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試用期間は本採用とは別?試用期間の疑問点を分かりやすく解説

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試用期間では、本採用とほぼ同じ労働契約が成立していることが通常です。
しかし、試用期間は、本採用に比べ、解雇が広く認められやすいという特徴があります。
試用期間について、弁護士がわかりやすく解説いたします。

試用期間とは?

試用期間とは、本採用の前に、労働者の適確性を判断すべく、労働者を試しに雇用する期間のことです。

判例上、試用期間は、本採用に比べると、解雇しやすくなっています(三菱樹脂事件 最高裁昭和48年12月12日民集27巻11号1536号)。

そのため、一旦、本採用すると長期間雇用になることが多い日本では、試用期間を設けることで、慎重に従業員の適正を見極めようとする企業が多くあるのです。

正社員以外にも、パートやアルバイトにも試用期間はあります。
会社によっては研修期間や見習期間と呼称して、実質的な試用期間としている場合もあります。

試用期間を導入している会社は、求人票や募集要項にて、その旨を記載しなければなりません(職業安定法第5条3項、職業安定法施行規則第4条の2の第3項の2の2号)。
さらに、就業規則に明示したり、採用時に労働者に説明するなどして、労働者に説明・周知しておく必要があります。

参考:労働条件の明示|厚生労働省

(1)試用期間の長さは、原則自由

法律上、試用期間の長さには決まりはありませんので、原則として、試用期間は雇用主側が自由に設定できます。
統計上、試用期間は3ヶ月とする企業が最も多く、試用期間を1~6ヶ月とする企業が多くを占めます。
試用期間があまりに長すぎる場合は、公序良俗違反として、試用期間が無効となる場合があります(ブラザー工業事件 名古屋地裁判決昭和59年3月23日労判439号64頁)。

参考:試用期間について|厚生労働省

(2)試用期間の延長には一定の制限あり

また、就業規則などであらかじめ、延長の可能性や、延長になる事由、延長の期間などが明示されていない限り、原則として試用期間の延長は認められないと考えられています。
延長の事由や、延長の期間も合理的であることが必要です。

(3)試用期間は「解約権を留保した労働契約」

判例では、試用期間とは、「解約権を留保した労働契約」と解釈されることが多いです(三菱樹脂事件 最高裁昭和48年12月12日民集27巻11号1536号)。

すなわち、「試用期間が開始した時点で労働契約は成立するものの、労働者が不適格であった場合に労働契約を解約する権利が留保されている(解約権留保付労働契約)」と、通常は解釈されています。

ただし、試用期間に解約権が留保されているからといって、使用者が自由に解雇できるという意味ではありません。
判例上、試用期間中の解雇には、後述の通り、一定の制限が設けられています。

試用期間中は本採用とは別の扱いになるのか?

お試し期間となっていますが、労働契約を結んでいるため、解約権が留保されていることを除いては、基本的に本採用と同じ扱いになります。試用期間だからといって雇用主が不当な扱いをすると違法になります。
試用期間中の給与、社会保険、時間外労働、賞与、有給休暇について解説いたします。

(1)試用期間中の給与は?

試用期間中の給与は、本採用(試用期間終了後)より少ない額を提示されることがあります。
ここで、注意しなければならないのが、試用期間中の給与が「最低賃金」を下回っていないかという点です。
最低賃金の額は、都道府県ごとに設定されています(地域別最低賃金の全国一覧|厚生労働省)。

試用期間中の給与が、この最低賃金を下回っていれば、原則として違法です。

ところが、試用期間中の場合は、「ちょっとだけ最低賃金を下回ってもよい」という特例が適用されることがあります。

すなわち、試用期間中は、都道府県労働局長の許可を受ければ、最低賃金の20%まで減額することが可能です(減額特例、最低賃金法第7条2号、最低賃金法施行規則5条)。
ただし、この減額特例の許可の要件は次のように厳しく、なかなか許可されません。

