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就業規則とは?作成時や変更時のルールについて解説

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就業規則とは、会社が職場での規律や、労働者の労働条件の基準などを定めた規則類のことをいいます。
この就業規則は、後でも触れますが、一定の場合に、労働契約としての効力が認められます(就業規則の契約規律効)。
また、就業規則に達しない労働条件の合意をした場合、一定の場合に、その合意が無効とされ、就業規則に定めるものが労働契約の内容とされる(就業規則の最低基準効)ことがあります。
このように重要な就業規則ですが、作成や変更に関し法律上のルールが定められています。
就業規則について、弁護士が解説いたします。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

就業規則とは

職場で守るべきルールのほか、労働時間や給料などの労働条件などを定めたものを就業規則といいます。
会社によって、名称は異なり、就業規則を細分化して、賃金規程、退職金規程などという名称にしていることもあります。

(1)就業規則は必ず作らなければならないのか

常時10人以上の労働者を雇用している会社であれば、就業規則は必ず作成しなければなりません(労働基準法第89条)。

Q.「常時10人以上」ってどういう意味?
A.「常に」10人以上、という意味ですので、忙しいときなど臨時的に10人以上使用する場合には、就業規則の作成は義務付けられません。
また、10人とは、企業全体で10人という意味ではなく、事業場単位で10人以上という意味です。

Q.「労働者」にパートや契約社員も入る?
A.入ります。
雇用形態にかかわらず、同一の使用者に使用されている労働者が含まれます。
請負や派遣で働く労働者は、使用者が異なるため、「労働者」には含まれません。

作成した就業規則は、管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法施行規則第49条)。

(2)必ず就業規則に入れなければならない事項(絶対的必要記載事項)

次の3つの項目は、必ず就業規則に入れなければならない事項(絶対的必要記載事項)となります(労働基準法第89条1~3号)。

  • 労働時間などに関すること
  • 賃金に関すること(臨時の賃金等(一時金や退職手当)を除く)
  • 退職に関すること

これら3つの項目につき、詳しく解説いたします。

(2-1)労働時間などに関すること

労働時間などに関することとして、次のことを定める必要があります。

  • 始業及び就業の時刻
  • 休憩時間(長さ、与え方)
  • 休日(日数、与え方)
  • 休暇(年次有給休暇、産前産後休暇、育児休暇、生理休暇、忌引休暇、結婚休暇など)
  • 交代制労働(※)を適用する場合は、「就業時転換に関する事項」(交替期日、交替順序など)

※交代制労働とは、労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合をいいます。

(2-2)賃金に関すること(臨時の賃金等を除く)

賃金に関すること(臨時の賃金等(※)を除く)として、次のことを定める必要があります。
※臨時の賃金等とは、一時金や退職手当などのことをいいます。

  • 決定・計算方法
    (賃金の体系、時間給・月給などの賃金形態、賃金決定の要素[年齢・職種・職能資格・成果など])
  • 支払いの方法
    (直接支給か、銀行振り込みか。通勤手当につき、定期券による現物支給など)
  • 締切り、支払の時期
    (日給・月給など。月給の場合は、賃金の締め日と支払日)
  • 昇給に関する事項
    (昇給の期間、昇給の率など)

(2-3)退職に関すること

例えば、次のような退職に関して定める必要があります。

  • 任意退職
  • 合意解約
  • 解雇(解雇事由など)
  • 定年制
  • 休職期間満了による退職など

(3)制度として定める場合は必ず就業規則に入れなければいけない事項(相対的必要記載事項)

制度として定める場合は、必ず就業規則に入れなければならない事項(相対的必要記載事項)があります(労働基準法第89条3号の2~10号)。

相対的記載事項としては例えば、次のようなものがあります。

(例)

  1. 退職手当に関する事項を定める場合はこれに関する記載
    ・適用される労働者の範囲
    ・退職手当の決定方法
    ・退職手当の計算方法
    (勤続年数、退職事由など、どの要素をどのように算定するか)
    ・退職手当の支払い方法
    (一時金か、年金方式かなど)
    ・退職手当の支払い時期
  2. 退職手当以外の臨時の賃金等(賞与や臨時の手当など)に関する事項を定める場合は、これに関する記載
  3. 最低賃金額に関する事項を定める場合には、これに関する記載
  4. 労働者の食費、作業用品その他の負担を定める場合には、これに関する記載
  5. 安全及び衛生に関することを定める場合には、これに関する記載
  6. 職業訓練に関することを定める場合には、これに関する記載
    (訓練の種類、期間、受訓資格、訓練中やその後の処遇など)
  7. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関することを定める場合には、これに関する記載
    (法定の補償の内容、これに上積みして補償する法定外の補償の内容など)
  8. 表彰に関することを定める場合には、これに関する事項
    (表彰の種類と、表彰の事由、程度)
  9. 制裁に関することを定める場合には、これに関する事項
    (懲戒の事由、程度、懲戒の種類、懲戒の手続きなど)
  10. その他、事業場の労働者の全員に適用される定めをする場合は、これに関する事項
    (旅費規程、福利厚生、休職、配転、出稿などについて)

