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労働基準監督署とは?業務内容や相談をするメリットを解説

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労働基準監督署は、労働に関する一定の相談を受け付けたり、労働関係の法令に違反している企業に、行政指導したりする機関ですが、その詳しい業務内容はあまり知られていません。
労働基準監督署の業務内容や、相談をするメリットについて弁護士が解説します。

労働基準監督署とは?

労働基準監督署とは、労働基準法などの法律に基づいて労働条件や安全衛生の指導、労災保険の給付などをする機関です。
労働基準監督署では、労働基準監督官という人が様々な業務を行っており、労働基準監督官は、2018年度時点で、全国に2991人います。
労働基準監督署の基本的な業務内容について解説いたします。

参考:平成30年労働基準監督年報|厚生労働省

労働基準監督署の業務

労働基準監督署は、次のような業務を行っています。

  1. 労働に関する相談を受け付ける
  2. 労働基準関係法令(※)を遵守しているか確認・指導する
    ※労働基準関係法令とは、例えば以下の法令を指します。
    ・労働基準法
    ・最低賃金法
    ・労働安全衛生法
    ・じん肺法
    ・家内労働法
    ・賃金の支払の確保等に関する法律など
  3. 機械や設備の設置に関する届出を審査する
  4. 労働者災害補償保険法に基づき調査・保険給付をする など

参考:労働基準監督署の役割|厚生労働省
参考:労働基準監督官の仕事|厚生労働省

(1)労働に関する相談を受け付ける

労働基準監督署は、労働者の窓口として、労働基準法などに違反する事実の申告を受けています。
具体的には

  • サービス残業をさせられている
  • 休日手当を支払われていない

などの相談に乗ってくれます。
行政指導を求めることも可能です。

また、必要に応じて事業主から事情を聴取してくれることもあります(労働基準法104条の4第2項)。
使用者は、労働者が、労働基準法違反などの事実を労働基準監督署に申告したからといって、解雇などの不利益な取り扱いをすることは禁じられています(労働基準法104条2項、最低賃金法34条)。

(2)労働基準法を遵守しているか確認・指導する(臨検監督)

労働基準監督官は、必要に応じ、労働基準法を守っているか確認するため、事業場や寄宿舎に、立ち入り調査をします(臨検、労働基準法101条1項)。

臨検する会社をどこにするかは、労働基準監督署が計画的に選んでいることもありますし、労働者の申告に基づき選ぶこともあります。
また、具体的な労働災害が発生すると、その労働災害が起こった会社へ臨検することもあります。
証拠の隠滅などが行われないよう、原則として、予告なしに突然、労働基準監督官が事業所に臨検することとされていますが(ILO 第81号条約第12条第1項)、事前の予告をしてから臨検に来ることが多いのが実情です。
こうして会社にやってきた労働基準監督官は、書類や帳簿の提出を求めたり、使用者や労働者から事情聴取をしたりします。
この臨検監督に対し、以下のいずれかの行為をすると、30万円以下の罰金に処されます(労働基準法120条4号)。

  • 臨検の拒否・妨害・忌避
  • 尋問の拒否や虚偽陳述
  • 帳簿書類の提出の拒否や、虚偽記載の帳簿書類の提出

臨検監督の結果、労働基準法違反などの事実が確認できれば、行政指導(是正勧告、改善指導)をすることができますし、場合によっては使用停止命令等の行政処分をなすことができます。
行政指導を受けた事業場は、指摘を受けた法令違反等の状態を是正し、労働基準監督官に是正・改善報告を行うことになります。
法令違反等の状態の是正が確認されれば、指導は終了です。
他方で、法令違反等の状態が是正されず、重大で悪質である場合は、送検(刑事事件として検察庁に引継ぎ)されることがあります。

