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B型肝炎ウイルスキャリアとは?治療していなくても国からもらえる給付金について

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「B型肝炎ウイルスに感染しているが、特に治療等は行っていない。この場合も給付金をもらうことはできるの?」

B型肝炎ウイルスに持続感染している方(このような方を「B型肝炎ウイルスキャリア」といいます)のうち、慢性肝障害を伴わない方を無症候性キャリアと呼びます。
このような無症候性キャリアの方であっても、B型肝炎給付金を受給することは可能です。

本記事では、

  • B型肝炎ウイルスキャリアの意味
  • 無症候性キャリアの方に対するB型肝炎給付金
  • 無症候性キャリアの方が給付金を受給することのメリット

について、解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 大西 亜希子

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

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B型肝炎ウイルス(HBV)は血液や血液を含んだ体液を介して感染し、特に幼少期に感染すると免疫が未発達なため、ウイルスが体内に長期間残るキャリア(持続感染者)となることがあります。キャリアの90%は無症候性で慢性肝障害を伴いません。

無症候性キャリアでもB型肝炎給付金を受給可能で、給付金額は感染から20年以内なら600万円、20年を超えると50万円です。 給付金を受給するには、集団予防接種等による感染を証明し、裁判で国と和解することが必要です。

和解後は定期検査費用の一部が国から支給され、病態が進行して慢性肝炎等を発症した場合には、追加給付金も受け取れます。給付金手続きは個人でも可能ですが、弁護士に依頼すると手続きがスムーズに進むという利点があります。

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B型肝炎ウイルスのキャリアとは?

B型肝炎ウイルスの無症候性キャリアの方についても、B型肝炎給付金を受給することが可能です。
ここでは、B型肝炎ウイルスについて、また、B型肝炎ウイルスのキャリアの意味について解説します。

(1)B型肝炎ウイルスとは?

B型肝炎ウイルスとは、B型肝炎の原因となるウイルスのことです。
B型肝炎ウイルスは、血液や血液を含んだ体液を介して感染するウイルスで、以前は輸血や注射器の連続使用による感染例も多かったのですが、現在では医療の進歩や衛生観念の発達により輸血や注射器の連続使用による感染は減りました。

しかし、現在でも、性交渉や覚せい剤の濫用における注射器の連続使用等によって感染する例はみられるようです。

参考:B型肝炎とは|国立感染症研究所

(2)B型肝炎ウイルスのキャリアの意味

B型肝炎ウイルスに感染すると、肝臓の細胞にウイルスが入り込み、遺伝子に組み込まれてしまいます。
大人になってからB型肝炎ウイルスに感染した場合、免疫が十分に発達しているため、免疫機能によって短期間のうちにB型肝炎ウイルスは体内から排除され、短期間だけ感染するにとどまります。これに対して、幼少期にB型肝炎ウイルスに感染した場合、免疫が十分に発達していないため、ウイルスを体内からうまく排除することができずに、長期間に渡って感染したままになってしまいます。この状態をキャリア(持続感染者)といいます。

そして、キャリアのうち約90%は、慢性肝障害を伴わない無症候性キャリアとして生涯をすごします。一時的に肝炎症状がでることもありますが、短期間にとどまります。
B型肝炎ウイルスのキャリアかどうかは、血液検査により知ることができます。血液検査の結果として、「HBs抗原陽性」「HBV-DNA陽性」「HBe抗原陽性」がでた場合、B型肝炎ウイルスに感染していることがわかり、6ヶ月以上の期間感染したままであればキャリアということになります。

また、HBc抗体が単に陽性というだけでなく、高力価陽性といって、陽性の中でも数値の高い状態にある場合にも、キャリアということになります。

無症候性のB型肝炎キャリアでも給付金は支給される

先ほどご説明したとおり、無症候性キャリアは、慢性肝障害を伴いません。
もっとも、このような無症候性キャリアの方もB型肝炎給付金の支給を受けることは可能です。

ここでは、B型肝炎給付金制度のついての解説や、無症候性キャリアへの給付金について解説します。

参考:B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)|厚生労働省

(1)B型肝炎訴訟における給付金とは?

