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労働基準法や民法の退職予告の基本|スムーズな退職手続きと注意点

作成日:更新日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

退職を考えているけれど、どのように手続きを進めればよいのか不安に感じていませんか?
スムーズに退職するためには、法律に基づく退職予告期間や具体的な手続きの流れを知っておく必要があります。
この記事では、退職の基本ルールから具体的な手続きの流れ、注意点までを詳しく解説します。
退職時の職場トラブルを避けて、次のキャリアステップをスムーズに進めるためのポイントを押さえましょう。

この記事を読んでわかること

  • 労働基準法や民法に基づく退職予告期間
  • 退職手続きの流れ
  • 退職時に受け取る重要書類
  • 退職予告に関するQ&A

ここを押さえればOK!

雇用契約の期間が定められていない場合(いわゆる正社員。無期雇用契約)の場合、退職するためには、民法に基づき2週間の予告期間が必要です。ただし、就業規則で別途定めがある場合には注意が必要です。「1ケ月前」程度であれば、就業規則に従った方がよいでしょう。
雇用契約の期間が定められている場合(契約社員、パート、アルバイトなど。有期雇用契約)の場合は、原則として期間の終わりまで退職できませんが、いくつかの例外があります。
退職手続きの流れは、会社への退職の申し入れ、退職日の決定と調整、退職届の提出、業務の引き継ぎという順序で進みます。
退職時には、雇用保険関連の書類、源泉徴収票、健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書、年金手帳、退職証明書などの重要書類を確実に受け取る必要があります。
退職時の注意点として、退職理由を詳細に話す必要はないこと、有給休暇は退職前でも消化可能であること、強引な引き留めに対しては退職の意思を証拠として残すことが重要です。
退職を言い出しにくい、という方は弁護士の退職代行サービスの利用を検討ください。

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この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

法律に基づく退職予告期間とは?

法律に基づく退職予告期間は、雇用契約に期間の定めがない場合(無期雇用契約)と期間の定めがある場合(有期雇用契約)で異なります。
それぞれ説明します。

(1)無期雇用契約|民法に基づき2週間の予告期間が必要

無期雇用契約において、退職予告期間の基本ルールは、民法に定められています。
退職の意思を会社に伝えてから2週間後に退職が成立するというものです。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

民法627条1項

したがって、無期雇用の労働者が退職を希望する場合、少なくとも2週間前にその意思を会社に通知する必要があります。

具体的には、退職の意思を伝えた日の翌日から数えて14日目に退職が認められます。
例えば、4月1日に退職の意思を伝えた場合、翌日から起算して、休日を含めた2週間後である4月15日に退職が成立します。

例外|就業規則などで別途定めがある場合

就業規則で2週間以上前の退職の申し出が必要と定められているケースがあります。
例えば6ケ月前に申し出が必要となれば、法律の趣旨に反して長期にわたるため、そのような定めは無効だと考えられますが、一方で、1ケ月程度であれば有効とされる可能性が高いです。

(2)有期雇用契約|原則期間の終わりまで退職できない

有期雇用契約の場合、原則として、その期間中に退職することはできません。
しかし、例外がいくつかあります。

(2-1)契約期間の初日から1年以上経過している場合

契約期間の初日から1年以上が経過している場合は、一定の場合を除いて、会社に申し出ることによりいつでも退職できます(労働基準法137条)。

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

労働基準法137条

(2-2)雇用期間が5年超又は雇用期間の終期が不確定の場合

雇用期間が5年を超えているか、又は雇用期間の終期が不確定である場合、5年を経過した後であれば、労働者は、2週間前に予告したうえで退職することができます。

1項 雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。
2項 前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは3箇月前、労働者であるときは2週間前に、その予告をしなければならない。

民法626条

(2-3)やむを得ない事由がある場合

有期雇用契約であっても、「やむを得ない事由」があるときには、会社に退職を申し出ることですぐに退職できるとされています(民法628条)。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法628条

やむを得ない事由は、個別具体的な事情を踏まえて判断されますが、「仕事が大変」「転職先が決まった」などという事情では、通常やむを得ない事由とはされません。

【やむを得ない事由の例】

  • 重い病気やケガ
  • 家族の介護 など

ただし、やむを得ない事由が労働者の過失によって生じたときは、会社に対して損害賠償の責任を負いますので注意が必要です(民法628条後段)。

(2-4)労働条件が事実と異なる場合

有期雇用契約であっても、契約時に示された賃金や労働時間などの労働条件が事実と異なる場合には、即時に契約を解除することができます(労働基準法15条1項2項)。

(2-5)就業規則で退職が認められている場合

有期雇用契約であっても、就業規則などで「2週間前に退職の意を伝えることで退職することができる」などという定めがある場合があります。
そのような場合には、その通りに手続きを踏めば退職が可能です。