参考:労働基準監督業務について|厚生労働省大阪労働局

2018年度の送検件数は、896件(※)に上っています。
※一事件で複数の被疑条文に該当する場合には、その主たる被疑条文に基づき件数を計上した数です。

参考:平成30年労働基準監督年報|厚生労働省

(3)労働基準法違反をしているときには司法警察官の職務を行うことも

労働基準監督官は、労働基準法違反の罪に対しては、司法警察官の職務を行うことができます(労働基準法102条)。
例えば以下のような職務を行うことができます。

  • 逮捕
  • 逮捕の際の令状によらない差押え・捜査・検証
  • 令状による差押え・捜査・検証

(4)労働安全衛生法を遵守しているか確認・指導をおこなう

労働安全衛生法は労働者の健康や安全を守るための法律です。
労働基準監督署は、労働安全衛生法を守れているのか確認するために、事業場へ立ち入り検査をすることができます。
そして、労働基準監督官は、この立ち入り検査において、関係者に質問し、帳簿・書類その他の物権を検査し、また作業環境測定(※)をすることができます。

※作業環境測定とは、作業環境の実態を把握するため、空気環境その他の作業環境などを調査することをいいます(労働安全衛生法2条4号)。

この検査のため、労働基準監督官は、必要な限度で、無償で製品、原材料や器具を収去する権限も持っています(労働安全衛生法91条1項)。
労働安全衛生法を守れていない企業に対しては、行政指導が行われます。
また、労働基準監督署長は、事業者、注文者、機械等貸与者または建築物の貸与者が、一定の義務に違反する場合は、

  • 作業の全部または一部の停止
  • 建設物などの全部または一部の使用の停止
  • そのほか労働災害防止に必要な応急の措置

を講ずるように命じることができます(労働安全衛生法98条)。

さらに労働基準監督署長は、必要に応じて、事業者、労働者、機械等貸与者、コンサルタントに対して、必要な事項(労災事故など)を報告させたり、出頭を命じることができます(労働安全衛生法100条1項)。
この報告や出頭を拒否したり、虚偽の報告をしたりすると、50万円以下の罰金に処せられます(労働安全衛生法120条5号)。

(5)最低賃金法を遵守しているか確認・指導をおこなう

最低賃金法を遵守しているか監督するのは、労働基準監督署長と労働基準監督官です(最低賃金法31条)。
労働基準監督官は、事業場への立ち入りや、帳簿書類などの検査、関係者への質問をすることができます(最低賃金法32条1項)。

また、最低賃金法違反に対しては、司法警察員の職務を行うことができます(最低賃金法33条)。
具体的には、逮捕、差押え、捜査、検証などが可能です。

(6)労働者災害補償保険法に基づき調査・保険給付をする

労働災害補償保険とは、いわゆる労災保険のことであり、

  1. 業務上の事由または通勤による労働者のケガ・病気・死亡等に対して必要な給付を行い、
  2. それらのケガ・病気になった労働者の社会復帰の促進、当該労働者やその遺族の援護、労働者の安全・衛星の確保などを図ることを目的としています(労働災害補償保険法1条)。

労働災害補償保険法は、この労災保険について定めた法律です。

労働基準監督署は、労働災害補償保険法に基づき、起こった事故などの実態を調査し、要件を満たした方に対して、労災保険の給付を行います。

最近では、業務などに起因して新型コロナウイルスに感染した場合、一定の要件を満たせば労災保険の給付が受けられるようになったことが話題となっていますが、この給付の決定も労働基準監督署の業務です。

参考:新型コロナウイルス感染症に係る労災補償について|厚生労働省

労働基準監督署がおこなう臨検監督とは?

臨検監督の基本的な内容について解説いたします。
労働基準監督署の業務である臨検監督には4種類の調査があります。

(1)定期監督

定期監督とは、計画的に行われる臨検監督です。
定期監督については、労働基準監督署が主体となって年間計画を立てます。
年間計画では、どのような違反事項に重点を置いて監督をするのかを決めます。
近年では長時間労働の監督に重点が置かれることが多いです。

労働基準監督署は、この年間計画に基づいて、毎月、臨検の対象となる事業場を選定します。
定期監督では、労働時間や賃金などの労務管理や、安全衛生の状況などが労働基準法や労働安全衛生法などに違反していないかチェックし、法令違反などが確認されれば、是正や改善の指導などがされます。
また、定期監督の結果、労働災害を生じさせるおそれの高い機械等や有害物質の使用が確認された場合は、使用停止命令等の行政処分が行われることもあります(労働安全衛生法98条等)。
臨検監督全体のうち、定期監督が大半を占めており、一般的な臨検監督の形態です(2020年9月27日時点)。

