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医師は年俸制だと残業代がもらえない?請求できる場合を解説

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kiriu_sakura

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「医師として年俸制で働いているけれど、年俸制であることを理由として残業代が出ない。毎日たくさん残業しているのに、年俸制だからという理由で残業代が出ないのはなんだかおかしい。

本当に年俸制だと残業代が出ないのか、知りたい!」

年俸制で働く医師の方は多くいます。また、その中には年俸制を理由に残業代をもらえていない方もいます。

しかし、年俸制とは給与の決め方であって残業代の有無とは直結しないため、年俸制であっても残業代はもらえます。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 医師の年俸制とは何か
  • 年俸制で残業代が出ないケース
  • 裁量労働制を理由に残業代が出ないケース
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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医師の年俸制とは

年俸制とは、給与(賞与も含む)の総額を1年単位で決定するしくみのことです。
例えば、「年俸1200万円」として契約した場合には、1年分の給与総額が1200万円で、毎月分割して支払われます。

年俸制でも原則として残業代は出る

年俸制だと1年分の給与の総額が決まっているのだから、どれだけ残業をしても残業代は出ないと病院に言われました。
そういうものなのでしょうか?

いいえ、年俸制でも残業代は別途支払ってもらえるケースがあります。
あなたの場合も、年俸とは別に残業代を支払ってもらえる可能性があります。

年俸制というと、1年分の給与の総額が決まっているものであるため、残業代は出ないとされることがあります。

しかし、このような考え方は基本的には間違いです。年俸制であっても、残業をした場合には残業代が支給されます。

残業とは、一般には、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えた労働(時間外労働)のことを指します。
このような労働をした場合には、労働基準法に基づき、時間外労働に対する残業代をもらうことができます。
年俸制の場合であっても、労働基準法が適用されることは変わりがありませんので、残業すれば残業代をもらうことができます。

年俸制でも残業代が出ることについて、詳しくはこちらをご覧ください。

年俸制だと残業代がもらえない?計算例と請求方法について解説

年俸制で残業代が出ないケース

ここまでにご説明したとおり、年俸制であっても残業代が出るのが原則です。

もっとも、年俸制で残業代が出ないケースも存在します。年俸制で残業代が出ないケースとは、次のようなケースです。

  • 年俸に残業代が含まれている場合(固定残業代制の場合)
  • 管理監督者である場合

これらのケースについてご説明します。

(1)年俸に残業代が含まれている場合(固定残業代制の場合)

年俸に残業代が含まれていることが理由で、残業代が支払われないケースがあります。
年俸に残業代が含まれている場合とは、「固定残業代」として残業代を年俸に含ませて支払っているというケースです。

「固定残業代」とは、あらかじめ一定の時間だけ残業をしたとみなしたうえで、そのみなした残業時間分の残業代を定額で基本給などに含ませて支払う残業代の支払方法です。

固定残業代の支払が適法であると認められる場合には、そのみなした残業時間分の残業代を固定残業代とは別に支払う必要はありません。

契約を確認したら、固定残業代として年俸の中に残業代が含まれていました。
固定残業代として残業代を支払われているから、残業代は請求できないのでしょうか……。

固定残業代として残業代が支払われていても、なお残業代を請求できるケースはあります!
固定残業代だからといって諦めてしまう前に、残業代を請求できないか確認してみましょう。

(1-1)固定残業代制が残業代の支払として無効な場合には、残業代がもらえる!

まずは、固定残業代制が残業代の支払として有効か無効かを判断する必要があります。

固定残業代制がそもそも無効であるというケースもあります。固定残業代制が無効な場合には、残業代を支払ってもらっていないという扱いになります。

このため、あらためて計算した残業代を支払ってもらうことが可能となります。

固定残業代制が無効になるケースってどんな場合ですか?

固定残業代制は、有効となるための要件がいくつかあります。
この有効となるための要件を満たしていなければ、固定残業代制が無効になる可能性があります。

固定残業代制が有効になるための要件は、次のとおりです。

  • 固定残業代であることが明示されていること
  • 固定残業代がいくらかはっきり分かること
  • 固定残業代の内訳が明示されていること
  • 固定残業代が最低賃金を下回っていないこと

固定残業代制の支払として有効となるための要件について、詳しくはこちらをご覧ください。

固定残業代とは?みなし残業の違法性や残業代の請求方法も解説!

(1-2)有効な固定残業代制でもみなし残業時間を超えて残業すれば残業代がもらえる!

