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トラック運転手も残業代請求はできる?残業代請求の諸問題を解説

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「トラック運転手は残業代請求できないということを会社に言われたことがあるんだけど、自分は残業代請求できるんだろうか……。」

トラック運転手だからといって必ずしも残業代請求ができないというわけではありません。むしろ、トラック運送会社に対する残業代請求は近年増加傾向にあります。

本記事では、トラック運転手の残業代請求について解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

トラック運転手でも残業代請求は可能

トラック運転手は残業代請求ができないとお考えではないですか。
これは誤りです。トラック運転手でも残業代請求は可能です。
ここでは、トラック運転手が残業代請求できない理由として挙げられる典型的な問題点について解説します。

(1)請負契約は残業代請求ができないという問題

あなたは請負契約だから会社に対して残業代請求をすることはできないと言われたことはありませんか。
しかし、契約形態が請負契約であったとしても必ずしも残業代請求ができないというわけではありません。

残業代請求をするためには、労働基準法上の「労働者」に該当することが必要となります。
そしてこの労働者該当性を判断する際には、その契約の名前が『雇用契約』か『請負契約』かなどの契約の形式によらず、以下の事情などを考慮して、実質的に判断されます。

  • 業務遂行上の指揮監督
  • 時間的、場所的拘束性
  • 仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由
  • 労務提供の代替性
  • 報酬の性格
  • 事業者性
  • 専属性

つまり、請負契約であったとしても労働基準法上の「労働者」に該当する可能性は十分にあります。

例えば、以下の事情などがある場合、「労働者」に該当すると判断される可能性が高くなります(最判平成8年11月28日参照)。

  • 運送物品、運送先及び納入時刻等トラック運送業という業務の性質から当然に必要とされるような指示を超えて、毎日の始業・就業の時刻や、ユニフォーム等について会社から細かい指示を受けていた
  • 就業時間や就業場所について、一般の従業員とほとんど同程度の指示を受けていた
  • 報酬の支払いにあたって所得税の源泉徴収や社会保険及び雇用保険の保険料を控除されていた
  • 報酬が運送時間によって定められていた
  • トラックが会社から貸し出されていたり、ガソリン代や修理代等の費用も会社が負担していた
  • 会社による仕事の依頼に関する指示を拒否する自由はなかった

以上のように、請負契約であったからといって、必ずしも残業代請求ができないということにはならないので、注意しましょう。

(2)歩合制の場合残業代請求はできないという問題

うちの会社は歩合制をとっているから残業代請求はできないよといわれたことはありませんか。

しかし、歩合制をとっているからといって会社に対して残業代請求ができないというわけでありません。
歩合給は『通常の労働時間に対する賃金』であるのに対して、残業代は『通常の労働時間を超えた労働に対する賃金』ですので、両者の性質は異なります。
そのため、歩合給を支払っているからといって、残業代を支払わなくもいいということには必ずしもなりません。

ただし、歩合給の中に残業代を含んで支払っているから、会社は残業代の支払いを免れるという会社側の主張が想定されます。
この問題は、いわゆる固定残業代の問題であり、この会社の主張が認められれば、会社は残業代の支払いを全部また一部免れることになります。

固定残業代の問題については、こちらの記事もご覧ください。

固定残業代とは?みなし残業の違法性や残業代の請求方法も解説!

裁判例上、固定残業代の有効性については、次の2つの要件に従って判断される傾向にあります。

1 雇用契約上の賃金の定めにおいて、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とが判別可能であること(区分明確性の要件)
2 当該手当が時間外労働等に対する対価として雇用契約上定められていると認められること(対価性の要件)

上記会社の主張については、無条件に認められるわけではなく、上記の要件を満たした場合に限り認められるということになります。

以上のように、歩合制が採用されている場合であっても、残業代請求ができないというわけではありません。固定残業代の有効性も含め、一度弁護士に相談されることをお勧めいたします。

(3)荷待ち時間に残業代は発生するのかという問題

荷待ち時間は休憩時間だから残業代請求はできないよと言われたことはありませんか。
しかし、荷待ち時間だからといって必ずしも残業代が発生しないということはありません。