B型肝炎ウイルスの持続感染者は110万人以上と推計されており、そのうち最大40万人以上が幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用が原因とされています。
B型肝炎給付金とは、このような注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方が、国を相手にその賠償を求める訴訟を提起し、この訴訟の中で国との間で裁判上の和解が成立した場合に受給することができる給付金のことを指します。

給付金を受給することができる対象者は、集団予防接種等における注射器の連続使用により直接B型肝炎ウイルスに感染してしまった一次感染者のみならず、一次感染者から母子感染や父子感染をした二次感染者も含まれます(二次感染者から母子感染または父子感染をした三次感染者も含まれます)。

具体的な要件は次のとおりです。
【一次感染者】

  • B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 満7歳の誕生日の前日までに集団予防接種等※を受けていること
  • 集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと
  • 母子感染でないこと
  • その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

※「集団予防接種等」とは、集団接種の方法で実施された予防接種およびツベルクリン反応検査を指します。

【二次感染者】
〈母子感染の場合〉

  • 母親が一次感染者の要件をすべて満たしていること
  • B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 下記アイウのいずれかから、二次感染者の感染原因が母子感染であるといえること
    ア:母子のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されていること
    イ:出生直後の時点でB型肝炎ウイルスに感染していること
    ウ:父子感染等の母子感染以外の感染原因がないこと

〈父子感染の場合〉

  • 父親が一次感染者の要件をすべて満たしていること
  • B型肝炎ウイルスに持続感染していること
  • 二次感染者の感染原因が父子感染であるといえること

参考:B型肝炎訴訟の手引き〈第5版〉|厚生労働省

(2)無症候性キャリアの方への給付金

上でご紹介した要件を満たせば、給付金を受給することが可能です。
それでは、無症候性キャリアの給付金額等はどうなっているのでしょうか。

無症候性キャリアの場合、給付金額は次の表のとおりです。

20年の除斥期間等を経過していない場合600万円
20年の除斥期間等を経過している場合50万円

定期検査費の支給等の政策対応

B型肝炎給付金の金額は、損害を受けたときから20年を経過しているか否かで金額が異なります。
無症候性キャリアの方の場合は、B型肝炎ウイルスに感染したときが損害を受けたときになります。つまり、集団予防接種等を受けたときから20年間を経過すると、除斥期間等を経過していることになります(集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染する可能性があったのは1988年1月27日までですので、一次感染者の場合、すべての方が除斥期間等を経過していることになります)。

これに対して、二次感染者や三次感染者のうち母子感染者の場合は、出生日が期間制限の起算点となりますので、出生から20年間を経過すると、除斥期間等を経過していることとなります。
なお、二次感染者や三次感染者のうち父子感染者については、B型肝炎ウイルスに感染していることを確認できる最初の時点または7歳の誕生日の前日のいずれか早い方の日が起算日となります。

感染したのは20年以上前です。50万円しかもらえないのであれば、面倒な手続きをすることを躊躇してしまいます。

金額としては高くありませんが、それでも給付金の手続きをすることをお勧めします。なぜなら、給付金に加えて、病院で行う一定の検査費用が支給されるなど、今後の健康管理に役立つからです。

無症候性キャリアの方のうち、20年間の除斥期間等を経過した方については、50万円の給付金に加え、定期検査費の支給等の政策対応がなされます。その具体的内容としては次のものとなります。

  1. 定期検査および定期検査に付随する診療行為等に要する費用
  2. HBVの母子感染を防止するためにかかる費用(ワクチン・グロブリン投与費用、検査費用およびこれらに付随する診療行為等に要する費用)
  3. 同居家族に対するHBVの水平感染を防止するためにかかる費用(ワクチン投与費用、検査費用)
  4. 定期検査手当 定期検査1回につき1万5千円(定額)※年2回まで