参考:平成30年労働基準監督年報|厚生労働省

2018年度には、定期監督が1万2668の事業所で行われました。
このうち、72.5%の事業場で労働基準関係法令の違反が確認されています。
その内訳は、違法な時間外労働が22.4%、割増賃金(≒残業代)の不払いが19.5%に上っており、残業に関する違反が多い状況です。


参考:東京都内の労働基準監督署における平成30年の定期監督等の実施結果 ~72.5%の事業場に法違反の改善指導を実施~|厚生労働省
参考:平成30年度労働基準監督官採用試験2018|厚生労働省

(2)災害時監督

災害時監督とは、死亡事故など、重大な労働災害の一報が、労働基準監督署に連絡が入り次第、労働基準監督官などが現場へ急行して行う臨検です。

災害時監督では、災害の原因究明や、再発防止対策の立案などが行われることが特徴です。

他の臨検監督と同じように、労働安全衛生法などに違反していないかチェックされ、法令違反などが確認されれば、是正や改善の指導などがされます。

また、災害時監督の結果、労働災害を生じさせるおそれの高い機械等や有害物質の使用が確認された場合は、使用停止命令等の行政処分が行われることもあります(労働安全衛生法98条等)。

参考:平成30年度労働基準監督官採用試験2018|厚生労働省

(3)申告監督

申告監督とは、労働基準監督署が、労働者から、「事業場が労働基準法などに違反している」との申告を受けて行われる調査です。
労働者からの申告を受けた後、労働基準監督官は使用者からの事情聴取をしたり、事業場へ立ち入り調査するなどして、労働者・使用者双方の主張の整理・確認をします。

労働基準関係法令の違反などが確認されれば、是正や改善の指導などがされます。

また、申告監督の結果、労働災害を生じさせるおそれの高い機械等や有害物質の使用が確認された場合は、使用停止命令等の行政処分が行われることもあります(労働安全衛生法第98条等)。

参考:平成30年度労働基準監督官採用試験2018|厚生労働省

2018年度の申告監督は2万965件行われ、同年度の臨時監督全体の内、申告監督は12.3%を占めています。

参考:平成30年労働基準監督年報|厚生労働省

また、愛知県の労働基準監督署が申告監督を行った事業所の内、64.6%の事業所で違反が確認され、労働時間・休日、割増賃金の違反が多くなっています。

参考:平成30年の愛知労働局における監督指導及び申告処理状況について|厚生労働省愛知労働局

鹿児島県の労働基準監督署の申告監督においても、申告監督を行った事業所の内、73.7%の事業所で違反が確認され、賃金不払いや最低賃金法違反が最も多い状況です。

参考:令和元年の労働基準監督署における申告監督実施状況について|厚生労働省鹿児島労働局

(4)再監督

再監督とは、以前臨検にて法令違反が確認された事業所が、法令違反の状況を是正したか確認するために行われる臨検監督です。
すなわち、臨検監督の結果、違反が認められた事業所には是正勧告、改善指導などの行政指導が行われますが、この行政指導を受けた後、きちんと法令違反の是正をしたか、確認が行われるというものです。
また、1度目の臨検監督の際、法令違反の事実等が確認されると、指定期日までに是正報告書等を労働基準監督署に提出するように求められますが、期日までに是正報告書等を提出しなかった場合も再監督が行われます。

2018年度の再監督は1万2946件行われ、同年度の臨時監督全体の内、申告監督は7.6%を占めています。

参考:平成30年労働基準監督年報|厚生労働省

(4-1)是正勧告とは

是正勧告とは、臨検の結果、法令違反の事実が確認された場合に、法令違反の状態を是正するよう行政指導されることをいいます。
是正勧告の場合、事業主に対し是正勧告書が渡されます。

