慰謝料の請求を受けて途方に暮れていませんか?
「高額すぎて支払えない」
「安くしてはもらえないだろうか」
どのように交渉すればよいのか悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、弁護士の視点から、慰謝料の減額交渉を成功させるための効果的な方法と注意点を詳しく解説します。
適切な書面の書き方を知り、減額交渉に生かしてみてください。
この記事を読んでわかること
- 慰謝料請求を受けたら確認すべきポイント5つ
- 回答書に書くべき内容3つ
- 減額交渉でしてはいけないこと3つ
- 減額交渉で弁護士に依頼するメリット
ここを押さえればOK!
・請求内容を正確に把握し、事実関係を確認する。
・慰謝料請求に応じる必要があるか判断する。
・相場を参考に請求金額の妥当性を検討する。
・具体的な減額事由を探る。
回答書には、謝罪の意思、減額後の金額と減額を求める理由、日付と名前など記載します。
減額交渉では、次の行為をしないように気を付けます。
・請求を無視しない。
・内容確認なしで示談書に署名しない。
・感情的に交渉しない。
交渉の流れは、請求内容の確認から始まり、方針決定、交渉(回答書作成)、合意形成、示談書作成と進んでいきます。
慰謝料の減額交渉では、感情的にならず客観的な事実に基づいて冷静に丁寧に進めることが成功の鍵となります。自分での対応が難しいと感じたら、弁護士への相談・依頼をお勧めします。
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法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
【Xアカウント】
@ikeda_adire_law
慰謝料請求を受けたら最初に確認すべき5つのポイント
慰謝料の減額交渉を効果的に行うためには、まず、冷静に請求内容を正確に把握することが重要です。
以下の5つのポイントを確認することで、交渉の準備をし、減額交渉に生かせる事情があるかどうかを検討しましょう。
(1)不貞行為の事実関係を確認する
慰謝料減額交渉の第一歩は、不貞行為の事実関係を正確に把握することです。
書面で慰謝料請求がなされた場合、通常、請求の根拠となる不貞行為の内容も記載されています。その内容を読んだうえで、事実なのか、事実ではないのかを検討します。
【確認すべき点】
- 不貞行為の有無
- 不貞行為の期間や頻度
- 相手との関係性
事実関係を明確にすることで、自身の立場を正確に理解し、適切な交渉戦略を立てることができるでしょう。また、相手が主張する内容が事実と異なればしっかりと否定し、自分も虚偽の内容を主張してしまうことを避けられます。
(2)慰謝料請求に応じる必要があるか判断する
肉体関係があったからといって、必ず慰謝料を支払う必要があるかというと、そうではありません。
以下の事情がある場合、慰謝料請求に応じる必要がない可能性があります。
【慰謝料を支払う義務がないケース】
- あなたが交際相手を既婚者と知らず、知らなかったことに過失がない場合
- 不倫前から、交際相手の夫婦関係が破綻していた場合
- 不倫をした配偶者がすでに十分な慰謝料を支払っている場合
- 慰謝料請求権の時効(慰謝料請求者が不倫の事実と請求相手を知ってから3年)が完成している場合
これらの事情がある場合、慰謝料支払いの必要性自体を争うことで、経済的負担を大幅に軽減できる可能性があります。
ただし、判断は慎重に行いましょう。
例えば、交際相手が結婚指輪をしていたのに、「既婚者だとは知らなかった」という主張は通常通りません。また、交際相手が同居しているのであれば、不仲であったとしても、通常夫婦関係が破綻していたとは判断されません。
ご自分の場合に、これらの主張ができるのかどうかは、弁護士に具体的状況を説明したうえで、アドバイスを貰うとよいでしょう。
(3)請求金額の妥当性を検討する
慰謝料の金額に法的な基準はありませんが、一般的な相場を知ることで、過大な請求に対しては減額交渉できる余地があります。
【慰謝料の一般的な相場】
- 夫婦が離婚した場合:100万~300万円
- 夫婦が離婚しない場合:数十万~100万円