参考:B型肝炎訴訟の手引き〈第5版〉|厚生労働省

無症候性キャリアの方が和解しておくメリット

無症候性キャリアの方は、B型肝炎給付金を受け取れるだけでなく、和解後の定期検査費用の一部を国が負担してくれるようになります。

また、和解後に病態が進行して慢性肝炎等を発症した場合には、B型肝炎訴訟手続きよりも簡易な手続きで、追加の給付金を受給することができます。

(1)無症候性キャリアは病態が進行する可能性がある

B型肝炎ウイルスのキャリアの90%は慢性肝障害を発症しませんが、10%は、慢性肝炎、肝硬変、肝がんを発症する可能性があります。
B型肝炎ウイルスは感染してもすぐには発症しないケースが多く、知らないうちに病態が進行し、ある日突然発症をすることも少なくありません。

そのため、定期的に検査を受ける必要があります。
無症候性キャリアの場合、和解しておけば、給付金とは別に定期検査費等の費用も支給されるので、ご自身の健康管理という点からも、無症候性キャリアとして和解しておくメリットは高いといえます。

(2)給付金対象者は追加給付金を請求することができる

無症候性キャリアとして給付金を受給した方については、和解後に病態が進行した場合、追加の給付金を請求することができます(特措法8~10条)。
B型肝炎給付金を受給するためには、国を相手に裁判を起こして、その裁判手続きの中で、幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに持続感染したことを証明する資料を提出した上で、国との間で和解を締結する必要があり、この手続きには1年以上の長い時間がかかってしまいます。

これに対して、無症候性キャリアとして国との間で既に和解を締結している場合には、再度裁判を起こす必要はなく、提出する資料も病態が進展したことを明らかにするための資料だけですので、簡易かつ短期間の手続きで追加の給付金を受給することができます。
この点で、無症候性キャリアとして給付金を受給することは、病態が進行した場合の一種の「保険」として、かなりのメリットがあるといえるでしょう。

追加給付金の額は、次の表のとおりです。

進行後の症状
死亡肝がん肝硬変
(重度)
肝硬変
(軽度)
慢性肝炎






除斥期間等を経過していない無症候性キャリア
3000万円
3000万円
3000万円
1900万円
650万円
除斥期間等を経過した無症候性キャリア
3600万円
3600万円
3600万円
2500万円
1250万円

B型肝炎ウイルスキャリアでB型肝炎訴訟をしていない方は弁護士に相談

B型肝炎給付金の受給手続きを弁護士に依頼することなく、個人で行うことも可能です。
その場合、弁護士費用を節約することができます。
ただし、B型肝炎給付金を受給するためには、様々な必要資料を収集しなければなりませんし、また、訴状等の専門文書を作成した上で国を相手に訴訟を提起する必要があります。
そのため、個人で行う場合、弁護士に依頼する場合と比較して、多大な労力や時間がかかってしまうことも少なくありません。

弁護士に依頼するかどうかお悩みの方は、B型肝炎給付金の受給手続きを自分で行うかどうかを判断する際のポイントをまとめた記事がありますので、こちらの記事をご覧ください。

B型肝炎訴訟を自分でやってみようと考えている方へ向けた2つの判断ポイント

【まとめ】B型肝炎ウイルスキャリアでもB型肝炎給付金の受給は可能

本記事をまとめると次のようになります。

  • B型肝炎ウイルスキャリアとは、6ヶ月以上の期間B型肝炎ウイルスに感染した状態にある方
  • 特段の治療が必要のない無症候性キャリアの方でもB型肝炎給付金を受給することが可能
  • 無症候性キャリアとしてB型肝炎給付金を受給した場合、給付金のほかに定期検査費等の支給もある(除斥期間等を経過した無症候性キャリアの場合)
  • 無症候性キャリアとしていったん給付金を受給していれば、病態が進行した場合、追加の給付金を簡易かつ短期間の手続きで請求することができる
  • B型肝炎給付金を受給するための資料収集は複雑で専門的知識も必要となるため、請求期限を経過し受給権を失ってしまわないために、弁護士に依頼するのがお勧め

(※)母子手帳など、弁護士では収集できない一部資料を除きます。

アディーレ法律事務所では、B型肝炎給付金の受給手続きに関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した給付金からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2024年8月時点

アディーレ法律事務所では、B型肝炎に悩まれている方を一人でも多く救いたいという思いから、B型肝炎給付金の受給をお考えの方のご相談をお待ちしております。
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