退職手続きの具体的な流れ

(1)会社への退職の申し入れ

退職の意思を会社に伝える際は、まず直属の上司に口頭で伝えるのが一般的です。
口頭での意思表示の後、正式な退職届を提出します。
退職の意思を伝える際には、冷静かつ明確に伝えることが重要です。例えば、「一身上の都合で退職したい」と簡潔に伝えると良いでしょう。

(2)退職日の決定と調整

退職日は、会社との話し合いで決定します。法的には2週間前の予告で退職できますが、有休を消化したり、業務の引き継ぎや後任の手配を考慮して柔軟に対応することが重要です。
例えば、プロジェクトの終了時期や繁忙期を避けるなど、会社の状況を考慮することで、円滑な退職が可能となります。
退職日を決定する際には、上司や人事部と密にコミュニケーションを取り、双方が納得できる日程を調整しましょう。

(3)退職届の提出方法

退職届は、書面で提出するのが一般的です。
例えば、次のような内容を記載することが多いですが、会社に書式があればそれに従いましょう。

「○○株式会社 代表取締役社長 ○○様
私儀
一身上の都合により、○年○月○日をもって退職致したく、ここに届け出ます。 在職中は大変お世話になり、ありがとうございました。
○年○月○日 ○○部 ○○ ○○ ㊞」

退職届の提出は、直属の上司に手渡しするのが基本ですが、会社の規定に従い、人事部に提出する場合もあります。

(4)業務の引き継ぎの重要性

業務の引き継ぎは、退職後も職場が円滑に運営されるために重要です。
引き継ぎ内容をリスト化し、後任者にしっかりと伝えることが求められます。
具体的には、業務の進捗状況、重要な連絡先、使用しているツールやシステムの操作方法などを詳細に記載します。引き継ぎの際には、後任者が理解しやすいように、マニュアルや資料を準備することも有効です。これにより、退職時の職場トラブルを避けることができます。

退職時に受け取る重要書類

退職時には、様々な重要書類を確実に受け取る必要があります。
これらの書類は、今後の就職活動や社会保険手続きに不可欠です。

必要な退職関連書類の例:

  1. 雇用保険関連の書類
  2. 源泉徴収票
  3. 健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書
  4. 年金手帳(会社が保管している場合)
  5. 退職証明書(希望する場合)

以下、詳しく説明します。

(1)雇用保険関連の書類

以下の雇用保険関連の書類は、退職後の失業給付受給や、次の就職先での手続きに必要です。

  1. 雇用保険被保険者証
  2. 雇用保険被保険者離職証明書(離職票)

注意点:

  • 離職票は退職後に作成されるため、後日郵送されることが多い
  • 記載内容(特に離職理由、自己都合、会社都合など)を必ず確認する
  • 不明な点があれば、すぐに会社や公共職業安定所(ハローワーク)に確認する

これらの書類は、スムーズな失業給付受給や再就職の際に重要な役割を果たします。
確実に受け取り、大切に保管しましょう。

(2)源泉徴収票

源泉徴収票は、その年の給与所得と源泉徴収税額を証明する重要な書類です。退職時には必ず入手する必要があります。

源泉徴収票の重要性:

  1. 確定申告の際に必要
  2. 次の就職先への提出が求められることがある
  3. 住宅ローンの審査などで収入証明として使用

注意点:

  • 年末に退職した場合、退職年の翌年1月末までに発行される
  • 年の途中で退職する場合、通常、最終給与支払いと同時期にそれまでの支給額について源泉徴収票が発行される。
  • 記載内容(特に給与額と源泉徴収税額)を必ず確認

源泉徴収票は税務上重要な書類です。確実に受け取り、内容を十分確認した上で、大切に保管しましょう。

(3)健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書

健康保険資格喪失確認通知書は、退職に伴い社会保険の資格を失って脱退したことを証明する重要な書類です。
この書類は以下の場面で必要となります。

  • 国民健康保険への加入手続き
  • 新しい職場での健康保険加入手続き
  • 任意継続被保険者となる場合の手続き

注意点:

  • 退職後2年間は退職前の健康保険に任意継続可能だが、退職後20日以内に手続きする必要あり(任意継続を希望する場合は、退職前に手続きについて確認する)
  • 国民健康保険・国民年金の加入手続きの期限は、退職日の翌日から14日以内に行う必要がある

この書類を確実に受け取ることで、退職後の健康保険に関する手続きをスムーズに行うことができます。内容を十分に確認し、適切に対応しましょう。

(4)年金手帳

年金手帳は、通常、従業員本人が保管していますが、会社が保管している場合もあります。退職時には必ず返却を受ける必要があります。

年金手帳の重要性:

  1. 年金加入記録の証明
  2. 年金受給時に必要
  3. 再就職時の手続きに使用

注意点:

  • 会社が保管していない場合、自身で保管していることを確認
  • 紛失した場合は、年金事務所に問い合わせる(自営業者又は無職の場合)

年金手帳は生涯にわたって使用する重要な書類です。確実に受け取り、大切に保管しましょう。退職を機に、自身の年金加入状況を確認するのも良いでしょう。

※年金手帳は2022年4月1日から廃止されており、それ以降は新規発行されません。代わりに、基礎年金番号通知書により、基礎年金番号が知らされます。

(5)退職証明書

退職証明書は、労働者が請求した場合に会社が発行する義務がある書類です(労働基準法22条1項)。
この証明書は、再就職活動や各種手続きで必要となる場合があります。

退職証明書に記載される内容:

  1. 使用期間
  2. 業務の種類
  3. その事業における地位
  4. 賃金
  5. 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)

請求方法:

  1. 人事部門に口頭または書面で請求する
  2. 必要な記載事項を明確に伝える
  3. 発行までの期間を確認する

注意点:

  • 会社は労働者の請求があった場合のみ発行義務がある
  • 退職理由について、事実と異なる記載を要求することはできない
  • 記載内容に不満がある場合は、訂正を求める

例えば、人事部門に「退職証明書の発行をお願いしたいのですが、手続きの方法など教えていただけますでしょうか。」と尋ねてみるとよいでしょう。

退職時の注意点とトラブル回避方法

(1)退職理由を話す必要はない

上司に退職理由を話す必要はありません。労働基準法や民法には、労働者に対して、退職理由を詳細に説明する義務は規定されていません。
退職届には、一般的に「一身上の都合で退職する」旨を記載します。
詳細に退職理由を伝えると、その事情を引き止めに利用されることがあるので注意しましょう。

例えば、「残業が多すぎて私生活に影響が出てきているので辞めたい」と具体的に伝えると、「残業はしなくていいから続けてほしい」「残業のない部署への移動も可能だから辞めないでほしい」などという引き止めにあう可能性があります。

(2)有給休暇の消化方法

有給休暇は、退職の意思を申し出た後であっても、消化することができます。
退職前に有給休暇を消化するためには、退職の意思を伝える際に有給休暇の消化を申し出ることが重要です。
具体的には、退職日までの期間に有給休暇を計画的に配置して、有給取得を申請します。

(3)強引な引き留めに対する対処法

強引な引き留めに対しては、退職の意思を伝えたことを証拠として残すことが重要です。
いくら引き止めにあったとしても、退職の意思を伝えた日の翌日から起算して2週間で退職の効果が発生するためです。
「退職の意思なんて聞いていない」というトラブルを避けるためにも、書面で退職の意思を残すようにしましょう。

上司に退職を伝えにくいという方は、退職代行を扱っている弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

退職予告に関するよくある質問

(1)年俸制の場合の退職予告期間は?

月給制でも年俸制でも、無期雇用契約の場合には、法律上は2週間前の予告で退職が可能です。
ただし、就業規則や契約によっては、違う定めがおかれているケースがあります。
例えば、就業規則に、「退職の際は1ヶ月前に通知すること」といった定めがある場合には、基本的にはその条項に従う必要があります。
ただし、「6ケ月前」など長すぎる場合には、無効とされる場合もあります。

(2)2週間より早く辞める方法はある?

会社と合意できれば、2週間より早く退職することも可能です。

(3)退職予告期間と解雇予告期間は同じ?

退職予告期間は労働者が退職を申し出る際の期間であり、解雇予告期間は使用者が労働者を解雇する際の期間です。両者は異なるため、注意が必要です。
具体的には、退職予告期間は民法627条1項に基づき2週間前とされていますが、解雇予告期間は労働基準法20条に基づき30日前とされています。

例えば、会社が労働者を解雇する場合、30日前に予告するか、30日分の平均賃金を支払う必要があります。

【まとめ】正社員の場合、労働基準法上は2週間前の退職申出で退職可能

無期雇用契約(正社員)の場合、法律上の退職予告期間は2週間です。ただし、就業規則で1ケ月など定められている場合には、その決まりに従った方がよいでしょう。
退職の意思を会社に伝え、退職届を提出し、業務の引き継ぎを行うことで、退職手続きをスムーズに進めることができます。
退職したいと考えている方は、まずは会社に退職の意思を明確に伝えたうえで、必要な手続きを進めるようにしましょう。

「退職を言い出しにくい」「退職を伝えることがストレスだ」という方は、退職代行というサービスを利用して退職する方法もあります。

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この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

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