あなたの法律のお悩み一発解決サイト
リーガライフラボ

残業代請求において「給与明細」は重要な証拠!ない場合はどうする?

作成日:更新日:
kiriu_sakura

「残業代請求をしたい。でも『給与明細』がない。どうすればいいのかな?」

実は、「給与明細」がなくても残業代請求をすることはできます。

給与明細がない場合には、その他の複数の証拠を組み合わせて残業代請求の証拠とするなどの方法があります。

このことを知っていると、給与明細がない場合でもあきらめることなく残業代請求をすることができます。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 給与明細の見方
  • 残業代請求で給与明細が重要な理由
  • 給与明細がない場合の対処法
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

残業代請求・退職代行に関するご相談は何度でも無料

残業代請求のご相談なら、何度でも無料です!

給与明細とは

(1)会社は給与明細を交付する義務がある

「給与明細」とは、給与の額や内訳を記載した明細のことです。
給与明細は、会社から給与を支給される際に会社から労働者に交付されます(所得税法231条1項、所得税法施行規則100条1項)。
また、給与は毎月1回以上支払われなければなりません(労働基準法24条2項)。

このことから、少なくとも毎月1回は給与明細を受け取っているはずだということになります。

(2)給与明細の主な記載事項

給与明細には、主に次のような項目が記載されています。

項目記載事項
勤怠項目
  • 所定労働日数
  • 出勤日数
  • 欠勤日数
  • 有給休暇取得日数
  • 遅刻回数
  • 早退回数
  • 時間外労働の時間(残業時間)
支給項目
  • 基本給
  • 時間外手当(残業手当)
  • 通勤手当など各種手当
控除項目
  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税
差引支給額
  • いわゆる手取額

勤怠項目とは、労働者が実際にどれくらい働いたり休んだりしたのかということに関する項目です。

支給項目とは、労働者に実際にどれくらいの給与や手当などが支給されたのかということに関する項目です。

控除項目とは、労働者への給与からどれくらいの額の社会保険料や税などが控除されたか(天引きされたか)に関する項目です。

差引支給額は、支給項目の合計から控除項目の合計を差し引いた額で、労働者の手元に実際にどれだけの額が支給されたのかという数字です。

残業代請求で給与明細が重要な理由

残業代請求をする場合には、給与明細が重要な証拠となります。

残業代請求で給与明細が重要である理由には、次のものがあります。

  • 会社から支払われた給与の額の証拠になる
  • 実際に働いた時間や残業時間の証拠になる

このことについて、ご説明します。

(1)会社から支払われた給与の額の証拠になる

さきほどもご説明したとおり、給与明細には、会社から支払われた給与の額が記載されています。
また、給与明細には、通常、実際に支払われた給与の総額だけではなく具体的な内訳も記載されています。
このため、給与明細を見れば、残業代として具体的にどれだけの額が支給されていたのかを知ることもできます。

残業代として具体的にどれだけの額が支給されていたのかが分かれば、本来支給されるべき残業代の額との差額が未払い残業代の額ということになります。

このように、給与明細は、会社から支払われた給与の額の証拠となると同時に、正確な未払い残業代を算出するための証拠として重要です。

(2)実際に働いた時間や残業時間の証拠になる

給与明細には、実際に働いた時間の合計や、残業時間の合計についても記載されていることがあります。
このことから、給与明細が実際に働いた時間や残業時間の証拠として重要になります。

もっとも、実際に働いた時間や残業時間の証拠には、他にもいろいろなものがあります。
後でご説明するように、実際に働いた時間や残業時間を証明するためには、このような複数の証拠を組み合わせて証明することになります。

給与明細がない場合の対処法

残業代請求をしたいのに給与明細がないという場合であっても、残業代請求をあきらめる必要はありません。

次のようにいくつかの対処法があります。

  • 複数の証拠を組み合わせて代わりの証拠にする
  • 会社に対して自主的な証拠の開示を請求する
  • 証拠保全手続を利用する

これらについてご説明します。

(1)複数の証拠を組み合わせて代わりの証拠にする

給与明細がない場合には、その他の複数の証拠を組み合わせて給与明細の代わりの証拠にします。

実際に支給された給与の金額を証明するための給与明細の代わりになるその他の証拠には、次のようなものがあります。

  • 賃金台帳
  • 源泉徴収票
  • 給与振込口座の写し

また、実際に働いた時間や残業時間を証明するための証拠としては、具体的には次のようなものがあります。

  • タイムカードの写し
  • Web打刻のスクリーンショット
  • タイムシートの写し
  • タコグラフ(タコメーター)の写し(トラック運転手の方など)
  • 業務日報の写し
  • 出勤簿の写し  など

これらの証拠により、会社から実際に支給された給与の額や、実際に働いた時間や残業時間を証明することができます。

賃金台帳というものは手元にはないのですが……。

賃金台帳は、会社が作成する書類です。
給与明細のように会社から渡される書類などではありません。
次にご説明するように、会社に対して証拠の開示を請求することで入手することができます。

源泉徴収票とは何ですか?

源泉徴収票とは、1年間に会社から支払われた給与の額や、すでに納めた所得税の額が記載されている書類です。
これは、会社が労働者に対して発行する書類です。

源泉徴収票はどんな時にもらえるのですか?

源泉徴収票は、通常、次のタイミングでもらうことができます。

  • 会社員の場合は、毎年12月
  • 退職者の場合は、退職した時

源泉徴収票を紛失してしまい手元にありません。
どうすればいいですか?

