという状況でした。

参考:建設業における働き方改革|国土交通省

もっとも、建設業界でも働き方改革は浸透しつつあります。
これに伴い、週休2日制の導入も着実に進んでいます。

日本建設業連合会も、週休2日制の実現に向けて動いているようです。
建設業界も他の業界と同じように週休2日制が当たり前になれば、残業時間が減ることにつながるので望ましいですね。

(2)理由2|慢性的に人手が不足している

建設業界は休日が少ないという課題は解消されつつあるものの、建設業界は慢性的な人手不足という課題を抱えています。

建設業界では、65歳以上の方も現役で活躍しているということが少なくありません。
しかし、これらの方々は、次第に働けなくなったり仕事を辞めたりすることが見込まれます。
これに対して、今後の建設業界を担うべき10代や20代の若手が建設業界に参入する数は、極端に少なくなっています。

このようなことから、建設業界は常に人手不足に悩まされています。
人手不足の影響により、1人当たりの業務量も増えてしまいます。
そうなれば、残業をしてでも業務をこなさなければならないという状況に陥ってしまいます。

参考:建設産業の現状と課題|国土交通省

(3)理由3|絶対厳守しなければならない工期がある

納期を守ることはどの業界でも基本ですが、建設業界でも工期を絶対に厳守することが基本です。
工期を破ってしまうことは、信用問題にもつながります。
工期を破れば、場合によっては、後の工事受注が難しくなってしまうことにもなりかねません。
このことから、工期は絶対厳守が原則です。

しかし、工期を守ることは簡単ではありません。
例えば、悪天候が続けば作業をストップするしかないという場合もあります。
このように、天候次第でスケジュールにしわ寄せが来ることもあるのです。

悪天候が続いたからといって工期を破ってもかまわないということにはなりません。
このため、残業をしてでも工期に間に合わせる必要が出てくるのです。

工期の厳守を難しくする要因は、悪天候だけではありません。
建設業界では、4月や5月が閑散期であり、12月が繁忙期のピークです。
4月や5月から12月にかけて徐々に仕事が増えていくのです。
このように、一定の時期に工事が集中することで、残業が発生しやすくなるのです。

(4)理由4|36協定の上限規制が適用されない

建設業界の中でも建設事業については、現時点(2023年2月時点)では、36協定の上限規制が適用されません。
これは、平たく言えば「建設事業においては上限なしに残業をさせることができるから残業が多くなってしまう」ということです。

そもそも、会社が労働者に対して法定労働時間(原則1日8時間、週40時間の労働時間)を超えて残業をさせるには、「36協定」という労使協定の締結・届出等が必要です。
会社は、36協定の締結・届出をすることにより、法定労働時間を超えて労働者を残業(時間外労働・休日労働)させることが可能になります。
しかし、36協定を締結・届出したからといって無制限に残業をさせることが可能になるわけではありません。
36協定を締結・届出したとしても、原則として残業時間にはなお上限があります。

36協定を締結・届出した場合の残業時間の上限は、原則、月45時間・年360時間です。
また、特別条項付き36協定を締結・届出すると、さらに一定の範囲内でこの上限時間を超える残業が可能になります。

このように、一般の業種については、36協定の上限規制が法律で定められています。
しかし、建設事業については、この上限規制の適用が2024年4月まで猶予されています(災害の復旧・復興の事業は、2024年4月以降も一部につき適用除外)。

2024年4月までの間は、36協定の上限規制が適用されていないので、建設業の労働時間は長引いてしまう傾向にあります。

建設業界の時間外労働の上限規制について、詳しくはこちらをご覧ください。

「時間外労働の上限規制」で、建設業の36協定はどう変わる?

建設業界の残業代に関する3つの問題点

建設業界の残業代に関して、主に3つの問題点があります。

  • 残業代ルールと36協定の適用除外が混同される
  • 施工管理や現場監督を「管理監督者」として扱う
  • 建設現場への移動時間が労働時間として扱われない

これらについてご説明します。

(1)問題点1|残業代ルールと36協定の適用除外が混同される

建設事業においては、2024年4月1日から36協定の上限規制ルールが適用されます。
このため、それまでの間は残業時間の上限規制なしに残業をさせることができます。

一部の会社では、残業時間の上限規制がないことを「残業代を支払わなくてよい」と間違って解釈してしまい、残業代を支払わないということがあります。

残業時間の上限規制がないということは、決して残業代を払わなくてもよいということではありません。
労働者が残業をした場合には、会社は労働者に対して残業した分の残業代をしっかりと支払う義務があります。