荷待ち時間に残業代が発生するには、荷待ち時間が休憩時間などではなく、労働時間にあたるといえなければなりません。そして、労働時間にあたるか否かは、労働からの解放が保障されていたか否かという観点から客観的に判断されることになります。
そうすると、荷待ち時間であっても、荷主や物流施設の指示などがあれば待機中であってもこれに対応する必要性がある場合には、労働からの解放が保障されているとは客観的にみていえませんので、労働時間にあたることになるでしょう。

以上のように荷待ち時間だからといって、必ずしも残業代が発生しないというわけではありません。

(4)残業代請求は時効に注意

残業代請求権には消滅時効というものがあります。つまり、残業代を請求できる権利があったとしても、労働者が一定期間の間何もしないでいると、会社は残業代の支払いを免れることができるのです。

残業代の場合、消滅時効は、

  • 2020年3月31日までに発生したもの→2年
  • 同年4月1日以降に発生したもの→3年

とされています。※改正労働基準法115条では賃金請求権の消滅時効につき「5年間」とされていますが、同法143条により、経過措置として、「当分の間、……3年」とされています。

上記の期間が経過してしまうと、残業代請求権は消滅時効にかかり、会社は残業代の支払いを免れることになります。
ただし、この期間内に会社に対して残業代の請求をする裁判を起こせば、この消滅時効の期間をリスタートすることが可能です。

また、裁判を起こさなくても、内容証明郵便等により会社に対して残業代の請求をすれば、消滅時効の期間を6ヶ月間だけ延長させることが可能です(これを「催告による時効の完成猶予」といいます(民法150条))。

なお、これはあくまで暫定的な時効期間の延長でしかなく、提訴が間に合わない等の理由からとりあえず時効完成を防ぐぐらいの意味しかありませんので、催告の後の6ヶ月以内に訴訟提起等の手段をとらなければならないことに注意する必要があります。

以上のように、残業代の消滅時効は短く、消滅時効にかからないためには、内容証明郵便等により会社に残業代請求をするなどの措置をとる必要があります。これを怠ると、本来であれば残業代を支払わせることができたのに、何百万円もの残業代請求権を失ってしまうということになりかねません。そのため、残業代請求をお考えの方はこの消滅時効に注意しましょう。

タイムカードがなくても残業代請求はできる

タイムカードがなければ残業代請求はできないとお考えではありませんか。
これは誤りです。タイムカードがなくても残業代請求は可能です。
ここでは、トラック運転手の残業代請求における証拠の問題について解説します。

(1)トラック運送業ではタイムカードがある会社は多くない

裁判で残業代を会社に請求する場合、原告である労働者側で残業時間を証明する必要があります。そして、残業時間を証明する証拠として、タイムカードは非常に強い証拠となります。

もっとも、トラック運送業では、その業務の性質上、タイムカードによる打刻で業務時間を管理している会社は多いとは言えません。特に、大型トラック運転手などの長距離運転が予定されている業種については、業務時間をあらかじめ画一的に決めておくことが難しく、タイムカードによる業務時間の管理を行っていない会社が多いといえます。

(2)タイムカード以外の証拠でも残業代請求は可能

しかし、残業時間を証明する証拠は、タイムカードだけではありません。
要は、裁判官が客観的にみてその時間に労働をしていたのであろうと判断できるものであればいいわけです。

証拠となるべき資料の例としては、

  • タコグラフの記録
  • 運転日報
  • ドライブレコーダー
  • 車載カメラや無線の記録
  • 仕事上のメールログ
  • 個人のメールやLINE
  • 手書きメモや日記

などが考えられます。

(3)手元に証拠がなくても開示されることがある

タコグラフの記録や運転日報などが手元にない場合もあるでしょう。
しかし、会社がこれらを保管している場合(運転日報に関しては会社に保管義務があります)、ご自身で開示請求をすれば開示してくれるかもしれません。
また、会社がこれに応じなかったとしても、弁護士を通して開示を請求することもできます。

さらに、仮にこのような弁護士の開示請求に会社が応じなかった場合であっても、証拠保全手続という裁判上の手続を使うということも可能です。この証拠保全手続とは、あらかじめ証拠調べをしておかなければその証拠を使用することが困難となる事情があると認めるときに裁判所により行われる証拠調べをいい、証拠保全手続そのものには強制力はありませんが、会社側が協力を拒むと後の訴訟で労働者側の主張が真実と認められる可能性があります(民事訴訟法224条、232条)。