ただし、具体的な金額は個々の事情により大きく異なります。増額事情があれば相場でも高額な方に、減額事情があれば相場でも低額な方に動きやすいです。
相場を参考にしつつ、自身の状況に応じた妥当な金額を検討することが、効果的な減額交渉につながります。
(4)慰謝料の減額事由を探る
慰謝料の減額交渉のために、具体的な減額事由があるか探しましょう。主な減額事由には以下のようなものがあります。
【慰謝料減額の事情】
- 経済的困窮(支払能力の限界)
⇒お金がないからといって慰謝料減額できるわけではありませんが、実際問題としてお金がなければ支払えません。請求する側も、費用と時間をかけて訴訟して差押えしても回収するお金がないとわかれば、現実的に支払える金額で和解することにメリットがあります。
- 不貞行為の期間が短い
- 不貞行為の回数が1,2回と少ない
- 交際相手の方が積極的だった (例えば、上司と部下の関係を利用して強く交際を迫ったなど )
これらの事由を具体的に説明することで、慰謝料の減額につながる可能性があります。
(5)回答期限の確認
慰謝料請求書面には、次のように期限を区切って支払いを求めるものがほとんどです。
「〇月〇日までに、〇円を下記の口座に振り込んでください。」
「期限までに支払いを確認できなければ、法的手段を取らざるをえませんのでご承知おき下さい。」
だからといって、求められた金額を、指定された日までに支払わなければならないわけではありません。
回答期限までに、減額を求める回答書を準備できれば送ればいいですし、準備できなければ「書面の内容を検討していますので、回答に2週間ほどお時間を頂きます。」など返事をします。通常、回答をしていれば、指定された期限を過ぎたからといってすぐに訴えられることはありません。
慰謝料の減額交渉の回答に書くべき内容3つ
慰謝料請求を書面でされたら、通常書面で回答を行います。
その際には、適切な内容をしっかりと書くようにします。
「自分での対応が難しい」「減額を言い出せない」というような場合には、無理をせず、弁護士に相談・依頼して代わりの対応を依頼するとよいでしょう。
不貞行為が事実であることを前提として、回答書に書くべき内容を3つ、説明します。
(1)謝罪の意思を示す
不貞行為が事実であれば、通常謝罪の意思も書面に記載します。
これにより、相手方の怒りの感情を多少なりとも和らげ、交渉をスムーズに進める土台を作ります。
【例】
「この度の不適切な行為により、ご迷惑とご心痛をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。自身の軽率な行動を真摯に反省して二度と行いません。」
ただし、「どのような謝罪をしても、相手は納得できない」という点も理解する必要があります。
「謝罪文を書け」という要求もあるのですが、応じて謝罪文を書いても、納得せず書き直しを要求されることもあります。
弁護士に減額交渉を依頼すれば、弁護士は簡潔に謝罪・反省の意思を伝えますし、謝罪文を書けという要求もあまりありません。要求があっても、弁護士と相談の上本人が書きたくなければ、弁護士が断ることもできます。
(2)減額後の金額と減額すべき事情
請求金額は高額であり、減額を求めること、減額後の金額と減額すべき事情を記載します。
【減額すべき事情の例】
- 不貞期間が短かったこと
- 不貞行為の回数が少なかったこと
- すでに十分な慰謝料を受け取っていること
- 支払能力の限界 など
ただただ減額を求めても、相手は応じることはできないでしょう。減額を求める理由が重要ですので、一つ一つ明確に記載するようにします。
例えば、支払う能力がないのであれば、次のような回答をします。
「現在の月収は手取りで約20万円であり、固定費を差し引くと、毎月の余剰は2万円程度となります。貯金も少なく、ご請求の金額をお支払いすることはできません。一括で〇円であれば、貯金で支払うことができますが、それ以上の支払いは困難です。」
このように具体的な数字を示すことで、相手方の信用や理解を得やすくなり、慰謝料の減額につながる可能性が高まります。
ただし、個人情報ですので、どの程度伝えるかどうかは、吟味が必要です。
(3)日付と名前
書面を作成した日付(通常は送付する日付と同じ日にします)、回答書の作成者(自分の氏名・住所)、宛先(慰謝料の請求者の氏名・住所)も記載します。