(4)任意記載事項

絶対的必要記載事項、相対的記載事項の他にも、就業規則に様々なことを、任意に記載することができます。
これを任意記載事項と呼びます。

(例)

  • 就業規則の目的
  • 服務規律
  • 採用手続きなど

就業規則の作成時の注意点

就業規則を作成する際には、次の手順を踏む必要があります。

また、就業規則は一定の法令・労働協約に反するものであってはいけません。

これらの注意点について、詳しく解説いたします。

(1)就業規則を作成するには、労働者の意見を聴取+労働基準監督署への提出が必要

使用者は就業規則を作成・変更する場合は、以下のものの意見を聴取し、その意見を記した書面と合わせて労働基準監督署に就業規則を届け出なければなりません(労働基準法第90条)。

  • 「労働者の過半数で組織する労働組合がある」事業場の場合⇒当該労働組合の意見
  • 上記がない場合⇒労働者の過半数を代表する者の意見

なお、あくまで「意見」を聴取し書面を出せばよいので、上記労働組合や過半数代表者の「同意」が得られなくとも、就業規則の効力には問題ありません。
意見を記した書面の提出を拒否される場合は、「意見を聴いたことが証明できれば」受理されます。

(2)就業規則は、労働者に周知しなければならない

使用者は、就業規則を、一定の方法で労働者に周知しなければなりません(労働基準法第106条1項、労働基準法施行規則第52条の2)。

具体的には、次のいずれかの方法によって、労働者に周知する義務があります。

  • 常時各作業場の見やすい場所へ掲示、備え付ける方法
  • 書面を交付する方法
  • 磁気テープ、磁気ディスクなどに記録し、かつ、各作業場に、労働者が当該記録の内容を常に確認できる機器(コンピューターなど)を設置する

(3)法令や労働協約に反する就業規則はNG

就業規則は、一定の法令や労働協約に反することができません(労働基準法第92条)。

たとえば、最低賃金を下回る賃金を設定したり、有給休暇を与えない、労働基準法を無視した勤務時間の設定する、といったことはできません。

法令や労働協約に反する就業規則を、労働基準監督署に届け出しても、法令や労働協約に反しない就業規則を再提出するように行政指導を受けることになります。
また、労働基準監督署は、法令または労働協約に反する就業規則を変更するように命令することができます(労働基準法第92条2項)。
※通常は行政指導に従う企業がほとんどですので、変更命令が出ることは滅多にありません。

(4)就業規則を変更するとき

就業規則を変更する場合も、作成の時と同様に、労働者の意見聴取+労働基準監督署への届け出+労働者への周知の手続きが必要です。

ただし、就業規則は使用者が好きなように変更できるわけではありません。
原則として、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません(労働契約法9条)。
もっとも、次の場合には、就業規則の不利益変更は認められます(労働契約法9条、10条)。

  1. 就業規則の変更に労働者の合意がある
  2. 労働者の合意がないが、就業規則の変更が合理的である
    (ただし、労働契約において、労働者と使用者が、「就業規則の変更によっては変更されない労働条件」として合意していた部分は変更できません)

2の合理性は以下の要素を基に判断されます(労働契約法10条)。

  • 労働者の受ける不利益の程度
  • 労働条件の変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合等との交渉の状況
  • その他就業規則の変更に係る事情

就業規則の効果

就業規則は、次のような効果を持ちます。

1.就業規則の労働契約規律効(労働契約法7条)
就業規則が、一定の法令や労働協約に反しない限り、基本的には、労働契約の内容は、その就業規則が定める労働条件によって決まります。
ただし、労働契約にて、労働者と使用者が、就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた場合は、就業規則ではなく、合意した内容が労働契約の内容となります。

なお、就業規則につき「労働基準監督署への届け出」や「労働者の意見聴取」がされていなくとも、就業規則が「周知+合理的」であれば、労働契約規律効は生じます。

2.就業規則の最低基準効(労働契約法12条)
一定の法令や労働協約に反しない限り、就業規則が定める労働条件は、労働条件の最低基準となります。
労働者と使用者が、就業規則に定める基準に達しない労働条件を合意したとしても、その合意は無効となり、無効となった部分には、就業規則が適用されます。

なお、就業規則につき「労働基準監督署への届け出」や「労働者の意見聴取」がされていなくとも、周知されていれば、最低基準効は生じます。

【まとめ】就業規則でお困りの方は弁護士に相談

就業規則は、会社におけるルールなどを定めるもので、一定の場合に労働契約の内容になったり、労働条件の最低基準になったりします。
この就業規則には、いくつかの必ず記載しなければならない事項があります。
また、就業規則を作成したり変更するときには、守らなければいけない、いくつかの手順もあります。
法律を確実に守って、就業規則を作成・変更したい場合は、弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

参考:就業規則を作成しましょう|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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