(1-1)最低賃金を下回る給与にすることが許可されるための要件

試用期間中の労働者の賃金につき、減額特例の許可を受けるための要件は次の通りです。

1.最低賃金を下回る合理性
試用期間中の労働者の給与を、最低賃金を下回る金額に設定するには、次のような合理性が必要です。

  • 減額許可申請をする業種・職種の本採用労働者の給与が、最低賃金額と同程度
  • 減額許可申請のあった業種・職種の本採用労働者に比較して、試用期間中の労働者の給与を著しく低くする慣行があること

2.最大で6ヶ月
試用期間中の労働者の給与が最低賃金を下回ることのできる期間は最大で6か月です。

3.減額率は20%まで
最低賃金をどのくらい下回るのかという減額率は、最大20%である必要があります。
そしてこの減額率は、職務の内容・成果、労働能力、経験等を総合的に考慮して定められていなければなりません。
「20%までであれば、使用者が自由に減額率を決められる」というわけではない、ということです。

このように、減額特例の許可の要件は厳しくなっております。
試用期間中の給与が、最低賃金を下回っている場合には、

  • 減額特例の許可が下りているか、
  • 許可の内容(減額率など)を守っているか

確認してみましょう。

(1-2)試用期間中の給与が最低賃金法に違反すると無効&罰金

減額特例を受けてもいないのに、最低賃金額を下回る給与である場合は、その部分については無効となり、給与は、最低賃金と同様の金額まで上がることになります(最低賃金法第4条2項)。
また、最低賃金以上の給与を払わないときには、50万円以下の罰金に処せられます(最低賃金法第40条)。

参考:最低賃金の減額の特例許可申請について|厚生労働省

(2)試用期間中の時間外労働で残業代はもらえる?

試用期間中も、時間外労働や休日出勤、深夜労働などの残業が発生する場合があります。
企業は、試用期間中であっても、本採用後と同じように時間外労働手当(残業代など)を支払わなければなりません。

企業によっては、みなし残業制がとられていることがあります。
みなし残業制とは、残業の有無にかかわらず、一定時間の残業をしたとみなして、あらかじめ固定の残業代を給与に組み込んでおく制度のことをいいます。
試用期間中であっても、みなし残業制において想定されていた残業時間を超える残業をした場合には、企業は超えた分の残業時間に対し、別途残業代の支払いが必要です。

(3)試用期間中の社会保険は加入できるのか?

試用期間中の労働者であっても、原則として、社会保険に加入できます。
試用期間中の労働者であるからといって、本採用後の労働者とは異なる加入条件はありません。

(4)試用期間中の有給休暇は?

有給休暇は「入社後6ヶ月継続して勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者に与えられる」と労働基準法39条に定められています。
試用期間として入社すれば、この労働基準法39条でいう「入社」にあたります。
そのため、試用期間として入社してから6ヶ月経過し、全労働日の8割以上出勤していれば有給休暇はもらえることになります。

(5)試用期間中の賞与は?

法律上、企業には、賞与の支給義務はありませんので、試用期間中の労働者に対して賞与を支給するかどうかは、企業によって対応が異なります。

例えば、就業規則で「試用期間中は賞与の支給なし」となっていれば賞与はもらえません。

試用期間中の労働者に対して賞与を出す企業の場合でも、本採用後の労働者に比べて賞与が少なく設定されている場合もあります。

試用期間では解雇されやすいの?

解雇には、主に普通解雇・整理解雇・懲戒解雇の3つがあります。
解雇権を濫用することはできず、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当な理由」で無ければ解雇は無効となります。

試用期間中であっても「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当なもの」でない解雇は濫用・無効となりますが、試用期間は、通常、解約権留保付労働契約とみなされ、判例上、本採用後よりも広い範囲で解雇の自由が認められる傾向にあります。

例えば、試用期間中の勤務態度の不良の程度や、雇う際に分からなかった事情を考慮して、雇用を継続できないと判断されれば解雇が有効となる場合があります。

(1)過去の裁判で解雇が有効だと認められたケース

過去の裁判では、以下のようなケースで、解雇が有効と認められました。

・試用期間中に比較的簡単な仕事でミスを繰り返し、指導されても改善されないため、従業員として不適格として解雇(三井倉庫事件(東京地裁判決平成13年7月2日))

