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管理職に残業代が出ない理由とは?残業代の取り戻し方も解説

作成日:更新日:
LA_Ishii

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

あなたは管理職として一生懸命働いているのに、残業代が支払われないことに疑問を抱いていませんか?

「管理職だから残業代は出ない」と言われたものの、本当にそれが正しいのかどうか、不安を感じているかもしれません。

この記事では、そんなあなたの疑問にお答えし、管理職に残業代が出ない理由や、名ばかり管理職として未払い残業代を取り戻す方法をくわしく解説します。さらに、あなたの残業代を取り戻すための方法も紹介します。

この情報を知ることで、あなたの疑問や不安を解消し、労働環境の改善をするための第一歩を踏み出しましょう。

この記事を読んでわかること

  • 管理職に残業代が出ない理由
  • 管理職で残業代が出ない場合(管理監督者に当たる場合)
  • 管理職でも残業代が出る場合(名ばかり管理職に当たる場合)
  • 管理職が残業代を取り戻す流れ
  • 弁護士に相談するメリット

ここを押さえればOK!

管理職だからといって一律に残業代が支払われないわけではなく、「管理監督者」に該当する場合のみ残業代が不要とされます。管理監督者とは、労働条件の決定や業務管理において経営者と一体の立場にある者で、深夜労働に対しては割増賃金が支払われるべきですが、それ以外の残業代は支払われません。

しかし、役職名が管理職であっても実際の業務内容や権限が管理監督者に該当しない場合は、「名ばかり管理職」となります。この場合には、役職名が部長などの管理職であっても、残業代は支払われなければなりません。

管理職が未払いの残業代を取り戻すための具体的な方法としては、証拠集め、残業代の計算、会社との交渉、そして労働審判や訴訟などの方法をとります。

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この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

管理職に残業代が出ない理由とは?

管理職に残業代が出ない理由は「管理監督者」に当たるからです(労働基準法第41条2号)。

管理監督者は労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されないため、残業代の支払いが不要とされています(ただし、深夜労働に対しては割増賃金を支払う義務があります)。

しかし、会社での役職名が部長などの管理職であっても、業務の内容などから「管理監督者」には当たらない場合があります。この場合は、残業代が支払われなければなりません。

管理監督者とは?

管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理ついて経営者と一体的な立場にある者のことをいいます。

管理監督者に当たる場合、労働条件の決定などを行う立場にあり、それに見合った賃金などの待遇を受けていることから、残業代などを払う必要がないと考えられているのです。

管理監督者の判断基準

「管理監督者」に当たるかどうかは、部長などの役職名で判断するのではなく、ここで紹介する3つの判断要素で総合的に判断します。

(1)職務内容

会社全体または部門の業務運営に関する重要な権限を持っているかどうかです。

例えば、次のような業務を行っているかどうかが判断基準になります。

  • 経営会議などに参加している
  • 会社の重要な部門(人事や経営といった部門のみならず、複数の店舗を含むエリアや基幹となる支店の管理も含む)の管理を委ねられている
  • 職場の部下やアルバイトの採用権限や解雇などの決定権限がある
  • 職場におけるシフトの作成や所定時間外労働を命ずる権限がある

これらの業務を行っていない場合やこれらの業務を行うことができても上司の決裁が必要な場合は、管理監督者にあたらない可能性が高いといえます。

(2)実際の勤務態様

管理監督者は、自らの裁量で労働時間を決定できることが求められます。つまり、出退勤の時間や休憩時間を自分で管理できる状態である必要があります。

例えば、「遅刻や早退をしても減給などの不利益がない」「会議や業務がない時間に自由に休憩を取れる」などの状態です。これができない場合は、管理監督者に当たらない可能性が高いといえます。

(3)賃金などの待遇

管理監督者の地位にふさわしい賃金などの待遇がなされているかどうかです。

例えば、管理監督者であると言われている者が長時間残業をした結果、残業時間を含めた時間単価に換算した賃金がアルバイトなどの賃金額に満たない場合、管理監督者であることが否定される可能性が高いです。

また、基本給・役職手当の支給額が不十分な場合や特段の事情がないにもかかわらず、1年間に支払われた賃金の総額が一般の従業員の賃金総額と同程度以下である場合も管理監督者であることを否定される可能性があります。

名ばかり管理職とは?

名ばかり管理職とは、実際には管理監督者としての権限や待遇を持っていないにもかかわらず、名目上だけ管理職として扱われる労働者を指します。

役職名は管理職であっても、実際に管理監督者としての権限や待遇を持っていない場合には、「名ばかり管理職」に当たります。

この場合、管理職であっても残業代が支払われなければなりません。

管理職が残業代を取り戻すための流れとは?