建設業界においても、労働基準関係法令はしっかりと適用されます。
このため、建設業界でも他の業界と同様に、会社は労働者がした残業に対しては残業代(割増賃金)を支払わなければなりません。

法定労働時間を超えた時間外労働に対しては、割増賃金として通常の賃金から一定の率で割り増された賃金が支払われます。
割増賃金の率は、次の表のとおりです。

割り増しの理由割増率
時間外労働(月60時間以下)25%以上
時間外労働(月60時間超)50%以上
休日労働(=法定休日に労働した場合)35%以上
深夜労働(=原則22~5時までの時間帯に労働した場合)25%以上
時間外労働(月60時間以下)+深夜労働50%以上
時間外労働(月60時間超)+深夜労働75%以上
休日労働+深夜労働60%以上

※時間外労働(月60時間超)の場合の割増率について、2023年4月1日より前までは中小企業への適用が猶予されています。
2023年4月1日からは、中小企業にも適用されます。
※各条件が重複する場合は、各割増率を足した率で計算されます。
例えば、時間外労働(月60時間以下)かつ深夜労働の部分には、25%+25%=50%の割増率が適用されます。

割増賃金の割増率について、詳しくは次のページをご覧ください。

「割増賃金率」とは?2023年4月からの引き上げも併せて解説

(2)問題点2|施工管理や現場監督を「管理監督者」として扱う

建設業界では、建設現場の全体を管理する役割の「施工管理」「現場監督」といった職種があります。
このような「施工管理」などを「管理監督者」として扱い、残業代を支払わないケースがあります。

「管理監督者」とは、労務管理に関して経営者と一体の地位にあることを理由に、労働時間などに関する労働基準法の規制を受けない立場の労働者のことを言います。
「管理監督者」が時間外労働及び法定休日労働の残業に従事したとしても、会社は残業代を支払う必要がありません。

施工管理や現場監督は工事現場などを管理・監督しているわけだから、「管理監督者」にあたるのでしょうか?
施工管理などであっても、残業をしている以上は残業代をもらいたいです。

施工管理などをしているからといって、必ず「管理監督者」にあたるわけではありません。
「管理監督者」は、単に現場を管理・監督していれば該当するというものではないので注意が必要です!
「管理監督者」にあたらなければ、施工管理などであっても残業代をもらえます。

ある労働者が管理監督者にあたるかは、経営への参画状況、労務管理上の指揮監督権の有無程度労働時間などに対する裁量権限の有無程度や待遇などを総合的に勘案して、経営者と一体的な立場にあると言えるかという視点から判断されます。
この管理監督者にあたるケースは狭く、多くのケースで管理監督者にあたらないと判断されるのが実情です。

施工管理などの職種について、「管理監督者にあたるから残業代は支払わない」と会社が主張したとしても、実際に管理監督者の要件を満たしているとは限りません。
管理監督者の要件を満たしていないにもかかわらず、残業代を支払わないことは、労働基準法に違反する行為です。

管理監督者の要件を満たしていないにもかかわらず、管理監督者として扱われて残業代をもらえていない労働者は、会社に対して残業代を請求することができます。

(3)問題点3|建設現場への移動時間が労働時間として扱われない

建設現場への移動時間が長くなることもあるのですが、この移動時間は労働時間に含まれない扱いになっています。
移動時間分の賃金がもらえないのでつらいのですが、そういうものなのでしょうか……?

場合によっては、移動時間も労働時間に含まれることはあります!

建設業界では、建設現場への移動時間が労働時間として扱われないケースがあります。

例えば、事務所などに集合して社用車で現場に移動し、建設現場での業務が終了した後に再び事務所に戻るというようなケースがあります。
このケースにおいて、建設現場での作業時間のみを労働時間として、移動時間を労働時間として扱わないことがあります。

しかし、移動に際して機材の積み込みや片付けを行ったり、移動中の車内で業務内容を打合せするなど、実質的に業務を行っていると言える場合には、移動時間についても労働時間とみなされる可能性があります。

この場合、建設現場での作業時間だけでなく移動時間の分についても、賃金や残業代をもらうことができるということになります。

移動時間については、必ず労働時間に含まれるというわけではありません。
ケースによって労働時間に含まれるのかが変わってきます。
具体的な事情によるので、自分では判断できないという場合には弁護士に相談するのがおすすめです。

未払い残業代の請求は弁護士に依頼するのがおすすめ

ここまでご説明したように、建設業界には残業が多いという実態があります。
そして、その残業の全てに残業代がしっかりと払われているとは限りません。

建設業界では、次のような残業代の未払いが発生していることがあります。

  • 本来は管理監督者にはあたらないのに管理監督者であると主張されて残業代を払ってもらえない
  • 深夜や休日も働いているのにその分の割増賃金を支払ってもらえない
  • 現場への移動の時間にも業務を行っているのにその分の賃金を支払ってもらえない

これらのケースを含めた残業代の未払いがある場合には、会社に対してきっちりと残業代を請求することが大切です。

会社に請求するといっても、なかなか現在在籍中の会社に請求するのは難しいのですが……在籍しながら請求するものなのでしょうか?

