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有給休暇の日数が残っている!退職前の有休消化でよくあるトラブル

作成日:更新日:
s.miyagaki

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「退職を前にして有給休暇の日数が残っているけれど、退職前に有給休暇を消化できるかな?」

有給休暇が残っていれば、全て使い切りたいと思うのが自然ですよね。
退職前に有給休暇の日数が残っている場合、退職前に有給休暇を消化することは可能であり、会社は基本的に有給休暇の消化を拒否することはできません。

この記事を読んでわかること
  • 年次有給休暇の基礎知識
  • 退職時の年次有給休暇の扱い
  • 退職前の年次有給休暇消化でよくあるトラブル
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

年次有給休暇の取得は、労働者の権利

「年次有給休暇」(有休)とは、休暇であるにもかかわらず給料が支払われる休暇のことです。
ここからは、年次有給休暇制度の基本的な知識についてご説明します。

(1)年次有給休暇の日数はどうやって決まる?

年次有給休暇は、労働基準法上の条件を満たした労働者に付与されるものです。
次のいずれの条件をも満たす労働者には、年次有給休暇が与えられます(労働基準法39条1項)。

  • 雇用関係がある
  • 入社してから6ヶ月以上継続して勤務している
  • 全労働日の8割以上出勤している

年次有給休暇が与えられるのは、正社員だけに限らず、パート・アルバイトであっても与えられます。

一度に付与される年次有給休暇の日数は、10~20日です。
どれだけの日数が付与されるのかは、雇入れ日からの勤続年数によって決まります。

年次有給休暇の取得条件や日数について、詳しくはこちらをご覧ください。

年次有給休暇の取得が義務化!取得条件や日数、注意点を弁護士が解説

(2)有給休暇取得は原則自由だが会社には時季変更権がある

年次有給休暇の取得は労働者の法律上の権利であり、会社は取得を原則として拒否できません。

もっとも、従業員の年次有給休暇取得が「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、会社は取得タイミングの変更を従業員に命じる権利(時季変更権)があります。

これは、あくまでも「時季変更」(取得タイミングの変更)を命じるものに過ぎず、取得そのものを拒否することはできません。

時季変更権について、詳しくはこちらをご覧ください。

(3)年次有給休暇には「消滅時効」がある

年次有給休暇を取得する権利は、付与された日から2年で時効により消滅します。(労働基準法115条)。このことから、未消化の年次有給休暇を繰り越せるのは1年までということになります。

もっとも、これは最低限の基準なので、就業規則などで繰り越せる期間を1年より長く設定している会社もあります。
逆に、有給休暇を繰り越すことができずに1年で消えるというルールを設定している会社もあるかもしれませんが、そのようなルールは労働基準法に反して無効です。

退職時に年次有給休暇の日数が残っている……このまま退職すると損?

ここからは、退職に際して未消化の年次有給休暇の取扱いについてご説明します。

(1)年次有給休暇は退職により消滅する

年次有給休暇の取得は、労働者に付与された権利であり、労働者からその取得の請求があれば、会社は原則としてこれに応じなければなりません。

この年次有給休暇を取得することができるのは退職日までです。
退職しますと会社との雇用関係がなくなるため、年次有給休暇が残っていたとしても、退職日をもって全て消滅してしまいます。

なお、転職前の会社で退職に際して年次有給休暇を消化し、出勤する必要がないとしても、転職前の会社との雇用関係が退職日までは存続しております。
仮に年次有給休暇を消化中に転職先で就業を新たに開始した場合には、いわば二重就労していることになります。
このような二重就労は、就業規則の兼業禁止条項に抵触するなどのトラブルを招くおそれがあります。

転職先で就業を新たに開始するのは、転職前の会社を退職してからにしましょう。

(2)「退職時における未消化の年次有給休暇の買い取り」は、会社次第

年次有給休暇の買取りは、原則として禁止されています。
ただし次の年次有給休暇の買い取りは、例外的に認められています(会社に買い取る義務があるわけではありません)。

  • 就業規則等で、法定の日数に上乗せして付与されている年次有給休暇
  • 時効消滅する年次有給休暇
  • 退職で消滅する年次有給休暇

このように、退職時における未消化の年次有給休暇の買い取りは例外的に認められているのですが、会社の義務ではありません。
買取に応じてくれるかは会社次第ということになります。