たとえ固定残業代制が有効な場合であっても、あらかじめ定めたみなし残業時間を超えた残業をすれば、その超えた分の残業代がもらえます。

具体例

  • 年俸1200万円(次の固定残業代を含む)
  • みなし残業時間:1ヶ月40時間、年480時間
  • 固定残業代の額:1ヶ月12万円、年144万円

このような固定残業代込みの年俸を受け取っている場合に、毎月60時間の残業をしていたとします。この場合には、みなし残業時間の40時間と実際の残業時間の60時間の差である20時間分の残業について、別途残業代を支払ってもらうことができます。

固定残業代制は、あくまでもみなし残業時間の分について残業代を固定額で支払っているというだけです。
このため、みなし残業時間を超えて残業したのであれば、その超えた分については残業代を別途支払ってもらえるのです!

(2)管理監督者である場合

医師が「管理監督者」であることを理由に、残業代が出ないケースがあります。

「管理監督者」とは、労務管理において経営者と一体的な立場にある者のことです。管理監督者である場合には、労働基準法上の労働時間などに関する規制が適用されません。

その結果、雇い主である病院は、労働基準法に基づいて、時間外労働や休日労働の残業代を支払う必要がありません(深夜労働の残業代については支払う必要があります)。

管理職であれば、必ず管理監督者にあたるわけではありません。管理監督者にあたるためには、一定の要件を満たす必要があります。

裁判例では、次の要件を満たすことが必要とされています。

  • 職責に関し、事業主の経営上の決定に参画して労務管理上の決定権限を有していること
  • 勤務態様に関し、自己の労働時間について裁量を有していること
  • 待遇に関し、その地位に相応しい賃金等の待遇を受けていること

管理監督者にあたるためには、これらの要件を満たすことによって、経営者とほとんど同じような立場にあると言えることが必要になります。

多くの場合、勤務医がこれらの要件を全て満たすことはありません。
勤務医が管理監督者であると認められる場合は、限定的です。

管理監督者としての要件を満たしていないにもかかわらず、管理監督者として扱われて残業代が支払われていない場合には、未払い残業代を請求することができます。

裁量労働制だから残業代がでない?

「裁量労働制だから残業代が出ない」というケースもあると聞いたことがあるけれど、裁量労働制ってどういうことでしょうか?

裁量労働制とは、働く時間について労働者の裁量に委ねられている働き方のことです。
医師の場合、「裁量労働制だから残業代が出ない」と扱われることにはこれからご説明するような問題があります。

医師の業務には、裁量労働制を適用することができません。このため、裁量労働制を理由として残業代をもらえていない場合には、残業代を請求することができます。

このことについてご説明します。

(1)裁量労働制とは

裁量労働制とは、いつからいつまで何時間働くかという労働時間について、労働者が自由に決めることができる(労働者の裁量に委ねられている)働き方のことです。裁量労働制では、実際にどれだけの時間働いたかに関わらず、あらかじめ契約などで定められた時間だけ働いたものとみなされます。

裁量労働制の下で働く労働者には、決まった始業時刻・終業時刻の概念がありません。このため、残業代についても、基本的には発生しません。

残業代が支払われない場合には、雇い主から「裁量労働制で働いているからだ」と主張されることがあります。

(2)医師の業務には裁量労働制を適用することができない

裁量労働制は、どのような業種の方でも適用することができるわけではありません。裁量労働制で働くことができるケースは、法律上は全部で19の業種に限られています。

そして、医師の業務は、裁量労働制で働くことができる業種ではありません。このため、「医師の業務をしているが、裁量労働制だから残業代は出ない」という取り扱いは間違っているということになります。

参考:専門業務型裁量労働制|厚生労働省

【まとめ】年俸制でも残業代請求できる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 年俸制とは、給与の総額を1年単位で決定するしくみのことで、原則として残業代は出る。
  • 年俸制であっても残業代が出ないケースとして、年俸に残業代が含まれている場合(固定残業代制の場合)や管理監督者である場合がある。
  • 固定残業代制や管理監督者であると病院が主張して残業代を支払わない場合でも、残業代を支払わない取扱いが常に正しいわけではない。
    このような場合でも残業代を支払ってもらえることがある。
  • 医師の業務は裁量労働制を適用することができないため、「裁量労働制だから残業代が出ない」という取扱いは間違い。

年俸制で働く医師の方の中には、年俸制であることを理由に残業代を支払ってもらえていない方も多くいます。

しかし、年俸制だからと言って残業代をもらえないという扱いは、必ずしも正しいとは限りません。年俸制であっても、残業代がもらえることはあります。

年俸制だから残業代が出ないとされている医師の方も、労働者の正当な権利として残業代をもらえる可能性がありますので、一度残業代請求を取り扱っている弁護士にご相談下さい。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からのお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年11月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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