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試用期間は本採用とは別?試用期間の疑問点を分かりやすく解説

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リーガライフラボ

「試用期間って、本採用と何が違うのかな」

実は、通常、試用期間では、本採用とほぼ同じ労働契約が成立しています。

しかし、試用期間は、本採用に比べ、解雇が広く認められやすいという特徴があります。

この記事では、試用期間について、弁護士がわかりやすく解説いたします。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

試用期間とは?

試用期間とは、本採用の前に、労働者の適格性を判断すべく、労働者を試しに雇用する期間のことです。

判例上、試用期間は、本採用に比べると、解雇しやすくなっています(三菱樹脂事件 最高裁大法廷判決昭和48年12月12日民集27巻11号1536号)。

そのため、一旦、本採用すると長期間雇用になることが多い日本では、試用期間を設けることで、慎重に従業員の適性を見極めようとする企業が多くあるのです。

正社員以外にも、パートやアルバイトにも試用期間はあります。
会社によっては研修期間や見習期間と呼称して、実質的な試用期間としている場合もあります。

試用期間を導入している会社は、求人票や募集要項にて、その旨を記載しなければなりません(職業安定法第5条の3、職業安定法施行規則第4条の2の第3項の2号の2)。
さらに、就業規則に明示したり、採用時に労働者に説明するなどして、労働者に説明・周知しておく必要があります。

参考:労働条件の明示|厚生労働省

(1)試用期間の長さは、原則自由

法律上、試用期間の長さには決まりはありませんので、原則として、試用期間は雇用主側が自由に設定できます。
統計上、試用期間は3ヶ月とする企業が最も多く、試用期間を1~6ヶ月とする企業が多くを占めます。
試用期間があまりに長すぎる場合は、公序良俗違反として、試用期間が無効となる場合があります(ブラザー工業事件 名古屋地裁判決昭和59年3月23日労判439号64頁)。

参考:試用期間について|厚生労働省

(2)試用期間の延長には一定の制限あり

また、就業規則などであらかじめ、延長の可能性や、延長になる事由、延長の期間などが明示されていない限り、原則として試用期間の延長は認められないと考えられています。
延長の事由や、延長の期間も合理的であることが必要です。

(3)試用期間は「解約権を留保した労働契約」

判例では、試用期間とは、「解約権を留保した労働契約」と解釈されることが多いです(三菱樹脂事件 最高裁大法廷判決昭和48年12月12日民集27巻11号1536号)。

すなわち、「試用期間が開始した時点で労働契約は成立するものの、労働者が不適格であった場合に労働契約を解約する権利が留保されている(解約権留保付労働契約)」と、通常は解釈されています。

ただし、試用期間に解約権が留保されているからといって、使用者が自由に解雇できるという意味ではありません。
判例上、試用期間中の解雇には、後でご説明する通り、一定の制限が設けられています。

試用期間中は本採用とは別の扱いになるのか?

試用期間は、お試し期間ですが、労働契約を結んでいます。
このため、解約権が留保されていることを除いては、基本的に本採用と同じ扱いです。
試用期間だからといって雇用主が不当な扱いをすると違法になります。
試用期間中の給与、社会保険、時間外労働、賞与、有給休暇について解説いたします。

(1)試用期間中の給与は?

試用期間中の給与は、本採用(試用期間終了後)より少ない額を提示されることがあります。
ここで、注意しなければならないのが、試用期間中の給与が「最低賃金」を下回っていないかという点です。
最低賃金の額は、都道府県ごとに設定されています(地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省)。

試用期間中の給与が、この最低賃金を下回っていれば、原則として違法です。

ところが、試用期間中の場合は、「ちょっとだけ最低賃金を下回ってもよい」という特例が適用されることがあります。

すなわち、試用期間中は、都道府県労働局長の許可を受ければ、最低賃金の20%まで減額することが可能です(減額特例、最低賃金法第7条2号、最低賃金法施行規則5条)。
ただし、この減額特例の許可の要件は厳しく、なかなか許可されません。

参考:最低賃金の減額の特例許可申請について|厚生労働省 奈良労働局

(2)試用期間中の社会保険は加入できるのか?

試用期間中の労働者であっても、原則として、社会保険に加入できます。
試用期間中の労働者であるからといって、本採用後の労働者とは異なる加入条件はありません。

(3)試用期間中の有給休暇は?