特に、宛先の氏名・住所に漢字などの間違いがないか確認しましょう。

慰謝料減額交渉でしてはいけない3つの行為
慰謝料の減額交渉を成功させるためには、効果的な回答書の書き方を知るだけでなく、避けるべき行為も理解することが重要です。
以下の3つの行為は、減額交渉を成功させる可能性を低め、交渉当事者のストレスを増大させる可能性があるため、避けるべきです。
これらの行動を回避することで、より効果的な減額交渉ができるでしょう。
(1)請求を無視する
慰謝料請求を無視することは、最も避けるべき行為の一つです。
請求を無視すると、さらにトラブルが大きくなってしまいます。
例外的に、根拠がなく荒唐無稽な請求については無視をするという手段を取ることもありますが、個人で判断せず弁護士に相談したうえで、具体的な対処法についてアドバイスを求めた方がよいでしょう。
(2)内容確認なしで示談書に署名する
慰謝料請求とともに、示談書への署名を求められることもあります。
突然慰謝料を請求されて、動揺した精神状況で、示談書の内容を十分に確認せずに署名することはやめましょう。
一度署名した示談書に書かれた内容について、後で「こんな約束はしていない」と争うことは難しいためです。
落ち着いて示談書の内容を確認できたとしても、一度持ち帰って冷静に内容を把握したり、わからない点は相談した方がよいので、その場で署名は避け、持ち帰って検討するようにします。
(3)独断で感情的に交渉する
慰謝料を請求されると、いろんな感情が沸き上がります。
「こんなお金は支払えない」
「交際相手が守ってくれるはずだった」
「交際相手が支払うって言ってたけど、支払ってくれない」
感情的になるのは当然ですが、感情的なまま「こんな高額の慰謝料支払えるわけありません。驚いたこっちが慰謝料を請求したいくらいです。」などと回答書に回答を行い、交渉を行うのは避けるべきです。
請求してきた相手の怒りを誘い、交渉の態度を硬化させて、減額の可能性を低下させるおそれがあるためです。
慰謝料減額交渉の具体的な流れ
慰謝料の減額交渉は、請求内容の確認から始まり、示談交渉を経て、話し合いが決裂した場合には裁判に至ることもあります。
各段階で適切な対応を取ることが、減額交渉を成功させる鍵となります。
- 請求内容の確認
- 方針を決める ⇒不貞行為を認めるか認めないか、認める場合どの程度の減額を求めるか など
- 交渉 ⇒相手に連絡をし、具体的な金額や支払い方法について協議。必要に応じて回答書を作成。
- 合意形成:双方が納得できる条件を見出す
- 示談書の作成と署名
交渉中は、「ほんとうに減額してくれるだろうか」「減額なんて求めたらすぐに訴えられるんじゃないか」など心配が尽きません。
しかし、減額請求しなければ、まず減額されることはありません。慰謝料は話し合いにより決まりますので、減額を求めるときはきっぱりとその旨を伝えます。
一度減額を求めたとしても、「減額できかねます」と突っぱねられるかもしれません。
それでも相場より高い、支払能力がないなどの事情があれば、粘り強く再度減額を請求します。
このあたりの交渉スキルは、初めてだと難しいかもしれませんが、冷静に粘り強く丁寧に対応することが重要です。
慰謝料減額交渉を弁護士に相談するメリット
慰謝料の減額交渉において、弁護士に相談・依頼することは非常に有効です。
弁護士であれば、法的知識や経験に基づいて交渉戦略を立てたうえで、適正な額の慰謝料の支払いで収まるよう、粘り強く交渉を行います。
あなたの話を注意深く聞いたうえで、減額要素があるのであれば適切に主張します。
ただし、「弁護士に依頼したら逆に高くついた」という事態にならないようにする必要があります
不倫の慰謝料減額についての相談が無料であったり、依頼費用を分割で支払えたり、成功報酬制を採用している法律事務所もあります。相談時に、費用についてもしっかり確認しましょう。
【まとめ】
慰謝料の減額交渉では、感情的にならず、客観的な事実に基づいて交渉を進めることが成功の鍵となります。
この記事を参考に、自分の状況を冷静に分析し、交渉の準備を始めてください。1人での交渉が不安なときは、迷わず弁護士への相談・依頼を検討しましょう。
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