管理職であっても「名ばかり管理職」であった場合には、未払いの残業代を取り戻すことができます。

管理職が残業代を取り戻すためには、次のような流れとなることが一般的です。

ただし、残業代請求には原則「3年」という時効があります。
そのため、なるべく早く請求手続きをとることが大切です。

(1)名ばかり管理職や残業代についての証拠を集める

自分が名ばかり管理職であることを証明するための証拠を集めます。
例えば次のような資料が必要です。

  • 雇用契約書:管理職としての権限や職務内容が記載されているか確認。
  • 勤務記録:出退勤時間や残業時間を証明するためのタイムカードや日報。
  • 給与明細・賃金規程:管理職としての特別な待遇や手当がないことを示す。
  • メールや業務指示書:実際の業務内容が管理監督者の基準を満たしていないことを示す。

証拠がない場合には、会社に対して開示を求めることもできます。

(2)残業代を計算する

次に、未払いの残業代を計算します。
残業代は、次の計算式で計算します。

1時間当たりの基礎賃金(※)×割増率×残業時間=残業代

※ 基礎賃金とは、月の総支給額から所定の手当を差し引いて算出した月当たりの賃金のこと

割増率は、次のとおりです。

  • 時間外労働の割増率: 25%以上
  • 時間外労働が月60時間を超えた場合の割増率:50%以上
  • 休日労働の割増率:35%以上
  • 深夜労働の割増率:25%以上
  • 時間外労働かつ深夜労働の割増率:50%以上
  • 休日労働かつ深夜労働の割増率:60%以上

割増率を超えた残業代は構いませんが、割増率より下回る残業代は許されません。

(3)交渉する

証拠を集め、残業代を計算したら、会社との交渉です。

在職中であれば、残業代請求の交渉をするとパワハラや嫌がらせ、配置転換などの報復を受ける不安もあるかもしれません。

しかし、不利益な扱いは原則として法律で禁止されています。
不利益な扱いをされる可能性がある場合は、交渉を録音しておくと良いでしょう。

会社が残業代の支払に応じない場合には、労働基準監督署に相談・申告することもひとつの方法です。ただ、労働基準監督署の是正勧告には、強制力はありません。是正勧告を受けても未払い残業代を支払わないという会社もあります。

(4)労働審判・訴訟を起こす

交渉がうまくいかない場合は、労働審判や訴訟を起こすことを検討します。

  • 労働審判:労働者と会社との間に、審判官(裁判官)1名と労働審判員2名が入って、解決を目指す制度のこと。労働審判の期日は、原則3回以内。
  • 訴訟(裁判):一般的な裁判の手続きのこと。期日の回数に制限がなく、解決までに時間がかかることもある。

【労働審判と訴訟(裁判)の違い】

労働審判訴訟(裁判)
判断する人労働審判員2名と
裁判官(審判官)1名
裁判官のみ
必要な収入印紙代(手数料)訴訟の場合の印紙代の半分の金額請求額に比例した金額
解決までの期間約2ヵ月半長ければ1年以上
手続きが公開されるか非公開公開
※ 審判に対して異議申立てがあった場合など、労働審判で解決しなかった場合には、訴訟になります。

弁護士に相談するメリットとは?

残業代請求は、ご自身で行うことも不可能ではありません。
しかし、残業代請求は弁護士に相談・依頼して行うほうが良い場合も多いです。

なぜなら、労働問題に精通している弁護士であれば、適切なアドバイスやサポートを提供してくれるからです。ここでは、弁護士に相談する具体的なメリットを説明します。

(1)専門家のアドバイスを受けられる

弁護士に相談することで、専門的なアドバイスを受けることができます。労働問題に精通した弁護士であれば、あなたの状況を詳細に分析し、最適な解決策を提案してくれるでしょう。

  • 法律に基づいたアドバイス:例えば、これまで弁護士としての経験や裁判例に照らし、あなたが管理監督者に該当するかどうかを判断してくれます。
  • 行動プランの提案:未払い残業代を取り戻すための具体的な行動プランを提案してくれます。

(2)証拠集めや残業代の計算のサポートを受けられる

弁護士は、証拠集めや残業代の計算に関してもサポートを提供します。
これにより、証拠を基にした正確な請求が可能になります。

  • 証拠の収集方法:労働契約書や勤務記録、給与明細など、必要な証拠を効果的に収集する方法をアドバイスします。
  • 残業代の計算:弁護士が複雑な残業代の計算を正確に行ってくれます。
  • 文書作成:証拠を基にした請求書などの作成を行います。

(3)会社との交渉を任せられる

弁護士に依頼することで、会社との交渉を弁護士に任せることができます。

これにより、効果的かつ迅速な解決が期待できるほか、あなた自身が会社と直接交渉することに伴うストレスが軽減されます。

また、仮に任意の交渉で解決せずに裁判手続きになったとしても、弁護士があなたの代わりに一貫してサポートしてくれます。

(4)請求に応じてもらえる可能性が飛躍的に高まる

個人で残業代を請求しても、真剣に取り合ってくれることはほとんどない可能性があります。

しかし、弁護士がついているとなれば、会社は法的措置を取られることを恐れ、交渉に応じる可能性が高くなります。また、弁護士が法的根拠に基づいた対応を行うことで、結果として、請求自体も成功しやすくなるのです。

【まとめ】管理職であっても残業代が出る可能性あり!

この記事では、管理職に残業代が出ない理由と、名ばかり管理職として未払い残業代を取り戻す方法を解説しました。管理監督者として認定されるための判断基準や、名ばかり管理職の問題点を明確にし、具体的な証拠集めや残業代計算の手順も紹介しました。さらに、弁護士に相談するメリットとして、専門家のアドバイス、証拠集めのサポート、会社との交渉を任せられる点を挙げました。

自分の権利を守るために、まずは証拠を集め、弁護士に相談することが重要です。今すぐ弁護士に相談し、未払いの残業代を取り戻し、労働環境を改善しましょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配なく、ご依頼いただけます。

※以上につき、2024年11月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

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