以上のように、証拠となりそうなものが手元にない場合であっても、弁護士による開示請求や証拠保全手続などの手段も存在しますので、残業代請求を安易に諦めることがないようにしましょう。

会社に残業代を請求する方法とは

では、実際に会社に対して残業代請求をしたいと考えた場合、自分自身で会社に残業代を請求することはできるのでしょうか。それとも、弁護士に依頼しなければならないのでしょうか。

(1)自分自身で請求する

残業代は、弁護士に依頼しなくても、ご自身で会社に請求することも可能です。
その場合、基本的には以下のような手順を踏みます。

  1. 証拠を収集する
  2. 残業代を計算する
  3. 会社へ内容証明郵便を送る(消滅時効の一時的なストップ)
  4. 会社と交渉をする

このように、1~4の手順を踏むことによってご自身でも会社へ残業代請求をすることが可能です。

もっとも、手元に証拠がない場合、証拠となるべき資料を収集するにあたって、多大な労力や時間がかかってしまうおそれがあります。
また、それまで残業代をしっかりと支払っていなかった会社ですから、従業員自身の請求を無視する可能性も少なくありません。

さらに、会社は顧問弁護士等を通して減額交渉をしてくる可能性が高く、仮に支払いに応じても、実際に請求することができる額よりも大幅に少ない額で妥協せざるを得なくなってしまう可能性もあります。
そのため、より確実に残業代請求をしたいという方は、弁護士に依頼されることをお勧めいたします。

(2)弁護士に依頼する

弁護士に依頼する場合はどのような手順で残業代を請求することになるのでしょうか。

  1. 相談・受任
  2. 内容証明郵便
  3. 証拠収集
  4. 残業代計算
  5. 相手方との任意交渉
  6. (5で交渉がまとまらなければ)労働審判
  7. (6で審判に異議が申立てられれば)訴訟提起

弁護士に依頼する場合、基本的には上記のような手順を踏むことになります。
ご自身で請求する場合、2、4、5はご自身で行っていただく必要がありましたが、弁護士に依頼した場合は弁護士が行うことになります。
また、3.証拠収集についても、必要な証拠は弁護士の方から指示をし、仮に証拠が手元にない場合には弁護士から会社へ開示請求をすることになります。
そして、5.交渉で会社と話がつかない場合には、裁判上の手続に移行します。

まずは、6.労働審判です。
労働審判とは、労働審判員(裁判官、労組の組合員など労働者側の審判員、経営者など使用者側の審判員の3名)、申立人、相手方の3者で行われる手続きで、直接口頭で互いの言い分を期日に言い合い、「調停」に至らなければ、争いの対象となっている一定の権利関係について労働審判員が審判を下すという手続きです。「調停」とは、紛争当事者の間に第三者が介入して、紛争当事者の双方の合意により和解の成立を目指すことをいいます。

訴訟の場合、判決が出るまでの期日の回数に制限はありませんが、労働審判の場合、原則として3回までの審理で終結しなければならないと法律で決まっており(労働審判法15条2項)、第1回目の期日で調停による和解が成立する場合もありますので、訴訟と比較して非常に短期間で紛争の解決を図ることが可能です。

このように、訴訟提起に比較して迅速な解決を図ることができる労働審判手続を訴訟の前段階で利用することによって、紛争の早期解決を図ることになります。

最後に、6.労働審判で解決できなかった場合(審判に異議が申立てられた場合)、7.訴訟を提起することになります。

【まとめ】トラック運転手でも残業代を請求することできる可能性がある

本記事をまとめると以下のようになります。

  • 請負契約、歩合制であっても残業代請求は可能。荷待ち時間にも残業代は発生する可能性がある。
  • 残業代請求権には短期の時効がある
  • タイムカードがなくても残業代請求は可能。手元に証拠となるものがなくても会社に開示させることができる場合がある。
  • 残業代は自分自身でも請求できるが、弁護士に依頼する方がより確実

トラック運転手であっても残業代請求は可能です。トラック運転手には残業代は出ないと会社に言われているとか、手元に証拠がないなどの理由によって安易に残業代請求を諦めることは避けましょう。
また、残業代請求権の時効は短いので、残業代請求をお考えの方は早期に動く必要があることにも注意しましょう。
残業代請求をお考えの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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