もちろん会社に在籍しながら請求をするという方もいますが、在籍しながら請求するのは気が引けるという方も多いです。
そのような場合は、会社を転職・退職のタイミングで請求するという方法がありますし、実際にもそのような方は多いです(*ただし、残業代は、基本的には本来の支払日から3年で時効により消滅します(2023年4月時点)。消滅時効期間が経過する前に請求する必要がある点にご注意ください。)。

転職・退職のタイミングで請求することもできるんですね!
でも、その場合でも自分で請求するのはやっぱりなんだか怖いです。
自分で請求しなければならないでしょうか?

自分で請求するのではなく、弁護士に依頼して弁護士を通して請求するという方法もあります!

未払い残業代の請求は、労働者本人が会社と交渉して行うことも可能です。
しかし、労働者本人が請求する場合には、次のような理由から難しいことも多いです。

  • どのような証拠を集めればいいのか分からない
  • 請求できる残業代がいくらになるのか計算方法が分からない
  • 会社と直接交渉するのは精神的に負担が大きい

残業代は、ご自身で請求するのではなく、弁護士に依頼して請求するという方法があります。
弁護士に残業代請求を依頼するメリットには、次のようなものがあります。

  • どのような証拠を集めればいいのかアドバイスしてくれる
  • 複雑な残業代計算を代わりに正確に行ってくれる
  • 弁護士があなたの代理人として会社と直接交渉を行ってくれるので、あなたが会社と直接交渉する負担が軽減される
  • あなたが会社と交渉しても会社が真剣に取り合ってくれないという場合でも、弁護士に依頼して弁護士を通して交渉することで会社がよりいっそう真剣に対応してくれるようになる可能性が高まる

弁護士に依頼することで、さまざまなメリットを受けることができます。
ぜひ弁護士に相談・依頼してみましょう。

弁護士に依頼するメリットがあることは分かりましたが、弁護士に相談したりするのはお金もかかりそうだからためらいます。弁護士に相談する費用の負担を軽くする方法はありますか?

弁護士事務所によっては無料相談を行っているところもあります。
無料相談を行っている事務所であれば、相談費用のことを気にせずに気軽に相談できますよ!

弁護士に相談する前に、まずはおおまかにでもいいのでいくらの残業代を請求できるのかを確認しておきたいという方もいらっしゃるかもしれません。
そんなあなたのために、請求できる残業代の額を簡易に計算してくれる「残業代かんたん計算ツール」というツールがあります。
※あくまでも簡易的に計算するものですので、実際に請求できる額とは異なる場合があります。

実際に、建設業界の方が未払い残業代を請求して獲得できた事例もあります。

 【まとめ】建設業界に残業が多い理由には「慢性的な人手不足」や「36協定による上限規制が適用されない」など

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 建設業界の中でも、施工管理などの職種では残業時間が平均月20時間~30時間を超えることがある。
  • 建設業界に残業が多いことには、慢性的に人手が不足していることや36協定の上限規制が適用されないなどの理由がある。
  • 建設業界の残業代に関しては、施工管理や現場監督を「管理監督者」として扱ったり、建設現場への移動時間が労働時間として扱われなかったりするなどの問題点がある。
  • 未払い残業代の請求は弁護士に依頼するのがおすすめ。
    弁護士に依頼することには、弁護士があなたの代理人として会社と直接交渉を行ってくれるので、あなたが会社と直接交渉する負担が軽減されるなどのメリットがある。

建設業界で忙しく働くあなたには、もしかすると今多くの残業代が発生しているかもしれません。
それなのに、その残業代を全てもらえていないかもしれません。

全ての残業代を請求し、受け取ることは、労働者の正当な権利です。
また、その残業代がもらえていれば、その分のお金で何ができるか想像してみてください。
例えば、さきほどの事例でもご紹介したように百万円以上もの未払い残業代を獲得することができれば、そのお金で生活を豊かにすることができそうです。
そう考えると、残業代をもらわないで済ませてしまうことはとてももったいないことですよね。

ぜひあなたの会社に残業代を請求してみましょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2023年4月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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