・試用期間中の勤務態度の悪さなどを指摘されても、改善しないことを理由に解雇(日本基礎技術事件(大阪高裁判決平成24年2月10日))

・採否決定の際に重要視した職歴につき、虚偽申告をしたことや、勤務態度の不良などを理由に解雇(アクサ生命保険ほか事件(東京地裁判決平成21年8月31日))

裁判例を参考にすると、次の場合は、試用期間に解雇されても有効であると判断される可能性があります。

  1. 無断欠勤や遅刻が多く、指導されても改善されない
  2. 仕事でミスが多く、指導されても改善されない
  3. 採用時に重要視された学歴や賞罰を詐称する

参考:(8)試用期間|独立行政法人労働政策研究・研修機構

(2)試用期間中に解雇された場合

試用期間の労働者として入社してから、15日以上経ってから解雇を通知された場合は、通常の解雇と同様に原則として30日前に解雇の予告をされます。
または、この解雇通知がされた日が、解雇予定日まで30日を切っている場合には、原則として、予告が不足する日数分以上の平均賃金(解雇予告手当)をもらえます(労働基準法第20条、第21条但書)。
仮に10日後に解雇と予告された場合は、原則として、20日分以上の平均賃金をもらえることになります。

他方で、入社して14日以内の試用期間中の労働者を解雇する場合は、解雇予告や解雇予告手当は必要ありません(労働基準法第21条4項)。

試用期間中に退職したい場合

「社風になじめない、試用期間中だけど退職したい」
そんな方もいらっしゃるでしょう。

試用期間中でも、退職することは可能です。ただし、労働契約が成立しているため、本採用後の労働者と同じように、一定の法律上のルールに則って退職する必要があります。
原則として退職を申し出たその日の内に退職することはできません。

退職申出をしてからどのくらい経ったら退職できる?

基本的には、退職を申し出てから少なくとも2週間は経過しないと、退職できません(民法第627条1項後段)

また、期間の定めのある労働契約(3年契約など)の場合は、原則として、期間が満了しないと退職できません(民法628条)。

ただし、期間の定めのある労働契約であっても

  • 一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの
  • 一定の高度の専門的知識を有する労働者
  • 60歳以上の労働者

を除いて、契約期間が1年を超える労働契約である場合は、契約期間の初日から1年を経過すればいつでも退職できます(労働基準法137条。ただし2020年10月7日時点。今後改正が予定されているので、退職時の法律をご確認ください)。

また、期間の定めがある労働契約であっても、当初の雇用期間が満了し、そのまま会社も労働者も異議を述べることなく黙示に雇用期間が更新された後は、原則2週間前に退職すると会社に伝えれば退職できます。
さらに、期間の定めのある労働契約であっても、病気による長期療養が必要な場合など、「やむを得ない事由」があるときは、直ちに退職可能です(民法628条)。
ただし、やむを得ない事由が、労働者の過失によって生じたときは、会社に対して損害賠償の責任を負ってしまいますので注意しましょう(民法628条)。

また、入社時に明示された労働条件と実際の労働条件が異なる場合も直ちに退職できます(労働基準法15条第2項)
例えば、入社する際には、試用期間3ヶ月と言われていたのに、実際には試用期間が6ヶ月だった場合には、直ちに退職できることが多いです。

さらに、会社と合意すれば、法律上必要な期間が経過する前でも退職できます。

法律のルールは以上のとおりですが、基本的には就業規則に記載されているルールに従って退職する方がトラブルは生じにくいです。

【まとめ】試用期間は本採用を前提としたお試し期間

試用期間は本採用を前提としたお試し期間ではありますが、一般的には、試用期間中もきちんとした労働契約が成立しています。
そして、一般的には、本採用と比べて、試用期間中は、解雇が認められやすくなっていますが、試用期間中も正当な理由がないと解雇できません。
解雇が正当化されないよう、ミスや勤務態度などに対して指導を受けたら改善するよう心がけていきましょう。

また、試用期間中も残業代は発生しますので、きちんと残業代が払われているか確認することが大切です。

さらに、試用期間中に退職したい場合は、退職時期がいつになるのか確認しておきましょう。

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