この是正勧告がなされると、指定期日までに是正報告書を労働基準監督署に提出するよう求められます。
是正勧告は行政指導にすぎませんので、これに従わなくとも罰則はありません。
しかし、法令違反をしているという事実に対しては、労働基準法等に基づいて罰則が下されるおそれがあります。
また、法令違反の状態が悪質で重大な場合、送検されて刑事事件になるおそれがありますので、是正勧告を受けたならば、速やかに法令違反の状態を是正すべきです。
また、是正勧告書を期日までに提出しない場合、再監督を受けることがあります。

(4-2)改善指導とは

改善指導とは、臨検の結果、法令違反とまでは認定できないが、是正することが望ましい状態である場合になされる行政指導のことをいいます。
改善指導の場合、事業主に対し指導票を渡されます。
この改善指導が行われると、是正勧告と同様に、指定期日までに改善報告書を労働基準監督署に提出するよう求められます。
改善勧告書を期日までに提出しない場合、再監督を受けることがあります。
改善指導も強制力はありません。
しかし、きちんと対応しないと、将来的に法令違反をする恐れのある企業として労働基準監督署にマークされるおそれがありますし、「是正することが望ましい状態」を放置しておくのは、企業の今後の真の成長の上でも望ましくありませんので、改善報告で指摘された事項は、速やかに改善策を実施すべきといえます。

労働者が労働基準監督署を利用するメリット

社内や自分では解決できない場合は、労働基準監督署を利用するとよい場合もあります。
労働基準監督署を利用するメリット3つをご紹介します

(1)相談・指導に費用がかからない

労働基準監督署への相談は何度でも無料です。
事業主からの聴取や、立ち入り調査・指導(臨検監督)を行ってもらう場合も、費用はかかりません。

(2)労働関係の法律に詳しい職員に相談できる

労働基準監督署には、労働に関する法律に詳しい職員が配置されています。
自分一人では分からないことも、専門家に相談することができます。
相談すると、どのように対処したよいかなどを適切にアドバイスしてもらえます。

ただし、労働基準監督署は、労働基準関係法令の違反に関してしか相談に乗ってくれません。
労働基準関係法令としては、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などがありますが、民法は、対象外となります。
例えば、「パワハラにあったが慰謝料を払ってくれない」といった相談は、基本的には民法の規定に基づく相談になりますので、労働基準監督署では相談に乗ってはもらえません。
もっとも労働基準監督署や労働局の中に設けられている、「総合労働相談コーナー」に相談すると、労働基準監督署では扱っていない労働の相談ごとにも乗ってくれる場合がありますので、こちらも利用してみましょう。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

(3)問題がある場合は調査・指導をしてもらえる

相談した結果、職場に労働基準関係法令の違反等の問題があると労働基準監督署が判断すると、必要に応じて調査や指導をしてもらえます(申告監督など)。
自分一人で解決できない問題も、労働基準監督署からの指導があれば改善できる可能性があります。
ただし、労働基準監督署には、労働者から相談を受けたからと言って、必ずしも、調査等の措置を取る義務はありません(東京労基局長事件(東京高裁判決昭和56年3月26日))。

労働基準監督署に相談に行く際、「事業場が違法行為をしていることを示す明確な証拠」を持参すると、労働基準監督署に動いてもらいやすくなりますので、相談の際は証拠を持参することをおすすめします。

労働基準監督署以外の相談先

労働基準監督署は、労働者と企業の紛争をすべて解決してくれるわけではありません。
先述したとおり、労働基準監督署が取り扱うことができる分野には限りがありますし、必ずしも調査・指導などをしてくれるわけではありません。

そのため、労働基準監督署に相談しても、トラブルが解決しないこともあります。
必要に応じて労働総合相談コーナーや、社会保険労務士、弁護士などへ相談することをお勧めします。

【まとめ】労働基準監督署ではやれることと、やれないことがある

労働基準監督署は一定の労働関係基準法令に基づいて、調査・指導や保険給付をする機関です。
労働基準監督署では対応できないこともありますし、相談しても必ずしも調査・指導してくれるわけではありません。
また、労働基準監督署は、法令違反の状態を是正することが目的であって、個人の紛争を解決することが目的ではないことに注意が必要です。

「残業代が払われない」などの相談事は弁護士にも相談することをお勧めします。
弁護士であれば、労働者一人一人のために、会社と残業代の支払いにつき交渉したり、訴訟したりすることが可能です。

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