有給休暇の買い取りについて、詳しくはこちらをご覧ください。

有給休暇の買取は違法?例外で認められるケースがあることを知っておこう

退職前の年次有給休暇消化でよくあるトラブル4例

退職前に、まだ残っている年次有給休暇の消化について会社とトラブルになるケースがあります。

(1)ケース1|会社が年次有給休暇の残日数を教えてくれない

会社が年次有給休暇の残日数を教えてくれないケースがあります。
会社によっては、給与明細に年次有給休暇の取得日数や残日数を記載していることもあるので、給与明細を確認してみるとよいでしょう。

給与明細を確認しても分からない場合には、就業規則を確認するなどしつつ、自分で計算します。

(2)ケース2|会社に時季変更権の行使を主張される

会社に時季変更権の行使を主張されることがあります。
しかし、退職までの日数が少なく、年次有給休暇の取得を他の時季に変更することができないときには、会社は時季変更権を行使することができません。

「後任が見つからないから」「部署の月間目標達成に支障が出るから」などの理由があったとしても、会社は労働者に年次有給休暇を消化させなければなりません。

(3)ケース3|会社から「そもそも有給休暇を付与していない」と言われる

会社から、「そもそも有給休暇は付与していない」と言われることがあります。
しかし、労働者は雇用形態にかかわらず、労働基準法に従って自動的に有給休暇の権利を取得します。
労働者が有給休暇を取得できる法律上の要件を満たしているにもかかわらず、会社が有給休暇を付与しないのは違法です。

(4)ケース4|会社から「退職日まで業務につかないなら、損害賠償を請求する」と言われる

悪質な会社であれば、「退職日まで仕事をしないのであれば損害賠償を請求する」と言ってくることがあるかもしれません。

しかし、年次有給休暇の取得は労働基準法で認められた労働者の権利であり、その権利を行使したこと自体を理由として、損害賠償金を支払う必要のある違法な行為であるとはされません。

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年次有給休暇の消化トラブルへの対処法

年次有給休暇の消化トラブルは、現場の上長などの単なる知識不足が原因であることも少なくありません。
主な対処法には、次の3つがあります。

  • 会社の人事部に相談する
  • 労働組合や労働基準監督署に相談する
  • 弁護士に相談する

退職日が迫っていて、スムーズな年次有給休暇の消化・退職を望む場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
この場合、弁護士による退職代行サービスを利用するのもひとつの手段です。

弁護士による退職代行サービスについて、詳しくはこちらをご覧ください。

退職代行サービスで即日退職は可能?弁護士に依頼するメリットも解説

いずれの対処法を取るにしても、会社が年次有給休暇の取得を拒否している証拠があるとより望ましいです。
有用な証拠として、録音データなどの客観的な証拠や、会社が有休消化を拒否していることが分かる書面・メールなどが挙げられます。

未払い残業代がないかの確認もしましょう

退職の際には、未払い残業代があるのではないかの確認もしましょう。
未払い残業代がある場合には、退職を機会に会社に対して請求することをおすすめします。

未払い残業代の請求は、弁護士に任せることもできます。
弁護士に任せれば、労働者の代わりに会社と交渉などの手続きを行ってくれるなど、手続きをサポートしてくれるなどのメリットがあります。

未払い残業代の請求を弁護士に依頼することについて、詳しくはこちらをご覧ください。

未払い残業代の請求を弁護士に依頼したい!費用の相場やメリット解説

【まとめ】年次有給休暇の日数が残っている場合、退職前に消化するのは労働者の権利

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 「年次有給休暇」(有休)とは、休暇であるにもかかわらず給料が支払われる休暇のこと。年次有給休暇の取得は労働者の権利。
  • 年次有給休暇を取得する権利は、付与された日から2年で時効により消滅する。
  • 年次有給休暇は退職により消滅する。「退職時における未消化の年次有給休暇の買い取り」は、会社次第。
  • 退職前に、まだ残っている年次有給休暇の消化について会社とトラブルになるケースがある。トラブルに対しては、弁護士に相談するなどの対処法がある。
  • 退職の際には、未払い残業代がないかの確認もするのがおすすめ。あれば請求するべき。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2023年3月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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