源泉徴収票は、基本的には希望すれば会社が再発行してくれます。
まずは会社に対して源泉徴収票を再発行してくれるように依頼しましょう。

残業代請求のために集めるべき証拠について、詳しくは次のページをご覧ください。

残業代請求で集めるべき証拠って何?弁護士が分かりやすく解説

(2)会社に対して自主的な証拠の開示を請求する

給与明細の代わりとなる証拠も十分に手元にないという場合もあるでしょう。
このような場合には、会社に対して自主的な証拠の開示を請求するという方法があります。

この方法のメリットは、裁判所を通さない方法であるために自由度が高く、また開示請求そのものにかかる費用も比較的安く済むという点にあります。

もっとも、開示請求に強制力はありません。
労働者の請求に応じて会社が証拠を開示するかどうかは、会社の任意です。
このため、会社が残業代の証拠を十分に開示してくれないということもあります。

また、悪質な会社の場合には、証拠を開示しないどころか廃棄・改竄してしまうおそれもあります。
このような場合には、次にご説明する「証拠保全」の手続きを利用することができます。

(3)証拠保全手続を利用する

証拠保全手続とは、裁判所に対してあらかじめ証拠を確保することを申立て、それに応じて裁判所が証拠を調査・収集する手続きのことです(民事訴訟法234条)。

証拠保全手続は、裁判所を通して行う証拠収集の手段であり、訴訟において証拠として使う予定があるものについて、強制的に証拠を収集することができます。

証拠保全手続はどんな場合でも使えるのですか?
裁判所に証拠を収集してもらえるなら積極的に使うとよさそうですが……。

証拠保全手続は、どのような場合でも使うことができるわけではありません。
訴訟を提起した後など、本来証拠調べを行うはずの時まで待っていると裁判所がその証拠を調べることができなくなったり、困難になるおそれがある場合に限り、証拠保全手続を利用できることとされています。

具体的には、どのような場合に証拠保全手続を利用できるのでしょうか?

例えば、証拠が改竄・廃棄されるなどの危険性が高いような場合などに証拠保全手続を利用することができます。

証拠保全手続の流れは次のとおりです。

証拠保全の申立書を作成する

証拠保全の申立書を裁判所に提出する

証拠保全が実施され、証拠が確保される

証拠保全手続においては、申立書でどのような証拠を押さえたいかや証拠保全が必要な理由を具体的に書き、証拠保全の必要性を客観的に確認できる資料を添える必要があります。

また、申立てをした側と裁判官との面接も必要となります。
このように、手続きは複雑であり、自分だけで行うことは簡単ではありません。

このため、証拠保全手続は弁護士に依頼して行うことが一般的です。
なお、証拠保全の申立てを弁護士に依頼できるかどうかは、個々の弁護士やケースによって異なります。

給与明細がない場合には弁護士に相談・依頼するという方法もある

給与明細が手元にない場合には、残業代請求を弁護士に相談・依頼するという方法もあります。

残業代請求を弁護士に相談・依頼するメリットには、次のようなものがあります。

  • 証拠となる資料が手元にない場合でも、証拠の集め方をアドバイスしてくれる。
    また、会社への証拠開示請求を代わりに行って証拠を代わりに集めてくれる。
  • 証拠になりそうな資料がある場合に、それが実際に証拠となるかどうか法的な知見から判断してくれる。
  • 請求できる未払い残業代の額を正確に計算してくれる。
  • 弁護士が代理人として会社と交渉することで、会社が真剣に対応してくれる可能性が高まる。
  • 弁護士が代理人として会社と交渉することで、労働者本人が会社と直接交渉する必要がなくなり、交渉のストレスが軽減される。
  • 労働審判や訴訟になっても、代理人として労働者をサポートしてくれたり、代わりに手続きに出頭してくれたりする。

【まとめ】その他の複数の証拠を組み合わせて残業代請求の証拠とする

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「給与明細」とは、給与の額や内訳を記載した明細のことで、会社から給与を支給される際に交付されるもの。
  • 給与明細には、通常大きく分けて、勤怠項目、支給項目、控除項目、差引支給額の4つの項目が記載されている。
    勤怠項目は、労働者が実際にどれくらい働いたり休んだりしたのかということに関する項目。
    支給項目は、労働者に実際にどれくらいの給与や手当などが支給されたのかということに関する項目。
    控除項目は、労働者への給与からどれくらいの額の社会保険料や税などが控除されたか(天引きされたか)に関する項目。
    差引支給額は、支給項目の合計から控除項目の合計を差し引いた額で、労働者の手元に実際にどれだけの額が支給されたのかという数字。
  • 残業代請求をする場合には、給与明細が重要な証拠となる。
    残業代請求で給与明細が重要である理由は、次の2つ。
    1. 会社から支払われた給与の額の証拠になる
    2. 実際に働いた時間や残業時間の証拠になる
  • 給与明細により会社から支払われた給与の額が分かれば、本来支給されるべき残業代との差額が未払い残業代の額ということになり、正確な未払い残業代を算出することができる。
  • 給与明細がない場合には、次のような対処法がある。
    1. 複数の証拠を組み合わせて代わりの証拠にする
    2. 会社に対して自主的な証拠の開示を請求する
    3. 証拠保全手続を利用する
  • 給与明細が手元にない場合には、残業代請求を弁護士に相談・依頼するという方法もある。
    残業代請求を弁護士に相談・依頼するメリットとしては、次のようなものなど、いろいろなものがある。
    1. 証拠となる資料が手元にない場合でも証拠の集め方をアドバイスしてくれたり、会社への証拠開示請求を代わりに行って証拠を集めてくれたりする
    2. 弁護士が代理人として会社と交渉することで、労働者本人が会社と直接交渉する必要がなくなり、交渉のストレスが軽減される

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からのお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2022年8月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

残業代請求・退職代行に関するご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-610-241
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています