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生命保険の受取人が死亡した場合の手続きと注意点

作成日:更新日:
y.kanno

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

生命保険は、大切な家族が経済的に困らないようにするための保険です。 

しかし、もしその保険金を受け取る人(受取人)が亡くなってしまったら、どうすれば良いのでしょうか? 

この記事では、受取人が亡くなった場合にどのような手続きを行えばよいのか、保険金は誰に支払われるのか、税金はどうなるのかを、わかりやすく解説します。 

これを知っておけば、家族に迷惑をかけずにスムーズに手続きを進められます。 

この記事を読んでわかること 

  • 受取人が死亡した場合、原則保険金は受取人の法定相続人が受け取ること 
  • 受取人が死亡した場合には早めの受取人の変更がおすすめなこと 
  • 受取人が誰になるかで、保険金にかかる税金の種類が変わること
  • 受取人になれる条件や受取人を変更すべきタイミングがあること 

ここを押さえればOK!

受取人が死亡した場合の保険金の行方について、いくつかのポイントをまとめます。
まず、受取人が亡くなり新たな受取人が指定されていない場合、保険金は亡くなった受取人の法定相続人に支払われます。法定相続人には配偶者や子供、両親などが含まれ、その割合は法律で定められています。一方、法定相続人がいない場合、保険金は国庫に帰属します。
受取人が死亡し、新しい受取人に変更する方法としては、まず保険会社に連絡を入れる必要があります。その際、契約番号や保険証書の情報を準備しておくとスムーズです。
その後、保険会社から送られてくる必要書類を記入し、提出すると続きは完了します。この手続きを怠ると、意図しない人物に保険金が渡るリスクが生じます。
早めに保険の受取人を確認し、必要に応じて変更手続きを行いましょう。これにより、意図しない相続を防ぎ、適切な人に保険金を渡すことができます。
この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。神奈川県弁護士会所属

指定した受取人が死亡した場合の保険金の行方 

受取人が亡くなった場合、保険金の行方について、簡単に説明します。 

(1)受取人の法定相続人が受け取る 

受取人が亡くなり、新しい受取人に変更されていない場合、保険金は亡くなった受取人の「法定相続人」に支払われます。法定相続人とは、法律で決められた相続人のことです。 

【法定相続人の例】 

  • 夫が亡くなり、妻が健在であれば、妻が相続人となります。 
  • 夫が亡くなり、妻と二人の子供がいる場合、妻が1/2、子供たちが残りの1/2を均等に相続します。 
  • 夫が亡くなり、子供がいない場合、妻が2/3、両親が残りの1/3を均等に相続します。 
  • 独身で子供がいない場合、両親が相続人となります。 

(2)受取人に法定相続人がいない場合には国のものになる 

亡くなった受取人に法定相続人がいない場合、保険金は国庫に帰属することになります。つまり国のものとなるのです。 

受取人が死亡し、新しい受取人に変更する方法 

ここでは、受取人が死亡し、新しい受取人に変更する場合の手順を説明します。 

保険をかけている人が死亡した場合や満期を迎えた場合には、受取人の変更はできませんので、早めの手続をおすすめします。 

(1)保険会社に連絡する 

保険会社には窓口や電話など通じて連絡します。その際、事前に保険の契約番号や保険証書(保険の契約書)の情報を準備しておくとスムーズでしょう。 

保険会社に連絡すると、保険会社から新しい受取人の指定に必要な書類が送られてきます。 

(2)書類の準備・提出をする 

新しい受取人に変更するには、保険会社に申請書を提出します。 

この際、受取人の変更には受取人の同意は不要ですが、保険をかけている人の同意が必要となりますので注意してください。 

手続きが完了すると、新しい受取人が変更されます。 

受取人の死亡後に受取人変更をしないリスク 

受取人の変更をしないでいると、意図しない人に保険金が渡る可能性があります。 

例えば、夫に生命保険をかけて、受取人であった妻が死んだ場合を考えてみましょう。 

この場合、子供がいないと、妻の両親や妻の兄弟姉妹に夫の生命保険金が渡ってしまう可能性があります。 

妻の両親や兄弟姉妹に保険金が渡ってもいいのであれば変更しないままでもよいですが、そうでないのであれば早めに受取人を変更しておく必要があるでしょう。 

生命保険の受け取りにかかる税金 

生命保険の受取人の変更には、税金も重要なポイントになってきます。 

死亡保険金の受取人が誰になるかで税金の種類が変わってきます。 

税金の種類が変わると払うべき税金額も変わってきますので、受取人の変更をする前に死亡保険金にかかる税金についても知っておきましょう。 

(なお、例で挙げるAさん、Bさん、Cさんは全て仮名です。) 

(1)相続税がかかるケース 

死亡保険金の受取に相続税がかかるのは、契約者と被保険者が同じ場合です。 

例えば、被保険者が生前自分で保険料を払い、遺族が死亡保険金を受け取るケースです。 

【例】 

  • 契約者(保険の名義人、保険金を払う人) Aさん 
  • 被保険者(保険の対象となる人、保険金をかけられている人) Aさん 
  • 受取人(保険金を受け取る人) Bさん 

死亡保険金の受取人が被保険者の相続人である場合には、500万円×法定相続人の数の金額が非課税となります。 

(2)所得税がかかるケース 

死亡保険金の受取に所得税がかかるのは、契約者と保険金の受取人が同じ場合です。例えば、夫が妻に生命保険をかけていて、夫にその保険金が支払われるようなケースです。 

【例】 

  • 契約者(保険の名義人、保険料を払う人) Aさん 
  • 被保険者(保険の対象となる人、保険金をかけられる人) Bさん 
  • 受取人(保険金を受け取る人) Aさん 

死亡保険金を一時金として受け取った場合には「一時所得」になります。この場合、死亡保険金以外に他の所得がなければ、受け取った死亡保険金からそれまで支払った保険料を引き、その金額が50万円以内であれば課税されないことになります。 

(3)贈与税がかかるケース 

生命保険の受取に贈与税がかかるのは、契約者と被保険者、受取人がすべて違う場合です。例えば、夫が妻に生命保険をかけていて、子供に保険金が支払われるようなケースです。 

【例】 

  • 契約者(保険の名義人、保険料を払う人) Aさん 
  • 被保険者(保険の対象となる人、保険金をかけられる人) Bさん 
  • 受取人(保険金を受け取る人) Cさん 

贈与税には1年間で110万円の基礎控除があります。ほかに贈与された財産がなければ、死亡保険金110万円以内であれば贈与税はかかりません。 

受取人になれる条件は?受取人を変更するタイミングとは? 

受取人を変更(指定)する際には、受取人になれる条件を知っておく必要があります。また、受取人の死亡以外にも受取人を変更すべきタイミングがありますので、そのタイミングも知っておきましょう。 

(1)保険金を受け取れるのは原則2親等以内の血族まで 

保険金の受取人になれるのは、原則配偶者と2親等以内の血族までです。 

例えば、親や祖父母、兄弟姉妹、子、孫などです。 

ただ、3親等以内の血族(伯父や叔母、甥、姪など)や内縁関係、同性のパートナーなども受取人として認められることもあります。 

(2)保険金の受取人は複数人にすることも可能 

保険金の受取人は複数人にすることもできます。 

例えば、妻や子供などです。この場合は受け取る割合も指定します。 

(3)受取人を変更すべきタイミングとは 

家族構成に変更があった場合には、受取人の見直しをしましょう。 

例えば、結婚した場合には「両親から妻へ」、離婚した場合には「妻から両親へ」変更することが考えられます。 

離婚しても元配偶者を受取人とした生命保険は、受取人を変更しない限り「元配偶者」が受取人のままです。元配偶者に保険金を渡したくないのであれば、早めの受取人の変更がおすすめです。 

【まとめ】生命保険の受取人が死亡した場合には、早めの受取人の変更を! 

受取人が死亡した場合、保険金は基本的に法定相続人に渡りますが、法定相続人がいない場合は国庫に帰属します。受取人の変更が必要な場合は、保険会社に連絡し、必要書類を提出します。変更を怠ると意図しない相手に保険金が渡るリスクがあるため、迅速な対応が重要です。 

家族の安心を守るために、今すぐ生命保険の受取人を確認し、必要なら変更手続きを行いましょう。これにより、将来的な不安を減らし、スムーズな手続きを実現できます。 

この記事の監修弁護士
弁護士 重光 勇次

同志社大学、及び同志社大学法科大学院卒。福岡支店長、大阪なんば支店長を経て、2020年4月より退職代行部門の統括者。勤務先から不当な退職引きとめをされる等、退職問題についてお悩みの方々が安心して退職され、次のステップに踏み出していただけるよう、日々ご依頼者様のため奮闘している。神奈川県弁護士会所属

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