「固定残業代制とはいえ、それを超えて働いた分の残業代が全く支払われない!」
もしあなたが今、このような状況に直面しているなら、それは違法かもしれません。
固定残業代は、会社が残業代の支払いを免れるためのものではありません。固定残業代が想定している時間を超えて働いた場合、会社にはその超過分の残業代を支払う義務があります。
ここを押さえればOK!
しかし、定められた時間を超えた残業に対しては、追加で残業代を支払う義務があります。
この制度が有効と認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
1. 就業規則や雇用契約書で条件が明記されていること
2. 基本給と固定残業代が明確に区別されていること
3. 法定の最低賃金や割増率を満たしていること
また、深夜手当・休日手当は別途請求できる可能性があり、固定残業代が想定する残業時間数が不当に長くないかも確認する必要があります。
専門的知識が必要なため、弁護士への相談・依頼が有効な選択肢となります。弁護士に相談する際は、関連資料を準備しておくことが重要です。
残業代請求をお考えの方は、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。
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固定残業代の基本:「超過分が支払われない」のは法律違反の可能性あり
まずは、固定残業代制がどのような仕組みで成り立っているのか、そして超過分の残業代が支払われるべき法律上の根拠について解説します。
(1)固定残業代制とは?その仕組みと注意点
固定残業代制とは、実際の残業時間にかかわらず、毎月一定時間分の残業代をあらかじめ固定額として基本給に上乗せして支払う制度です。この制度自体は法律で認められていますが、誤解されやすい仕組みでもあります。
(2)超過分の残業代は支払われるべき!労働基準法上の根拠
固定残業代は、あくまで「あらかじめ定めた時間」までの残業代を支払うためのものです。
もし、あなたが固定残業代で定められた時間を超えて残業した場合、会社はその超過した分の残業代を追加で支払う義務があります。
あなたの会社は大丈夫?固定残業代制の有効要件
固定残業代制が裁判などで有効と認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。あなたの会社が次の3つの要件を満たしているか、今すぐチェックしてみましょう。
(1)就業規則や雇用契約書で固定残業代の条件が明記されているか
固定残業代制度を導入する場合、会社は就業規則や雇用契約書などで次の点を明確に定めていなければなりません。
- 基本給とは別に、残業代としていくら支払われているか
 
(2)固定残業代に含まれる残業時間と金額が明確に区別されているか
「基本給部分」と「残業代部分(固定残業代)」が明確に区別されていることは、制度が有効と認められるための最も重要な要件です。
最高裁判所は、複数の判例を通じて、この「明確区分性(判別可能性)の原則」を繰り返し強調しています。
なぜなら、両者が明確に区別できなければ、支払われている固定残業代が、法律で定められた割増率で計算した金額を正しく上回っているかどうかの検証自体が不可能になるからです。
参考:最判平成24年3月8日|裁判所
参考:最判平成29年7月7日|裁判所
たとえば、給与明細に「基本給 30万円(固定残業代含む)」としか書かれていない場合、どこまでが基本給で、固定残業代がいくらなのかまったく分かりません。
このようなケースでは、固定残業代の定めそのものが無効と判断される可能性が高くなります。
固定残業代制が無効と判断された場合の影響
もし固定残業代の定めが無効と判断された場合、その影響は単に残業代を再計算するだけにとどまりません。これまで「固定残業代」として支払われていた金額が、残業代を計算するための「基礎賃金」に組み込まれることになるのです。
基礎賃金について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
つまり、時間単価そのものが上昇し、そのうえで全ての残業時間について割増賃金を再計算するため、請求できる未払い残業代の総額が大幅に増加する可能性があります。
これは、会社側と交渉するうえで非常に強力なカードとなり得るでしょう。
(3)固定残業代の金額が、法定の最低賃金や割増率を満たしているか
固定残業代の金額は、計算の基礎となる基本給が最低賃金を下回ってはならず、また、割増率が労働基準法の定める率(通常25%)以上を超えていなければなりません。これらの条件を満たしていない場合、未払い賃金が発生している可能性があります。
超過分の残業代を会社に請求するための具体的な手順
未払い残業代を請求するためには計画的な行動が必要です。
次からの記載を参考に準備を進めましょう。
(1)まずは証拠集め!タイムカードや勤怠管理データを確保する
未払いになっている残業代請求の意思を固めたら、すぐに次のデータを確保するようにしましょう。
- 出勤・退勤時間が客観的に記録されたデータ(タイムカード、勤怠管理システムのログ、PCのログイン・ログオフ履歴など)
 - 給与明細(固定残業代の記載状況を確認するため)
 - 雇用契約書や就業規則(固定残業代の条件を確認するため)
 
(2)未払い残業代を計算する
証拠を集めたら、実際にいくら請求できるのか、未払い残業代の総額を計算します。
- 時給の計算: 基本給を所定労働時間で割って、1時間あたりの賃金(基礎賃金)を算出します。
 - 割増率の適用: 法定時間外労働(月60時間までの部分)は25%、月60時間を超える部分は50%、深夜労働は25%、休日労働は35%の割増率を適用します(※)。
 - 超過分の計算: 支払われるべき残業代の総額から、既に支払われた固定残業代の金額を差し引いたものが、未払い残業代の請求額となります。
 
※月60時間を超える時間外労働が深夜にも及んだ場合、割増率は50%+25%=75%となります。
(3)会社への具体的な請求方法
計算が終わったら、次の方法で会社に残業代を請求します。
- 内容証明郵便の送付: 請求の意思を明確にし、時効の完成猶予の措置を取るためにも、内容証明郵便で未払い残業代の請求書を送付することが一般的です。
 - 労働審判・訴訟: 会社が請求に応じない場合は、裁判所での労働審判や民事訴訟といった法的手続きを検討します。
 
固定残業代の超過分請求は弁護士に相談・依頼ください
残業代請求には、専門的な知識が必要であり、時間だけでなく精神的な労力も要します。
会社が請求に応じない、または応じてくれないことが予想される場合には、弁護士への依頼が有効な選択肢です。
(1)残業代の計算や会社との交渉を任せて負担を軽減できる
未払い残業代の正確な計算や、会社側との交渉といった煩雑な手続きを弁護士に一任することで、あなたの負担は大幅に軽減されます。
また、時効が迫っている場合でも、適切な対応を迅速に行うことができます。
残業代(賃金)の時効は、法改正により、2020年4月1日以降に支払日が来るものについて、当分の間は「3年」となっています。
ご自身の権利が時効にかかってしまう前に、早めに専門家へ相談することが重要です。
(2)弁護士に相談する際の注意点
弁護士に相談する際は、ご自身の状況をスムーズに伝えるために、先に集めた給与明細、雇用契約書、勤怠データなどの証拠をなるべく準備するようにしてください。
弁護士はそれらの資料をもとに、今後のよりよい対応策を提案します。
【まとめ】
固定残業代の超過分が支払われないのは、法的に問題がある可能性が非常に高いです。
まずは冷静に証拠を集め、ご自身の未払い残業代がいくらになるのか計算することから始めてください。
もし、ご自身の状況が法律的にどうなっているのか不安がある場合や、会社との交渉を有利に進めたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
あなたの正当な権利を守り、問題解決へと進むためにサポートしてくれるでしょう。
残業代請求をお考えの方は、1人で悩まず、一度アディーレ法律事務所にご相談ください。





