有給休暇は「入社後6ヶ月継続して勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者に与えられる」と労働基準法39条に定められています。
試用期間として入社すれば、この労働基準法39条でいう「入社」にあたります。
そのため、試用期間として入社してから6ヶ月経過し、全労働日の8割以上出勤していれば有給休暇はもらえることになります。

(4)試用期間中の賞与は?

法律上、企業には、賞与の支給義務はありませんので、試用期間中の労働者に対して賞与を支給するかどうかは、企業によって対応が異なります。

例えば、就業規則で「試用期間中は賞与の支給なし」となっていれば賞与はもらえません。

試用期間中の労働者に対して賞与を出す企業の場合でも、本採用後の労働者に比べて賞与が少なく設定されている場合もあります。

試用期間では解雇されやすいの?

解雇には、主に次の3つがあります。

  • 普通解雇
  • 整理解雇
  • 懲戒解雇

解雇権を濫用することはできず、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当なもの」でなければ解雇は無効となります。

試用期間中であっても「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当なもの」でない解雇は濫用・無効となります。
しかし、試用期間は、通常、解約権留保付労働契約とみなされ、判例上、本採用後よりも広い範囲で解雇の自由が認められる傾向にあります。

例えば、試用期間中の勤務態度の不良の程度や、雇う際に分からなかった事情を考慮して、雇用を継続できないと判断されれば解雇が有効となる場合があります。

(1)過去の裁判で解雇が有効だと認められたケース

過去の裁判では、次のようなケースで、解雇が有効と認められました。

  • 試用期間中に比較的簡単な仕事でミスを繰り返し、指導されても改善されないため、従業員として不適格として解雇(三井倉庫事件(東京地裁判決平成13年7月2日))

  • 試用期間中の勤務態度の悪さなどを指摘されても、改善しないことを理由に解雇(日本基礎技術事件(大阪高裁判決平成24年2月10日))

  • 採否決定の際に重要視した職歴につき、虚偽申告をしたことや、勤務態度の不良などを理由に解雇(アクサ生命保険ほか事件(東京地裁判決平成21年8月31日))

裁判例を参考にすると、次の場合は、試用期間に解雇されても有効であると判断される可能性があります。

  1. 無断欠勤や遅刻が多く、指導されても改善されない
  2. 仕事でミスが多く、指導されても改善されない
  3. 採用時に重要視された学歴や賞罰を詐称する

参考:(8)試用期間|独立行政法人労働政策研究・研修機構

(2)試用期間中に解雇された場合

試用期間の労働者として入社してから、15日以上経ってから解雇を通知された場合は、通常の解雇と同様に原則として30日前に解雇の予告をすることが必要です。
または、この解雇通知がされた日が、解雇予定日まで30日を切っている場合には、原則として、予告が不足する日数分以上の平均賃金(解雇予告手当)をもらえます(労働基準法第20条、第21条但書)。
仮に10日後に解雇と予告された場合は、原則として、20日分以上の平均賃金をもらえることになります。

他方で、入社して14日以内の試用期間中の労働者を解雇する場合は、解雇予告や解雇予告手当は必要ありません(労働基準法第21条4項)。

【まとめ】試用期間は本採用を前提としたお試し期間

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 試用期間とは、本採用の前に、労働者の適格性を判断すべく、労働者を試しに雇用する期間のこと。
  • 試用期間は、通常、「試用期間が開始した時点で労働契約は成立するものの、労働者が不適格であった場合に労働契約を解約する権利が留保されている(解約権留保付労働契約)」と解釈されている。
  • 試用期間は、解約権が留保されていることを除いては、基本的に本採用と同じ扱い。
    給与は原則として最低賃金を上回る必要があるし、条件を満たせば社会保険にも加入できるなど、基本的には本採用と同じように扱われる。
  • 試用期間中は、本採用後よりも広い範囲で解雇が認められる傾向にある。

試用期間は本採用を前提としたお試し期間ではありますが、一般的には、試用期間中もきちんとした労働契約が成立しています。

試用期間中だからといって不当な待遇を受けていないか、確認してみましょう。

試用期間について分からないことがあったり不当な待遇を受けているなど、相談したいことがあれば、最寄りの労働基準監督署や、労働問題を取り扱っている弁護士に相談してみてください。

参考:全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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